イギリス文学史I(第7回)『アーサー王の死』(その2)

原文読解
それでは、『アーサー王の死』の冒頭部分(第1巻第1章)を読んでみましょう。
下に「原文(現代綴り)」「日本語訳」を記しました。
「原文」には、語注も付けてあります。

SIR THOMAS MALORY

Malory マロリー Sir Thomas ~(1400?-71)(イングランドの著述家/Arthur王伝説を集大成した(1469)/Caxton版(1485)タイトル Le morte Darthur)

Le Morte D'Arthur

Morte D'Arthur(Le)『アーサーの死』(Sir Thomas Maloryによって集大成されたArthur王伝説/フランス語からの散文訳で、1485年 Caxtonによって印刷された)
(1)

(原文)
(テキスト9ページ、1行目~)
Book I
CHAPTER 1. First, How Uther Pendragon sent for the Duke of Cornwall and Igraine his wife, and of their departing suddenly again

book(名)巻、編 ・Book I 第1巻(book oneと読む)
I(名)(ローマ数字の)I
chapter(名)(書物・論文の)章 ・chapter one 第1章
first(副)(second(ly)、third(ly)(第二(三)に)と列挙する時に文頭に用いて)まず第一に、最初に(firstly)
Uther(Pendragonアーサー王伝説)ウーゼル(ペンドラゴン)王(Britainの王でArthur王の父)
send for ~ ~を取り(呼び)に(人を)使いにやる
duke(名)(しばしばDuke/称号にも用いて)公爵
Cornwall(名)コーンウォール州(イングランド南西端の州、風光明媚(び)で有名/州都Bodmin)
Igraineアーサー王伝説)イグレーヌ(Uther Pendragon王の妻でArthur王の母)
his(代)彼の
of(前)(関係・関連を表わして)~の点において、~に関して、~について
their(代)彼ら(彼女ら)の
depart(自)(人・列車などが)出発する
again(副)元の所(状態)へ

(日本語訳)
1
ウーゼル・ペンドラゴンがコーンウォール公とその奥方イグレーヌを招いたこと。そして、二人が突如、立ち去ったこと。

(2)

It befell in the days of Uther Pendragon, when he was king of all England, and so reigned, that there was a mighty duke in Cornwall that held war against him long time. And the duke was called the Duke of Tintagel.

it(代)(形式主語としてあとにくる事実上の主語の不定詞句・動名詞句・that節などを代表して)
befall(自)(~に)起こる
in(前)(時間を表わして)~(のうち)に、~の間、~中
day(名)(しばしば複数形で)時代、時世、時期 ・in the days of Queen Elizabeth エリザベス女王時代に
when(副)(関係副詞)(非制限的用法で/通例前にコンマが置かれる)(~すると)その時
England(名)イングランド(Great Britain島のScotlandとWalesを除いた部分)
so(副)(接続詞的に/and soとして)それゆえ、だから、それで
reign(自)(~の)主権を握る、(~に)君臨する、(~を)統治する
that(接)(名詞節を導いて)(~)ということ/(主語節を導いて)/(目的語節を導いて)/(同格節を導いて)
there(副)(thereは形式上主語のように扱われるが、動詞の後に通例不特定のものや人を表わす主語が続く/「そこに」の意味はなく、日本語ではthere isで「~がある」の意になる)/(beを述語動詞として)
mighty(形)(人・ものが)力強い、強力な、強大な
duke(名)(欧州の公国または小国の)君主、公
in(前)(場所・位置・方向などを表わして)~において、~で ・in London ロンドンで(に)
that(代)(関係代名詞)(人・ものを表わす先行詞を受けて通例制限用法で)(~する(である))ところの(先行詞がもの・人を表わす場合で、最上級の形容詞、all the、the only、the same、the veryなどの制限的語句を含む時、および、先行詞が疑問代名詞やall、much、little、everything、nothingなどの時に多く用いられる傾向があるが、絶対的なものではない)/(主語として)/(他動詞・前置詞の目的語として)
hold(他)(~を)持続する、維持する
long(形)(時間・過程・行為など)長い、長期にわたる ・a long time 長い間
time(名)(またa ~)(ある一定の長さの)期間、間 ・a long time 長い間
call(他)(人を)(~と)呼ぶ、称する(+目+補)

ウーゼル・ペンドラゴン王がイングランド全土の王として治めていた頃のことである。コーンウォールにティンタジェル公という強大な領主がいて、長い間ウーゼルに刃向かっていた。

(3)

And so by means King Uther sent for this duke, charging him to bring his wife with him, for she was called a fair lady, and a passing wise, and her name was called Igraine.

by(前)(手段・媒介を表わして)~で
means(名)方法、手段
this(形)(指示形容詞)この/(対話者同士がすでに知っているもの(人)をさして)(⇔that)
charge(他)(人に)(権威をもって)(~するように)命じる(+目+to do)
for(接)(通例コンマ、セミコロンを前に置いて、前文の付加的説明・理由として)という訳は~だから(=as、since)
fair(形)(古)(女性が)美しい ・a fair woman 美人
passing(副)すばらしく、たいそう(=very)
her(代)彼女の

そこで、ウーゼル王はティンタジェル公のもとに人を遣って、奥方ともども伺候するように命じた。奥方は美人でたいそう賢いという評判だったからである。奥方の名はイグレーヌといった。

(4)

So when the duke and his wife were comen unto the king, by the means of great lords they were accorded both.

so(接)(等位接続詞として)そこで、それで、~ので
when(接)~する時に、~時(時を表わす副詞節をつくる)
comen→come
unto(前)(古)~に、~のほうへ、~まで ・come unto ~に来る
by means of ~ ~によって、~を用いて、~で
great(形)身分(生まれ)の貴い、地位の高い、高貴の
lord(名)(Lordの敬称を持つ)貴族、華族
accord(他)(古)(争い・相違点などを)調和させる、調停する
both(代)(同格に用いて)両者とも、両方とも

ティンタジェル公と奥方はウーゼル王の御前に出、高官たちの取りなしで、和睦した。

(5)

The king liked and loved this lady well, and he made them great cheer out of measure, and desired to have lain by her. But she was a passing good woman, and would not assent unto the king.

like(他)(~を)好む、(~が)好きである
love(他)恋する、ほれ(てい)る
well(副)好意をもって、親切に
make(他)(人に)(~を)する(+目+目)
cheer(名)歓待、歓迎
out of(前)~の範囲外に(⇔within)
measure(名)(適当な)限界、限度 ・without measure 過度に
desire(他)(~を)強く望む、欲求する、望む(+to do)
by(前)(場所・位置を表わして)~のそばに(で)、のかたわらに(の)、の手元に
good(形)(道徳的に)良い、善良な、有徳の(⇔evil)
would(助動)(過去の意志・主張・拒絶を表わして)(どうしても)~しようとした
assent(自)(提案・意見などに)同意する、賛成する

ウーゼル王はこの奥方にすっかり惚れこんでしまったので、度はずれな歓迎をした。奥方と同衾したいものだと言い寄ったが、奥方はたいへん貞節な人だったから、どうしても王の言葉に従おうとはしなかった。

(6)

And then she told the duke her husband, and said, ‘I suppose that we were sent for that I should be dishonoured, wherefore, husband, I counsel you that we depart from hence suddenly, that we may ride all night unto our own castle.’

then(副)(しばしばandを伴って、前に続くことを示して)それから、その後で
say(他)(人に)(~と)言う、話す、述べる、(言葉を)言う(+引用)/(+that)
suppose(他)(知っていることから)推測する、思う、考える(+that)
that(接)(副詞節を導いて)(目的を表わして)~するように、~せんがために
should(助動)(目的の副詞節に用いて)~する(ように)
dishonour(他)(古)(女性に)乱暴する
wherefore(古)(接)その理由で、それゆえ
counsel(他)(人に)(~するように)助言する、忠告する
from hence(古)この場所(時)から、ここより
may(助動)(目的・結果を表わす副詞節において)~するために、~できるように
ride(自)(しばしば副詞句を伴って)馬に乗る、乗馬する
all night ひと晩中、終夜
our(代)我々の、私たちの

そして夫のティンタジェル公にこう告げた。
「わたくしたちがここに呼ばれたのは、わたくしを辱しめるためだったようです。ですから、あなた、今すぐにここを発ちましょう。夜どおし馬をとばして、わたくしたちの城へ帰りましょう」

(7)

And in like wise as she said so they departed, that neither the king nor none of his council were ware of their departing.

in(前)(方法・形式を表わして)~で、~をもって ・in this way この方法で、こうやって
like(形)(外見・量など)同様な、類似の ・in like manner 同様に
wise(名)(単数形でだけ用いて)(古)方法、やり方、風(ふう)、具合、程度(=way、fashion、degree) ・in like wise 同じように
as(接)(様態・状態を表わして)~のように
so(副)(代名詞的に)(動詞say、tell、think、hope、expect、suppose、believe、fear、hearなどの目的語として)そう
that(接)(副詞節を導いて)(so ~ thatの形で程度・結果を表わして)(非常に)~なので、~(する)ほど
neither(副)(neither ~ nor ~で相関接続詞的に用いて)~も~もどちらも~ない(しない)(これが主語になる時には、動詞は単数の時には単数扱いに、複数の時には複数扱いに、人称・数が一致しない時には近いほうの主語に一致する)
none(代)(none of ~で)(~の)いずれも(だれも、何一つ)~ない(ofのあとに不可算の名詞か単数の代名詞がくる場合は単数扱い/名詞には必ずthe、thisのような限定する語がつく)
of(前)(部分を表わして)~の中の
council(名)(立法・諮問のために召集された人たちの)評議会、協議会、諮問会(各種機関の公式名に使うことが多い)→Privy Council
ware(古)(形)(~に)気づいている(=aware)(of)
of(前)(目的格関係を表わして)(形容詞に伴って)~を

奥方の言ったとおりに二人は宮殿をぬけ出したので、ウーゼル王も側近も誰一人、彼等の出発に気づかなかった。

(8)

As soon as King Uther knew of their departing so suddenly, he was wonderly wroth.

as soon as ~(接続詞に用いて)~するとすぐに、~するやいなや
know(自)(直接ではないが)(~のことを)間接的に知って(聞いて)いる(of)
so(副)(程度を表わして)それ(これ)ほど、そんな(こんな)に、これくらい
wonderly→wonderfully(副)不思議に(も)、驚くほど
wroth(形)(古)激怒して

二人に出しぬかれたのを知るやいなや、ウーゼル王は猛烈に腹を立てた。

(9)

Then he called to him his privy council, and told them of the sudden departing of the duke and his wife.

call(他)(~を)呼び出す、呼び寄せる、呼ぶ、招く(to)
privy council(名)(古)私的(機密)諮問機関
of(前)(主格関係を表わして)(動作の行為者、作品の作者を表わして)~が、~の

枢密顧問官たちを呼びよせて、ティンタジェル公夫妻が不意に出発したと告げた。

(10)

Then they advised the king to send for the duke and his wife by a great charge:

advise(他)忠告する(+目+to do)
by(前)(手段・媒介を表わして)~で
great(形)重大な、重要な
charge(名)命令、指令、訓令、説示

顧問官たちは王に、ティンタジェル公夫妻に強硬な命令を発して、お呼びつけになるがよろしい、と進言した。

(11)

‘And if he will not come at your summons, then may ye do your best, then have ye cause to make mighty war upon him.’

will(助動)(主語の意志を表わして)(願望・主張/固執・拒絶などを示して)(~しようと)欲する、(あくまでも)~しようとする
at(前)(命令・要求などに)対して、受けて
your(代)あなた(たち)の、君(ら)の
summons(名)召喚、呼び出し
then(副)(通例文頭または文尾に用いて)それなら、(それ)では
may(助動)(許可を表わして)~してもよろしい、~してもさしつかえない
ye(代)(二人称代名詞単数主格)あなたは
best(名)(one's ~、the ~)最善の努力 ・do one's best 最善を尽くす
have(他)(しばしば目的語に形容詞用法のto不定詞を伴って)((~すべき(できる))用事・時間などを)もっている、与えられている
cause(名)理由、根拠(+to do) ・have cause to do ~する理由がある
make(他)(~を)生じさせる、(~の)原因となる ・make war on ~に対して戦争を起こす
on(前)(動作の対象を表わして)~に対して、~に当てて

「もしティンタジェル公が王さまのお召しに従わない時は、御存分に遊ばされてよろしいかと存じます。大軍を以て戦争をしかける理由が、こちらにはあるわけでございますから」

(12)

So that was done, and the messengers had their answers, and that was this shortly, that neither he nor his wife would not come at him.

that(代)(指示代名詞)(前に言及しているか、場面上了解されている物事をさして)そのこと(⇔this)
messenger(名)使いの者、使者
this(代)(指示代名詞)(これから述べたり掲示しようとする物事をさして)こういうこと、次のこと
shortly(副)簡単に、短く
would(助動)(時制の一致により従属節内でまた間接話法で用いて)(意志未来を表わして)~しよう
come at ~ ~に至る、に達する

進言どおりに事は運んだ。やがて死者が返事を持って帰って来た。返事は、要するに、ティンタジェル公も奥方もウーゼル王の御前には伺候しない、というものであった。

(13)

Then was the king wonderly wroth. And then the king sent him plain word again, and bad him be ready and stuff him and garnish him, for within forty days he would fetch him out of the biggest castle that he hath.

send(他)(もの・言葉などを)送る、届ける(+目+目)
plain(形)(人・言動など)率直な、腹蔵のない、飾り(ごまかし)のない ・plain speaking 直言
word(名)(通例無冠詞で)知らせ、便り、消息
bad→bade
bid(他)(人に)(~するよう)命じる、勧める(+目+原形)
ready(形)構えの姿勢を取って(た)
stuff(他)(廃)(必要なものを)~に配備する、供給する、備え付ける(=furnish)
garnish(他)装飾する、~のみばをよくする
within(前)(時間・距離・範囲など)~以内で(の)、~を越えずに、~の範囲内で(⇔out of)
forty(形)(基数の40)40の、40個の、40人の
fetch out(~を)外に出す、引き出す、連れ出す
of(前)(起源・出所を表わして)~から、~の
hath(動)(古)haveの直説法3人称単数現在形 ・he hath=he has

王は怒り狂い、折り返して手紙を送り、「守備を固め、兵員食糧を備えるがいい。いかに強大な城に立てこもろうとも、四十日以内には必ずお前を引きずり出してくれるぞ」とはっきり言った。

(14)

When the duke had this warning, anon he went and furnished and garnished two strong castles of his, of the which the one hight Tintagel, and the other castle hight Terrabil.

have(他)(情報などを)入手する(している)、聞いて知(ってい)る
warning(名)警告、注意
anon(副)(古)ほどなく
two(形)(基数の2)2の、2個の、、二人の
strong(形)(とりでなど)強固な、堅固な
his(代)(of ~で)彼の(hisはa、an、this、that、noなどと並べて名詞の前に置けないからhisをof hisとして名詞の後に置く)
which(代)(関係代名詞)(非制限的用法で/通例前にコンマが置かれる)(主格・目的格の場合)そしてそれは(を)
one(形)(基数の1)(another、the otherと対照的に)一方の、片方の
hight(形)(古)(と)呼ばれた
other(形)(the ~、one's ~)(二つの中の)もうひとつの、(三つ以上の中で)残りのもうひとつの

ティンタジェル公はこの警告を受け取ると直ちに、二つの堅固な城の護りを堅めた。一つはティンタジェル城といい、もう一つはテラビル城といった。

(15)

So his wife Dame Igraine he put in the Castle of Tintagel, and himself he put in the Castle of Terrabil, the which had many issues and posterns out.

Dame(名)デイム(knightに相当する勲位に叙せられた女性の敬称/男子のSirの場合同様に必ずChristian nameの前につける)
put(他)(副詞句を伴って)(~を)(~に)動かす、入れる、向ける(in)
himself(代)(再帰的に用いて)(一般動詞の目的語に用いて)
issue(名)出口(=exit)、はけ口(=vent)
postern(名)裏門、裏口

奥方イグレーヌはティンタジェル城に、ティンタジェル公自身はテラビル城にこもった。テラビル城の方には外へ通じる大門、通用門がたくさんあった。

(16)

Then in all haste came Uther with a great host, and laid a siege about the Castle of Terrabil. And there he pitched many pavilions, and there was great war made on both parties, and much people slain.

in haste 急いで、あわてて
all(形)(性質・程度を表わす抽象名詞を修飾して)あらん限りの、最大の、最高の
host(名)(古)軍、軍勢(=army)
siege(名)(城・都市などの)包囲攻撃
about(前)~の周りに、~を巡って
pitch(他)(テントなどを)張る
pavilion(名)(博覧会の)展示館、パビリオン、大型テント(=marquee)
make(他)(目的語に動作名詞を伴って、動詞と同じ意味をなして)(~を)する、行なう(同じ意味の動詞より、この表現のほうが1回だけの行為であることが強調される)
on(前)(近接を表わして)~に接して、~に面して ・on both sides 両側に
party(名)(集合的/単数または複数扱い)(ある目的で集まった)一行、一団、一隊
slain(動)slayの過去分詞
slay(他)(人を)殺害する(=murder)(通例受身)

そこへウーゼル王が大軍をひきいて急遽攻めよせて来た。テラビル城を包囲し、大天幕をたくさん張りめぐらした。互いに激戦を交え、多くの人々が殺された。

(17)

Then for pure anger and for great love of fair Igraine the King Uther fell sick.

for(前)(原因・理由)~の理由で、~のため(=because of)
pure(形)(まじりけがなく)純粋な、純(粋)~、~100%の
great(形)(痛みなど)激しい、強い、非常な
love(名)(異性に対する)恋愛、恋(of)
of(前)(目的格関係を表わして)(しばしば動作名詞または動名詞に伴って)~を、~の ・the love of ~を愛すること
fall(自)(~の状態・関係に)なる、陥る ・fall sick 病気になる

やがてウーゼル王は一途な立腹と、美しいイグレーヌへの激しい恋心がもとで、病気になってしまった。

(18)

So came to the King Uther Sir Ulfius, a noble knight, and asked the king why he was sick.

come(自)(人・ものが)(ある場所に)到着する、やってくる(to)
to(前)(到達の意を含めて)~まで、~へ、~に
Sir(名)サー~(英国で準男爵baronet)またはナイト爵(knight)の人の氏名と併用する敬称)
noble(形)称賛に値する、りっぱな
knight(名)(中世の)騎士(封建時代に名門の子弟がpageからsquireに昇進し武功を立ててknightとなった)
ask(他)(人に)(~を)尋ねる(+目+wh.)

それを知ったウルフィウス卿という立派な騎士が、ウーゼル王のもとへ来て、「どこがお悪いのですか」とたずねた。

(19)

‘I shall tell thee,’ said the king. ‘I am sick for anger and for love of fair Igraine that I may not be whole.’

shall(助動)(1人称を主語として、義務的感覚または強い決意を表わして)きっと~する
thee(代)(古)なんじを(に)
may(助動)(不確実な推量を表わして)~かもしれない、おそらく~であろう
whole(形)(古)(傷(病気)が)治った

「うち明けて聞かそう。予は怒りと、美しいイグレーヌへの恋心のために病気になったのだ。この病は直しようがあるまい」

(20)

‘Well, my lord,’ said Sir Ulfius, ‘I shall seek Merlin, and he shall do you remedy, that your heart shall be pleased.’

well(間)(安心・あきらめ・譲歩などを表わして)なるほど
my(代)私の
lord(名)(my Lordで呼び掛けに用いて)閣下!
seek(他)(人・ものなどを)捜す、捜し求める
Merlin(名)マーリン(Arthur王物語に出てくる魔法使いの老人で予言者)
shall(助動)(意志未来を表わして)(2、3人称を主語とする平叙文または従属節に用い、話者の意志を表わして)~させてやる
do(他)(~に)(利益・損害などを)与える、もたらす(+目+目)
remedy(名)治療、療法
heart(名)(感情、特に優しい心・人情が宿ると考えられる)心、感情
pleased(形)喜んで、満足して(=happy/⇔displeased)

「さようですな。私がひとつ、マーリンを探してまいります。王さまの御心が満足されるよう、マーリンならきっと直してくれましょう」とウルフィウス卿は言った。

(21)

So Ulfius departed, and by adventure he met Merlin in a beggar's array, and there Merlin asked Ulfius whom he sought.

by(前)(原因を表わして)~のために
adventure(名)(廃)運
in(前)(着用を表わして)~を着て、身につけて
beggar(名)こじき(=panhandler)
array(名)衣装、美装
sought(動)seekの過去形・過去分詞

ウルフィウス卿は出かけた。そして偶然にも、乞食のなりをしたマーリンに行き会った。
マーリンは「どなたをお探しじゃな」とウルフィウス卿にたずねた。

(22)

And he said he had little ado to tell him.

little(形)(不可算の名詞を修飾して)(aをつけないで否定的用法で)少ししかない、ほとんどない(⇔much)
ado(名)骨折り、めんどう

卿は「お前なんかに言う必要はない」と答えた。

(23)

‘Well,’ said Merlin, ‘I know whom thou seekest, for thou seekest Merlin; therefore seek no farther, for I am he, and if King Uther will well reward me, and be sworn unto me to fulfil my desire, that shall be his honour and profit more than mine, for I shall cause him to have all his desire.’

well(間)(安心・あきらめ・譲歩などを表わして)やれやれ、まあいいや
know(他)(~を)知る、知っている、(~が)わか(ってい)る(+wh.)
thou(代)(2人称単数主格)なんじは、そなたは(これに伴う動詞はareがart、haveがhastとなるほかは-st、-estの語尾をつける)
therefore(副)それゆえに、従って、それ(これ)によって(=consequently)
no(副)(比較級の前に用いて)少しも~ない ・no farther もうこれ以上~ない
farther(副)(farの比較級)(距離・空間・時間が)さらに遠く、もっと先に ・no farther もうこれ以上~ない
will(助動)(意志未来を表わして)(条件節のif-clause中で主語(相手)の好意を期待して)~してくださる
well(副)十分に、よく(=thoroughly)
reward(他)(~に対して)報酬(賞、ほうび)を与える
sworn(動)swearの過去分詞
swear(他)(~を)誓う、宣誓する(+to do)
fulfil(他)(命令・条件などを)果たす、実行する
desire(名)(~を求める)欲望、欲求
shall(助動)(不可避的とみなす事態への予言を表わして)~であろう、~なるべし
honour(名)(英)=honor(名)名誉、栄誉
profit(名)得、益
more than ~ ~より多い、~を越える
mine(代)私のもの
cause(他)(人・ものに)(~)させる(+目+to do)
have(他)(~を)得る、もらう、受ける
desire(名)(通例修飾語を伴って/通例単数形で)望みのもの ・get one's desire 希望がかなう、望みどおりになる

「お前さんが誰を探しているか、わしはちゃんとわかっている。マーリンを探しているのじゃろ。それなら、もう探すには及ばん。わしがそのマーリンじゃ。もしウーゼル王がたっぷりわしにほうびをくれて、しかもわしの望みを叶えてくれると誓うなら、それは、わし自身の名誉や得になるというよりむしろ、ウーゼル王の名誉とも利益ともなるのじゃ。なぜなら、わしは王の望まれることをぜんぶ叶えて進ぜるのじゃからな」

(24)

‘All this will I undertake,’ said Ulfius, ‘that there shall be nothing reasonable but thou shalt have thy desire.’

this(代)(指示代名詞)(すぐ前に言われたことをさして)こう、こういう、このこと
will(助動)(意志未来を表わして)(1人称の主語に伴い、発話時の話者の意志を表わし、約束・諾否・主張・選択などを示して)~するつもりである、~しようと思う
undertake(他)(仕事・義務・責任などを)引き受ける、請け負う
reasonable(形)(思考・行動など)合理的な、理にかなった、筋の通った、正当な
but(接)(従属接続詞)(否定文のあとで)(しばしばbut thatで否定の主節に対して条件節を導いて)~しないなら、~でなければ(前から訳すと「(~すれば)必ず~(する)」になる/butの節中の動詞は直説法)
shalt(助動)(古)shallの主語が2人称単数thouの時の直説法現在形)
thy(形)(古)なんじの、そなたの

「よろしい、わしにまかせておけ。道理に叶ったことならば、何事でもそなたの望みは叶えてつかわす」とウルフィウス卿は言った。

(25)

‘Well,’ said Merlin, ‘he shall have his intent and desire. And therefore,’ said Merlin, ‘ride on your way, for I will not be long behind.’

intent(名)目的、意図、意志、決意、意向
on one's way 行って、帰って
long(副)長く、長い間、久しく
behind(副)(時を表わして)遅れて

「それなら、王の願いを叶えて進ぜよう。さ、馬に乗って帰りなされ。わしはすぐあとから行くからの」とマーリンは言った。

【参考文献】
Le Morte D'Arthur Volume I (The Penguin English Library)
アーサー王の死 (ちくま文庫―中世文学集)
新英和中辞典 [第7版] 並装』(研究社)
リーダーズ英和辞典 <第3版> [並装]』(研究社)
リーダーズ・プラス』(研究社)
新英和大辞典 第六版 ― 並装』(研究社)

『ハムレット』を原書で読む(第5回)

(テキスト7ページ、1行目~)

HORATIO Well, sit we down,
And let us hear Barnardo speak of this.

Horatio ホレイショー
well(間)(安心・あきらめ・譲歩などを表わして)やれやれ、まあいいや
down(副)座って ・sit down 座る
let(他)(通例Let's、時にlet usで勧誘・提案を表わして)~しよう(ではないか)
hear(他)(~が)聞こえる、(~を)聞く(+目+原形)
Barnardo バーナードー
of(前)(関係・関連を表わして)~の点において、~に関して、~について
this(代)(指示代名詞)(すぐ前に言われたことをさして)こう、こういう、このこと(⇔that)

BARNARDO
Last night of all,
When yond same star that's westward from the pole
Had made his course t'illume that part of heaven
Where now it burns, Marcellus and myself,
The bell then beating one —

last(形)(時を表わす名詞の前に用いて)すぐ(この)前の、昨~、去る~、先~(副詞句にも用いる)・last night 昨夜、ゆうべ
night(名)(副詞的に)夜に ・last night 昨夜
of(前)(部分を表わして)~の中の
all(代)(単数扱い)すべて(のもの)、万事
when(接)~する時に、~時(時を表わす副詞節をつくる)
yond(形)(古)=yonder(古)(形)あそこに(の)、向こうに(の)
same(形)(this、that、these、thoseに続いて)例の、あの、その、~とかいう
that's that isの短縮形
that(代)(関係代名詞)(人・ものを表わす先行詞を受けて通例制限用法で)(~する(である))ところの(先行詞がもの・人を表わす場合で、最上級の形容詞、all the、the only、the same、the veryなどの制限的語句を含む時、および、先行詞が疑問代名詞やall、much、little、everything、nothingなどの時に多く用いられる傾向があるが、絶対的なものではない)/(主語として)
westward(副)西に向かって、西方に(へ)
from(前)(空間・時間などの起点を表わして)
pole(名)北極星
make(他)行く、進む、踏破する、(速度を)出せる
his(代)彼の
course(名)進路
t'(前)=to(母音で始まる動詞の不定詞に付くとき)
illume(他)=illuminate(他)(~を)照らす、照明する
of(前)(分量・内容を表わして/数量・単位を表わす名詞を前に置いて)~の
heaven(名)天、天空(=skies、sky)
where(副)(関係副詞)(制限的用法で)~する、~した(場所、場合など)(「場所」「場合」を表わす名詞を先行詞とする形容詞節をつくる)
burn(自)輝く、光る、燃え立つ
Marcellus マーセラス(男子名)
myself(代)(強調に用いて)私自身/(and ~でI、meの代わりに用いて)
bell(名)鐘、釣り鐘
beat(他)(時を)刻む
one(名)(基数の1)1時

Enter the Ghost

enter(自)(Enterで)(演劇)登場する(脚本のト書きではしばしば3人称命令法で用いる/⇔exit) ・Enter Hamlet. ハムレット登場。
ghost(名)幽霊、亡霊、怨霊(おんりょう)

MARCELLUS
Peace, break thee off. Look where it comes again.

peace(名)静けさ ・Peace! Peace! お静かに!
break off(話などを)(急に)やめる
thee(代)(古)なんじを(に)
where(副)(関係副詞)(先行詞を含む関係副詞用法で)~する所
come again また来る、戻ってくる

BARNARDO
In the same figure like the King that's dead.

in(前)(状態を表わして)~の状態に(で)
same(形)(the ~)(以前と)同じ、変わらない
figure(名)姿、容姿、風采(ふうさい)、外観
like(前)~のような、~に似た

MARCELLUS
Thou art a scholar. Speak to it, Horatio.

thou(代)なんじは、そなたは(これに伴う動詞はareがart、haveがhastとなるほかは-st、-estの語尾をつける)
art(動)(古)beの主語が2人称・単数のthouの時の直説法現在形
scholar(名)(特に人文科学の分野の)学者
speak to ~(~について)~と話す

BARNARDO
Looks 'a not like the King? Mark it, Horatio.

look like ~ ~のように見える、~に似ている
'a(Q2)=(口語体で)he
mark(他)(~に)注意を払う、注目する

HORATIO
Most like. It harrows me with fear and wonder.

most(副)(通例theを用いないで)はなはだ、非常に
like(形)(外見・量など)同様な、類似の
harrow(他)(人を)(精神的に)苦しめる ・He was harrowed with guilt. 彼は罪の意識にさいなまれた。
with(前)(原因を表わして)~のせいで、~のゆえに、~のために ・shiver with fear 怖くて震える

BARNARDO
It would be spoke to.

would(助動)(仮定法(叙想法)で用いて)(強い願望・選択を表わして)~したいと思う
spoke(動)(古)speakの過去分詞

MARCELLUS Speak to it, Horatio.

HORATIO
What art thou that usurpest this time of night,
Together with that fair and warlike form
In which the majesty of buried Denmark
Did sometimes march? By heaven I charge thee, speak.

usurp(他)(王座・権力などを)奪う、横領(強奪)する
this(形)(指示形容詞)(たった)今の、現在の、今~、当~
time(名)(特定の)時、時期 ・at this time of night 夜分こんな(遅い)時間に
together with ~ ~と共に
that(形)(指示形容詞)(対話者同士がすでに知っているもの・人をさして)あの
fair(形)(競技で)規則にかなった、公明正大な
warlike(形)戦争の、軍事の
form(名)姿、姿態、外観
in(前)(着用を表わして)~を着て、身につけて
which(代)(関係代名詞)(制限的用法で)~する(した)(もの、事)(通例「もの」を表わす名詞を先行詞とする形容詞節をつくる)/(目的格の場合)
majesty(名)陛下
bury(他)(~を)葬る、埋葬する
Denmark(名)デンマーク(ヨーロッパ北西部の王国/首都Copenhagen)
do(助動)(法律文の常套的表現や詩・詩的表現での虚辞として)
sometimes(副)(廃)かつて、以前
march(自)行進する、堂々(悠々)と歩く
by(前)(誓言・祈願を表わして)(神)のみ名にかけて、(神)に誓って
charge(他)(人に)(権威をもって)(~するように)命じる

MARCELLUS
It is offended.

offend(他)(人を)怒らせる、(人の)感情をそこなう(しばしば受身で、「(人力)(~に)腹を立てる」の意になる)

BARNARDO See, it stalks away.

see(自)(命令法で)見なさい
stalk(自)(副詞句を伴って)気取って大またに歩く、闊歩(かっぽ)する
away(副)(通例動詞とともに用いて移動・方向を表わして)あちらへ、去って

HORATIO
Stay. Speak, speak. I charge thee, speak!

stay(他)(古)止まる、待つ

Exit the Ghost

exit(自)(Exitで)(演劇)退場する(脚本のト書きで単数の主語の前に用いる/⇔enter) ・Exit Hamlet. ハムレット退場。
【参考文献】
Hamlet』William Shakespeare・著(Penguin Classics)
新訳 ハムレット (角川文庫)河合祥一郎・訳
ハムレット (大修館シェイクスピア双書)高橋康也河合祥一郎・編注(大修館書店)
新英和中辞典 [第7版] 並装』(研究社)
リーダーズ英和辞典 <第3版> [並装]』(研究社)
新英和大辞典 第六版 ― 並装』(研究社)

『高慢と偏見』を原書で読む(第41回)

(テキスト44ページ、1行目〜)

“Did Charlotte dine with you?”

do(助動)(be以外の動詞の疑問文に用いて)
Charlotte(名)シャーロット(女性名/愛称Charley、Lottie、Lotty)
dine(自)食事をする、正餐(せいさん)(晩餐)をとる

“No, she would go home. I fancy she was wanted about the mince pies. For my part, Mr. Bingley, I always keep servants that can do their own work; my daughters are brought up very differently. But every body is to judge for themselves, and the Lucases are very good sort of girls, I assure you. It is a pity they are not handsome! Not that I think Charlotte so very plain—but then she is our particular friend.”

no(副)(質問・依頼などに答えて)いいえ(⇔yes)
would(助動)(過去の意志・主張・拒絶を表わして)(どうしても)~しようとした
go home 帰宅(帰国)する
fancy(他)(何となく)(~だと)思う(+that)
want(他)(人が)(人に)用事がある
mince pie(名)ミンスパイ(mincemeat入りの丸型のパイ/クリスマスにつきものの菓子)
for one's part(文修飾)(他の人はともかく)~としては
keep(他)(人を)雇い続ける、雇っておく
servant(名)召し使い、使用人
that(代)(関係代名詞)(人・ものを表わす先行詞を受けて通例制限用法で)(~する(である))ところの/(主語として)
do(他)(仕事・義務などを)果たす、遂行する
their(代)彼ら(彼女ら)の
my(代)私の
bring up(子供を)育てる
differently(副)(~と)異なって、違って
be(助動)(be+to doで)(義務・命令を表わして)~する義務がある、~しなければならない
judge(自)判断を下す
for oneself 自ら、自分で
Lucas ルーカス
good(形)(子供が)おとなしい、行儀のよい(⇔naughty)
sort(名)(sort ofで)種類(=type)
of(前)(分量・内容を表わして/数量・単位を表わす名詞を前に置いて)~の
girl(名)((the)girls)(未婚・既婚を通じて)一家の娘たち
assure(他)(人に)(~を)保証する、請け合う(=guarantee)(+目+that)
it(代)(形式主語としてあとにくる事実上の主語の不定詞句・動名詞句・that節などを代表して)
pity(名)(単数形で)残念な事、気の毒な事 ・It's a pity that ~は残念なことだ。
handsome(形)(女が)大がらで魅力的な、堂々とした
not that ~ ~といって~というわけではない
think(他)(~を)(~だと)思う、みなす(+目+補)
so(副)(程度を表わして)(強意的に)とても、非常に、大変
plain(形)(女が)美しくない、十人並みの
but then しかしまた一方では、そうは言っても(また)
our(代)我々の、私たちの
particular(形)特別の、格別の

“She seems a very pleasant young woman,” said Bingley.

seem(自)(~と)見える、思われる、(~)らしい(通例話し手の推量をこめた見方・判断を示す語で、文法上の主語と判断の主体は一致しないことが多く、時に判断の主体を示すのにto a personを従えることがある)
pleasant(形)(人・態度など)快活な、陽気な
say(他)(人に)(~と)言う、話す、述べる(+引用)/(+wh.)

“Oh! dear, yes;―but you must own she is very plain. Lady Lucas herself has often said so, and envied me Jane's beauty. I do not like to boast of my own child, but to be sure, Jane—one does not often see any body better looking. It is what every body says. I do not trust my own partiality. When she was only fifteen, there was a gentleman at my brother Gardiner's in town, so much in love with her, that my sister-in-law was sure he would make her an offer before we came away. But however he did not. Perhaps he thought her too young. However, he wrote some verses on her, and very pretty they were.”

oh(間)(しばしば直後にコンマや!などを従える)(驚き・恐怖・苦痛・願望・反応・了解などを表わして)ああ!、おお!、おや!
dear(間)(驚き・あわれみ・あせり・困惑・軽蔑などを表わして)おや!、まあ! ・Oh, dear! おやおや!、あらまあ!
yes(副)(相手の言葉に同意を表わして)そうだ、さよう、然り
must(助動)(当然の推定を表わして)~にちがいない、~に相違ない、きっと~だろう
own(他)(罪・事実などを)認める、告白する(+that)
Lady(名)レディー/(姓または領地名の前につけて)女侯爵(女伯爵、女子爵、女男爵)または侯爵(伯爵、子爵、男爵)夫人の略式の敬称
herself(代)(強調に用いて)彼女自身/(3人称単数の女性(代)名詞とともに用いて同格的に)
so(副)(代名詞的に)(動詞say、tell、think、hope、expect、suppose、believe、hear、fearなどの目的語として)そう
envy(他)うらやむ、うらやましいと思う(+目+目)
Jane(名)ジェイン(女性名/愛称Janet、Jenny)
like(他)(~を)好む、(~が)好きである(+to do)
boast(自)(~を)自慢する、誇る(of)
of(前)(関係・関連を表わして)~の点において、~に関して、~について
child(名)(親に対して)子(息子・娘)
to be sure 確かに
one(代)(総称人称として/複数形なし)(一般的に)人、世人、だれでも
anybody(代)(否定文で用いて)だれも
looking(形)(通例複合語をなして)~に見える、~そうな顔をした
what(代)(関係代名詞)(~する)もの(こと)(which、who、thatなどと異なり、意味上先行詞を含む関係代名詞で名詞節を導く)
trust(他)(人・物事を)信用する、信頼する、信任する、(~に)信を置く
partiality(名)不公平、えこひいき(⇔impartiality)
when(接)~する時に、~時(時を表わす副詞節をつくる)
only(副)(数量を修飾して)わずか、ほんの~だけ
fifteen(形)(基数の15)15歳で
there(副)(thereは形式上主語のように扱われるが、動詞の後に通例不特定のものや人を表わす主語が続く/「そこに」の意味はなく、日本語ではthere isで「~がある」の意になる)/(beを述語動詞として)
gentleman(名)紳士(育ちがよく他人に対して礼儀正しく名誉を重んじる男子/⇔lady)(イギリス紳士の典型は、山高帽(bowler)をかぶりダークスーツを着て、天気に関係なく細くきちんと巻いた傘をステッキ代わりに持ち歩くとされているが、今では少ない)
Gardiner ガーディナー
-'s 人の家や、特定の職業の店舗を表わす
in(前)(場所・位置・方向などを表わして)~において、~で ・in London ロンドンで(に)
town(名)(地域の)主要な町
so(副)(程度・結果を表わして)(so ~ that ~で)(順送りに訳して)非常に~なので~
much(副)(tooや前置詞句を修飾して)大いに、非常に
be in love with ~ ~にほれている、~を恋している
that(接)(副詞節を導いて)(so ~ thatの形で程度・結果を表わして)(非常に)~なので、~(する)ほど
sister-in-law(名)義理の姉(妹)、義姉(妹)(配偶者の姉妹、兄(弟)の妻または配偶者の兄(弟)の妻)
sure(形)確信して(⇔unsure)(+that)
make(他)(人に)(~を)する(+目+目) ・make a person an offer 人に申し出をする
offer(名)結婚の申し込み
before(接)~より前に、(~する)に先だって、~しないうちに
come away(ある感情・印象などを抱いて)去る(離れる)
not(副)(否定の文・動詞・節などの省略代用語として)
too(副)(形容詞・副詞の前に置いて)~すぎる
verse(名)(複数形で)詩(=poetry)
on(前)(動作の対象を表わして)~に対して、~に当てて
pretty(形)見事な、うまい

“And so ended his affection,” said Elizabeth impatiently.

so(副)(接続詞的に/and soとして)それゆえ、だから、それで
end(自)終わる、済む
his(代)彼の
affection(名)(人が子供・妻などに示すような)愛情、優しい思い
Elizabeth(名)エリザベス(女性名/愛称Bess、Bessie、Bessy、Beth、Betty、Eliza、Elsie、Lily、Lisa、Liz、Liza、Lizzie、Lizzy)
impatiently(副)<impatient(形)いらいらしている、我慢できない

“There has been many a one, I fancy, overcome in the same way. I wonder who first discovered the efficacy of poetry in driving away love!”

many(形)(many aに単数形の名詞・動詞を伴って/単数扱い)数々の、多数の
one(代)(既出の可算名詞の反復を避けて)(その)一つ、それ
fancy(他)(何となく)(~だと)思う(+that)
overcome(他)(~を)制服(克服)する
in the same way 同じように、同様に(=likewise)
wonder(他)~かしら(かな)(と思う、と好奇心をもつ、と知りたがる)(+wh.)
first(副)(通例動詞の前に用いて)初めて
discover(他)(~が)わかる、(~を)知る、悟る、(~に)気づく
efficacy(名)効能(のあること)、効き目
poetry(名)(文学の一形式としての)詩、韻文(=verse/⇔prose)
in(前)(範囲を表わして)~において、~内で
drive(他)(副詞句を伴って)追い出す
away(副)(通例動詞とともに用いて移動・方向を表わして)あちらへ、去って
love(名)(異性に対する)恋愛、恋

“I have been used to consider poetry as the food of love,” said Darcy.

used(形)(~に)慣れて(to)
consider(他)(~を)(~だと)みなす、考える(+目+as 補)
as(前)(動詞の目的補語を導いて)~と、~だと
food(名)(精神的な)糧(かて)、資料
Darcy ダーシー

“Of a fine, stout, healthy love it may. Every thing nourishes what is strong already. But if it be only a slight, thin sort of inclination, I am convinced that one good sonnet will starve it entirely away.”

fine(形)すばらしい、見事な、りっぱな
stout(形)勇敢な
healthy(形)(精神的に)健全な、有益な
may(助動)(不確実な推量を表わして)~かもしれない、おそらく~であろう
nourish(他)(~を)養う、(~に)滋養物を与える
strong(形)(精神力・記憶力など)強い、強力な
only(副)ただ単に
slight(形)軽微な、軽い
thin(形)(色彩など)淡い
sort(名)(sort ofで)種類(=type)
inclination(名)(~したい)気持ち、意向、思い
convinced(形)(~を)確信して(⇔unconvinced)(+that)
that(接)(名詞節を導いて)(~)ということ/(目的語節を導いて)
sonnet(名)14行詩、ソネット(イタリア起源で種々の形式があり、通例弱強5歩格)
will(助動)(話し手の推測を表わして)~だろう
starve(他)(人を)飢え死にさせる、餓死させる ・starve a person out 人を兵糧攻めにして追い出す
entirely(副)まったく、完全に(=completely)

Darcy only smiled; and the general pause which ensued made Elizabeth tremble lest her mother should be exposing herself again.

general(形)(特殊でなく)一般の、全般の、普遍的な(⇔special、particular)
pause(名)(一時的な)中止、休止
which(代)(関係代名詞)(制限的用法で)~する(した)(もの、事)(通例「もの」を表わす名詞を先行詞とする形容詞節をつくる)/(主格の場合)
ensue(自)後から(続いて)起こる、続く
make(他)(強制的にも非強制的にも)(~に)(~)させる(+目+原形)
tremble(自)(人・手足などが)(恐怖・怒り・寒さ・病気などで)震える、身震いする
lest(接)(fear、be afraid、be frightenedなどに続いて)~しはすまいかと
her(代)彼女の
should(助動)(仮定法で)(lestに続く節で)~し(ないように)
expose(他)(expose oneselfで)(人に)内面(私生活(など))をさらす(知られる)
herself(代)(再帰的に用いて)(再帰動詞の目的語に用いて)

She longed to speak, but could think of nothing to say; and after a short silence Mrs. Bennet began repeating her thanks to Mr. Bingley for his kindness to Jane, with an apology for troubling him also with Lizzy.

long(自)(~したいと)熱望する(+to do)
think of ~(案など)を思いつく
nothing(代)(単数扱い)何も~ない(しない)(+to do)
short(形)(時間・過程・行為など)短い
Bennet ベネット(Jane Austen, Pride and Prejudiceに登場する一家)
begin(他)(~し)始める、(~し)だす(+doing)
thank(名)(複数形で)感謝、謝辞(to)(for)
to(前)(行為・作用の対象を表わして)~に対して、~に
for(前)(対象)(報償・返報を表わして)(好意・成果など)に対して、~の返報として
kindness(名)親切、優しさ、いたわり
apology(名)謝罪、陳謝、わび(for)
for(前)(感情・趣味・適性などの対象を表わして)~に対して(する)、~を理解する
trouble(他)(人を)煩わせる、(人に)手数(迷惑、やっかい(など))をかける(=bother)
Lizzy(名)リジー(女性名/Elizabethの愛称)

Mr. Bingley was unaffectedly civil in his answer, and forced his younger sister to be civil also, and say what the occasion required.

unaffectedly(副)<unaffected(形)(感情など)心からの、真実の
civil(形)(不作法にならない程度に)礼儀正しい、ていねいな(⇔uncivil)
force(他)(人に)強いて(~)させる、(人に)(~することを)余儀なくさせる(+目+to do)
young(形)(比較級・最上級で用いて)(年齢の上下関係を示して)年下の ・one's younger sister 妹
occasion(名)(特定の事が起こった(起こる))時、場合、折
require(他)(~を)要求する

She performed her part indeed without much graciousness, but Mrs. Bennet was satisfied, and soon afterwards ordered her carriage.

perform(他)(任務・機能・命令・約束などを)果たす、実行する
part(名)(またa ~)(仕事などの)役割、役目、本分
indeed(副)(indeed ~ butで譲歩を表わして)なるほど、いかにも(~だがしかし)
graciousness(名)<gracious(形)(偉い人が下の者に対して寛大な心で)丁重な、親切な、やさしい
satisfied(形)満足した、満ち足りた(⇔dissatisfied)
afterwards(副)(英)=afterward(副)のちに、あとで
order(他)(ものを)注文する、頼む
carriage(名)(特に、自家用)四輪馬車
【参考文献】
Pride and Prejudice (Penguin Classics)』Jane Austen・著
自負と偏見 (新潮文庫)小山太一・訳
新英和中辞典 [第7版] 並装』(研究社)
リーダーズ英和辞典 <第3版> [並装]』(研究社)

『旅路の果て』

この週末は、ブルーレイで『旅路の果て』を見た。

1939年のフランス映画。
監督は、『我等の仲間』の、フランス古典映画の巨匠ジュリアン・デュヴィヴィエ
脚本は、『我等の仲間』のシャルル・スパーク
撮影は、『モンパルナスの灯』のクリスチャン・マトラ
音楽は、『我等の仲間』『北ホテル』のモーリス・ジョーベール。
主演はヴィクトル・フランサン。
共演は、『素晴らしき放浪者』のミシェル・シモン、『北ホテル』のルイ・ジューヴェ、フランソワ・ペリエ、『フレンチ・カンカン』『恋人たち』のガストン・モド。
『旅路の果て』はジュリアン・デュヴィヴィエの代表作である。
僕が学生の頃、行き付けだったレンタル屋の「名作映画」のコーナーに、ヴィットリオ・デ・シーカの『終着駅』、ピエトロ・ジェルミの『鉄道員』(ぽっぽやではない)などと一緒に並んでいた。
が、恥ずかしながら、この年になるまで見たことはなかった。
モノクロ、スタンダード。
哀しげなテーマ曲から始まる。
劇場の舞台裏。
慌ただしい衣装の準備。
デュマの『アントニー』が上演されている。
が、今夜も赤字だとボヤく関係者。
彼らは旅一座なので、あと11分で次の行き先へ出発しなければならない。
カーテンコールもなく、急いで幕を下ろす。
主役でスターのサン・クレールは大いに不満だ。
一座はバスに乗るが、サン・クレールは「もう潮時だ。私は田舎に引っ込む」と言い残して、去る。
彼は、南フランスのサン・ジャン・ラ・リビエールにある俳優専門の老人ホームへ。
そこには、彼の30年前の恋人シャベールや、彼が妻を寝取った役者のマルニーらがいる。
サン・クレールは色男だが、女ったらしであった。
老人ホームに着くと、早くも女性達は花を準備して待っている。
ここにいる人達はカネがない。
まあ、今の日本の高齢化問題にも直接つながる話しだ。
高額の老人ホームに入れる層はごく一握り。
特養なんて、特に東京では、何年待っても空かない。
僕には母方の祖母がいたが、実家(京都)で面倒を見ていた母(一人っ子)がガンで早死にしたため、僕(一人っ子)が面倒を見ることになった。
僕は東京で仕事もあるので、実家に戻る訳には行かない。
祖母を引き取ることも考えたが、「周りの人の話す言葉が変わると、急激に痴呆が進む」と言われて断念した。
京都は、東京よりはマシだが、それでも特養の空きなんかあるはずがない。
仕方がないので、老健施設に入れて、期限を何度も延長し、結局、最後までそこにいた。
施設の費用は祖母の年金から自動引き落としにしていたが、ある時、突然、小泉改革とやらで、施設の負担金が値上がりした。
しかも、通知は紙切れ1枚で「来月から負担額が変わります」と書かれているだけ。
僕は、月に約5万円を負担しなければいけなくなった。
結婚したばかりで、住宅ローンもあったので、大いに困った。
まあ、一応正社員だったので、何とか払い続けたが、これが非正規雇用で低賃金だったら払えなかっただろう。
そういう場合、一体どうすれば良いのだろうか。
今や、日本中でこういう問題が起きているはずだ。
それなのに、まあ人々は、何の解決もしない現政権に尻尾を振って、よく信任投票なんかするよな。
昨日の参議院選の結果を見たか。
僕は前日に細君と一緒に期日前投票に行った。
どうせ自民が勝つならと、いちばん暴れてくれそうなところに批判票を入れた。
差し障りがあるので、具体名は書かないが。
選挙区は、実家が創価学会だったので、創価学会員(ただし、代表ではない)に入れた。
比例区は、僕は旧自由党の党員だったので、自由党の仲間に入れた。
結果は、二人とも落選だったが。
ほぼ100万票取って落選かよ。
こんな選挙制度はおかしい。
いかん、政治の話しになると、つい長くなる。
話しを戻そう。
で、サン・クレールに妻を寝取られたマルニーは、いい役者だったが、売れなかった。
生真面目な彼は、サン・クレールのことを恨んでいる。
この老人ホームは経営難で、理事長は金策に走っていたが、そろそろ限界であった。
ダメなら、閉めるしかないというところまで来ていたのである。
ここには、代役専門の役者であったカブリサードという問題児がいた。
彼は、自分の部屋でニシンの燻製を作り、裸でホーム内を歩く。
彼は昔の自分の栄光を捏造し、ホラ話しばかり聞かせるので、生真面目なマルニーとは犬猿の仲であった。
ある日、食事の時、カブリサードはマルニーに謝罪する。
しかし、マルニーは受け入れない。
そこへ、サン・クレールがやって来る。
色男のサン・クレールに、女性達は羨望の眼差しを向ける。
マルニーは気分が悪い。
女を見れば、手当たり次第に食い散らかして来たサン・クレールは、かつての恋人シャベールのことも覚えていない。
ヒドイよね。
シャベールが昔の写真を見せるが、思い出せない。
隣に写っているのが自分だということも分からない。
そんな男、いるのか。
『我等の仲間』もそうだったが、登場人物のキャラクターが非常にしっかりと描き分けられている。
誰しも、老いるのはイヤだ。
カフェでマルニーがお茶を飲んでいる。
彼は、ここで給仕として働いている17歳の娘ジャネットに、秘かに想いを寄せている。
って、相当なロリコンだな。
そこへ、カブリサードとサン・クレールがやって来る。
マルニーは、妻を寝取られたことを未だに根に持っていたが、サン・クレールはロクに覚えていない。
価値観がまるっきり違うんだろうな。
ある男にとっては、大事なただ一人の女性が、別の男にとっては、いっぱいいる女の中の一人でしかない。
で、あろうことか、サン・クレールは早速、ジャネットを口説き始める。
その頃、理事長は金策に失敗していた。
そんなことも知らず、サン・クレールは風呂で読書をして、ひんしゅくを買っている。
カブリサードが、「新聞にマルニーのことが載っている!」と騒ぎ立てる。
それは、何と、マルニーの「死亡記事」であった。
まだ生きているのに!
しかも、そこには、「彼は二流の役者だった」などと、さんざんなことが書かれている。
カブリサードは笑っているが、マルニーは激怒。
そりゃそうだよな。
一方、そんなカブリサードも、実は寂しいのだ。
唯一の友達は、ボーイスカウトの少年ピエロ。
彼に呼ばれて、ボーイスカウトのキャンプに遊びに行くカブリサード。
で、その頃、サン・クレールはジャネットを口説いていた。
メロメロになるジャネット。
それにしても、17歳の娘が老人ホームに入るようなジイさんにメロメロになるかね。
そこへ、1905年にサン・クレールが指輪を与えたという女性が亡くなったと言って、相続人が訪ねて来る。
名はアンリエットといった。
しかし、またもやサン・クレールは、その女性のことを全く覚えていない。
もう、ここまで来ると、病気だな。
サン・クレールは、身の回りの世話を頼むために、馴染みのビクトール・ルルーという男を呼び寄せたり、結構お気楽に暮らしていた。
そこへ、ホーム中に「経営報告書」が配られる。
経営難で、夜9時には消灯し、ワインも減らすという。
カブリサードは憤り、理事長に抗議すると息巻く。
一方、ジャネットの態度を見て、マルニーは、彼女が最早自分に関心を失い、サン・クレールのことを好きになったと知る。
またか。
人生で二度も、同じ男に愛する女性を奪われる。
どんな気持ちだろう。
だが、サン・クレールはジャネットの気持ちなどどうでもよく、モンテカルロへ旅立ってしまう。
涙を流すジャネット。
相変わらず、ヒドイ男だ。
そんな時、マルニーの基へ、新聞記者が訪ねて来る。
件の死亡記事を書いた男だった。
若い彼は、実はマルニーのファンであった。
誤報を詫びる彼に、マルニーは、「今夜、君の前で朗読する」と約束する。
マルニーは、シャベールといつも、『ロミオとジュリエット』を読み合っているのだった。
一方、カブリサードはピエロにあることを頼んでいた。
カブリサードは、ピエロの前では、自分は大スターだったと嘘を吐いている。
もう、この辺が、後半への悲しい伏線なのだが。
夜9時、電気が消された。
食堂にはロウソクの灯りがともされ、ピエロが樽ワインを運んで来る。
カブリサードは仲間を集めて乾杯。
新聞記者の前で朗読しているマルニーとシャベールだけは、そのばにいなかった。
マルニーとシャベールは、『ハムレット』でも『リア王』でも『ロミオとジュリエット』でも、お気に召すままと記者に言う。
フランスなのに、シェイクスピアばかりだな。
まあ、本作には、モリエールの作品も頻繁に登場するが。
そう言えば、「(フランスは)料理がうまいから、イギリスに生まれなくて良かった」というセリフもあった。
で、この後、カブリサードは寄った勢いで、仲間達の前で、全共闘の学生のように「ホームの運営権を我らに!」とブチ上げる。
余りに騒がしいので、様子を見に来た理事長に、「総長団交」のようにまくし立てるカブリサードだが。
その場で「ホームの閉鎖」を告げられ、しゅんとなる。
何と言うか、大衆が無力さを知る瞬間だな。
僕も、以前勤めていた会社が倒産した時は、そんな気分を味わった。
さあ、これからどうなる?
後半では、ネタバレになるので、あまり書けないが、役者にとってはもっともショックな出来事が起きる。
舞台の上で、セリフが飛んでしまうのだ。
僕は高校時代、文化祭で『リア王』を演じたが、脚本が締め切りまでに書けなかったり、舞台の上でセリフを間違えてしまうという夢を、未だに見ることがある。
だから、この気持ちは痛いほど分かる。
本作の中で、いちばん残酷なシーンだ。
全体を通して、老人の悲哀が、ものすごく色濃く浮き上がって来る。
たまらんね。
誰もがいずれは年を取るのだ。
なお、本作の原題は「La Fin du jour」、英語に直すと、「The End of the Day」。
「落日」ということかな。
でも、「旅路の果て」というのも、いい邦題だ。
人生の終着駅ということだもんな。

La Fin du Jour - Bande-annonce officielle HD

『ロビンソン・クルーソー』を原書で読む(第150回)

(テキスト152ページ、2行目〜)

She had no doubt a great treasure in her; but of no use at that time to any body; and what became of the rest of her people, I then knew not.

no doubt(しばしば譲歩の文を伴って)疑いなく、確かに(=undoubtedly)
great(形)(通例数量を表わす名詞を伴って)多数の、多量の、たくさんの
treasure(名)宝物、財宝(特に蓄えられた古銭・金銀・宝石類)
of(前)(of+名詞で形容詞句をなして)~の ・of no use 全然役に立たない
use(名)(形容詞的に/of useで)(有・無)益で ・of no use 全く役に立たない
at(前)(時の一点を表わして)~に ・at that time あの時は
that(形)(指示形容詞)(遠方の時・所をさして)あの、あちらの、その ・at that time その時
to(前)(行為・作用の対象を表わして)~にとっては、~には
anybody(代)(否定文で用いて)だれも
what(代)(疑問代名詞)(不定数量の選択に関して用いて)何、どんなもの(こと)、何もの、何事/(間接疑問の節や+to doの形で)
become of ~(疑問詞whatを主語に)~が(どう)なる
her(代)彼女の
people(名)(複数扱い)(通例修飾語またはtheを伴って)(特定の場所・階級・団体・職業・民族などに属する)住民、人々
know(他)(~を)知る、知っている、(~が)わか(ってい)る(+wh.)

I found, besides these chests, a little cask full of liquor, of about twenty gallons, which I got into my boat with much difficulty; there were several musquets in the cabin, and a great powder-horn, with about 4 pounds of powder in it; as for the musquets, I had no occasion for them; so I left them, but took the powder-horn:

besides(前)~のほかに(も)(=apart from、in addition to)
chest(名)(通例ふた付きの丈夫な大型の)箱、ひつ
cask(名)(酒を入れる)大だる、おけ
of(前)(目的格関係を表わして)(形容詞に伴って)~を
liquor(名)酒類(特に蒸留酒
about(副)(数詞を伴って)およそ、約~
twenty(形)(基数の20)20の、20個の、20人の
gallon(名)ガロン/液量の単位/=4 quarts/(英)では約4.546リットル
which(代)(関係代名詞)(非制限的用法で/通例前にコンマが置かれる)/(主格・目的格の場合)そしてそれは(を)
get into ~ ~に乗り込ませる
my(代)私の
with(前)(様態の副詞句を導いて)~を示して、~して ・with difficulty 苦労して、やっとのことで、かろうじて
there(副)(thereは形式上主語のように扱われるが、動詞の後に通例不特定のものや人を表わす主語が続く/「そこに」の意味はなく、日本語ではthere isで「~がある」の意になる)/(beを述語動詞として)
musquets→muskets
musket(名)(昔の)マスケット銃(rifleの前身で銃腔に施条(しじょう)がない)
cabin(名)(客船の)船室
powder(名)火薬(=gunpowder)
horn(名)角製品(杯・火薬筒・靴べらなど)
with(前)(所持・所有を表わして)~を持って(た)、~のある
pound(名)ポンド(重量の単位)/(常衡(avoirdupois)で)=16 ounces、7000 grains、0.454 kg
of(前)(分量・内容を表わして/数量・単位を表わす名詞を前に置いて)~の
as for ~(通例文頭で)~に関するかぎりでは、~はどうかと言えば(=regarding)
have(他)(しばしば目的語に形容詞用法のto不定詞を伴って)((~すべき(できる))用事・時間などを)もっている、与えられている
occasion(名)(単数形で)(~のための)機会、好機(=opportunity)(for) ・have little opportunity to do ~する機会がほとんどない
for(前)(目的・意向を表わして)~のために、~を目的として
so(接)(等位接続詞として)そこで、それで、~ので
leave(他)(副詞句を伴って)(人・ものを)(~に)置いていく
take(他)(ものを)(間違って、または勝手に)持っていく、盗む

I took a fire-shovel and tongs, which I wanted extremely; as also two little brass kettles, a copper pot to make chocolate, and a gridiron; and with this cargo, and the dog, I came away, the tide beginning to make home again; and the same evening, about an hour within night, I reach'd the island again, weary and fatigu'd to the last degree.

fire shovel 石炭すくい、十能
tongs(名)(複)トング、火ばし、~はさみ
extremely(副)(強意的に用いて)とても、すこぶる(=exceedingly)
as(副)(前置詞句・副詞の前に用いて)~と同じように
two(形)(基数の2)2の、2個の、二人の
brass(形)真鍮(製)の
kettle(名)やかん、湯沸かし
copper(形)銅(製)の
pot(名)ポット(丸くて深い陶器・金属・ガラス製のつぼ・鉢・かめ・深なべなど/取っ手のあるものもないものもある/日本語で「魔法瓶」を「ポット」と言うが、その意味は英語にはない)
chocolate(名)(飲料の)チョコレート、ココア
gridiron(名)(肉・魚を焼く)焼き網
this(形)(指示形容詞)この/(対話者同士がすでに知っているもの(人)をさして)
cargo(名)貨物、積荷、船荷
come away(人が)出て(別れて)くる
tide(名)潮、潮の干満
begin(他)(~し)始める、(~し)だす(+to do)
make(自)(潮などが)満ちる
home(副)わが家へ
within(前)(時間・距離・範囲など)~以内で(の)、~を越えずに、~の範囲で(⇔out of)
reach'd→reached
again(副)元の所(状態)へ
weary(形)疲れた、疲労した
fatigu'd→fatigued(形)疲れ(果て)て
to the last degree 極度に

I repos'd that night in the boat, and in the morning I resolv'd to harbour what I had gotten in my new cave, and not carry it home to my castle.

repos'd→reposed
repose(自)(~に)休む、休息する
that(形)(指示形容詞)(遠方の時・所をさして)あの、あちらの、その ・that night その夜(しばしば副詞的にも用いる)
in(前)(時間を表わして)~(のうち)に、~の間、~中 ・in the morning 午前に
resolv'd→resolved
resolve(他)決意する、決心する(+to do)
harbour(動)(英)=harbor(他)(罪人などを)かくまう
what(代)(関係代名詞)(~する)もの(こと)(which、who、thatなどと異なり、意味上先行詞を含む関係代名詞で名詞節を導く)
get(他)(~を)(~から)(努力して)得る、手に入れる
cave(名)ほら穴、洞窟(どうくつ)
not(副)(不定詞・分詞・動名詞の前に置いてそれを否定して)(~し)ない
carry(他)(~を)(他の場所へ)(持ち)運ぶ、運搬する
to(前)(方向を表わして)(到達の意を含めて)~まで、~へ、~に
castle(名)城、城郭

After refreshing myself, I got all my cargo on shore, and began to examine the particulars:

refresh(他)(refresh oneselfで)(飲食物・休息などで)気分がさわやかになる、再び元気づく
myself(代)(再帰的に用いて)(再帰動詞の目的語に用いて)(再帰動詞とともに全体で自動詞的な意味になる)
get(他)(副詞句を伴って)(人・ものを)(ある場所・位置に(から))持って(連れて)いく、動かす、運ぶ
on shore 陸に、上陸して
examine(他)(~を)調査する、検査する、審査する
particular(名)(複数形で)(事の)詳細、てんまつ、明細

The cask of liquor I found to be a kind of rum, but not such as we had at the Brasils; and in a word, not at all good; but when I came to open the chests, I found several things of great use to me:

find(他)(~が)(~であると)知る、感じる、わかる(+目+to be 補)
a kind of ~ 一種の~
rum(名)ラム酒(糖みつまたはサトウキビから造る)
such(代)(単数または複数扱い)(such asで)(~する)ようなもの(人)
not(副)(述語動詞・文以外の語句を否定して)~でなく
as(代)(関係代名詞)(such、the same、またはasを先行詞に含んで、制限的に用いて)~のような
have(他)(飲食物を)食べる、飲む
Brasils→Brazils
Brazil(名)ブラジル
in a word ひと言で言えば、要するに(=in short)
at all(否定文に用いて)少しも(~でない)
good(形)(食べ物が)おいしい
when(接)~する時に、~時(時を表わす副詞節をつくる)
come(自)(~するように)なる、(~するに)至る(+to do)
open(他)(ドア・目・容器・包み・手紙などを)あける、開く(⇔close、shut)

For example, I found in one a fine case of bottles, of an extraordinary kind, and fill'd with cordial waters, fine, and very good; the bottles held about three pints each, and were tipp'd with silver:

for example(語句・文を例示して)たとえば
one(代)(既出の可算名詞の反復を避けて)(その)一つ、それ
case(名)箱、ケース、容器(of)
extraordinary(形)並はずれた、驚くほどの(=exceptional)
kind(名)種類
fill'd→filled
with(前)(材料・中身を表わして)~で ・fill A with B AにBを満たす
cordial(形)強心性の、元気づける
fine(形)(品質の)上等な
hold(他)(容器などが)(液などを)入れている、(いくら)入る ・This bottle holds half a pint. この瓶には半パイント入る。
three(形)(基数の3)3の、3個の、3人の
pint(名)パイント(液量の単位/=1/2 quart、1/8 gal、4 gills)/0.568リットル
each(代)(複数(代)名詞の同格に用いて)それぞれ
tipp'd→tipped
tip(他)(~に)先端をつける(with)

I found two pots of very good succades, or sweetmeats, so fasten'd also on top, that the salt water had not hurt them; and two more of the same, which the water had spoil'd:

succade(名)砂糖漬けの果物
sweetmeat(名)(果物の)砂糖漬け
so(副)(程度・結果を表わして)(順送りに訳して)非常に~なので~
fasten'd→fastened
fasten(他)(窓などを)しっかりと閉める
on(前)(支え・支持を表わして)~で、~を軸にして
top(名)(ものの)ふた
that(接)(副詞節を導いて)(so ~ thatの形で程度・結果を表わして)(非常に)~なので、~するほど
salt water(名)塩水
hurt(他)(ものなどに)損害を与える、(~を)害する
two(代)(複数扱い)二つ、2個(人)
more(形)(many、muchの比較級)余分の、まだほかにある
same(代)(the ~)同一のもの(こと、人)
spoil'd→spoiled
spoil(他)(~を)役に立たなくする、台なしにする

I found some very good shirts, which were very welcome to me; and about a dozen and half of linnen white handkerchiefs, and colour'd neckcloths; the former were also very welcome, being exceeding refreshing to wipe my face in a hot day; besides this, when I came to the till in the chest, I found there three great bags of Pieces of Eight, which held out about eleven hundred Pieces in all; and in one of them, wrapt up in a paper, six Doubloons of gold, and some small bars or wedges of gold; I suppose they might all weigh near a pound.

welcome(形)うれしい、ありがたい
dozen(名)ダース、12(個)
linnen→linen(形)リンネル(製)の ・a linen handkerchief 麻のハンカチ
handkerchief(名)ハンカチ(=hankie、hanky)
colour'd→coloured
colored(形)着色(染色)した、彩色してある
neckcloth(名)(昔の男性の)首巻
former(形)(the ~/後者(the latter)に対して対句的に用いて)(代名詞的に用いて)前者(単数名詞を受ける時には単数扱い、複数名詞を受ける時には複数扱いになる)
exceeding(副)(古)=exceedingly(副)きわめて、非常に、すこぶる
refreshing(形)心身をさわやかにする、元気づける、すがすがしい
wipe(他)(~(の表面)を)ふく、ふいて(~に)する ・wipe one's face 顔をふく
hot(形)(気温上「寒い」に対して)暑い ・a hot day 暑い日
this(代)(指示代名詞)(すぐ前に言われたことをさして)こう、こういう、このこと
come(自)届く、達する(to)
till(名)(銀行・商店などの)現金入れ(レジ)の引き出し(=cash register)
piece of eight(昔のスペインの)ペソ銀貨
hold out(当然出すべきものを)手もとに留めて置く、出さない
eleven(形)(基数の11)11の、11個の、11人の
hundred(形)100の、100個の、100人の(通例a、anまたはone、fourなどの数詞がつく)
piece(名)硬貨
in all 全部で、合計で(=altogether)
one(代)(単数形で)(特定の人(もの)の中の)一つ、1個、一人(of)
of(前)(部分を表わして)~の中の
wrapt(動)wrapの過去形・過去分詞
wrap(他)(人・ものを)(~に)包む、くるむ ・wrap A in paper Aを紙に包む
in(前)(行為・動作の方向を表わして)~の中に
six(形)(基数の6)6の、6個(人)の
doubloon(名)ドブロン(昔のスペイン・スペイン領アメリカの金貨)
gold(名)金貨
bar(名)棒状地金 ・a bar of gold 金の延べ棒
wedge(名)くさび
of(前)(材料を表わして)~で(作った)、~から(成る)
suppose(他)(知っていることから)推測する、思う、考える(+that)
might(助動)(仮定法仮定)(条件節の内容を言外に含めた主節だけの文で)(現在の推量を表わして)~するかもしれない
all(代)(複数扱い)(同格にも用いて)だれも、みな(通例代名詞の場合に用いる)
weigh(自)重さが(~で)ある
near(副)ほとんど

The other chest I found had some clothes in it, but of little value; but by the circumstances it must have belong'd to the gunner’s Mate; though there was no powder in it, but about two pound of fine glaz'd powder, in three small flasks, kept, I suppose, for charging their fowling-pieces on occasion:

other(形)(the ~、one's ~)(二つの中の)もうひとつの、(三つ以上の中で)残りのもうひとつの
of value 価値のある、貴重な
little(形)(不可算の名詞を修飾して)(aをつけないで否定的用法で)少ししかない、ほとんどない(⇔much)
by(前)(判断の尺度・基準を表わして)~によって、~に従って
circumstance(名)(通例複数形で)(周囲の)事情、状況、環境
must(助動)(must have+ppで過去についての推量を表わして)~したにちがいない
belong'd→belonged
belong(自)(~に)属する、(~の)ものである(to)
to(前)(付属・関連・関係を表わして)~の、~に(とっての)
gunner(名)砲手、射撃手
mate(名)(職人などの)助手、見習い
but(前)(no one、nobody、none、nothing、anythingやall、every one、またwhoなどの疑問詞などのあとに用いて)~のほかに(の)、~を除いて(た)(=except)
fine(形)きめの細かい(⇔coarse) ・fine powder 細粉
glaz'd→glazed(形)つやをつけた、光沢のある
flask(名)(ウイスキーなどの)携帯用瓶(=hip flask)(ガラス・金属製)
keep(他)(ものを)(~のために)保管する(for)
charge(他)(古)(鉄砲に)火薬を詰める
their(代)彼ら(彼女ら)の
fowling(名)野鳥狩り、鳥撃ち、鳥猟
piece(名)銃、砲
on occasion 折にふれて、時折(=occasionally)

Upon the whole, I got very little by this voyage, that was of any use to me; for as to the money, I had no manner of occasion for it; 'twas to me as the dirt under my feet; and I would have given it all for three or four pair of English shoes and stockings, which were things I greatly wanted, but had not had on my feet now for many years:

on the whole 概して
little(代)(aをつけないで否定的用法で)(程度・量が)ほんの少し(しか~ない)、少量、少々(日本語に訳す時には否定にする)
by(前)(手段・媒介を表わして)~で
voyage(名)(船・飛行機・宇宙船による)旅、船旅、航海、航行、飛行
that(代)(関係代名詞)(人・ものを表わす先行詞を受けて通例制限用法で)(~する(である))ところの(先行詞がもの・人を表わす場合で、最上級の形容詞、all the、the only、the same、the veryなどの制限的語句を含む時、および、先行詞が疑問代名詞やall、much、little、everything、nothingなどの時に多く用いられる傾向があるが、絶対的なものではない)/(主語として)
any(形)(否定文で名詞の前に用いて)(可算の名詞の複数形または不可算の名詞につけて)少しも(~ない)、何も(~ない)、だれも(~ない)
for(接)(通例コンマ、セミコロンを前に置いて、前文の付加的説明・理由として)という訳は~だから(=as、since)
as to ~(文中に用いて)~に関して、~について
money(名)金(かね)
no manner of ~ 少しの~もない
'twas(古)it wasの短縮形
as(接)(様態・状態を表わして)~のように
dirt(名)泥、ほこり、ごみ、垢(あか)
would(助動)(仮定法(叙想法)で用いて)(would have+過分で/過去の事柄について帰結節で意志の仮定を表わして)~するつもりだったのに
give(他)(人に)(ものを)与える、あげる(+目+目)
all(代)(単数扱い)すべて(のもの)、万事
for(前)(獲得・追求・期待の対象を表わして)~を得るために(の)、~を(求めて)
four(形)(基数の4)4の、4個の、4人の
pair(名)一対、ひと組(a pair of ~は単数扱い) ・a pair of shoes 靴1足
stocking(名)(通例複数形で)ストッキング、長靴下 ・a pair of stockings ストッキング1足
greatly(副)(通例動詞・過去分詞・比較級形容詞を強調して)非常に、とても、大いに
now(副)(現在完了とともに)今ではもう(すでに)
for(前)(時間・距離を表わして)~の間(ずっと) ・for years 何年もの間
【参考文献】
Robinson Crusoe (Penguin Classics)』Daniel Defoe・著
ロビンソン・クルーソー (河出文庫)』武田将明・訳
新英和中辞典 [第7版] 並装』(研究社)
リーダーズ英和辞典 <第3版> [並装]』(研究社)

『みずうみ(湖畔、インメンゼー)』を原文で読む(第13回)

(テキスト24ページ、2行目〜)

So schrieb er sie genau auf, wie er sie selber gehört hatte.

so(副)それゆえ、だから
auf|schreiben(他)書き留める、メモする(過去:schrieb ~ auf)(過分:aufgeschreiben)(完了:haben)
genau(形)詳しい(比較:genauer)(最上:genauest)
wie(接)(従属接属詞/動詞の人称変化形は文末、ただし文でなく語句を結びつけることも多い)~のように、~のような(英:as)
selber(代)(指示代名詞/無変化)(自分)自身(=selbst)
hören(他)(人4格の)言い分(意見)を聞く(過去:hörte)(過分:gehört)(完了:haben)

Dann gab er die Blätter an Elisabeth, die sie in einem Schubfach ihrer Schatulle sorgfältig aufbewahrte; und es gewährte ihm eine anmutige Befriedigung, wenn er sie mitunter abends diese Geschichten in seiner Gegenwart aus den von ihm geschriebenen Heften ihrer Mutter vorlesen hörte.

dann(副)それから、そのあと(英:then)
geben(他)(人3格に物4格を)与える、やる(英:give)(過去:gab)(過分:gebeben)(完了:haben) ・du gibst、er gibt
das Blat(中)(1枚の)紙(複:Blätter)
an(前)(所属する場所・あて先)(4格と)~に、~へ
Elisabeth(女名)エリーザベト(複:なし)
in(前)(空間的に)(どこに)(3格と)~の中に、~の中で(英:in)
das Schubfach(中)引き出し(=Schublade)(複:Schubfächer)
die Schatulle(女)(鍵のかかる小さな)貴重品箱(複:Schatullen)
sorgfältig(形)入念な、綿密な、注意深い(英:careful)
auf|bewahren(他)(荷物など4格を)保管する、保存する(英:keep、store)
es(代)(人称代名詞)(あとに続くzu不定詞句・dass文などを受けて)
gewähren(他)(人3格に希望するもの4格を)与える、認める、許可する
anmutig(形)優美な、優雅な、気品のある
die Befriedung(女)満足(させること)、充足(複:なし)
wenn(接)(従属接属詞/動詞の人称変化形は文末)(時間的に)~するとき、~するときはいつでも(英:when)
mitunter(副)時々、時たま
abends(副)晩に、夕方に(英:in the evening)
die Geschichte(女)物語、話(複:Geschichten)
die Gegenwart(女)(その場に)居合わせること、出席(英:presence) ・in meiner Gegenwart 私の面前で
aus(前)(3格とともに)(内から外へ)~(の中)から(英:from、out of)
von(前)(3格とともに)(受動文の行為者)~によって、~から
schreiben(他)(手紙・本など4格を)書く、(曲4格を)作曲する(過去:schrieb)(過分:geschrieben)(完了:haben)
das Heft(中)ノート、帳面(英:notebook)(複:Hefte/3格のみ:Heften)
die Mutter(女)母、母親、お母さん(英:mother)(複:Mütter)
vor|lesen(他)(人3格に物4格を)読んで聞かせる、朗読する(aus)(過去:las ~ vor)(過分:vorgelesen)(完了:haben) ・du liest ~ vor、er liest ~ vor
hören(他)(音・声など4格が)聞こえる、(人4格の)声(足音)が聞こえる(過去:hörte)(過分:gehört)(完了:haben)/(zuのない不定詞句とともに)

Sieben Jahre waren vorüber.

sieben(数)(基数/無語尾で)7(の)(英:seven)
das Jahr(中)年(英:year)(複:Jahre)
vorüber(副)(時間的に)過ぎ去って、終わって

Reinhard sollte zu seiner weiteren Ausbildung die Stadt verlassen.

Reinhard(男名)ラインハルト(複:なし)
sollen(助動)(話法の助動詞)(zuのない不定詞とともに)~する運命だ(過去:sollte)(過分:sollen)(完了:haben) ・ich soll、er soll
zu(前)(3格とともに)(目的・用途)~のために
weit(形)(程度・事態が)進んだ、はかどった(比較:weiter)(最上:weitest)
die Ausbildung(女)(技能などの)養成、訓練、(専門的な)教育、修業(英:training)(複:Ausbildungen)
die Stadt(女)町、市(英:town)(複:Städte)
verlassen(他)(ある場所4格を)去る、あとにする(英:leave)(過去:verließ)(過分:verlassen)(完了:haben) ・du verlässt、er verlässt

Elisabeth konnte sich nicht in den Gedanke finden, daß es nun eine Zeit ganz ohne Reinhard geben werde.

können(助動)(話法の助動詞)(zuのない不定詞とともに)~できる、~する能力がある(英:can)(過去:konnte)(過分:können)(完了:haben) ・ich kann、du kannst、er kann
in(前)(状態)(状態の変化)(4格と)
der Gedanke(男)考え、思考、思想(英:thought)(複:Gedanken)
finden再帰)sich4格 finden(sich4格 in 事4格 ~)(事4格に)順応する
dass(接)(従属接属詞/動詞の人称変化形は文末)(先行する名詞の内容を表して)~という
es(代)(人称代名詞)(es gibt 人・物4格の形で)人・物4格が存在する、ある、いる
nun(副)今、今や(もう)、今度は(英:now)
die Zeit(女)(複なし)(経過する)時間、時(英:time)(複:Zeiten)
ganz(副)まったく、完全に、すっかり(英:completely)
ohne(前)(4格とともに/名詞はふつう無冠詞)~なしに、~を持たずに、~を使わないで(英:without)
geben(非人称)(es gibt 人・物4格の形で)人・物4格がある、いる、存在する(過去:gab)(過分:gegeben)(完了:haben) ・du gibst、er gibt
werde werden(~になる)の接1
werden(助動)(未来の助動詞)(他の動詞の不定詞とともに未来形をつくる)(未来・推量)~だろう(過去:wurde)(過分:geworden)(完了:sein) ・du wirst、er wird

Es freute sie, als er eines Tages sagte, er werde, wie sonst, Märchen für sie aufschreiben; er wolle sie ihr mit den Briefen an seine Mutter schicken; sie müsse ihm dann wieder schreiben, wie sie ihr gefallen hätten.

es(代)(人称代名詞)(生理・心理状態の表現で)
freuen(他)喜ばせる、うれしがらせる(過去:freute)(過分:gefreut)(完了:haben)
als(接)(従属接属詞/動詞の人称変化形は文末)~したときに(英:when、as)
der Tag(男)日、1日、1昼夜(英:day)(複:Tage) ・eines Tages ある日のこと
sagen(他)(事4格を)言う、述べる(英:say)(過去:sagte)(過分:gesagt)(完了:haben)/(引用文とともに)
sonst(副)いつもは、ふだんは
das Märchen(中)おとぎ話、メルヘン、童話(英:fairy tale)(複:Märchen)
für(前)(4格とともに)(利益・用途)~のために、~向けの
wollen(助動)(話法の助動詞)(zuのない不定詞とともに)~するつもりだ、~しようと思う、~したい(と思う)(英:will、want)(過去:wollte)(過分:wollen)(完了:haben) ・ich will、du willst、er will
mit(前)(3格とともに)~と(いっしょに)(英:with)
der Brief(男)手紙(英:letter)(複:Briefe/3格のみ:Briefen)
schiken(他)(物4格を)送る、届ける、送り届ける(英:send)(過去:schickte)(過分:geschickt)(完了:haben) ・an 人4格 einen Brief schicken 人4格に手紙を出す
müssen(助動)(話法の助動詞)(zuのない不定詞とともに)~しなければならない、~する必要がある、~せざるをえない(英:must)(過去:musste)(過分:müssen)(完了:haben) ・ich muss、du musst、er muss
wieder(副)(繰り返して)再び、また(英:again)
wie(副)(疑問副詞)どのように、どんなふうに、どうやって、どんな方法で(英:how)/(間接疑問文で/動詞の人称変化形は文末)
gefallen(自)(3格とともに)(人3格の)気に入る、気に入っている(英:find favour)(過去:gefiel)(過分:gefallen)(完了:haben) ・du gefällst、er gefällt
hätte haben(持っている)の接2/(間接話法の文で)
【参考文献】
みずうみ (対訳シリーズ)』中込忠三、佐藤正樹・編(同学社)
アポロン独和辞典』(同学社)

『フェイク』

この週末は、ブルーレイで『フェイク』を見た。

1997年のアメリカ映画。
監督はマイク・ニューウェル
製作は、『レインマン』(監督)のバリー・レヴィンソン。
音楽は、『カリートの道』『ハムレット(1996)』のパトリック・ドイル
主演は、『ゴッドファーザー』『セルピコ』『ゴッドファーザーPART II』『狼たちの午後』『スカーフェイス』『シー・オブ・ラブ』『ゴッドファーザーPART III』『セント・オブ・ウーマン/夢の香り』『カリートの道』の我らが大スター、アル・パチーノと、『プラトーン』のジョニー・デップ
ジョニー・デップと言えば、学生の頃、ウィノナ・ライダー(今や万引き女優)目当てで観に行った『シザーハンズ』の印象が強かったが、こんな硬派な役も演じられるとは意外であった。
そう言えば、一昨年の年末に地元のシネコンで観た、ケネス・ブラナーの『オリエント急行殺人事件』にも出ていたな(失敗作だったが)。
共演は、『ゴッドファーザーPART II』のブルーノ・カービー。
トライスター・ピクチャーズ
カラー、シネスコ・サイズ。
穏やかなテーマ曲から始まる。
「この映画は事実を元にしている」という字幕。
1978年11月、舞台はニューヨークのブルックリン。
酒場で仲間の男達と車の話しをしているレフティー(アル・パチーノ)。
ウェイトレスが「あなた達って、その筋の人?」と笑いながら尋ねる。
普通、店員が客にそんなことを訊くか?
笑いながらごまかすレフティー達であったが、彼らは正にマフィアの一員なのであった。
カウンターには、そんな連中を黙って見詰める一人の若い男。
彼は、FBIの潜入捜査官で、本名はジョー・ピストーネ(ジョニー・デップ)というのだが。
彼の任務は、「ドニー・ブラスコ」という偽名を用い、身分を隠して、レフティー達のマフィア一味に潜入し、捜査することであった。
そのために、彼は自分の身分を「宝石鑑定士」と偽っている。
ジョーは任務のために、妻子とは離れて一人暮らしをしている。
夜は自室で筋トレし、公衆電話から奥さんに電話を掛ける。
本作は、この任務のための表の顔と、家庭を持つ裏の顔との合間で揺れ動く彼の描写が非常によく出来ていると思う。
翌朝、昨日の酒場にまたいるドニー。
レフティーが現われ、ドニーにダイヤの指輪を見せる。
「これを売りさばいて欲しい」と頼むレフティーに、ドニーは「この石はフェイクだ」と告げる。
「本物は輝きが違う」と。
本作の原題は「ドニー・ブラスコ」だが、「フェイク」というのは作品中の象徴的な言葉で、うまい邦題だと思う。
レフティーは「オレはこの街の顔だ」とドニーに強がってみせる。
だが、本作のレフティーは、うだつの上がらない枯れかけたオッサン・マフィアに過ぎない。
キャストの並び順は、アル・パチーノが上だが、本作の主役は明らかにジョニー・デップの方である。
タイトル・ロールだしね。
レフティーは、ドニーに車を運転させる。
レフティーはヘビー・スモーカーだが、ドニーはタバコが嫌いだ。
二人が向かった先は、レフティーに指輪を渡した男のところ。
この男は、レフティーに「8000ドルの価値がある」と言って指輪を渡した。
レフティーは怒り心頭だが、ドニーは「オレに話しを着けさせてくれ」と言って、この男をボコボコにする。
そして、騙した代償としてポルシェのキーを奪う。
この様子を見て、レフティーは「(ドニーの)腕っぷしは一人前だ」と感心する。
ドニーは愛車のキャデラックを運転しながら、「妻はカリフォルニアにいる」と語る。
レフティーは「お前は目が利く」と褒める。
ここで、ようやく観客に、ドニー(ジョー)がFBI捜査官であることが明かされる。
「ベンジャミン・ルッジェーロ(レフティー)との接触に成功」と報告書に刻む。
そうとも知らず、すっかりドニーに惚れ込んだレフティーは、翌日も彼と会う約束を交わす。
レフティーは、知り合いの床屋のオヤジにドニーの評判を聞く。
「あいつはいいヤツだ」と太鼓判を押すオヤジ。
レフティーは、自分の弟分として、ドニーを連れ歩く。
しかし、この様子は全て遠方から盗撮されているのであった。
レフティーは、マフィアの仲間や上層部にドニーを紹介して回る。
更に、自宅にも招く。
ドニーに幾ばくかの小遣いを渡し、「クリスマスなのにお前を一人にしておけない」と、自宅での食事に誘う。
レフティーは、慣れないのに料理を作って、大失敗をやらかす。
騙されているとも知らず、この振る舞いは実に滑稽で、レフティーの哀れさが際立つ。
アル・パチーノのファンとしては面白くないが、この冴えない中年を、本当に冴えないように演じているのも、またアル・パチーノなのである。
レフティーには美人の奥さんとヤク中の息子がいる。
知り合って間もない若造に、身の上をグチるレフティー。
きっと寂しいんだろう。
大ボスへの上納金に四苦八苦していることまで、洗いざらいブチまける。
ドニーに「お前はオレの片腕だ」と言って、盃を交わす。
まあ、僕も50歳が見えて来たので、取り引き先に見込みのある若い兄ちゃんがいたりすると、つい可愛がってやろうかなどと思ってしまうので、気持ちは分かる。
一方、ジョー(ドニー)は久々に自宅へ帰る。
3人の娘は誰もいない。
12歳の長女はボーイフレンド(!)の家へ行って帰って来ない。
下の二人の娘達は奥さんの実家にいるという。
奥さんのマギー(アン・ヘッシュ)は、ジョーが仕事ばかりで家庭を顧みないので大いに不満そうである。
夫婦間に険悪な空気が漂う。
と言っても、その夜は久々なので夫婦で大いに燃え上がって、激しく抱き合うのだが。
翌朝、娘達はパパと口を聞いてくれない。
食事を作り、掃除、洗車と、束の間のマイホーム・パパ。
マフィアの世界で見せている冷徹な顔とは裏腹な、家庭の問題で悩む男。
この部分は、レフティーの抱えているものと重なる。
ところが、謎の男がジョーの自宅にやって来る。
マギーにも何者なのか一切教えない。
実は、これがジョーのFBIの上司なのであった。
ジョーが不在の間に、マフィアの間で大きな動きがあったのだという。
レフティーに呼び出されたドニー(ジョー)。
「大ボスが殺された」のだという。
新聞にもデカデカと載っていたらしいが、自宅に帰って、新聞を読んでいなかったジョーは知らなかったのだ。
でも、自宅に帰っていたことはレフティーには言えない。
レフティーは、仲間のソニー・ブラック(マイケル・マドセン)に呼び出された。
マフィアの世界では、「呼び出し」を受けるとは、「殺される」可能性もあるということだ。
恐る恐る溜まり場の酒場に向かうレフティーとドニー。
彼らは、ソニー達とドライブすることになった。
空港に到着。
ドニーだけ車に残っているように言われる。
連中が真っ暗な倉庫の中へ入ると、ライオンがいる。
何と、大ボス亡き後、ソニーが親分に昇格し、レフティーは今後、その子分になるのだという。
まあ、FBIの潜入捜査官を信用してしまうくらいの人の良さだから、出世は出来んわな。
僕も他人のことは全く言えないが。
で、このライオンは、ソニーからレフティーへのプレゼントだという。
ワンコみたいにリードを繋いで、ライオンを連れて帰るレフティー。
これがCGとかスタントじゃないのがスゴイ。
帰り道で、ハンバーガー屋に寄って、タマネギ抜きのバーガーを40個注文するレフティー。
ライオンのエサだ。
ライオンはネコ科だから、タマネギは毒なんだな。
車の後部座席にはライオンが乗っている。
レフティーは、ソニーが昇格したのに自分は外されたことの不満をドニーにグチる。
とにかく、本作のアル・パチーノはカッコ悪い。
まあ、何度も言うが、それも含めて彼の演技なのだが。
ソニーレフティーやドニーは、飲み屋で景気良く踊っている。
その裏で、悪事も働く。
ジョー(ドニー)は、それを小型のビデオ・カメラで隠し撮りしている。
トラックの襲撃計画、コカインやマリファナ、時には殺人も。
現場にはドニー(ジョー)もいる。
これこそ、ミイラ取りがミイラというか、本職はFBI捜査官なのに、囮捜査のため、殺人現場を目の当たりにしても、何ら手を出せないのである。
このもどかしさ、葛藤。
ジョーは自分の部屋に帰って、家財道具に当たり散らす。
ソニー達は飲み屋で他の親分らに挨拶をする。
その合間に、ジョーはカフェで上司と落ち合う。
上司は、「作戦がうまく行っているので、合流したい」と言う。
ジョーの補佐役として、リッチーという男を組織に潜入させたいと。
「バレたら殺される」とジョーが訴えても、この決定は覆らない。
マフィアにせよ、FBIにせよ、組織というのは非情なものだということも、本作は訴えているのであろう。
ソニーレフティー、ドニーらは、怪しい日本料理店へ行く。
どうしてハリウッド映画の日本描写は、いつもこんなに怪しいのだろうか。
如何にもフジヤマ・ゲイシャみたいなおかしな格好の女性が、「いらっしゃいませ」と、ちょっとおかしなイントネーションで挨拶。
支配人らしき日系人の男が、「靴を脱いで下さい」「Japanese tradition」と英語で告げる。
ソニーらは従おうとしたが、ドニーは強硬に拒んだ。
何故なら、ドニー(ジョー)はブーツの中に、小型テープレコーダーを隠していたからである。
靴を脱ぐと、ソニーレフティーの目の前でそのことがバレてしまう。
それだけは絶対に出来ない。
しかしながら、ここからは日本人としては見るに絶えない場面なのだが。
ドニーは「戦争に勝ったのはどっちの国だ?」などというメチャクチャな理屈で靴を脱ぐことを拒否する。
我々日本人としては、畳に土足で上がることを許す訳には行かない。
支配人がそれでも靴を脱げというのは当然のことなのだが。
ソニーも最初は「いつの戦争のことだ?」と苦笑していたが、ラチがあかないのを見て取ると、奥の間へ支配人を連れて行き、ボコボコにする。
もうこれが、殴る蹴る、血が吹き出すの生々しさで、これが白人相手なら絶対にここまでやらないだろうと思うと、胸クソ悪くて仕方がない。
本作の暴力描写はかなり凄まじい。
後半には、スプラッターと同レベルの残酷なシーンもある。
で、そういう暴力にドニー(ジョー)も加担している訳だ。
自分の任務のために、何の罪もない一般市民である日本料理店の支配人をボコボコにするのである。
日本の警察がそんなことをしたら、絶対に許されない(と信じたい)。
だから、僕は国家権力が大嫌いなんだ。
こんなのが正義か?
もっとも、本作のジョーもそんなことは自覚していて、自室でその時の録音テープを聴きながら涙する。
そして、ジョーだけでなく組織のボスであるソニーも荒れていて、次第に物語は血生臭さを増して行くのであった。
さあ、これからどうなる?
後半は、いよいよジョーのやっていることは潜入捜査なのか、マフィアの一味に成り下がってしまったのか、境界線が分からなくなって来る。
それと共に、「いつバレるのか」というスリルが高まって行く。
余談だが、アメリカ人は、やっぱりビールはバドワイザーなんだな。
あんな薄いビールをよく飲めるな。
僕は最近、ビールはプレミアム・モルツしか飲まない。
ウィスキーは、この間、『セント・オブ・ウーマン』を見てから、ジャック・ダニエルだ。
でも、ちょっと高いんだよな。
うまいけど。
昔はブラック・ニッカだったんだが。
ブラック・ニッカは安いだけあって、飲み過ぎると頭が痛くなるんだ。

Donnie Brasco (1997) - Official Trailer HD

『星の王子さま』を原文で読む(第3回)

(テキスト8ページ、1行目~)

I

I(男)ローマ数字の1

Lorsque j'avais six ans j'ai vu, une fois, une magnifique image, dans un livre sur la forêt vierge qui s'appelait Histoires vécues.

lorsque(接)~の時に(英:when)
je(人称代名詞)(母音または無音のhの前ではj'となる/j'aime)(主語)私は、私が(英:I)
avai-→avoir
avoir(他)持つ、所有する(英:have)/(特質・年齢・尺度など) ・J'ai vingt ans. 20歳です。
six(数形容詞)(不変)6の ・six ans 6歳
an(男)~歳(英:year)
ai avoirの直・現在・1・単
avoir(助動詞)avoir+過去分詞(全ての他動詞、大部分の自動詞の助動詞となり複合時制を作る)(英:have)
voir(他)見る、見える(英:see)(過分:vu)
un(e)(形)(数形容詞)(基数)1つの(英:one)
fois(女)~回、~度(英:time)
un(e)不定冠詞)(不特定の)ある、1つの、1人の(英:a)
magnifique(形)すばらしい、見事な
image(女)絵、版画、写真、(映画・テレビの)映像
dans(前)(作品・記事)~に、で(英:in)
livre(男)本、書物(英:book)
sur(前)(主題)について、に関する(英:on、upon、above)
la(定冠詞)(女性単数)→le
le(定冠詞)(女性単数:la、複数:les)(普通名詞の前)(名詞が形容詞・補語・従節などによって特定化されるとき)(英:the)
forêt(女)森林、山林(boisがあまり深くない林をさすのに対し、forêtは深く広い森をさす)(英:farest)
vierge(形)未開拓の ・vierge forêt 処女林
qui(関係代名詞)(性・数不変)(先行詞を伴って)(主語として働き先行詞は人でもものでもよい)~するところの~
s'appeler(代動)~という名前だ
histoire(女)物語、話、ストーリー(英:history、story)
vécu(e)(<vivreの過去分詞)(形)体験された、実際にあった

Ça représentait un serpent boa qui avalait un fauve.

ça(指示代名詞)(中性)それ、あれ、これ(英:that)/(目の前のもの、状況や事柄を受けて)
représenter(他)表わす、描く、表現する(英:represent)
serpent(男)(動物)蛇
boa(男)(動物)ボア(南米産の大蛇)
avaler(他)飲み込む、(食物を)かきこむ
fauve(男)(猫科の)野獣、猛獣(ライオン・虎など)

Voilà la copie du dessin.

voilà(voirの命令法古形voi+là)(前置詞・副詞・動詞・指示詞の機能を兼ねる)(比較的遠い人またはものを指す)(voilà+名詞)あれが~だ
copie(女)写し、コピー(英:copy)
du(=de+le、前置詞deと男性単数定冠詞leの縮約形)(→de)~の、~から(英:of the、from the)
dessin(男)素描、デッサン(英:drawing、sketch)

On disait dans le livre: «Les serpents boas avalent leur proie tout entière, sans la mâcher. Ensuite ils ne peuvent plus bouger et ils dorment pendant les six mois de leur digestion.»

on不定代名詞)(不特定の人)人は、人々は(英:one、people、someone、we)
dire(他)言う、述べる(英:say)/(dire+直接話法)
les(定冠詞)(定冠詞le、laの複数形)→le
leur(所有形容詞)(女性不変)(所有・所属・関係)彼(女)らの、それらの(英:their)
proie(女)餌食(えじき)、獲物
tout(副)(tout+形容詞)まったく、非常に(英:all)
entier(形)(しばしばtout entier(ière)とtoutをつけて意味を強める)全体の、全部(残らず)の
sans(前)(sans+不定詞)~することなしに、~せずに
la(人称代名詞)(女性単数)→le
le(人称代名詞)(女性単数la、複数les)(名詞に代わる)(直接目的語)彼(女)を、それを(英:him、her、it)
mâcher(他)噛(か)む、咀嚼(そしゃく)する
ensuite(副)(時間)次に、それから、その後に(で)(英:then)
ils(人称代名詞)彼らは、それらは(→il)(男性名詞・女性名詞のまざった集合を指す場合もils、女性のみはelles)(英:they)
ne(副)(動詞に伴い、これを否定する)(他の否定語と併用される場合)~ない/ne ~ plus もはや~ない
peuvent pouvoirの直・現在・3・複
pouvoir(他)(pouvoir+不定詞)(可能)~することができる、~しうる(英:can、be able to、may)
plus(副)(否定表現)ne ~ plus もう~ない(英:no more、no longer)
bouger(自)身動きする、動く、移動する(英:move)
et(接)(列挙)そして、と(英:and)
dormir(自)眠る(英:sleep)
pendant(前)(時間)~の間(英:during)
mois(男)(期間として)1か月(英:month)
de(前)(種類・用途・目的)(英:of、from)
digestion(女)消化

J'ai alors beaucoup réfléchi sur les aventures de la jungle et, à mon tour, j'ai réussi, avec un crayon de couleur, à tracer mon premier dessin.

alors(副)(接続詞的に)それで、だから、従って
beaucoup(副)たいへん、非常に、いっぱい、大いに(英:much、many)
réfléchir(自)(surについて)熟考する、検討する
aventure(女)冒険
jungle(女)ジャングル、密林
à(前)à+名詞・代名詞/(手段・道具・媒介・準拠)~で、によって(英:to、at、in)
mon(所有形容詞)(所有・関係)私の(英:my)
tour(男)順番(英:turn、circumstance)
réussir(自)(réussir à+不定詞)(~すること)に成功する、うまく~できる(英:succeed)
avec(前)(手段・方法・用具)~を使って、でもって(英:with)
crayon(男)鉛筆(英:pencil) ・crayon de couleur 色鉛筆
de(前)(特徴・性質)~の、~らしい、~を持った(英:of、from)
couleur(女)(白黒に対して)色、カラー(英:color) ・crayon de couleur 色鉛筆
à(前)à+不定詞/(限定)~することに
tracer(他)(線で)描く
premier(形)(名詞の前)最初の、第1の、1番目の、初めの、1番前の(英:first)

Mon dessin numéro 1.

numéro un(同格として)ナンバーワンの、主要な、最大の

Il était comme ça:

il(人称代名詞)(主語)それは(ものを表わす男性名詞を受ける)(英:he、it)
était êtreの直・半過去・3・単
être(自)~(に)いる、ある/(状態)
comme ça そのように、こんな風な、そうなれば、では ・être comme ça そんなものだ

J'ai montré mon chef-d'œuvre aux grandes personnes et je leur ai demandé si mon dessin leur faisait peur.

montrer(他)見せる、示す、指し示す(英:show)/(montrer A à B)A(人)にB(何)を見せる
chef-d'œuvre(男)傑作(英:masterpiece)
aux=à+les→à
à(前)à+名詞・代名詞/(動詞の間接目的語)~に
grande personne(子供の言葉で)大人(=adulte)
leur(人称代名詞)(間接目的語3人称複数)→lui
lui(人称代名詞)(3人称・間接目的語)彼(女)に(英:to him、her、it)(複数:leur)
demander(他)尋ねる、問う、訊(き)く(英:ask、request)/(demander+間接疑問節)
si(接)(間接疑問節を導く)~かどうか(英:if)
fais-→faire
faire peur à ~(人)を怖がらせる、おびえさせる
【参考文献】
対訳 フランス語で読もう「星の王子さま」』小島俊明・訳注(第三書房)
クラウン仏和辞典 第7版』(三省堂

日本近代文学を文庫で読む(第4回)『金色夜叉』

今回は、尾崎紅葉の『金色夜叉』を取り上げます。
金色夜叉』を読んだことがなくても、主人公の貫一とお宮の名前なら、知っている人は多いでしょう。
UNICORNの『大迷惑』という曲の歌詞にも出て来ます。
僕は学生の頃、カラオケが大好きだったのですが、毎回、必ず誰かがこの曲を歌っていました(僕は歌いませんが)。
それはさておき、『金色夜叉』は、当然ながら、高校日本史の教科書にも載っています。
例えば、僕の手元にある『詳説日本史』(山川出版社)には、第9章「近代国家の成立」の「おもな文学作品」という一覧表の中です。
尾崎紅葉については、本文中に次のようにあります。

尾崎紅葉らの硯友社は、同じく写実主義を掲げながらも文芸小説の大衆化を進めた。

硯友社については、脚注に次のようにあります。

尾崎や山田美妙らを中心として結成され、回覧雑誌『我楽多文庫』を発刊した。

上にも出て来るように、『金色夜叉』は大衆小説です。
同作が読売新聞紙上で連載開始されたのは明治30(1897)年1月1日で、二葉亭四迷が初の言文一致体小説『浮雲』を発表してから10年も後ですが、こちらは古風な文語体で書かれています。
「言文一致」については、『精選日本文学史 改訂版』の脚注を見てみましょう。

話し言葉のとおりに文章を書くこと。二葉亭は「だ」調、美妙が「です」調、尾崎紅葉が「である」調を中心に試みた。

これは、高校の国語の授業で覚えさせられました。
言文一致運動を推進したはずの尾崎紅葉が、自分の集大成とも言える『金色夜叉』を文語体で書いたというのは、どういうことでしょうか。
なお、山田美妙の『夏木立』については、『詳説日本史』には載っていますが、現在日本で流通している紙の本は見当たりません。
さて、大衆小説のはずの『金色夜叉』が、いかめしい文語体で書かれている。
明治の人達は文語体に慣れているから、スラスラと読めたのでしょうか。
これについては、岩波文庫版『金色夜叉(下)』の「解説」に面白いことが書かれています。

その紅葉が心血を注いだのは、『金色夜叉』という芝居やシネマでは跡形もなくなる地の文である。たとえば、「前篇」第一章の冒頭、読売新聞紙上に新年と同時に登場したこの長篇小説、そもそもの第一頁は、まことに読みづらく、じつに分りにくい。その日の新聞読者にはどうだっただろう。元旦の屠蘇の酔も加わっている人は、この冒頭など読みとばしたにちがいない。

やはり、当時の人にとっても、既に文語体は読みにくいものであったということですね。
一方、当たり前ですが、会話の部分は口語体で書かれています。
これについて、同書の「解説」を見てみましょう。

紅葉は会話の場面を得意とし、自信をもっていた。おだやかな場面、愉快な、騒々しい場面、険悪な応酬、ひややかな対応、食いちがいの局面、男女の睦語、なんであれ会話の場面になると、紅葉の筆は東都の市井の日常をそのまま再現するごとき趣を呈し、はずみよく捗って、一場面が次の場面を孕みつつ、たちまち一場の景をなしてしまう。語りくどき、胸中を披露する人の長広舌が、ときに理に落ち、行きつ戻りつ停滞することがあっても、紅葉はそれはそれなりに高低緩急のバランスを失うことなく収めてしまう。

要するに、会話の部分が非常によく書けているということですね。
なので、地の文が多少難しくても、会話の部分を読めば、大体の筋は分かります。
内容に入って行く前に、尾崎紅葉について、簡単に見ておきましょう。
『精選日本文学史 改訂版』の脚注より引きます。

尾崎紅葉 慶應三(一八六七)年―明治三十六(一九〇三)年。小説家・俳人。東京都生まれ。本名は徳太郎。明治文壇の大御所と言われる存在として活躍した。

また、同書の本文には、次のようにあります。

紅葉は『二人比丘尼色懺悔』で名を挙げ、『伽羅枕』『二人女房』などを書いた。口語文体への意欲も見せたが、西鶴の影響を受け擬古文体を得意とした。『多情多恨』や『金色夜叉』には、紅葉の、新時代へ向けての精いっぱいの苦心がうかがわれる。しかし細かい心理描写の名文にもかかわらず、思想的な限界から真の近代文学の推進者とはなり得なかった。

『田村の[本音で迫る文学史]』(大和書房)には、もう少し詳しく紅葉について述べられているので、そちらも引用しておきます。

尾崎紅葉は、写実主義の流れに属し、江戸時代の井原西鶴の影響を受けて明治時代の世相を写し、『二人比丘尼色懺悔』によって当代随一の人気作家となった。ただ、その写実の姿勢が皮相的であったために、本質的に近代文学の深さを持たず、“洋装せる元禄文学”として批判もされた。また、その文体は女性的な美文であり、登場人物も、女性を描くことを得意としていた。
代表作に、未完に終わった『金色夜叉』がある。これは、金の力によって婚約者を奪われた書生が、その復讐のために金の鬼と化すという作品。これが江戸時代の道徳的な読み物であれば、ここで意志をまげずに立派な学者となって、後にその道徳的な力で裏切った女性を感化する、などという展開になるところであるが、そうはならないところに写実主義らしい面が出ている。
また、紅葉は、日本で初めての文学結社「硯友社」を組織し、同人雑誌『我楽多文庫』を出した。そして、多くの後進作家を育て、一時は「硯友社」の同人、すなわち、尾崎紅葉門下でなければ文壇に出られないほどの勢力があった。

僕は以前、「大学受験の時に、文学部志望にも関わらず、一切文学史の対策をしなかった」と書きました。
その理由は、単に覚えられなかったからなのですが。
受験対策の文学史が何故面白くないのか、考えてみましょう。
上の『田村の[本音で迫る文学史]』は、大学受験用の参考書です。
「面白参考書」というシリーズで、確かに、受験生が面白く勉強出来るように工夫されているのですが、限界もあります。
引用部分を見て下さい。
「その文体は女性的な美文であり」とあります。
しかし、紅葉の作品の引用は一行もありません。
普通の高校生は、まず尾崎紅葉の作品など読んだことがないでしょう。
僕も、大人になってから初めて読みました。
当然、高校の国語の教科書にも、紅葉の作品は載っていません。
これでは、紅葉の文体が女性的な美文であるかどうか、分かるはずがないでしょう。
仕方がないので、丸暗記するしかありません。
こんなのが、センター試験や私大の選択問題で、「次の中から正しいものを選べ」などと言って出題されます。
尾崎紅葉の文体は女性的な美文であり」と書かれていたら、正解なので、マークシートを塗りつぶす。
何だか、むなしくありませんか。
こんなの、勉強でも何でもありません。
だったら、作品自体を読むべきです。
話しが逸れてしまいました。
尾崎紅葉の略歴について、新潮文庫版の「解説」を参考に、もう少し詳しく述べておきます。
尾崎紅葉は1868(慶応3)年、江戸で生まれました。
1872(明治5)年、母と死別します。
寺子屋・梅泉堂(現・港区立御成門小学校)を経て、府第二中学(すぐに府第一中と統合し府中学となる。現在の日比谷高校)に進学するも中退。
漢学を学ぶ一方、三田英学校で英語を学び、大学予備門入学を目指しました。
1983(明治16)年、東京大学予備門に入り、詩作にふけります。
そして1885(明治18)年、山田美妙、石橋思案、丸岡九華らとともに文学史上に名高い硯友社を結成、回覧雑誌『我楽多文庫』を発刊します。
一方、大学予備門の学制改革により、1886(明治19)年に第一高等中学校英語政治科に編入
1888(明治21)年、帝国大学法科大学政治科に入学、翌年に国文科に転科し、その翌年退学しました。
この前年の末に、大学在学中ながら読売新聞社に入社し、以後紅葉の作品の重要な発表舞台は読売新聞となります。
以後、幸田露伴とともに明治期の文壇の重鎮となり、この時期は紅露時代と呼ばれました。
1895(明治28)年、『源氏物語』を読み、その影響を受けて心理描写に主を置き『多情多恨』などを書きます。
そして1897(明治30)年、代表作『金色夜叉』の連載が『読売新聞』で始まります。
貫一とお宮をめぐっての金と恋の物語は日清戦争後の社会を背景にしていて、これが時流と合い大人気作となりました。
以後断続的に書かれることになりますが、もともと病弱であったためこの長期連載が災いし、1899(明治32)年から健康を害しました。
療養のために塩原や修善寺に赴き、1903(明治36)年に『金色夜叉』の続編を連載(『続々金色夜叉』として刊行)しますが、3月、胃癌と診断され中断。
10月30日、自宅で亡くなりました。
それでは、ここで、『金色夜叉』のあらすじを簡単にまとめておきます。

前編
間貫一は、幼くして両親を亡くしたが、鴫沢隆三に引き取られて、高等中学校に通っている。
貫一は鴫沢家の美しい一人娘・お宮と憎からず想い合う仲である。
また、隆三も貫一を大学に行かせ、将来は鴫沢家の跡取りにするつもりであった。
ところが、正月のカルタ会で、お宮は大きなダイヤモンドの指輪を見せびらかす銀行家の御曹司・富山唯継に見初められ、心がなびく。
隆三も、財産のことを考えて、お宮を富山家に嫁がせようとする。
貫一は納得が行かない。
お宮は胃病をやわらげるために、熱海へ湯治に出掛ける。
貫一はそれを追って熱海に行く。
貫一はお宮の心変りが許せない。
許しを乞うお宮を足蹴にし、貫一は「一生お前を恨み、畜生として生きてやる」と宣言して、それっきり姿を消す。

中編
熱海でのお宮との別れから4年後、貫一は鰐淵直行の下で高利貸しをしている。
これまでの真人間としての生き方はきっぱりと捨てた。
美人高利貸しで人妻の赤樫満枝から言い寄られるも相手にしない。
満枝は、借金の身代わりのようにして赤樫に嫁がされたが、夫は高齢で病身のため、自由に振舞っているのであった。
貫一の金貸しとしての冷徹さは、同業者からも一目置かれるほどである。
ある日、田鶴見子爵邸内の小道で貫一はお宮とすれ違う。
貫一は驚き、憤りつつも目に涙を浮かべる。
お宮は恐ろしさと恥ずかしさで一杯である。
彼女は今では貫一をどれほど深く愛していたかを知り、自分が貫一にした仕打ちを後悔している。
しかし、お互いに声は掛けられない。
貫一は、学生時代の友人と言えども、取り立ての手を緩めない。
ある夜、しつこく迫る満枝を振りほどこうと、いつもと違う道を歩いていた貫一は、二人組の暴漢に襲われ、重傷を負ってしまう。

後編
貫一が暴漢に襲われた事件は、新聞によっては「鰐淵直行が襲撃された」として報じられる。
それを見た直行の一人息子・直道は父に「こんな商売からは足を洗って欲しい」と懇願するが、直行は笑って聞き入れない。
一方、お宮は貫一と別れて初めて、自分が如何に彼のことを愛していたかを知る。
もはや富山での裕福な生活には何の魅力も感じない。
日々後悔の念が募るのみである。
貫一の病室に、満枝が毎日見舞いと言っては訪ねて来て、貫一は大層迷惑している。
鰐淵も貫一と満枝の間には何かあるのではないかと勘繰っている。
ある日、いつものように満枝がいる病室に、お宮の父・鴫沢隆三が訪ねて来る。
隆三は「もう一度話がしたい」と言うが、貫一は「そんな人は知らん」と言って、会おうともしない。
鰐淵からカネを借り、連帯保証人に勝手に友人の父親の名前を書いたとして、私文書偽造で逮捕された青年がいた。
息子の将来を滅茶無茶にされたと憤る母親が、毎晩鰐淵の家を訪ねて来て、ある夜、とうとう火を放つ。
鰐淵家は全焼し、夫妻は焼死。
息子の直道は、病院から駆け付けた貫一に「父が汚い稼業で作った財産など自分は一銭もいらない。カネは全てあなたに譲るので、この仕事から足を洗って下さい」と言う。
貫一は何とも答えない。

金色夜叉
お宮は今になって貫一と別れてしまったことを大いに後悔していた。
夫・富山唯継は外出が多くなり、お宮の貫一への想いはますます募るばかり。
一方、貫一は鰐淵夫妻が焼死した後、その居宅を改装してそこに住まい、相変わらず高利貸しを続けている。
貫一の下へお宮から度々手紙が届くようになった。
おそらく詫びの手紙であろうが、貫一は開封すらしない。
とうとう思いあまってお宮が貫一を訪ねて来る。
だが、貫一は連れない。
そこへ満枝がやって来る。
お宮は来客なので帰る。
貫一は面倒なので家を飛び出すが、戻ると、満枝はまだいた。
彼女は、お宮と貫一の仲を疑う。
しつこく二人の関係について聞き出そうとする。
その夜、貫一の目の前で、お宮と満枝が言い争っている。
お宮は、貫一が満枝と親しそうなのが許せない。
そして、「いっそ私を殺して下さい」と言う。
お宮は満枝を刺し殺し、自分の喉を突き刺す。
血を流しながら必死に詫びるお宮を、貫一はとうとう許す。
けれども、お宮は家を飛び出す。
追う貫一。
水の流れに飛び込むお宮。
ようやくお宮の亡骸を見付けた貫一は、「これから俺はどうして生きてゆけばいいのか」と悲嘆に暮れる。
お宮の亡骸を背負う貫一。
ふと背中が軽くなる。
お宮は花びらと化して散って行った。
貫一が気が付けば、これは夢であった。

続続金色夜叉
貫一の胸はますます苦しくなった。
貫一は旅に出る。
西那須野の駅から車に乗り、夢で見たのと同じ風景に出合う。
宿で、同宿の男女が心中しようとしていたのを部屋に飛び込んで助ける。
男は店の金を使い込み、女は富山唯継に身請けの話が持ち上がっているらしい。
貫一は、見ず知らずの二人の借金を肩代わりする決心をする。

新続金色夜叉
貫一の下には相変わらずお宮から長文の手紙が届いている。
いつもは封を開けずに捨ててしまうのだが、ある時、貫一はとうとうその手紙を読む。
そこには、お宮の後悔の念が連綿と綴られていた。
さらに、お宮は自分の死をほのめかすような手紙も届く。
(未完)

金色夜叉』は、旧漢字、旧かなづかい、地の文は文語体で台詞は口語体という難物ですが、非常に読み応えがあります。
内容は、妙に古風なところもあって、明治の舞台装置に、江戸の情緒が乗っかっているような感じです。
有名な熱海で貫一がお宮を蹴る場面などは、紅葉自身が筆を走らせている様子が目に浮かぶほど、一気に読ませます。
貫一が高利貸しになってからの取立ての描写などは、まるで『ナニワ金融道』のようです(「まるで」の使い方が逆ですが)。
読んでいると、先の展開が気になって仕方がありません。
金色夜叉』の文庫版は、新潮と岩波から出ています。
新潮文庫

金色夜叉 (新潮文庫)

金色夜叉 (新潮文庫)

初版は昭和44年ですが、平成16年に改版されて、文字が大きく、読みやすくなっており、注もそれなりに充実しています。
旧漢字・旧仮名遣い、地の文が文語体、台詞が口語体という、いかにも原文一致運動の渦中に書かれた作品ですが、そこは日本語。
文章の勢いに乗って読み進めれば、結構理解出来るものです。
こういった古典は、まず読んでみることが大事だと思います。
理解は二の次です。
ましてや評論なんて、学者に任せておけば良いのですから。
さて、本書は新聞小説(読売新聞。連載開始は明治30年)らしく、読者を引き付けるために「これでもか」とばかり奇抜な展開に陥ります。
そのため、先が気になって仕方がありません。
文明開化の波に乗って、舞台背景は明治ですが、登場人物たちは江戸の情緒を引きずっています。
明治期の文学作品としては最も多くの読者に愛されたそうですが、批評家は「通俗的だ」と批判しているそうです。
600ページに及ぶ長編(しかも、作者病死のため未完)なので、奇抜な展開の連続も、次第に「またか」と思わされる部分はあります。
連載は好評だったのでしょう。
金色夜叉 前編』『同 中編』『同 後編』『続金色夜叉』『続続金色夜叉』『新続金色夜叉』とあります。
昨今のハリウッド映画も真っ青の続編ラッシュです。
しかし、紅葉は一貫して「人間にとって大切なのは、金銭よりも愛情である」ということを説いています。
もし完成していたら、大変な大河小説になったでしょう。
返す返すも残念です。
本作では、女性を指す時も「彼」という代名詞を使っています。
それから、余談ですが、当時の東海道線は三十余輌編成だったそうです。
今の東海道線は最大15両編成ですから、かなり長いですね。
車両一両あたりの長さは短かったのでしょうか。
貫一は中等(2等車)に乗ります。
現在のグリーン車です。
高等中学校に通っているくらいですから、庶民とは言えませんね。
あと、本版では、差別表現として1箇所伏せ字になっています。
今時、伏せ字なんて珍しくありませんか。
普通は、巻末に「本作には、今日の観点では差別的とされる表現があるが、作品の文学的価値に鑑み、そのまま掲載した」云々と書かれるところでしょう。
ちなみに、岩波版にはきちんと掲載されています(削除されたのは「エタ」)。
読んでいて気になったのは、当時の高利貸しの利息についてです。
詳しくは分かりませんが「天引三割の三月縛」と呼ばれるものでした。
例えば、100円を借りると、130円の証書を書かされます。
3ヵ月後には、30円の利息を払わなければなりません。これを年利に換算すると、120パーセントという高利です。
現在のサラ金の利息が年利20パーセント以下であることを考えると、これは大変な暴利だと言えるでしょう。
利息を約束の日に払えないと、先述の130円の証書を、更にその3割(39円)を上乗せした169円の証書に書き替えさせられます。
このようにして雪ダルマ式に借金が膨らんで行く。
おまけに、利息を耳を揃えて払えないと、延滞料、日当、車代(!)等といった名目で、3円、5円、10円と取り上げられ、しかもこれは利息の支払いには充当されません。
当時は、こんな恐喝まがいの行為がまかり通っていたのでしょうか。
本作では、このような金貸しのやり口が、『ナニワ金融道』も真っ青の生々しさで描かれています。
岩波文庫
岩波文庫版は、(上)と(下)に分かれています。
金色夜叉(上) (岩波文庫)

金色夜叉(上) (岩波文庫)

初版は1939年ですが、現在流通しているのは、2003年に出た改版です。
(上)には、「前篇」「中篇」「後編」が収録されています。
注や解説はありません。
金色夜叉(下) (岩波文庫)

金色夜叉(下) (岩波文庫)

(下)も、初版は1939年ですが、現在流通しているのは、2003年に出た改版です。
こちらには、「続篇 金色夜叉」「続続 金色夜叉」「新続 金色夜叉」の3編が収録されています。
はやり、注はありません。
解説は杉本秀太郎氏。
【参考文献】
詳説日本史B 改訂版 [日B309] 文部科学省検定済教科書 【81山川/日B309】笹山晴生佐藤信五味文彦、高埜利彦・著(山川出版社
精選日本文学史』(明治書院
田村の〈本音で迫る文学史〉 (受験面白参考書)』田村秀行・著(大和書房)

『嵐が丘』を原書で読む(第25回)

(テキスト26ページ、1行目〜)

Thereat began a feeble scratching outside, and the pile of books moved as if thrust forward.

thereat(副)その時
begin(自)(物事が)始まる、開始する
feeble(形)(声・光など)かすかな、微弱な
scratch(自)(つめなどを)ひっかく
outside(副)外に、外側に、外部に(⇔inside)
pile(名)(ものの)積み重ね、山(=mound)
move(自)(ものが)動く、揺れる、動揺する
as if ~ まるで~であるかのように(as if節の中では仮定法を用いる)
thrust(他)(副詞句を伴って)ぐいと押す、突っ込む ・thrust A forward Aを前に押し出す

I tried to jump up; but, could not stir a limb; and so yelled aloud, in a frenzy of fright.

try(他)(~を)努力する、やってみる、(~しようと)する(+to do)
up(副)(寝床から)起きて
stir(他)(~を)動かす
limb(名)(人・動物の胴体・頭部と区別して)手足(の1本)、肢(し)(腕・脚・ひれ・翼など)
so(副)(接続詞的に/and soとして)それゆえ、だから、それで
yell(自)叫び声をあげる、大声で叫ぶ、どなる ・yell in fear 怖くて大声をあげる
aloud(副)大声で ・cry aloud 大声で叫ぶ
in(前)(状態を表わして)~の状態に(で)
frenzy(名)(またa ~)逆上、乱心、狂乱、熱狂 ・in a frenzy of ~のあまり逆上して
of(前)(原因を表わして)~のため、~にも
fright(名)(またa ~)(急に襲う)恐怖

To my confusion, I discovered the yell was not ideal.

to(前)(結果・効果を表わして)(通例to a person'sに感情を表わす名詞を伴って)~したことには、~にも
my(代)私の
confusion(名)困惑、ろうばい
discover(他)(~が)わかる、(~を)知る、悟る、(~に)気づく(+that)
yell(名)(苦痛・恐怖などの)叫び声、わめき
ideal(形)観念的な、想像上の、架空の

Hasty footsteps approached my chamber door: somebody pushed it open, with a vigorous hand, and a light glimmered through the squares at the top of the bed.

hasty(形)急な、あわただしい、迅速な、即座の(=swift)
footstep(名)足音
approach(他)(~に)近づく、近寄る、接近する
chamber(名)(古)(特に)寝室
somebody(代)ある人、だれか
push(他)(~を)押して(~の状態に)する(+目+補)
with(前)(道具・手段を表わして)~を用いて、~で
vigorous(形)(動作・言葉など)活発な、激しい(=dynamic)
light(名)光、光線
glimmer(自)ちらちら光る、かすかに明滅する
square(名)四角いもの

I sat shuddering yet, and wiping the perspiration from my forehead: the intruder appeared to hesitate and muttered to himself.

sit(自)座る、腰かける(+doing) ・sit doing 座って~する
shudder(自)(恐れ・寒さなどで)震える、身震いする
yet(副)(進行形かそれ自体継続の意味を持つ動詞とともに肯定文で用いて)今(また)、今なお、依然として
wipe(他)(~(の表面)を)ふく、ふいて(~に)する
perspiration(名)汗(=sweat)
from(前)(出所・起源・由来を表わして)~からの
forehead(名)額(ひたい)、前額部(=brow)(人間の感情・性格を示す部分とされている)
intruder(名)侵入者
appear(自)(~(のよう)に)見える、(~と)思われる(+to do)
hesitate(自)ちゅうちょする、ためらう、二の足を踏む
mutter(自)(低いはっきりしない声で)つぶやく ・mutter to oneself ぶつぶつひとり言を言う
to(前)(行為・作用の対象を表わして)~に対して、~に
himself(代)(再帰的に用いて)(前置詞の目的語に用いて)

At last, he said in a half-whisper, plainly not expecting an answer,
‘Is any one here?’

at last 最後に、とうとう(=finally)
say(他)(人に)(~と)言う、話す、述べる、(言葉を)言う(+引用)
in(前)(道具・材料・表現様式などを表わして)~で、~でもって、~で作った
half(形)不十分な、不完全な
whisper(名)ささやき、小声 ・in a whisper 小声で
plainly(副)(文修飾)明らかに(~である)、~はあきらかである(=undoubtedly)
not(副)(不定詞・分詞・動名詞の前に置いてそれを否定して)(~し)ない
anyone(代)=anybody(代)(疑問文・条件節で用いて)だれか

I considered it best to confess my presence, for I knew Heathcliff’s accents, and feared he might search further, if I kept quiet.

consider(他)(~を)(~だと)みなす、考える(+目+補)
it(代)(形式目的語としてあとにくる事実上の主語の不定詞句・動名詞句・that節などを代表して)
confess(他)(罪・隠し事などを)告白する、白状する、打ち明ける
presence(名)存在、ある(いる)こと、現存(⇔absence)
for(接)(通例コンマ、セミコロンを前に置いて、前文の付加的説明・理由として)という訳は~だから(=as、since)
Heathcliff ヒースクリフ(Emily Brontëの小説Wuthering Heights(1847)の主人公/復讐の鬼)
accent(名)(複数形で)(独特な)話し方、言葉づかい、口調
fear(他)(よくない事態を気づかって)(~ではないかと)思う、気づかう、恐れる(+that)
might(助動)(直説法過去)(主に間接話法の名詞節中で、時制の一致により)(不確実な推量を表わして)~かもしれない
search(自)(副詞句を伴って)(人・ものを)(丹念に)捜す、捜し求める
further(副)(farの比較級)(距離・空間・時間が)さらに遠く、もっと先に
keep(自)ずっと(~の状態で)ある(+補) ・keep quiet 静かにしている

With this intention, I turned and opened the panels — I shall not soon forget the effect my action produced.

with(前)(原因を表わして)~のせいで、~のゆえに、~のために
this(形)この/(対話者同士がすでに知っているもの(人)をさして)
intention(名)意図、意向
turn(自)(通例副詞句を伴って)(~の方に)向く、振り向く、振り返る
open(他)(ドア・目・容器・包み・手紙などを)あける、開く(⇔close、shut)
panel(名)(パネルにはめこまれた)鏡板(かがみいた)、壁板、羽目板
effect(名)(原因から直接引き起こされる)結果(⇔cause)
action(名)(具体的な)行動、行為
produce(他)(~を)引き起こす、招来する

Heathcliff stood near the entrance, in his shirt and trousers; with a candle dripping over his fingers, and his face as white as the wall behind him.

near(前)(場所・時間などを表わして)~の近くに、~に近く
entrance(名)入り口
in(前)(着用を表わして)~を着て、身につけて
his(代)彼の
trousers(名)(複)ズボン
with(前)(付帯状況を表わす句を導いて)~して、~したまま、~しながら(名詞の後に前置詞付きの句・副詞・形容詞・分詞などの補足的要素を従える)
candle(名)ろうそく
drip(自)(液が)(~から)したたる
as(副)(通例as ~ as ~で、形容詞・副詞の前に置いて)(~と)同じ程度に、同様に、同じくらい(as ~ as ~で前のasが指示副詞、後のasは接続詞)
as(接)(as ~ as ~で同程度の比較を表わして)~と同じく、~と同様に、~のように、~ほど

The first creak of the oak startled him like an electric shock: the light leaped from his hold to a distance of some feet, and his agitation was so extreme, that he could hardly pick it up.

creak(名)(通例単数形で)キーキー(ギーギー)鳴る音、きしる音、きしみ
oak(名)オーク材の製品(家具など)
startle(他)(人を)びっくりさせる、跳び上がらせる
like(前)~のような、~に似た
electric(形)電気の
shock(名)(電流が体内に流れて起こる)電撃、感電
light(名)灯火、明かり
leap(自)(通例副詞句を伴って)跳ぶ、はねる、跳躍する
hold(名)(手で)持つ(つかむ、握る)こと(=grip)
to(前)(到達点を表わして)~まで、~に至るまで ・from A to B AからBまで
foot(名)フィート、フット(長さの単位/=1/3 yard、12 inches、30.48センチ/足の長さに起因した名称)
agitation(名)(人心の)動揺、興奮
so(副)(程度・結果を表わして)(so ~ that ~で)(順送りに訳して)非常に~なので~
extreme(形)(行為・手段など)極端な、過激な(⇔moderate)
that(接)(副詞節を導いて)(so ~ thatの形で程度・結果を表わして)(非常に)~なので、~(する)ほど
could(助動)(直説法(叙実法)で用いて)(過去形の主節の時制の一致により従属節中のcanが過去形に用いられて)~できる、~してよい
pick up(ものを)拾い上げる、拾う

‘It is only your guest, sir,’ I called out, desirous to spare him the humiliation of exposing his cowardice further.

it(代)(心中にあるかまたは問題になっている人・もの・事情・出来事・行動などをさして) ・It's me.(それは)私です。
only(副)ただ~だけ、~にすぎない
your(代)あなた(たち)の、君(ら)の
guest(名)(下宿・ホテルなどの)泊まり客、宿泊人
sir(名)(男性への呼び掛け)あなた、先生、閣下、お客さん、だんな
call out 叫ぶ
desirous(形)望んで、願って、欲しがって(+to do)
spare(他)(人に)(苦労・苦痛を)免れさせる(+目+目)
humiliation(名)恥、屈辱、不面目
of(前)(同格関係を表わして)~という、~の、~である
expose(他)(秘密・悪事などを)暴露する、あばく、(実態などを)明らかにする
cowardice(名)臆病、卑怯(ひきょう)
further(farの比較級)(程度が)さらに進んで

‘I had the misfortune to scream in my sleep, owing to a frightful nightmare. I’m sorry I disturbed you.’

have(他)(~を)経験する、(事故などに)あう
misfortune(名)(大きな)不幸、不運 ・have the misfortune to do 不幸にも~する
scream(自)(恐怖・苦痛などのために)叫び声をあげる(in)
in one's sleep 眠りながら ・talk in one's sleep 寝言をいう
owing to ~(前置詞として)~のために
frightful(形)恐ろしい、ものすごい、ぞっとする(ぎょっとする)ような(=terrible)
nightmare(名)悪夢
I'm I amの短縮形
sorry(形)すまないと思って、悪かったと(申し訳なく)思って、後悔して(+that)
disturb(他)休息(など)を妨げる、妨害する

‘Oh, God confound you, Mr. Lockwood! I wish you were at the — ’ commenced my host, setting the candle on a chair, because he found it impossible to hold it steady.

confound(他)(軽いののしりの言葉に用いて)(~を)のろう ・Confound you! こんちくしょう!、ええ、いまいましい!
Lockwood(名)ロックウッド
wish(他)(現在の実現不可能なことの願望を表わして)(~であればよいのにと)思う(+that)(thatは省略されるのが普通で、節内には(仮定法)過去形が用いられる)
commence(他)開始する、始める
host(名)(旅館などの)亭主
because(接)(副詞節を導いて)(なぜなら)~だから(である)、~なので
find(他)(~が)(~であると)知る、感じる、わかる(+目+補)
impossible(形)不可能な(+to do)
hold(他)(~を)(ある状態・位置に)保っておく(+目+補)
steady(形)(足場・基礎など)しっかり(固定)した、ぐらつかない、安定した(⇔unsteady) ・hold A steady ぐらつかないようにAを押さえる

‘And who showed you up into this room?’ he continued, crushing his nails into his palms, and grinding his teeth to subdue the maxillary convulsions.

show up(~を)はっきり見えるようにする
continue(他)(~と)(再び)話を続ける、引き続いて言う(+引用)
crush(他)(人・ものを)(~に)押し込む、詰め込む(into)
nail(名)(人間などの)つめ
palm(名)手のひら
grind(他)(歯などを)ぎしぎしこすり合わせる ・grind one's teeth 歯ぎしりする
subdue(他)(色・音・態度などを)やわらげる、緩和(軽減)する
maxillary(形)<maxilla(名)上あご、上顎(じょうがく)骨
convulsion(名)(通例複数形で)けいれん、ひきつけ

‘Who was it? I’ve a good mind to turn them out of the house this moment?’

I've I haveの短縮形
have(他)(しばしば目的語に形容詞用法のto不定詞を伴って)((~すべき(できる))用事・時間などを)もっている、与えられている
good(形)(強意語として)(通例a ~)十分な
mind(名)(+to do)(~する)意向、つもり ・have a good mind to do よっぽど~しようかと思う
turn a person out of ~(人を)~から追い出す、追い払う
this(形)(指示形容詞)(たった)今の、現在の、今~、当~

‘It was your servant, Zillah,’ I replied, flinging myself on to the floor, and rapidly resuming my garments.

servant(名)召し使い、使用人(=domestic)
Zillah ジラ(女子名)
reply(他)(~と)答える(目的語には答える内容がくるので、人称代名詞やletterなどの名詞は用いられない)(+引用)
fling(他)(fling oneselfで)激しく身を投げる、激しく体を動かす
myself(代)(再帰的に用いて)(再帰動詞の目的語に用いて)(再帰動詞とともに全体で自動詞的な意味になる)
on(副)(接触などを表わして)上に、乗って
rapidly(副)速く、速やかに
resume(他)再び着用する、再び用いる
garment(名)(複数形で)衣服、衣類

‘I should not care if you did, Mr. Heathcliff; she richly deserves it. I suppose that she wanted to get another proof that the place was haunted, at my expense — Well, it is — swarming with ghosts and goblins! You have reason in shutting it up, I assure you. No one will thank you for a doze in such a den!’

should(助動)(仮定法で)(条件文の帰結節で、I shouldで現在または未来の事柄についての想像を表わして)~だろうに
care(自)関心をもつ、かまう
richly(副)(richly deserveで)十分に、完全に ・richly deserve ~ ~も当然だ
deserve(他)(~の)価値がある、(~を)受けるに足る
suppose(他)(知っていることから)推測する、思う、考える(+that)
that(接)(名詞節を導いて)(~)ということ/(目的語節を導いて)/(同格節を導いて)
want(他)(人が)(~することを)欲する、(~)したい(と思う)(+to do)
get(他)(~を)(~から)(努力して)得る、手に入れる
proof(名)証拠(+that)
place(名)(通例単数形で/one's ~)家、住まい
haunt(他)(幽霊などが)(ある場所に)出る、出没する(しばしば受身)
at a person's expense 人をからかって、人をねたにして
well(間)(安心・あきらめ・譲歩などを表わして)やれやれ、まあいいや
swarm(自)(場所が)(~で)いっぱいになる(with)
with(前)(材料・中身を表わして)~で
ghost(名)幽霊、亡霊、怨霊(おんりょう)(英米の幽霊は夜中の12時に現われ、ニワトリの声を聞いて姿を消すとされ、その姿は生前のままで足もある)
goblin(名)ゴブリン(醜い姿をしたいたずらな(意地悪な)小鬼)
in(前)(範囲を表わして)~において、~内で
shut up(家を)閉ざす
assure(他)(人に)(~を)保証する、請け合う(=guarantee)(+目+that)
one(代)(既述の語と関係なく修飾語を伴って)(特定または非特定の)人、もの
will(助動)(話し手の推測を表わして)~だろう
for(前)(対象)(報償・返報を表わして)(好意・成果など)に対して、~の返報として ・thank A for B Bに対してAに感謝する
doze(名)(a ~)居眠り、うたた寝、仮眠
such(形)(程度を表わして)(名詞の前に直接用いて/強意的に)大した、すごい、途方もない、とんでもない
den(名)(野獣の)巣、穴、ねぐら、ほら穴
【参考文献】
Wuthering Heights (Penguin Classics)』Emily Brontë・著
嵐が丘(上) (光文社古典新訳文庫)小野寺健・訳
新英和中辞典 [第7版] 並装』(研究社)
リーダーズ英和辞典 <第3版> [並装]』(研究社)
リーダーズ・プラス』(研究社)