『黄金時代』

この週末は、ブルーレイで『黄金時代』を見た。

1930年のフランス映画。
監督・脚本・編集は、『アンダルシアの犬』のルイス・ブニュエル
脚本は、『アンダルシアの犬』のサルバドール・ダリ
『アンダルシアの犬』に続く、ルイス・ブニュエルの監督第2作。
『アンダルシアの犬』は今までに何度か見たことがあるが、本作を見たのは初めて。
以前も書いたように、僕は前衛芸術には全く興味がない。
本作は、『アンダルシアの犬』を長くしたような感じである。
相変わらず、さっぱり分からない。
キリストを冒涜しているとかで、公開からまもなく、50年間上映禁止になった。
確かに、最後の方にキリストに似たオッサンが出て来るが。
ブニュエルは何の意図があって、こんな映画を作ったのか。
単に物議を醸したかっただけなのか。
まあ、そんなことを考えている時点で、相手の術中にはまってしまっている訳だが。
自称「映画通」みたいな人は、こういう分からない映画をありがたがって、さももっともらしく解釈して見せたりするが。
僕は別に映画通でも何でもないので、分からない映画は分からないままで一向に構わない。
そして、『2001年宇宙の旅』みたいに、分からないながらも、何かとてつもないスゴさを感じさせる作品もあるが、本作には特に何も感じなかった。
要するに、ちっとも面白くなかったのである。
僕は趣味で映画を見ているので、面白くない映画はそれで終了だ。
それ以上、追求するつもりはない。
ただ、映画史上有名な作品なので、一度くらいは見ておいてもいいかなというだけ。
モノクロ、スタンダード・サイズ。
本作は、『アンダルシアの犬』とは違ってトーキーである。
穏やかな音楽が流れる。
「サソリはクモ類の一種で熱帯地域を中心に生息する。」
サソリの観察。
「尾は5つの関節が連なったものである。」
「ハサミは戦いの道具、あるいは捕餌の役目をはたす。」
「尾の最後部には毒針があり、そこから毒が注射される。」
「日中は太陽の光を避け、岩の下に隠れている。」
「孤独を好み、侵入者は容赦なく排除する。」
「その電光石火の見事な攻撃はネズミさえも仕留める。」
ネズミを攻撃するサソリ。
「数時間後…」
海岸。
崖の上。
浮浪者(?)のような男。
銃を持っている。
岩の上では聖職者が何人か、ブツブツと祈りを捧げている。
男は岩場を歩いて小屋へ。
数人の男がいる。
皆、負傷している。
マヨルカ人がやって来た。」
「武器を持て。」
男達、外へ。
歩く途中で、次々に倒れる男達。
残って一人で歩く男。
岩がゴツゴツしている。
海岸に何艘ものボート。
ゾロゾロと上陸する人々。
岩場を歩く。
先程の男達より、服装から明らかに上流階級。
軍人もいる。
ガイコツが数体、見付かる。
さっきの聖職者だ。
突然、女の叫び声。
男に襲われている。
人々が寄ってたかって男と女を引き離す。
男の回想。
女の姿。
水洗トイレ。
溶岩?
小犬。
逃げる男。
小犬を蹴っ飛ばす。
動物虐待だ。
連行される。
何か演説している別の男。
昆虫を踏み潰す男。
『アンダルシアの犬』もそうだったが、不愉快な描写が多い。
箱。
「この石は西暦1930年、マヨルカ人の没地に設置。都市の設立を記すものである。その都市がある国は…」
マヨルカ人の都市。
ローマ帝国
「かつての異教徒の女王が今や教会の正座を占めている。その象徴であるバチカンの風景」
バチカン
『いい条件で住まいを貸してもらえた。いつでも入居できるぞ。早くお前に会いたい。従兄より』という貼り紙。
「この活気あふれる近代都市はローマ帝国を追い越した。」
「日曜日には…」
爆破された建物。
「絵になる華やかな大都会」
バイオリンを蹴っ飛ばしながら舗道を歩く男。
踏み付けて壊す。
頭に何かを載せて歩く男。
ポスターの手と冠が揺れる。
さっきの男が街を連行されている。
男の回想。
ある女。
女は指をケガしている。
父親は薬局に行った。
女は楽団を雇った。
マヨルカの方々が9時にやって来る。
ベッドの上に牛が横たわっている(意味不明)。
牛を追い出す女。
爪を研ぐ女。
連行される男を想う。
男に吠えるワンコ。
男は「私が誰か教えてやる」と言い、上着の内ポケットから書類を取り出して見せる。
驚く両脇の男。
男は国際友好協会特別使節に任命されたのであった。
タクシーを停め、盲目の男性を蹴っ飛ばし(虐待)、タクシーに乗って去る男。
「X侯爵のローマの館ではパーティーの準備が整った。」
男はX(エックス)公爵のローマ帝国の屋敷に到着。
さあ、これからどうなる?
知らん。
基本的に、残酷な描写が多い。
暴力や破壊。
それから、石膏像の男の指を舐める女があった。
これは気持ち悪いが、見ようによってはエロチックとも取れる。
ローマ帝国とかキリストが何故現代に出て来るのか。
知らん。
公開時、スクリーンに向かって右翼が爆弾を投げるという事件が起きたらしいが、何に対してそんなに腹が立ったのか。
キリストを冒涜しているかららしい。
僕は、この映画がちっとも面白くないことに腹が立ったが。

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『スケッチ・ブック』を原書で読む(第5回)

The Voyage(第1回)
(テキスト14ページ、1行目~)

THE VOYAGE

voyage(名)(船・飛行機・宇宙船による)旅、船旅、航海、飛行 ・make a voyage 航海する、旅に出る

Ships, ships, I will descrie you
Amidst the main,
I will come and try you,
What you are protecting,
And projecting,
What’s your end and aim.

descrie→descry(他)遠くに認める、はるかかなたに見つける
amidst(前)=amid(前)~の真ん中に
main(名)(the ~)大海原
come(自)(come to doで)(~しに)来る(現在時制の場合toなし原形がくることがある/またcome and doにもなる)
try(他)(人)に聞いて(話して)みる
what(代)(疑問代名詞)(不定数量の選択に関して用いて)何、どんなもの(こと)、何もの、何事/(目的語の場合)
protect(他)(~を)保護する、守る、防ぐ
project(他)(~を)計画する、企画する
what's what does(has、is)の短縮形
your(代)あなた(たち)の、君(ら)の
end(名)目的
aim(名)目的、志、計画 ・the aim and end 究極の目的

One goes abroad for merchandise and trading,
Another stays to keep his country from invading,
A third is coming home with rich and wealthy lading.

one(代)(単数形で)(another、the otherと対応して)一方(のもの)、片方
abroad(副)国外へ(に)、海外へ(に)(=overseas/⇔at home)・go abroad 海外に行く
for(前)(目的・意向を表わして)~のために、~を目的として
merchandise(名)(古)売買、商取引
trading(名)商業、貿易
another(代)(oneと対照的に)
stay(自)(副詞句を伴って)(場所に)居残る、とどまる
keep from(人・物が)(~するのを)妨げる、させないでおく(+doing)
his(代)彼らの
country(名)(通例one's ~)本国、祖国、故国
invade(自)侵入する
third(代)第3番目の人(もの)
come(自)(人・ものが)(ある場所に)到着する、やってくる
home(副)自国へ、故国へ ・come home 帰国する
with(前)(所持・所有を表わして)~を持って(た)、~のある
rich(形)(経験・収穫など)豊かな、豊富な
wealthy(形)豊富な、たくさんな
lading(名)船荷、貨物

Halloo! my fancie, whither wilt thou go?

halloo(間)おーい!、もし!、えっ!(人への呼び掛け・驚きの発声)
my(代)私の
fancie→fancy(名)(詩人・画家などの)創造的空想力
whither(副)(古)(疑問副詞)どこへ、どちらへ
wilt(助動)(古)willの2人称単数現在形
will(助動)(意志未来を表わして)(2人称を主語とする疑問文に用い、相手の意志を問い、また依頼・勧誘を表わして)~するつもりですか
thou(代)(2人称単数主格)なんじは、そなたは(これに伴う動詞はareがart、haveがhastとなるほかは-st、-estの語尾をつける)

OLD POEM

old(形)古い(⇔new)
poem(名)詩

To an American visiting Europe, the long voyage he has to make is an excellent preparative.

to(前)(行為・作用の対象を表わして)~にとっては、~には
American(名)アメリカ人、米国人 ・an American 米国人(一人)
visit(他)(場所を)訪れる、参観(参詣)する、見物に行く
Europe(名)ヨーロッパ、欧州(ウラル山脈がヨーロッパの東の境と考えられている/また英国ではEnglandまたはBritish Islesと対照してヨーロッパ大陸(the Continent)の意に用いる)
long(形)(時間・過程・行為など)長い、長期にわたる
have to do(~)しなければならない
make(他)(目的語に動作名詞を伴って、動詞と同じ意味をなして)(~を)する、行なう(同じ意味の表現より、この表現のほうが1回だけの行為であることが強調される)
excellent(形)優れた、一流の、すばらしい
preparative(名)準備(行為)

The temporary absence of worldly scenes and employments produces a state of mind peculiarly fitted to receive new and vivid impressions.

temporary(形)一時の、はかない(⇔permanent)
absence(名)ないこと、欠乏(=lack)(of)
of(前)(主格関係を表わして)(動作の行為者、作品の作者を表わして)~が、~の
worldly(形)この世の、世間の、世の中の(⇔unworldly)・worldly affairs 俗事
scene(名)情勢、状況
employment(名)(雇われて働く)職、仕事
produce(他)(~を)引き起こす、招来する
state(名)(通例単数形で)状態、ありさま、様子(of)
peculiarly(副)特に、格別に(=particularly、especially)
fitted(形)(~に)適して、ふさわしく(+to do)
receive(他)(印象・同情・打撲・侮辱などを)受ける
vivid(形)(描写・印象・記憶など)鮮やかな、目に見るような、真に迫った
impression(名)印象、感銘

The vast space of waters that separates the hemispheres is like a blank page in existence.

vast(形)広大な、広漠とした
space(名)空間
water(名)(複数形で)海
that(代)(関係代名詞)(人・ものを表わす先行詞を受けて通例制限用法で)(~する(である))ところの/(主語として)
separate(他)(~を)分けている、隔てている
hemisphere(名)(地球・天球の)半球
like(前)~のような、~に似た
blank(形)白紙の、空白の
page(名)(裏表の)一葉(2ページ分)
in(前)(状態を表わして)~の状態に(で)
existence(名)存在、実在、現在 ・in existence 現存の、存在して

There is no gradual transition by which, as in Europe, the features and population of one country blend almost imperceptibly with those of another.

there(副)(thereは形式上主語のように扱われるが、動詞の後に通例不特定のものや人を表わす主語が続く/「そこに」の意味はなく、日本語ではthere isで「~がある」の意になる)/(beを述語動詞として)
gradual(形)徐々の、全身的な、段階的な ・a gradual change 漸進的な変化
transition(名)移り変わり、移行、変遷、変化
by(前)(原因を表わして)~のために
which(代)(関係代名詞)(制限的用法で)~する(した)(もの、事)(通例「もの」を表わす名詞を先行詞とする形容詞節をつくる)/(目的格の場合)
as(接)(様態・状態を表わして)~のように
in(前)(場所・位置・方向などを表わして)~において、~で
feature(名)(著しい)特徴、特色(of)
population(名)(the ~/集合的/単数または複数扱い)(一定地域の)(全)住民(of)
one(形)(基数の1)(another、the otherと対照的に)一定の、片方の
blend(自)混ざる、混ざり合う(with)
almost(副)(形容詞・副詞を修飾して)だいたい、ほとんど
imperceptibly(副)いつのまにか
with(前)(混合・混同を表わして)~と
those(代)(指示代名詞)(前に述べた複数名詞の反復を避けるために用いて)それら(⇔these)

From the moment you lose sight of the land you have left, all is vacancy until you step on the opposite shore, and are launched at once into the bustle and novelties of another world.

from(前)(空間・時間などの起点を表わして)~から
lose sight of ~ ~を見失う
land(名)(海などに対して)陸、陸地(⇔sea)・travel by land 陸路で行く
leave(他)(場所を)去る、出る、出発する
all(代)(単数扱い)すべて(のもの)、万事
vacancy(名)空(から)(の状態)、空っぽ、空(くう)、空虚
until(接)(動作・状態の継続の期限を表わして)~まで(ずっと)
step(自)(~を)踏む(on)
opposite(形)反対側の、向こう側の、向かい合っている
shore(名)(海に対して)陸(地)
launch(他)(人を)送り出す、乗り出させる(into)
at once 同時に(=at the same time)
bustle(名)(単数形で)ざわめき、にぎわい ・the hustle and bustle of a city 都会のにぎわい(雑踏)
novelty(名)新しい(珍しい)物(事、経験)
another(形)別の、ほかの
world(名)(個人の見たり活動したりする場としての)世界、世間

In traveling by land there is a continuity of scene, and a connected succession of persons and incidents, that carry on the story of life, and lessen the effect of absence and separation.

in(前)(行為・活動・従事を表わして)~して、~に従事して(+doing)
by(前)(手段・方法・原因・媒介を表わして)(輸送・伝達の手段を表わして)~によって、~で ・by land 陸路で
continuity(名)一続き ・a continuity of ~ 一続きの~
of(前)(分量・内容を表わして/数量・単位を表わす名詞を前に置いて)~の
scene(名)(舞台面を思わせるような)景色、風景、光景
connected(形)つながった、連絡した
succession(名)(a ~)連続するもの、連続物(of)・a succession of ~の連続
incident(名)出来事
carry on(~を)続けていく、進める(=continue)
story(名)素姓、身の上(話)、来歴 ・the story of one's life 身の上話
lessen(他)(~を)少なく(小さく)する、減らす(⇔increase)
effect(名)影響
absence(名)不在、留守
separation(名)別離、離別

We drag, it is true, ‘a lengthening chain’ at each remove of our pilgrimage; but the chain is unbroken; we can trace it back link by link; and we feel that the last still grapples us to home.

drag(他)(通例副詞句を伴って)(重いものを)引っぱる、引いていく
It is true ~, but ~(反対意見を述べようとする前の譲歩的表現形式に用いて)なるほど~だがしかし~
lengthen(自)長くなる、のびる
remove(名)距離、隔たり
our(代)我々の、私たちの
pilgrimage(名)巡礼の旅、聖地詣(もう)で
unbroken(形)途切れない、打ち続く、引き続く
can(助動)(能力を表わして)~(することが)できる
trace(他)(~(の跡)を)(~にまで)たどる、追跡する
back(副)もとへ、もとの場所(状態)へ
link(名)(鎖の)環(かん)、輪
by(前)(前後に同じ名詞を用いて継続・反復を表わして)~ずつ
feel(他)(~と)思う(=think)(+that)
that(接)(名詞節を導いて)(~)ということ/(目的語節を導いて)
last(名)(通例the ~/単数または複数扱い)最後のもの(人)
still(副)まだ、今までどおり
grapple(他)(古)しっかりと結びつける(to)
to(前)(行為・作用の対象を表わして)~に大して、~に
home(名)生まれ故郷、郷里

But a wide sea voyage severs us at once.

wide(形)(面積が)広い、広大な ・the wide ocean 広大な大洋
sea(形)海の
sever(他)(~の)仲を裂く(断つ)
at once すぐに、直ちに

It makes us conscious of being cast loose from the secure anchorage of settled life, and sent adrift upon a doubtful world.

make(他)(~を)(~に)する(+目+補)
conscious(形)(~を)意識して、知って、(~に)気づいて(⇔unconscious)(of)
of(前)(目的格関係を表わして)(形容詞に伴って)~を
cast loose(人・船などを)解き放つ、はずす
from(前)(隔離・解放などを表わして)~から
secure(形)安全な、危険のない(⇔insecure)
anchorage(名)投錨(停泊)地
settled(形)(人・生活など)落ち着いた、安定した(=steady/⇔unsettled)
life(名)(通例修飾語を伴って)生活(状態)
send(他)(~を)(~の状態に)追いやる、する(+目+補)
adrift(形)(船が)漂って、漂流して ・be adrift on the open sea 大海原を漂流する
doubtful(形)(成り行きなど)おぼつかない、はっきりしない、あやふやな

It interposes a gulf, not merely imaginary, but real, between us and our homes—a gulf subject to tempest, and fear, and uncertainty, rendering distance palpable, and return precarious.

interpose(他)(~を)(~の間に)置く、挿入する(between)
gulf(名)湾、入り海
not merely ~ but ~ ~だけでなくまた~
imaginary(形)想像(上)の、架空の
real(形)(想像・空想でなく)現実の、実際の
and(接)(等位接続詞)(between ~ and ~で)~と~(との間に)
subject(形)(~を)受けやすくて、こうむりやすくて(to)
tempest(名)大あらし、暴風雨(雪)
uncertainty(名)不安、頼りなさ、変わりやすいこと
render(他)(人などを)(~に)する(=make)(+目+補)
distance(名)(距離の)隔たり、遠く離れていること
palpable(形)明白な、明瞭な
return(名)帰り、帰還、帰宅
precarious(形)事情次第の、不確かな、あてにならない、不安定な

Such, at least, was the case with myself.

such(代)(単数または複数扱い)(先行の名詞に代わり、また既述内容をさして補語に用いて)そのような人(もの)・such being the case こう(そう)いうわけだから
at least(前言より正確に言い直して)少なくとも
case(名)(the ~)事実、真相 ・Such being the case こういう事情(わけ)だから
with(前)(関係・立場を表わして)~について(の)・Such is the case with me. 私のほうはそういう事情です。
myself(代)(再帰的に用いて)(前置詞の目的語に用いて)私自身を(に)

As I saw the last blue line of my native land fade away like a cloud in the horizon, it seemed as if I had closed one volume of the world and its concerns, and had time for meditation, before I opened another.

as(接)(時を表わして)~している時、~したとたんに
see(他)(~を)見る、(~が)見える(+目+原形)
last(形)最後に残った、おしまいの
line(名)(溝・色帯・割れ目などの)筋、縞(しま)、線
native(形)出生地の、自国の、本来の ・one's native land 故郷
land(名)国、国土 ・one's native land 故国
fade(自)(次第に)消え去る、姿を消す(away)
away(副)(消失・除去を表わして)なくなって、(消え)去って ・fade away 消えうせる
cloud(名)雲
in(前)(行為・動作の方向を表わして)~の中に
horizon(名)地平線、水平線
it(代)(非人称動詞(impersonal verb)の主語として)(seem that ~の主語として)
seem(自)(itを主語として)(~には)(~のように)思われる(+as if)
as if(It seems as if ~で)~のように(見える、思える)
close(他)(ドア・窓・目・口などを)閉じる、閉める、とざす、ふさぐ(⇔open)
volume(名)(特に、分厚い)本
world(名)(the ~/単数扱い)(渡る)世間、世の中
its(代)それの、あれの、その
concern(名)(複数形で)(漠然と)こと、事柄、問題
have(他)((~すべき(できる))用事・時間などを)もっている、与えられている
time(名)(必要な)時間 ・have time for ~のための時間がある
meditation(名)(宗教的・精神修養の)瞑想(めいそう)(=contemplation)
before(接)~より前に、(~する)に先だって、~しないうちに
open(他)(本・新聞などを)広げる、開く
【参考文献】
The Sketch-Book of Geoffrey Crayon, Gent (Oxford World's Classics)』Washington Irving・著
スケッチ・ブック(上) (岩波文庫)』齊藤昇・訳
新英和中辞典 [第7版] 並装』(研究社)
リーダーズ英和辞典 <第3版> [並装]』(研究社)

『スケッチ・ブック』を原書で読む(第4回)

The Author's Account of Himself(第3回)
(テキスト13ページ、1行目~)

I cannot say that I have studied them with the eye of a philosopher; but rather with the sauntering gaze with which humble lovers of the picturesque stroll from the window of one print-shop to another; caught, sometimes by the delineations of beauty, sometimes by the distortions of caricature, and sometimes by the loveliness of landscape.

say(他)(人に)(~と)言う、話す、述べる、(言葉を)言う(+that)
that(接)(名詞節を導いて)(~)ということ/(目的語節を導いて)
study(他)(~を)(綿密に)調査する、検討する
with(前)(道具・手段を表わして)~を用いて、~で ・with one's own eyes 自分の目で
eye(名)(通例単数形で)物を見る目、観察力、眼識(of)
philosopher(名)哲学者
rather(副)どちらかといえば、いやむしろ
saunter(自)(副詞句を伴って)(のんびり)散歩する
gaze(名)(単数形で)熟視、注視、凝視
which(代)(関係代名詞)(制限的用法で)~する(した)(もの、事)(通例「もの」を表わす名詞を先行詞とする形容詞節をつくる)/(目的格の場合)
humble(形)控えめな、地味な
lover(名)(芸術などの)愛好者(of)
of(前)(目的格関係を表わして)(しばしば動作名詞または動名詞に伴って)~を、~の
picturesque(名)(the ~)絵のように美しいもの、(芸術・自然・言語などにおける)絵画的(美的)特質
stroll(自)(通例副詞句を伴って)ふらつく、散歩する(=wander)
window(名)(商店の)飾り窓、陳列窓、ショーウィンドー
one(形)(基数の1)(another、the otherと対照的に)一方の、片方の
printshop(名)版画店
to(前)(到達点を表わして)~まで、~に至るまで ・from A to B AからBまで
catch(他)(人の注意などを)引く
delineation(名)(線・図形による)描写
beauty(名)美人
distortion(名)ゆがめること
caricature(名)カリカチュア、風刺画、戯画(文)(人物の特徴などを人目をひき興味をそそるように誇張して描いた漫画(文)
loveliness(名)<lovely(形)すばらしい、愉快な
landscape(名)風景画

As it is the fashion for modern tourists to travel pencil in hand, and bring home their portfolios filled with sketches, I am disposed to get up a few for the entertainment of my friends.

as(接)(原因・理由を表わして)~だから、~ゆえに
it(代)(形式主語としてあとにくる事実上の主語の不定詞句・動名詞句・that節などを代表して)
fashion(名)(服装・風習などの)流行、はやり(の型)、時の好み
tourist(名)観光(旅行)者、観光客、旅行家
in hand 手に、掌中に
home(副)わが家へ
their(代)彼ら(彼女ら)の
portfolio(名)紙ばさみ式の画集、画帳
with(前)(材料・中身を表わして)~のせいで、~のゆえに、~のために
sketch(名)スケッチ、写生(図)、下絵、素描
disposed(形)(~したい)気がして、気を起こして(=inclined)(+to do9
get up 起草する、書き上げる
few(代)(複数扱い)(a ~の形で肯定的用法で)少数の人(もの)(=some)
for(前)(目的・意向を表わして)~のために、~を目的として
entertainment(名)歓待、もてなし(of)
my(代)私の

When, however, I look over the hints and memorandums I have taken down for the purpose, my heart almost fails me at finding how my idle humor has led me aside from the great objects studied by every regular traveler who would make a book.

when(接)~する時、~時(時を表わす副詞節をつくる)
look over ~ ~に(ざっと)目を通す、~を調べる
hint(名)ほのめかし、暗示、ヒント
memorandum(名)覚え書き、備忘録、メモ
take down(~を)書き取る(=write down)
purpose(名)目的、意図
heart(名)(感情、特に優しい心・人情が宿ると考えられる)心、感情
almost(副)(動詞を修飾して)もう少しで、すんでのところで、~するばかりに
fail(他)(いざという時に)(人の)役に立たない、(人を)見捨てる ・My memory fails me. 思い出せない。
at(前)(感情の原因を表わして)~に(接して)、~を見て、聞いて、考えて
find(他)(~が)(~であると)知る、感じる、わかる
how(副)(疑問詞)(感嘆文に転用して)(節を導いて)
idle(形)(人が)怠惰な、なまけている
humor(名)(人の)気質、気性
lead(他)(副詞句を伴って)(人を)(~に)導く、案内する
aside(副)わきへ(に)、かたわらに
great(形)重大な、重要な
object(名)(動作・感情などの)対象 ・an object of study 研究の対象
regular(形)一定の、不変の、定まった、いつもの(=usual)・a regular customer 常客
traveler(名)旅行者、旅人
who(代)(関係代名詞)(制限的用法で)~する(した)(人)(通例「人」を表わす名詞を先行詞とする形容詞節をつくる)/(主格の場合)
would(助動)(強い願望・選択を表わして)~したいと思う
make(他)(詩・文章などを)創作する、著わす

I fear I shall give equal disappointment with an unlucky landscape painter, who had traveled on the continent, but, following the bent of his vagrant inclination, had sketched in nooks, and corners, and by-places.

fear(他)(よくない事態を気づかって)(~ではないかと)思う、気づかう、恐れる(+that)
give(他)(感情・状態・性質などを)生じさせる、添える
equal(形)(数量・程度など)等しい、相等しい(with)
disappointment(名)失望、期待はずれ
with(前)(比較・同等の対象を導いて)~と
unlucky(形)運の悪い、不幸せな、ついてない
painter(名)画家、絵かき
who(代)(非制限的用法で/通例前にコンマが置かれる)そしてその人は
continent(名)(the Continent)ヨーロッパ大陸、(特に)西欧(英国・アイルランドに対して)
follow(他)(方針・計画などに)従う
bent(名)好み、性癖、傾向、素質、才能
his(代)彼の
vagrant(形)放浪する、さまよう、流浪の、さすらいの
inclination(名)(気質的な)傾向、性向
sketch(自)写生する
in(前)(場所・位置・方向などを表わして)~において、~で
nook(名)へんぴな土地、人目につかない所
corner(名)人目につかない所、へんぴな場所、片隅
by-place(名)へんぴな所、人目につかない所、片隅

His sketch-book was accordingly crowded with cottages, and landscapes, and obscure ruins; but he had neglected to paint St. Peter’s, or the Coliseum; the cascade of Terni, or the bay of Naples; and had not a single glacier or volcano in his whole collection.

sketch-book(名)(文学作品の)小品集、短編集
accordingly(副)それに応じて、適宜に
crowded(形)込み合った、混雑した、満員の
with(前)(材料・中身を表わして)~で
cottage(名)(特にいなかの)小家屋、いなか家、コテージ
landscape(名)(田園風景など一目で見渡せる)景色、風景、見晴らし、眺望
obscure(形)(場所など)人目につかない
ruin(名)(しばしば複数形で)荒廃の跡、廃墟(はいきょ)
neglect(他)怠って(~)しない、(~するのを)忘れる(+to do)
paint(他)(~を)(生き生きと)描写(叙述、表現)する
St. Peter's(名)サンピエトロ大聖堂(バチカン市国にあり、カトリック教会の総本山)
coliseum(名)(the Coliseum)=Coloseum(名)(the ~)コロセウム(ローマの円形大演技場/紀元1世紀ごろの建造で、剣闘士の試合やキリスト教徒の殉教の場として知られた遺跡)
cascade(名)小滝、階段上に連続する滝
Terni テルニ(イタリア中部Umbria州の都市)
bay(名)(小)湾、入り江
Naples(名)ナポリ(イタリア南部の港市)
not a ~ ただ一人(ひとつ)の~も~でない(noの強調形/not a singleはさらに強い形)
single(形)(否定語を伴って)ただのひとつ(一人)も(ない)
glacier(名)氷河
or(接)(否定文で)~も~も(ない)
volcano(名)火山
in(前)(範囲を表わして)~において、~内で
collection(名)作品集、選集
【参考文献】
The Sketch-Book of Geoffrey Crayon, Gent (Oxford World's Classics)』Washington Irving・著
スケッチ・ブック(上) (岩波文庫)』齊藤昇・訳
新英和中辞典 [第7版] 並装』(研究社)
リーダーズ英和辞典 <第3版> [並装]』(研究社)
リーダーズ・プラス』(研究社)
新英和大辞典 第六版 ― 並装』(研究社)

『西部戦線異状なし』

この週末は、ブルーレイで『西部戦線異状なし』を再見した。

西部戦線異状なし [Blu-ray]

西部戦線異状なし [Blu-ray]

  • 発売日: 2012/05/09
  • メディア: Blu-ray
1930年のアメリカ映画。
我が家にあるブルーレイでは、一番古いトーキー映画である。
僕が学生の頃、和久井映見目当てで、「事件は現場で起きているんだ」が主演で、シャブ中が主題歌を歌っている『就職戦線異状なし』というクソ映画を観に行ったことがあるが、これはもちろん、本作からタイトルをパクッている。
監督はルイス・マイルストン
原作はエーリッヒ・マリア・レマルク
主演は、『最後の猿の惑星』『オーメン2/ダミアン』のリュー・エアーズ。
モノクロ、スタンダード。
古典的なテーマ曲から始まる。
画質は素晴らしい。
とても90年前の映画だとは思えない。
最近のデジタル修正技術の進歩はスゴイ。
更に、エイゼンシュテインの後だから、既に映画の文法は出来上がっている。
今見ても、古びた感じはしない。
考えてみれば、トーキー最初期の映画なんだよな。
冒頭、「この物語は非難でも懺悔でもなく、ましてや冒険談でもない。なぜなら死に直面した者にとって死は冒険ではないからだ。これは、たとえ砲弾から逃れたにしても戦争によって破滅させられた、ある時代の男たちを描こうとしただけである」という字幕が出る。
舞台は第一次世界大戦中のドイツ。
掃除をしている老夫婦。
街には戦場へ行く兵隊の群れが溢れている。
「フランスから捕虜を連れて来た」などという会話が交わされている。
老夫婦の家に配達に来た郵便屋も入隊することに決めたと言う。
大学であろうか、老先生が学生を好戦的に鼓舞している。
まるで、『スターシップ・トゥルーパーズ』みたいだ。
黒板には何語か分からない言葉が筆記体で書かれている。
ウムラウトがあるので、多分、ドイツ語だろう。
字幕が出ないので、何と書いてあるのかは分からない。
先生は、ラテン語の格言も述べる。
これも字幕は出ない。
それはともかく、先生に感化された学生達が、次々に立ち上がって、戦争へ行く決意を表明する。
その中には、主人公のポール(リュー・エアーズ)もいる。
授業は、学生が皆、戦争へ行くので、これにて終了。
志願した新人達の訓練が始まる。
郵便配達員が訓練教官(ヒンメルストス軍曹)になっている。
気軽に話し掛ける学生達を怒鳴り付ける訓練教官。
軍隊には階級があるのだ。
ヒンメルストスは、新人達をしごきまくる。
まるで、『フルメタル・ジャケット』である。
本作には、既に後の戦争映画の名作と呼ばれる作品の原型が詰まっている。
泥の中で匍匐前進させられるシーンがスゴイ。
どうでもいいが、本作はドイツが舞台なのに、セリフは英語である。
夜、新人達は、酔っ払ったヒンメルストスを袋叩きにして、溜飲を下げる。
翌日から、彼らは前線に送られた。
早くも、仲間がやられる。
更に、早速新人イジメの洗礼。
食事調達人のカチンスキイは、「戦場ではカネなんか紙切れだ。酒かタバコを持って来い」と言う。
夜、鉄条網の敷設を命じられる新兵達。
本物の砲撃に、ビビってお漏らしする者もいる。
戦場の洗礼。
ユーモラスに描きつつも、生々しい。
この時代に夜間撮影がまともに行われているのがスゴイ。
ポールの親友のべームが無残な死を遂げる。
仲間が敵に撃たれても、助けに行ってはいけない。
自分もやられてしまうからである。
新兵達は、だんだんおかしくなって来る。
つい先日には、あれほど血気盛んだったのに。
宿舎にはドブネズミの群れ。
皆で叩きのめす。
とても、まともな人間とは思えない。
翌日、激しい戦闘が始まる。
この戦闘シーンは、凄まじい迫力である。
当然のことながら、CGなどない時代だ。
いや、現在のCGまみれの映画では、この本物の迫力は決して出せないだろう。
戦闘シーンに説得力があるからこそ、反戦のメッセージが生きて来る。
撮影は大変だったに違いない。
昨今のCG映画の戦闘シーンなんて、ゲームの画面を見ているようにしか見えない。
もっとも、ボタン一発で大量の人を殺せるなど、実際の戦争もゲーム化しているのかも知れないが。
鉄条網をつかんだ兵士が爆撃され、両腕だけが残るシーンなど、大変ショッキングである。
でも、これが戦争の真実なのだろう。
塹壕の中に敵の歩兵たちが突っ込んで来て、銃剣で片っ端から突き刺す。
本当に生々しい戦闘描写である。
記録フィルムのようだ。
戦闘シーンはトーキーならでは(爆発音など)。
兵士達は、瓶の口を割って、酒を回し飲みする。
血の付いたパンをかじる。
150人いた隊が、1日で80人に減ってしまった。
ケガをした仲間を見舞いに行く。
彼は足を切断したのだ。
「これで家に帰れる」という。
でも、彼は助からない。
持ち物は盗まれる。
軍医は、少しくらい具合が悪い兵がいても、一々構っていられない。
何しろ、足を切断した者だけでも何十人もいるのだ。
戦場では、どんどん死者が出る。
元上官のヒンメルストスも、戦場では腰砕けだ。
実際の戦場では、最早階級など意味を持たないのである。
さあ、これからどうなる?
この後も、戦争の悲惨さを切々と綴る。
決して大袈裟な演出ではない。
むしろ、ユーモアも交えているくらいだが。
戦争の恐ろしさが伝わって来る。
以前、野党が批判していた安保法案を「戦争法案」と言い切っていいのかは、僕には分からない。
しかし、自衛隊は、いざと言う時には実際の戦闘に巻き込まれる。
死者も出るかも知れない。
軍隊の仕事と言ってしまえばそれまでだが。
果して、それでいいのか。
僕の高校の同級生が自衛隊に入って職業軍人になった時、彼のお母さんは電話口で泣いていた。
本作の後半は、いよいよ主人公が大変な状況に追い込まれて、見ていられない。
ラスト・シーンは、静かだが、辛い。
あらゆる戦争映画は、本作の焼き直しに過ぎない。
アカデミー賞作品賞、監督賞受賞。

All Quiet on the Western Front Official Trailer #1 - Lew Ayres Movie (1930) HD

『スケッチ・ブック』を原書で読む(第3回)

The Author's Account of Himself(第2回)
(テキスト12ページ、3行目~)

Her mighty lakes, like oceans of liquid silver; her mountains, with their bright aerial tints; her valleys, teeming with wild fertility; her tremendous cataracts, thundering in their solitudes; her boundless plains, waving with spontaneous verdure; her broad deep rivers, rolling in solemn silence to the ocean; her trackless forests, where vegetation puts forth all its magnificence; her skies, kindling with the magic of summer clouds and glorious sunshine;—no, never need an American look beyond his own country for the sublime and beautiful of natural scenery.

her(代)彼女の
mighty(形)巨大な
lake(名)湖、湖水
like(前)~のような、~に似た
ocean(名)(複数形で)たくさん(of)
of(前)(分量・内容を表わして/数量・単位を表わす名詞を前に置いて)~の
liquid(形)液体の、液状の
silver(名)銀
with(前)(所持・所有を表わして)~を持って(た)、~のある
their(代)彼ら(彼女ら)の
bright(形)(色が)あざやかな、さえた(⇔dull)
aerial(形)空気の、大気の
tint(名)色合い
valley(名)(山にはさまれた広い)谷、谷間
teeming(形)豊富な、うようよするほどの(with)
with(前)(材料・中身を表わして)~で
wild(形)自然のままの
fertility(名)(創意などの)豊富さ
tremendous(形)(大きさ・量・程度など)ものすごい、巨大な、とても大変な
cataract(名)瀑布(ばくふ)、大滝
thundering(形)雷のようにとどろく
solitude(名)寂しい場所、荒野
boundless(形)無限の、限りのない
plain(名)(しばしば複数形で)平原、平地、平野、(樹木の少ない)草原
wave(自)(波のように)揺れる(=sway)
spontaneous(形)自生の(樹木・果実)
verdure(名)緑の草木、新緑の若葉
broad(形)幅の広い、広々とした(⇔narrow)
roll(自)(副詞句を伴って)(土地が)起伏する、(川などが)滔々(とうとう)と流れる ・The Mississippi rolls south to the Gulf of Mexico. ミシシッピー川は南へ流れてメキシコ湾にそそぐ。
in(前)(状態を表わして)~の状態に(で)
solemn(形)厳粛な、まじめな、重々しい、荘重な、荘厳な、謹厳な
silence(名)静粛、静けさ
to(前)(方向を表わして)(到達の意を含めて)~まで、~へ、~に
ocean(名)(通例the ~)大洋、海洋
trackless(形)人跡未踏の
where(副)(関係副詞)(非制限的用法で/通例前にコンマが置かれる)そしてそこに(で)
vegetation(名)草木、植物
put forth(芽・葉を)出す
all(形)(性質・程度を表わす抽象名詞を修飾して)あらん限りの、最大の、最高の
its(代)それの、あれの、その
magnificence(名)壮大、雄大、荘厳、壮麗
kindle(自)(感情が)燃え上がる、かき立てられる、わき上がる
with(前)(原因を表わして)~のせいで、~のゆえに、~のために
magic(名)魔法、魔術
summer(形)夏の、夏季の
cloud(名)雲
glorious(形)燦然(さんぜん)たる ・a glorious sunset さん然たる入り口
sunshine(名)日光
no(副)(notまたはnorの前に挿入的に用い、強意の否定を示して)いや、いな
never(副)(notよりも強い否定を表わして)決して~ない
need(助動)~する必要がある
American(名)アメリカ人、米国人 ・an American 米国人(一人)
look for ~ ~を得ようと求める
beyond(前)(否定文・疑問文で用いて)~よりほかは
his(代)彼の
country(名)(通例one's ~)本国、祖国、故国
sublime(形)(the ~/名詞的に/単数扱い)荘厳美、崇高なもの
beautiful(形)(the ~/名詞的に)(単数扱い)美
scenery(名)(一地方全体の)風景、景色

But Europe held forth the charms of storied and poetical association.

Europe(名)ヨーロッパ、欧州(ウラル山脈がヨーロッパの東の境と考えられている/また英国ではEnglandまたはBritish Islesと対照してヨーロッパ大陸(the Continent)の意に用いる)
hold forth(意見などを)公表する、提示する
charm(名)魅力、人を引きつける力
storied(形)物語(歴史、伝説(など))で名高い
poetical(形)=poetic(形)詩の
association(名)観念連合、連想

There were to be seen the masterpieces of art, the refinements of highly-cultivated society, the quaint peculiarities of ancient and local custom.

there(副)(thereは形式上主語のように扱われるが、動詞の後に通例不特定のものや人を表わす主語が続く/「そこに」の意味はなく、日本語ではthere isで「~がある」の意になる)/(beを述語動詞として)
be(助動)(be+to doで)(可能を表わして)~することができる(通例see、findなどの受身の不定詞が伴う)
masterpiece(名)傑作、名作、代表作
art(名)芸術
refinement(名)洗練、上品、高尚、優雅
highly(副)(強意語として)大いに、たいへん、非常に、とても(=very)
cultivated(形)教化(洗練)された、教養のある、上品な(=refined)
society(名)社会
quaint(形)(特に、古くて)風変わりでおもしろい、古風で趣のある
peculiarity(名)特色、特性(of)
ancient(形)古来の、古くからの ・an ancient custom 古来の慣習
local(形)(特定の)地方の、地元の、地域特有の ・a local custom 地元の習慣
custom(名)慣習、風習、慣例

My native country was full of youthful promise: Europe was rich in the accumulated treasures of age.

my(代)私の
native(形)出生地の、自国の、本来の ・one's native land 故郷
full(形)多くて、たくさんいて(of)
of(前)(目的格関係を表わして)(形容詞に伴って)~を
youthful(形)若者の(に適した)、青年らしい(特有の)
promise(名)(またa ~)(将来の明るい)見込み、有望
rich(形)(~が)豊富で、潤沢で(in)
in(前)(性質・能力・芸などの分野を限定して)~において、~が
accumulate(他)(長期にわたって)(~を)ためる、蓄積する
treasure(名)宝物、財宝(特に蓄えられた古銭・金銀・宝石類)
age(名)長い間

Her very ruins told the history of times gone by, and every mouldering stone was a chronicle.

very(形)(the、this、thatまたは所有格人称代名詞に伴って強意を表わして)まさしくその、ちょうどその、~にほかならない
ruin(名)(しばしば複数形で)荒廃の跡、廃墟(はいきょ)
tell(他)(ものが)(~を)表わす、示す
time(名)(通例複数形で)(歴史上の)時代、年代、(~)代
go by(時・期間が)過ぎ去る
moulder(英)(自)(徐々に)腐る、朽ちる、崩壊する
chronicle(名)年代記編年史

I longed to wander over the scenes of renowned achievement—to tread, as it were, in the footsteps of antiquity—to loiter about the ruined castle—to meditate on the falling tower—to escape, in short, from the common-place realities of the present, and lose myself among the shadowy grandeurs of the past.

long(自)(~したいと)熱望する(+to do)
wander(自)(副詞句を伴って)(あてもなく)歩き回る、さまよう
over(前)一面に、~の上をあちこち
scene(名)(the ~)(事件・物語などの)現場、場面、舞台(of)
renowned(形)有名な、高名な
achievement(名)業績、偉業
tread(自)歩く、行く
as it were(挿入句的に用いて)いわば、まるで
footstep(名)足跡
antiquity(名)古人、古代人(集合的)
loiter(自)(通例副詞句を伴って)道草を食う、ぶらぶら歩く
about(前)(周囲を表わして)~のあたりに、~の近くに
ruined(形)破滅(荒廃)した ・a ruined castle 荒れ果てた城
castle(名)城、城郭
meditate(自)(~について)黙想する、静思する、熟慮する(on9
on(前)(関係を表わして)~について、~に関する
fall(自)(建物などが)倒壊する
tower(名)塔、タワー
in short 一口に言えば、要するに
from(前)(隔離・解放などを表わして)~から
commonplace(形)平凡な、単調な、陳腐な
reality(名)真実、現実、事実
present(名)(the ~)現今、現在
lose(他)(lose oneselfで)(~の中に)姿を消す、隠れる
myself(他)(再帰的に用いて)(再帰動詞の目的語に用いて)(再帰動詞とともに全体で自動詞的な意味になる)
shadowy(形)知られていない、うかがい知れない、怪しい、やみの(=mysterious)
grandeur(名)威厳、威光、偉大
past(名)(the ~)過去

I had, beside all this, an earnest desire to see the great men of the earth.

have(他)(感情・考えなどを)(心に)抱いている
beside(前)~のほかに
this(代)(指示代名詞)(すぐ前に言われたことをさして)こう、こういう、このこと
earnest(形)まじめな、真剣な
desire(名)(~を求める)欲望、欲求 ・have a desire to do ~したいという欲求がある
see(他)(人に)会いに行く、(人を)訪問する、見舞う
great(形)(能力・価値・重要性など)偉大な、すぐれた、卓越した ・a great man 偉人
man(名)(男女を問わず一般に)人、人間
earth(名)(通例the ~)(天空に対して)地、地表、地上

We have, it is true, our great men in America: not a city but has an ample share of them.

have(他)(ある関係を表わして)(肉親・友人などが)いる、(~が)ある
it(代)(形式主語としてあとにくる事実上の主語の不定詞句・動名詞句・that節などを代表して)
our(代)我々の、私たちの
in(前)(場所・位置・方向などを表わして)~において、~で ・in London ロンドンで(に)
America(名)アメリカ合衆国
not a ~ ただ一人(ひとつ)の~も~でない(noの強調形)
but(代)(関係代名詞)(否定の不定代名詞またはno+名詞を先行詞とする関係代名詞として)(古)~でない(もの、人)・There is no one but knows it. それを知らない者はない。
ample(形)(余るほど)十分な
share(名)(単数形で)(一人の人が持つ)分け前、取り分 ・have a share of ~の分け前を持っている

I have mingled among them in my time, and been almost withered by the shade into which they cast me; for there is nothing so baleful to a small man as the shade of a great one, particularly the great man of a city.

mingle(自)(人が)(他の人と)つき合う、交際する
in(前)(時間を表わして)~(のうち)に、~の間、~中
time(名)(one's ~)(人の関係していた)時期、ころ ・in my time 私のいたころに
almost(副)(動詞を修飾して)もう少しで、すんでのところで、~するばかりに
wither(他)(人を)萎縮(いしゅく)させる、ひるませる
shade(名)(古)影(=shadow)
which(代)(関係代名詞)(制限的用法で)~する(した)(もの、事)(通例「もの」を表わす名詞を先行詞とする形容詞節をつくる)/(目的格の場合)
cast(他)(通例副詞句を伴って)(ものを)投げる、ほうる
for(接)(通例コンマ、セミコロンを前に置いて、前文の付加的説明・理由として)という訳は~だから(=as、since)
so(副)(程度を表わして)(so ~ as ~で)(否定語の後で)~ほどには~、~と同じ程度には~(でない)
baleful(形)害を与える、有害な
to(前)(行為・作用の対象を表わして)~にとっては、~には
small(形)(古)地位(階層)の低い、平凡な
as(接)(as(so)~ as ~で同程度の比較を表わして)~と同じく、~と同様に、~のように、~ほど
one(名)(既出の可算名詞の反復を避けて)(その)一つ、それ
particularly(副)特に、とりわけ

But I was anxious to see the great men of Europe; for I had read in the works of various philosophers, that all animals degenerated in America, and man among the number.

anxious(形)切望して(+to do)
read(他)(~で)(~を)読んで知る(in)(+that)
in(前)(範囲を表わして)~において、~内で ・in the second chapter 第2章に ・in my opinion 私の意見(考え)では
work(名)著作、著述(of)
of(前)(主格関係を表わして)(動作の行為者、作品の作者を表わして)~が、~の ・the plays of Shakespeare シェイクスピアの戯曲(ofは作品すべてを表わす)
various(形)(複数名詞を伴って)さまざまな、いろいろな、個々別々の(=varied)
philosopher(名)哲学者
that(接)(名詞節を導いて)(~)ということ/(目的語節を導いて)
all(形)(複数名詞の前に置いて)あらゆる、すべての、みな
degenerate(自)退化する
man(名)(無冠詞で総称的に)(動物と比較して)人、人間
among(前)(仲間・同数)の中の一人(一つ)で
number(名)仲間、連中 ・among the number 数に入って

A great man of Europe, thought I, must therefore be as superior to a great man of America, as a peak of the Alps to a highland of the Hudson; and in this idea I was confirmed, by observing the comparative importance and swelling magnitude of many English travelers among us, who, I was assured, were very little people in their own country.

think(他)(~と)思う、考える(+that)
must(助動)(当然の推定を表わして)~にちがいない、~に相違ない、きっと~だろう
therefore(副)それゆえに、従って、それ(これ)によって(=consequently)
as(副)(通例as ~ as ~で、形容詞・副詞の前に置いて)(~と)同じ程度に、同様に、同じくらい(as ~ as ~で前のasが指示副詞、後のasが接続詞)
superior(形)(位置・階級が)上位の(to)
to(前)(比較を表わして)~と比べて、~より ・be superior to ~よりもすぐれている
peak(名)(とがった)山頂、峰
Alps(名)(複)(the ~)アルプス(フランス・イタリア・スイス・オーストリアにまたがって東西に走る山脈/最高峰Mont Blanc(4807 m))
highland(名)高地、高原、山地(⇔lowland)
Hudson(名)(the ~)ハドソン川(米国New York州の東部を流れる川)
this(形)(指示形容詞)この(⇔that)/(対話者同士がすでに知っているもの(人)をさして)
idea(名)(~という)考え、意見、見解
confirm(他)(決心・意見などを)強める、固める(in)
by(前)(手段・方法・原因・媒介を表わして)(doingを目的語にして)(~すること)によって
observe(他)(~を)(観察によって)認める、目撃する
comparative(形)他と比較しての、相対的な、かなりの(⇔absolute)
importance(名)尊大さ、もったいぶり
swell(自)(数量・強さなどが)(~に)増加する、増大する、(音などが)高まる
magnitude(名)(廃)(人格・地位の)偉大さ、高貴さ
English(形)(俗に)イギリス人の、英国人の
traveler(名)旅行者、旅人
who(代)(関係代名詞)(非制限的用法で/通例前にコンマが置かれる)そしてその人は
assured(形)(~を)確信して
little people(名)一般庶民
country(名)(通例one's ~)本国、祖国、故国

I will visit this land of wonders, thought I, and see the gigantic race from which I am degenerated.

will(助動)(意志未来を表わして)(1人称の主語に伴い、発話時の話者の意志を表わし、約束・諾否・主張・選択などを示して)~するつもりである、~しようと思う
visit(他)(場所を)訪れる、参観(参詣)する、見物に行く
this(形)(指示形容詞)この(⇔that)/(近くの時・所をさして)
land(名)国、国土
wonder(名)驚嘆すべき(不思議な)もの(出来事)
gigantic(形)巨人のような
race(名)民族
from(前)(変化・推移を表わして)~から(~へ)
degenerate(他)悪化(劣化、退化)させる

It has been either my good or evil lot to have my roving passion gratified.

either(副)(either ~ or ~で相関接続詞的に)~かまたは~か(どちらでも、いずれかを)
good(形)(道徳的に)良い、善良な、有徳の(⇔evil)
or(接)(二つまたはそれ以上の選択すべき文法上同性質の語・句・節を対等につないで)(eitherと相関的に用いて)~かまたは~か
evil(形)(道徳的に)悪い、よこしまな、邪悪な
lot(名)運、運命
have(他)(~を)(~)してしまう(完了を表わす)(+目+過分)
roving(形)流浪する
passion(名)(単数形で)(~に対する)熱愛、熱中、熱狂
gratify(他)(欲望・気まぐれなどを)満たす

I have wandered through different countries, and witnessed many of the shifting scenes of life.

through(前)(あちこち至る所を表わして)~じゅうを(に)、~の間を(あちこち)
different(形)(複数名詞を伴って)いろいろな、さまざまな
witness(他)(~を)目撃する、見る
many(代)(複数扱い)多数(の人、もの)(of)
shifting(形)移動(性(式))の、流動(性)の
scene(名)情勢、状況
life(名)世間、この世
【参考文献】
The Sketch-Book of Geoffrey Crayon, Gent (Oxford World's Classics)』Washington Irving・著
スケッチ・ブック(上) (岩波文庫)』齊藤昇・訳
新英和中辞典 [第7版] 並装』(研究社)
リーダーズ英和辞典 <第3版> [並装]』(研究社)
リーダーズ・プラス』(研究社)

『アンダルシアの犬』

この週末は、ブルーレイで『アンダルシアの犬』を再見した。

1928年のフランス映画。
監督・製作・脚本・編集は、前衛映画の巨匠ルイス・ブニュエル
脚本はサルバドール・ダリ
本作を初めて見たのは、確か浪人中にVHSでだったと思う。
学生の頃、早稲田通りにあったACTミニシアターで、『カリガリ博士』や『戦艦ポチョムキン』と共に毎週、オールナイト上映されていた。
僕はACTミニシアターの年間会員であったにも関わらず、その時は見ていない。
大人になってから、DVDで見返した。
確かに強烈なインパクトのある映画であるが、僕は前衛芸術とかシュルレアリスムとかは全く理解出来ないので、今もって、さっぱり分からない作品である。
まあ、目ん玉をカミソリで切るシーンとか、アリが群がっているシーンとか、手首が落ちているシーンは、よく覚えているが。
モノクロ、スタンダード。
元々はサイレント映画だが、本ディスクに収録されているのは、1960年に公開されたサウンド版。
タンゴみたいな曲が流れる。
「1960年 L・ブニュエルの指示の下に本映画の音響が制作された。これは、その初回上映を再現したものである。」
画質は良い。
「昔々、ある所に…」
カミソリを研ぐ男。
夜空に月。
カミソリで女の眼球を切る。
「8年後…」
自転車をこぐ男。
首に箱をぶら下げている。
女が部屋の窓から、それを見る。
自転車の男が倒れる。
女が駆け寄る。
男に頬ずりし、キス。
男の持っていた箱。
中にネクタイ。
ベッドの上に男の衣装を並べる女。
女の部屋のドアの前に男。
手にたくさんのアリが群がっている。
女の腋毛。
ウニ。
道の上に転がる手首を杖でいじる女。
多数のヤジ馬。
警官が手首を拾う。
女に箱を手渡す。
道路の真ん中でたたずむ女。
行き交う車。
車にひかれる女。
アパートの部屋に男女。
男が女に襲い掛かる。
乳を揉む。
裸の女。
恍惚の表情の男。
ヨダレを垂らす。
女の尻をさする。
逃げる女。
男に対してファイティング・ポーズ。
ロープを引く男。
ロープの先には2台のピアノ。
ピアノの上にはロバの死骸。
更に、身体を縛られた二人の男。
女がドアの外へ。
ドアに手をはさまれる男。
手にアリが群がっている。
ベッドに横たわる男。
「午前3時頃」
別の男が訪ねて来る。
女がドアを開ける。
ベッドの男に言い掛かりを付けるもう一人の男。
ベッドの男が身に着けていた物を奪って窓から投げる。
去る。
「16年前」
男に本とノートを手渡すもう一人の男。
本とノートが銃に変わる。
去ろうとするもう一人の男を狙う男。
手を挙げるもう一人の男。
撃つ。
倒れる。
何故か森の中。
裸の女に倒れ掛かるもう一人の男。
女が消える。
捜索隊らしき男達が死体を調べる。
二人の男がやって来る。
みんなで死体を運ぶ。
女の部屋。
蛾が壁に止まっている。
蛾にドクロの模様。
男の姿。
口を手で押さえる男。
口が消える。
ヒゲが生える。
女の腋毛が消えている。
女がドアを開けると、そこは海。
浜辺に立つ別の男に手を振って駆け寄る女。
頬ずりして男にキスする女。
抱き合い、肩を組んで浜辺を歩く二人。
木箱が落ちている。
男が蹴る。
服の切れ端も落ちている。
知らん。
去る二人。
「春が来て…」
そして…。
何が何だか、さっぱり分からん。

Un Chien Andalou Trailer

『スケッチ・ブック』を原書で読む(第2回)

The Author's Account of Himself(第1回)
(テキスト11ページ、1行目~)

THE AUTHOR’S ACCOUNT OF HIMSELF

author(名)著者、作家、著述家(通例女性も含む)
account(名)(順を追ってする詳しい)話(of)
of(前)(関係・関連を表わして)~の点において、~に関して、~について
himself(代)(再帰的に用いて)(前置詞の目的語に用いて)

I am of this mind with Homer, that as the snaile that crept out of her shel was turned eftsoones into a toad, and thereby was forced to make a stoole to sit on; so the traveller that stragleth from his owne country is in a short time transformed into so monstrous a shape, that he is faine to alter his mansion with his manners, and to live where he can, not where he would.

of(前)(of+名詞で形容詞句をなして)~の ・They're of an age. 彼らは同じ年齢です。
mind(名)(通例単数形で)意見、考え ・be of one(a, like)mind(二人以上の人が)意見が一致している ・I am of the same mind.(以前と同じ/人と同じ)
with(前)(一致・調和を表わして)~と
Homer(名)ホメロス古代ギリシアの詩人/IliadおよびOdysseyの作者)
that(接)(名詞節を導いて)(~)ということ/(同格節を導いて)(thatを略すことはない)
as ~ so ~ ~のように~、~と同じように~
snaile→snail(名)カタツムリ
that(代)(関係代名詞)(人・ものを表わす先行詞を受けて通例制限用法で)(~する(である))ところの/(主語として)
crept(動)creepの過去形・過去分詞
creep(自)(ものが)(とどまることなく)ゆっくりと(少しずつ)動く(進む)
out of(前)~の中から外へ、~の外へ(⇔into)
her(代)彼女の
shel→shell(名)貝殻
turn(他)(~に)変じる、転化する ・Tadpoles turn into frogs. おたまじゃくしはカエルに変わる。
eftsoons(古)(副)まもなく、すぐに(=soon afterward)
into(前)(変化・結果を表わして)~に(する、なる)(通例ある物が別の物に形や状態を変えることを表わす)
toad(名)ヒキガエル、ガマ(皮膚はいぼいぼで後ろ足の力はfrogほど強くなく、主に陸にすむ)
thereby(副)それによって
force(他)(人に)強いて(~)させる、(人に)(~することを)余儀なくさせる(しばしば受身で用い、「強制されて(~)する」の意と「(~)せざるをえない」の意とになる)(+目+to do)
stoole→stool(名)スツール(ひじ掛け・背のない腰掛け)
traveller(名)(英)放浪者、ジプシー
stragleth→straggles
straggle(自)(副詞句を伴って)だらだらと歩く(進む)
his(代)彼の
owne→own
country(名)(通例one's ~)本国、祖国、故国
in(前)(時間を表わして)~(のうち)に、~の間、~中 ・in a moment たちまち
short(形)(時間・過程・行為など)短い ・for a short time ほんのしばらく
time(名)(またa ~)(ある一定の長さの)期間、間 ・in a short time まもなく
transform(他)((~の)外見・性質などを)(~に)一変させる、変形(変容、変態)させる(into)
so(副)(程度・結果を表わして)(so ~ that ~で)(順送りに訳して)非常に~なので~
monstrous(形)奇怪な、巨大な、怪物のような
shape(名)(またa ~)姿、様子、なり
that(接)(副詞節を導いて)(so ~ thatの形で程度・結果を表わして)(非常に)~なので、~(する)ほど
faine→fain(古)(形)喜んで(~)して(to do)
alter(他)(家を)改造する
mansion(名)(古)住居
with(前)(同時・同程度・同方向などを表わして)~とともに、~と同時に
manner(名)(福)(社会・階級・時代などの)風習、慣習、習わし、生活様式
live(自)住む(場所を表わす副詞句を伴う)
where(接)~する(した)所に(へ、を)
not(副)(述語動詞・文以外の語句を否定して)~でなく
would(助動)(仮定法(叙述法)で用いて)(強い願望・選択を表わして)~したいと思う

LYLY’S EUPHUES

Lyly リリー John Lyly(1554?-1606)(イングランドの小説家・劇作家/散文物語Euphues: or the Anatomy of Wit(1529), Euphues and his England(1580))
Euphues(名)『ユーフェイーズ』(John LylyのEuphues: or the Anatomy of Wit(1579)およびEuphues and his England(1580)の2部からなる散文物語/華麗な文体が有名で、そこからeuphuism(虚飾体)という文芸用語が生まれた/内容には一貫した筋がなく、アテナイの優雅な青年Euphuesとその友人Philautusが登場して恋愛などについて処世訓を語る)

I was always fond of visiting new scenes, and observing strange characters and manners.

fond(形)(fond of ~で)(~を)好んで
of(前)(目的格関係を表わして)(形容詞に伴って)~を
visit(他)(場所を)訪れる、参観(参詣)する、見物に行く
new(形)よく知らない、不案内の、初めての ・visit a new place 初めての所を訪れる
scene(名)(舞台面を思わせるような)景色、風景、光景
observe(他)(~を)観察する
character(名)(修飾語を伴って)(~な)人、人物 ・a strange character 変わった人
manner(名)(複数形で)風習、習慣

Even when a mere child I began my travels, and made many tours of discovery into foreign parts and unknown regions of my native city, to the frequent alarm of my parents, and the emolument of the town-crier.

when(接)~する時に、~時(時を表わす副詞節をつくる)
mere(形)ほんの、単なる、まったく~にすぎない ・She's a mere child. 彼女はまだほんの子供だ。
my(代)私の
travel(名)(通例複数形で)遠方への旅行、外国旅行、漫遊
make(他)(目的語に動作名詞を伴って、動詞と同じ意味をなして)(~を)する、行なう(同じ意味の動詞より、この表現のほうが1回だけの行為であることが強調される)
tour(名)(視察・巡遊などの)(小)旅行、周遊、観光旅行、ツアー ・make a tour of ~を漫遊する
discovery(名)発見
foreign(形)知らない、慣れない
part(名)(複数形で)地方、地域
unknown(形)未知の、不明の、未詳の ・an unknown place 未知の場所
region(名)(しばしば複数形で)(明確な限界のない広大な)地方、地域
of(前)(部分を表わして)~の中の
native(形)出生地の、自国の、本来の ・one's native land 故郷
to(前)(限度・程度・結果などを表わして)~に至るまで、~するほどに
frequent(形)たびたびの、しばしばの、頻繁な
alarm(名)(危険に突然気づいて生じる)不安、恐慌
of(前)(目的格関係を表わして)しばしば動作名詞または動名詞に伴って)~を、~の
emolument(名)報酬、手当、俸給
town crier(名)(昔の)町の触れ役(=crier)(もと新規則・布告などを触れ回った役人)

As I grew into boyhood, I extended the range of my observations.

as(接)(時を表わして)~している時、~したとたんに
grow into ~ ~に成長する
boyhood(名)(またa ~)少年時代、少年期
extend(他)(事業・活動範囲などを)拡大する
range(名)(単数形で)(活動・知識・経験などの及ぶ)範囲、区域、広がり(of)
observation(名)観察、注目

My holiday afternoons were spent in rambles about the surrounding country.

holiday(形)休日の、休暇中の
spend(他)(時間を)費やす、かける
in(前)(行為・活動・従事を表わして)~して、~に従事して(+doing)
ramble(名)(あてのない)散歩(=walk)
about(前)(周囲を表わして)~のあたりに、~の近くに
surrounding(形)周囲の
country(名)(the ~)郊外、田園、農村地帯(=countryside)

I made myself familiar with all its places famous in history or fable. I knew every spot where a murder or robbery had been committed, or a ghost seen.

make(他)(~を)(~に)する(+目+補)
myself(代)(再帰的に用いて)(一般動詞の目的語に用いて)私自身を(に)
familiar(形)(人が)(ものに)熟知して、精進して(with)
with(前)(感情・態度の対象を導いて)~に対して、~に
all(形)(複数名詞の前に置いて)あらゆる、すべての、みな
its(代)それの、あれの、その
in(前)(範囲を表わして)~において、~内で
fable(名)伝説、説話、神話
spot(名)(特定の)場所、地点
where(副)(関係副詞)(制限的用法で)~する、~した(場所、場合など)(「場所」「場合」を表わす名詞を先行詞とする形容詞節をつくる)
murder(名)殺人 ・commit murder 殺人の罪を犯す
robbery(名)(通例暴力を用いたり、または大がかりな)泥棒、強盗、強奪(罪)・commit robbery 強盗を働く
commit(他)(罪・過失などを)犯す ・commit murder 人殺しをする
ghost(名)幽霊、亡霊、怨霊(おんりょう)(英米の幽霊は夜中の12時に現われ、ニワトリの声を聞いて姿を消すとされ、その姿は生前のままで足もある)

I visited the neighboring villages, and added greatly to my stock of knowledge, by noting their habits and customs, and conversing with their sages and great men.

neighboring(形)近所の、近隣の
add(自)(~を)増す(to)
greatly(副)(通例動詞・過去分詞・比較級形容詞を強調して)非常に、とても、大いに
to(前)(接触・結合・付着・付加を表わして)~の上に、~に加えて
stock(名)(知識などの)蓄積、薀蓄(うんちく)・increase one's stock of information 情報量をふやす
knowledge(名)学識、見聞、学問
by(前)(手段・方法・原因・媒介を表わして)(doingを目的語にして)(~すること)によって
note(他)(~に)注意して心に留める
their(代)彼ら(彼女ら)の
habit(名)(個人の)癖、習慣
custom(名)慣習、風習、慣例
converse(自)(人と)(~のことで)談話を交わす(with)
with(前)(接触・交際・結合などを表わして)~と
sage(名)賢人、哲人
great(形)(能力・価値・重要性など)偉大な、すぐれた、卓越した ・a great man 偉人
man(名)(修飾語句を伴って)(特定の仕事・性格などの)男性

I even journeyed one long summer’s day to the summit of the most distant hill, whence I stretched my eye over many a mile of terra incognita, and was astonished to find how vast a globe I inhabited.

even(副)(通例修飾する語句の前に置いて)(事実・極端な事例などを強調して)~でさえ(も)、~すら(名詞・代名詞も修飾する/修飾する語(句)に強勢が置かれる)
journey(自)旅をする、旅行する
one(形)(基数の1)(時を表わす名詞の前に用いて)ある ・one day(過去か未来の)ある日
long(形)(時間・行為など)長く感じられる、長ったらしい、退屈な ・Today was a long day. きょうは一日長く感じた。
summer(名)夏、夏季(天文学的には、夏至(げし)から秋分まで/通俗には北半球では6、7、8月、南半球では12、1、2月)
day(名)(副詞的に)~日 ・one day(過去の)ある日
to(前)(方向を表わして)(到達の意を含めて)~まで、~へ、~に
summit(名)(山の)頂、頂上、山頂
most(副)(主に2音節以上の形容詞・副詞の最上級を作って)最も、いちばん
distant(形)(距離的に)遠い、遠隔の ・a distant country 遠い国
whence(副)(関係副詞)(非制限的用法で/通例前にコンマが置かれる)(そして)そこから、その点から
stretch(他)(手足などを)伸ばす、差し伸べる(出す)
eye(名)注目、注視 ・fix one's eyes on ~に目を注ぐ、~をじっと見つめる
over(前)(動作動詞とともに)~を越えて(=across)
many(形)(many aに単数形の名詞・動詞を伴って/単数扱い)数々の、多数の
mile(名)マイル(距離の単位/1760 yards、約1.6 km)
of(前)(分量・内容を表わして/数量・単位を表わす名詞を前に置いて)~の
terra(名)大地
incognita(形)(女性が)匿名の、忍びの、微行の
astonished(形)驚いた、びっくりした(+to do)
find(他)(~が)(~であると)知る、感じる、わかる(+that)
how(副)(疑問詞)(感嘆文に転用して)(節を導いて)
vast(形)広大な、広漠とした
globe(名)地球
inhabit(他)(人・動物が)(場所に)住む、居住する

This rambling propensity strengthened with my years.

this(形)(指示形容詞)この/(対話者同士がすでに知っているもの(人)をさして)
rambling(形)ぶらぶら歩く、そぞろ歩きする
propriety(名)(~を好む)(生まれつきの)傾向、性質、(~しがちな)性癖
strengthen(自)強くなる、強まる
with(前)(同時・同程度・同方向などを表わして)~につれて ・with age 年をとるにつれて
year(名)(複数形で)年(とし)、年齢

Books of voyages and travels became my passion, and in devouring their contents, I neglected the regular exercises of the school.

voyage(名)(船・飛行機・宇宙船による)旅、船旅、航海、
travel(名)(通例複数形で)遠方への旅行、外国旅行、漫遊
become(自)(~に)なる(+補)
passion(名)(単数形で)熱愛(熱中)の対象
devour(他)(本などを)むさぼり読む
content(名)(複数形で)(書物・文書などの)内容
neglect(他)(義務・仕事などを)怠る、おろそかにする、顧みない
regular(形)(法律・慣例・標準などに合った)正規の、正式の
exercise(名)(複)(学位請求に必要な)修業課程

How wistfully would I wander about the pier-heads in fine weather, and watch the parting ships, bound to distant climes―with what longing eyes would I gaze after their lessening sails, and waft myself in imagination to the ends of the earth!

how(副)(疑問詞)(感嘆文に転用して)まあ何と、いかに
wistfully(副)<wistful(形)(手の届かないものなどに)哀しく思いをはせて、せつない、残念そうな
would(助動)(過去の習慣・動作などの反復においての回想を表わして)~したものだった、よく~した
wander(自)(副詞句を伴って)(あてもなく)歩き回る、さまよう ・wander about ほっつき歩く
pierhead(名)埠頭の突端
in(前)(環境を表わして)~の中で(を)
fine(形)(天気が)よく晴れた、快晴の、好天気の(=fair)・fine weather 快晴、晴天
parting(形)去り(暮れ)行く
bound(形)(船・列車・飛行機など)(~)行きで(to)
clime(名)(しばしば複数形で)地方、国
with(前)(道具・手段を表わして)~を用いて、~で ・with my own eyes 自分の目で
what(形)(疑問形容詞)(感嘆文に用いて)何という
longing(形)切替(熱望)する、あこがれの ・a longing look あこがれのまなざし
eye(名)(しばしば複数形で)目の表情、目つき、まなざし
gaze(自)(熱心にじっと)見つめる、熟視する
after(前)(関心を表わして)~のことを、~に関して
lessen(自)少なく(小さく)なる、減る
sail(名)(船の)帆
waft(他)(もの・音・においなどを)(風・波などが)漂わせる、ふわりと運ぶ(to)
in(前)(状態を表わして)~の状態に(で)
imagination(前)想像(の所産)・be in imagination 想像して
the ends of the earth 世界(地)の果て、最果ての地、遠隔の地

Further reading and thinking, though they brought this vague inclination into more reasonable bounds, only served to make it more decided.

further(形)(farの比較級)もっと程度の進んだ
reading(名)読書
thinking(名)考えること、思案、思考
bring(他)(~を)(ある状態に)もってくる、至らせる(into)
vague(形)(言葉・観念・感情など)漠然とした、あいまいな、はっきりしない(⇔distant)
inclination(名)(気質的な)傾向、性向
into(前)(変化・結果を表わして)~に(する、なる)(通例ある物が別の物に形や状態を変えることを表わす)
more(副)もっと、いっそう
reasonable(形)(思考・行動など)合理的な、理にかなった、筋の通った、正当な
bound(名)(複数形で)限度、範囲
only(副)(述語動詞を修飾して)ただ(かえって)~するばかりで
serve(自)(~に)役に立つ、間に合う(+to do)
decided(形)(人・性格など)漠然とした、断固とした

I visited various parts of my own country; and had I been merely a lover of fine scenery, I should have felt little desire to seek elsewhere its gratification: for on no country have the charms of nature been more prodigally lavished.

various(形)(複数名詞を伴って)さまざまな、いろいろな、個々別々の(=varied)
country(名)(通例one's ~)本国、祖国、故国
merely(副)単に(~にすぎない)
lover(名)(芸術などの)愛好者(of)
fine(形)雄大な、広々とした
scenery(名)(一地方全体の)風景、景色
should(助動)(仮定法で)(可能性・期待を表わして)きっと~だろう、~のはずである
feel(他)(喜び・悲しみ・怒りなどを)感じる、覚える
little(形)(不可算の名詞を修飾して)(aをつけないで否定的用法で)少ししかない、ほとんどない(⇔much)
desire(名)(~に求める)欲望、欲求(+to do)
seek(他)(人・ものなどを)捜す、捜し求める
elsewhere(副)どこかよそに(へ、で)
its(代)それの、あれの、その
gratification(名)満足すること、満足(感)
for(接)(通例コンマ、セミコロンを前に置いて、前文の付加的説明・理由として)という訳は~だから(=as、since)
charm(名)魅力、人を引きつける力
prodigally(副)、prodigal(形)豊富な
lavish(他)(~を)惜しまず(気前よく)与える
【参考文献】
The Sketch-Book of Geoffrey Crayon, Gent (Oxford World's Classics)』Washington Irving・著
スケッチ・ブック(上) (岩波文庫)』齊藤昇・訳
新英和中辞典 [第7版] 並装』(研究社)
リーダーズ英和辞典 <第3版> [並装]』(研究社)
リーダーズ・プラス』(研究社)
新英和大辞典 第六版 ― 並装』(研究社)

『サーカス』

この週末は、ブルーレイで『サーカス』を見た。

サーカス The Circus [Blu-ray]

サーカス The Circus [Blu-ray]

  • 発売日: 2016/12/22
  • メディア: Blu-ray
1928年のアメリカ映画。
監督・製作・脚本・音楽(サウンド版)・主演は、『キッド』『巴里の女性』『黄金狂時代』の大スター、チャールズ・チャップリン
共演は、『キッド』『巴里の女性』『黄金狂時代』のヘンリー・バーグマン、『黄金狂時代』のアラン・ガルシア、『黄金狂時代』のジョン・ランド。
チャップリンの主要な作品は大体見たことがあるつもりでいたが、本作は未見であった。
モノクロ、スタンダード。
ブランコをこぐ娘。
それに合わせて主題歌。
なお、ブルーレイに収録されているのは1970年のサウンド版で、チャップリン自身が音楽を付け、主題歌をうたっている。
画質は良い。
サーカス。
座長(アラン・ガルシア)に叱られる娘のマーナ。
「食事抜きだ」と告げられる。
座長はとにかく怒ってばかり。
しょげるピエロ。
泣くマーナ。
一方、放浪者(tramp)チャップリン見世物小屋を観に来ている。
たくさんの人がいる中、スリに盗んだ財布をポケットに入れられ、罪をなすりつけられる。
ホットドッグ屋の前で、赤ん坊が食べているホットドッグを勝手にかじるチャップリン
例のスリが隣にやって来るが、お廻りに捕まる。
チャップリンが例の財布からカネを出してホットドッグを買うと、財布の持ち主に見付かる。
全速力で逃げるチャップリン
見世物小屋へ。
ミラーハウスに迷い込むチャップリン
スリも入って来る。
お廻りに見付かる。
マネキン人形のフリをするチャップリン
お廻りに捕まる。
ミラーハウスで出口が分からない。
何とか外へ逃げ出すチャップリン
サーカス小屋へ。
先刻までピエロが追いかけっこをしていた回転するステージの上に乗り、お廻りと追いかけっこをするチャップリン
観客は大ウケ。
お廻りと座長が言い争い。
手品。
女性が椅子に座り、マントを掛けると消えて隣の箱の中から出て来るはずが、箱から出て来たのはチャップリン
観客は大ウケ。
お廻りとまた追いかけっこ。
チャップリンは、追われる原因になった財布をお廻りに返す。
一方、ピエロが踊ってもウケない。
チャップリンを出せ」と騒ぐ観客。
チャップリンは小屋の外で寝ている。
マーナは食事抜きのまま。
哀れに思った団員が食事を分けてやろうとするが、座長にバレる。
小屋の外で寝ていたチャップリンは座長に見付かる。
「仕事が欲しいか?」
明朝、チャップリンはサーカスのテストを受けることになった。
チャップリンが外でパンを食べていると、腹の減ったマーナがやって来る。
チャップリンが目を離したスキにパンを食べるマーナ。
チャップリンはマーナにパンを半分、分けてやる。
しかし、座長がそれを見付けて怒る。
チャップリンは、マーナにゆで卵をやる。
テストで踊るチャップリン
面白くない。
ウィリアム・テルをやれ」と言われ、団員が見本を見せる。
討たれる側の頭の上に載せたリンゴを、本人が食べてしまう。
チャップリンの番になり、リンゴをかじると、中に虫がいる。
仕方がないので、自分が持って来たバナナを食べるチャップリン
怒る座長。
「床屋のショーをやれ。」
クリームを顔面に塗りたくる団員達。
チャップリンは段取り通りにやらない。
座長は激怒し、チャップリンは追い出される。
この座長は、いかりや長介だな。
で、チャップリン志村けん加藤茶
ロバに追い掛けられるチャップリン
マーナがいる。
顔にクリームが付いたままのチャップリン
マーナがタオルを持って来る。
去って行くチャップリンに名残惜しそうなマーナ。
そして、またロバに追い掛けられる。
一方、サーカスでは小道具係が給料が出なくて辞めると言い出した。
座長は「代わりを探せ!」と怒鳴る。
チャップリンは、テントの穴から小屋の中を覗いている。
中にマーナがいる。
また捕まるチャップリン
小道具係の代わりに、たくさんの皿を持っていたが、またもやロバに追い掛けられる。
そのまま会場に現われると、観客は大ウケ。
手品の台を運んでいると、マジックの仕掛けのボタンを間違って押してしまう。
ハトやらアヒルやら子ブタちゃん(ブヒ!)やら大量の動物達が中から飛び出して来る。
マジックは台無しだが、観客は大ウケ。
座長は、「彼は人気者になるぞ。とりあえず雇っておけ」と言う。
サーカスは繁盛したが、マーナには辛い日々。
さあ、これからどうなる?
こうやって文章で書いても何も面白くないが、テンポの素晴らしいドタバタ喜劇である。
ドタバタ喜劇に人情を織り交ぜ、哀愁を帯びさせるのがチャップリン風。
放浪と失恋。
寅さんだな。
まあ、寅さんの方がチャップリンを真似ているのだろうが。
後半、ライオンの檻の中に入るチャップリン
更には、綱渡りもやる。
これらは全て、スタントも特撮もないらしい。
体を張ったチャップリンがスゴイ。
それから、本作には多数登場する動物達の演技が素晴らしい。
動物が出て来る映画を見ると毎度思うが、撮影は大変だっただろう。
特に、綱渡りをしているチャップリンに絡むおサルさん達が見事。
久し振りに、腹の底から大笑いした。
昔は旅回りのサーカスがあったんだろうな。
フェリーニの映画にもよく出て来るが。
移動の馬車の大群がスゴイ。
僕も子供の頃、家族で木下大サーカスを観に行った。
懐かしい。
しかし、チャップリンは何を撮っても笑いになるな。
動きで見せるから、セリフがなくても伝わるんだ。
本作では、コミカルに見せるために、コマ落としを多用しているのかな。
「♪こぎなさい 娘さん ブランコを
こぎなさい 空まで高く
地面を見てはいけないよ
もし虹を探すのなら
空を見上げて
もし虹を探すのなら
下を見ては見つからない
人生は悩み多く 人生はさまざま
陽の照る日もあれば
雨のふる日もある
こぎなさい 娘さん ブランコを
こぎなさい 空まで高く
地面を見てはいけないよ
もし虹を探すのなら
空を見上げなさい
決して 決して
下を見てはいけないよ」
『またフープをしくじったな。』
『許して、お義父様。』
『罰として今夜は食事をさせん。』
『客が笑うと思っているのか?』
『見ろ、客はいないぞ。』
見世物小屋を歩いて腹は減る。金はなくなる。」
『あなたのでしょ?』
『金を数えて。』
『全部ありますか?』
『さっきの金を出せ。』
『どうやって出るんだ?』
『つまらない!』
『失せろ!』
『あのひょうきん者は?』
『さっきの面白い奴を出せ。』
「その彼は…」
「ショーのあとの食事」
『お義父さんが怒るわ。』
『仕事がほしいか?』
『あすの朝、ここに来い。テストをしよう。』
「次の朝早く」
「おなかがへって」
『家に帰りなさい。』
『私の家はここよ。』
『ステッキを忘れた。』
「テスト」
『客を笑わせるんだぞ。』
『見てられない。』
ウィリアム・テルをやれ。』
『これをよく見て要領を覚えるんだ。』
『やってみろ。』
『床屋のショーをやれ。』
『俺がお前をなぐる。』
『お前がなぐれ!』
『見えません。』
『ちょっと待て。』
『まだ契約はしてない。』
『早く出て行け!』
『はじまるぞ!』
『中へ入りません?』
『行ってしまうの?』
『契約ができなかった。』
『タマゴをありがとう。』
「ショー」
「小道具係とのトラブル」
『俺たちへの給料は?』
『仕事にかかれ!』
『やめるよ。』
『奴らはやめました。』
『代わりを探せ。』
『仕事がほしいか?』
『ボタンにさわるな。』
『彼は人気者になるぞ。小道具係に雇っておけ。』
「サーカスは繁盛したが、小道具係は前と同じ。娘には、つらい日がつづいた。」
以下、後半。

Charlie Chaplin - The Circus (Trailer)

『スケッチ・ブック』を原書で読む(第1回)

日本の英語教育史における『スケッチ・ブック』

アメリカ文学史の最初に出て来るワシントン・アーヴィングの代表作『スケッチ・ブック』は、全34編からなる短編集です。
中でも有名な「リップ・ヴァン・ウィンクル」や「スリーピー・ホロウの伝説」は、映画化されたこともあるので、ご存知の方も多いでしょう。
『スケッチ・ブック』は、かつて英語教材としても大変よく読まれました。
角川文庫版『スケッチ・ブック』(初版:昭和28年)の「解説」は、次のように始まります。

日本において英語を学ぼうとする人にしてアーヴィング(Washington Irving)の名を知らない者はほとんどあるまい。それほどまでに彼の名がよく知られているゆえは、彼の著『スケッチ・ブック』(The Sketch Book)が英語の教科書として旧中学の四年または五年、遅くも旧高等学校の一年ごろに採用されていたからである。(中略)訳者も旧高等学校の一年において、「スケッチ・ブック」を教科書として用いられたのを覚えている。

旧制中学の4年、5年、旧制高校の1年というのは、ちょうど現在の高校1・2・3年に当たります。
訳者の田部重治(南日恒太郎の弟)が旧制第四高等学校(現・金沢大学)に入学したのは明治35(1902)年ですから、その頃には既に、『スケッチ・ブック』が英語の教科書として一般的に用いられていたということです。
それでは、日本の英語教育において『スケッチ・ブック』がどのように扱われて来たか、順を追って具体的に見て行きましょう。
『そしてワシントン・アーヴィングは伝説になった』(彩流社)には、次のようにあります。

アーヴィング作品が掲載されていた『ニュー・ナショナル・リーダーズ』、『ユニオン・リーダーズ』、『ロングマン』、『スウィントン・リーダーズ』などの英語教科書が日本に輸入されたのは明治十六年頃と言われる(中略)『スウィントン・リーダーズ』には『スケッチ・ブック』の中の「ウェスタミンスター寺院」が収められている。輸入教科書に続いて、明治二十年代初頭には日本国内でも各種の英語教科書や副読本の類が盛んに出版されるようになった。それらの中に収録されたアーヴィング作品は、「リップ・ヴァン・ウィンクル」をはじめとして「航海」、「イギリスの田舎生活」などであり、やはり短編集『スケッチ・ブック』中心の翻訳傾向は失われていない。
明治二十年に小諸義塾創設者の木村熊二は明治女学校で『スケッチ・ブック』を中心としたアーヴィング作品を講読の教材として使用している

また、『ワシントン・アーヴィングとその時代』(本の友社)によると、「明治二十年頃には神田の共立学舎での英語学習に『スケッチ・ブック』が教科書として使用されている」とのことです。
共立学舎は、主に大学予備門(後の第一高等中学校。現・東京大学教養学部)への進学のために英語を教える予備校の一つで、こうした予備校は他に、夏目漱石が学んでいた成立学舎や、斎藤秀三郎が教えていた国民英学会などがありました。
少し時代が前後しますが、「宮崎湖処子とワシントン・アービング」には、「福岡では金子堅太郎(1853―1943)がおり、彼は明治4年(1871)留学生として米国へ渡り、ハーヴァード大学に学び、明治11年(1878)帰国して東京神田の共立学舎で英語を教えた時アーヴィングのスケッチブックを教科書に使用した」とあります。
さらに、『修猷館の英語教育 明治編』(海鳥社)によると、明治24(1891)年に、それまで英語専修学校であった修猷館(現・福岡県立修猷館高校)が尋常中学になり、その第5年級の英語の教科書として、「アーウヰング、スケッチ、ブック」が挙げられているのです。
中学校だけでなく、『近代日本の英語教育史』(東信堂)によると、明治25(1892)年の和歌山県尋常師範学校(現・和歌山大学教育学部)の4学年、明治27(1894)年の千葉県尋常師範学校(現・千葉大学教育学部)などの師範学校でも教科書として用いられていました。
当時の師範学校の入学資格は、高等小学校4年(現在の中学2年)卒業以上、かつ17歳以上です。
師範学校は、年齢は随分違いますが、しばしば同じ県庁所在地の県立中学校と並んで、県下の最高学府でした。
だから、『坊っちゃん』に「中学と師範はどこの県下でも犬と猿の様に仲がわるいそうだ」とあるように、喧嘩が絶えなかったのですね。
しかしながら、週6~7時間の英語の授業時数が割り当てられていた中学校に対し、師範学校の授業時数は週にわずか2~3時間しかありませんでした。
それでも、中学校と同じ教科書を使っていたので、レベルが高く、進度もかなり速かったようです。
当時の和歌山師範学校の卒業生の回想を以下に引きます。

私は中学二年迄行ったが書物が全く読めないのですから殆んど閉口しました。(中略)師範へ入っても実は学課の半数位は何を学んだのか全く別りません。(中略)英語と云へば、一年生でナショナルリーダ第一第二の二巻、二年でスヰントンの万国史、三年でクライブ伝、四年でアーヴィングのスケッチブックと云ふ風に其程度が余りに一足飛で何にも判らない。殊に英文法英作文などは全然教はらない。

ここからも、文法を習得せずに長くて難しい英文を読もうとすることが如何に無謀であるかが分かります。
『英語教師 夏目漱石』(新潮選書)によると、漱石は明治28(1895)年、『坊っちゃん』の舞台になった愛媛県尋常中学校(現・愛媛県松山東高校)で『スケッチ・ブック』を教科書に使いました。
以下に生徒の回想を引用します。

夏目先生が来て、スケツチブツクを講義し初めると、不思議によくわかつて、英語の面白味が初めて感ぜられるやうになつた。先生は吾々に四五年を通じてスケツチブツクのヴオイエージとロスコーとブロークン・ハートの三章を講義された。

『英語教師 夏目漱石』には、『スケッチ・ブック』について、次のようにあります。

当時の中学校でよく使われ、確かに真鍋が四年次から習っていたゴールドスミスの『ウェイクフィールドの牧師』に比べて文章はやさしい。先に東京専門学校で『ウェイクフィールドの牧師』を教えていた漱石は、その経験を踏まえてより平易な教科書を選んだのであろうが、これは「やさしい教科書を選ぶべし」という漱石の英語教育論と合致している。

ウェイクフィールドの牧師』は、『英語天才 斎藤秀三郎』(日外アソシエーツ)によると、斎藤主宰の正則英語学校講義録(通信教育)では、受験科の読本として配当されていました。
受験科は、旧制中学5年レベルの上に位置付けられていたので、現在の高校3年に相当します。
『スケッチ・ブック』は、これよりも易しいということですから、やはり旧制中学レベルということでしょう。
参考までに、この講義録では、ラムの『シェイクスピア物語』(と思しき作品)が5年、『フランクリン自伝』(と思しき作品)が受験科に配当されているので、これでおおよそのレベルが推測出来るのではないでしょうか。
僕がかつて在籍していた学部の1986年度のシラバスを見ると、4年生の英文学研究VAという授業で『ウェイクフィールドの牧師』の講読が行われていました。
明治期とのレベルの違いに愕然とします。
ちなみに明治20年代当時、東京専門学校(現・早稲田大学)では、坪内逍遥が『スケッチ・ブック』を教えていました。
早稲田大学百年史 別巻I」によると、「東京専門学校文学科学科配当表(明治二十五年一月)」に、「ラセラス」(サミュエル・ジョンソン作)や「マーチヤントオブヴェニスヴェニスの商人)」と並んで「スケッチ・ブック」の名が見え、担当講師は坪内雄蔵(逍遥)とあります。
明治29(1896)年、文学科に付属していた専修英語科が独立して英語学部となりますが、この時の担当講師と使用された主なテキストは次の通りです。

英語学部は初め、文学士と神学修士の学位をもってアメリカから帰国した片山潜を主任にして発足したが、主任の役は間もなく宗教学者でいて修辞書や英作文を教える岸本能武太に交代した。この学部の担当講師は、片山が英語で社会学を教え、天野がジョン・スチュアート・ミルの経済学、高田は憲法、坪内はアーヴィングの『スケッチ・ブック』やチャールズ・ラムの『シェイクスピア物語』、増田はマコーレーの『ミルトン論』を教えた。

スゴイ時代ですね。
再び、漱石の生徒の回想を引きます。

先生の英語の教授法は、訳ばかりでは不可ない、シンタツクスとグラムマーを解剖して、言葉の排列の末まで精細に検覈しなければならぬと云ふので、一時間に僅に三四行しか行かぬこともあつた。そのため二年間にスケツチブツク三章しか読了しなかつたのである。

なお、漱石愛媛県尋常中学に1年間しか在籍していないそうなので、「二年間に」というのは誤りです。
ただ、1年間でも、『スケッチ・ブック』の3編しか進まないというのは、驚くほどゆっくりとしたペースでした。
最初の引用の「ヴオイエージ」(The Voyage)は、僕の手元にあるオックスフォード版のペーパーバックで6ページ、「ロスコー」(Roscoe)も同6ページ、「ブロークン・ハート」(The Broken Heart)は同5ページです。
漱石の訳読の授業時間数は不明ですが、仮に週1時間だとしても、1回の授業で教科書の半ページくらいしか消化しなかったことになります。
これは、「一時間に僅に三四行しか行かぬこともあつた」にも合致しますね。
ペーパーバックは1ページ当たり400~500語くらいですので、昨今の「英語は英語で」教えるという高校のリーダーの授業の方が、進度が速いかも知れません。
これだけ進度が遅かった理由は、引用にあるように、「シンタツクスとグラムマー」、つまり、構文と文法に細かく、語順にも十分気を配った上で解釈したからです。
一方、愛媛県尋常中学を去った後に赴いた熊本の第五高等学校(現・熊本大学)では、全く違った教え方をしました。
生徒の回想です。

松山中学時代には非常に綿密な教へ方で逐字的解釈をされたさうであるが、自分等の場合には、それとは反対に寧ろ達意を主とする遣方であつた。先生が唯すら/\音読して行つて、さうして「どうだ、分つたか」、と云つた風であつた。

これは、生徒の学力を考慮したものと考えられます。
漱石は、かつて発表した「中学改良策」の中で、「上級にあつては未だ訳読を済まさゞる場所にても容易なる部分は之を読み翻訳の手数を費やさずして直ちに洋書を理解する力を養ふべし」と述べており、五高では、まさにこれを実践したということですね。
基本的な文法や構文は中学段階で既に身に付いているはずだから、高等学校ではそれを基にして多読しろと。
伊藤和夫駿台予備学校元英語科主任)先生は、『伊藤和夫の英語学習法』(駿台文庫)の中で、「ゆっくり読んで分かる文章を練習によって速く読めるようにすることはできるが、ゆっくり読んでも分からない文章が速く読んだら分かるということはありえない」と仰っています。
僕が浪人していた頃(1990年代初頭)の駿台には、『英語構文演習』という基幹テキストがあり、関係代名詞やら接続詞やらで複雑に入り組んだ英文を、それこそ1時間に数行ずつくらいのペースで解析していました。
我々の時代には、英語の入試問題は既に長文化していましたが、漱石と伊藤先生は、「基本が大事」という点で、100年近くの時間の隔たりがあっても、全く一致しているのです。
ところが昨今は、「英語は英語で」という方針の下、中学・高校では文法を軽視、あるいは無視した授業が行われています。
文法を日本語で解説することは「悪」であり、英文を日本語に訳して意味の確認をすることもしません。
これで、どうやって正確な読解力を身に付けろと言うのでしょうか。
にも関わらず、先日の大学入試共通テストを見ても分かるように、英語の入試問題の長文化は留まるところを知りません。
これでは、伊藤和夫先生が前掲書で仰っているように、「ゆっくり読んでも分からない文章を速く読んでみたところで誤解と妄想におちいるだけ」です。
さて、漱石は、松山、熊本で教えた後、東京帝国大学(現・東京大学)の講師になります。
ここで、エリート中のエリートであるはずの帝大生の英文読解力の実態を知り、愕然としました。
学生の回想です。

今日からいよいよ夏目講師の『サイラス・マーナー』の訳読が始められた。そして私達は指名されると席を立つて、中学や高校の生徒のやうにリーディングをして、それから訳をつけさせられるのである。リーディングはかたつぱしから直されるので、当つた者は衆人環視の中で大きな恥辱を与へられる事になつた。私達は大学生から逆転して再び中学生に戻されたやうな屈辱を感じた。

漱石は、正確な発音や解釈が出来ることは英文学を学ぶ前提であり、まして、英文科の学生は大学卒業後に教師になるのが普通なのですから、こうした英語力は必須のものだと考えていました。
ところが、初めて大学で教えてみると、自分の時代よりも学生の英語力がかなり低下しています。
そこで、帝大と同時に教えていた第一高等学校(現・東京大学教養学部)では、一転して、語源を重視し、一語一語にこだわった、中学のような指導法に戻したのです。
翻って、明治時代の国家的エリートであった大学生とは比べるべくもない現代の大衆化した大学生が、こんなに英語の基礎を疎かにしていて、いいのでしょうか。
昨今の大学では、英文学どころか、学生に英文法の補習をしたり、中には、アルファベットから教え直したりしていることもあると聞きます。
英語力を身に付けるために、もちろん多読は大事でしょう。
しかし、それは、一文一文の意味を正確に把握出来る語彙や文法の基礎があってこそのものです。
このままでは、日本の英語教育は悲惨なことになります。
話しを『スケッチ・ブック』に戻しましょう。
「ハイブリディティとしての近代――ワシントン・アーヴィングと「日本近代文学」の成立」によると、明治30(1897)年には、開成尋常中学校(現・開成高校)5年級や、正則尋常中学校(現・正則高校)5年級でも、『スケッチ・ブック』が英語読本として使われていたという記録が残っています。
『スケッチ・ブック』を教えた文豪は、漱石だけではありません。
『そしてワシントン・アーヴィングは伝説になった』によると、芥川龍之介は大正5(1916)年に東京帝国大学を卒業した後、漱石らの推薦で横須賀の海軍機関学校の英語教師になりましたが、ここでアーヴィングの「リップ・ヴァン・ウィンクル」を好んで教材として使用したそうです。
旧制高校でも、『スケッチ・ブック』は英語教材としてよく使われました。
「大正後期における旧制高校の英語教科書について」によると、大正10(1921)年度の松本高等学校(現・信州大学)の1年級、山口高等学校(現・山口大学)の1年級、佐賀高等学校(現・佐賀大学)の2年級で、『スケッチ・ブック』が教科書に指定されています。
軍学校でも『スケッチ・ブック』は英語教材として使われていたようです。
『近代日本の英語教育史』によると、昭和12(1937)年の陸軍士官学校本科用の教科書『英語教程 巻一』には、『スケッチ・ブック』から「The Voyage」が収められています。
日米開戦が近付き、英語が適性語扱いされるようになった時代でも、『スケッチ・ブック』は読まれました。
同じく『近代日本の英語教育史』には、昭和14(1939)年に三重県師範学校(現・三重大学教育学部)の専攻科に入学した学生が、『スケッチ・ブック』の原書を独習したことが紹介されています。
戦後も、『スケッチ・ブック』は大学受験参考書や副読本の中で生き残り続けました。
朱牟田夏雄先生の名著として名高い、昭和34(1959)年初版発行の『英文をいかに読むか』(文建書房)には、様々な英文学作品から演習問題が選ばれていますが、その中に、『スケッチ・ブック』から「The Voyage」の一節もあります。
今では、この本が受験参考書とは到底信じられませんが、元になったのは「Student Times」の連載とのことですので、当時は高校生向けだったということです。
それから同じ年、あの旺文社が「英文学習ライブラリー」という英文学の対訳本のシリーズを出しましたが、その第1巻が『スケッチ・ブック』でした。
「はしがき」には、次のようにあります。

アーヴィングは、アメリカ文学史の最初にあらわれる作家である。イギリスで得た名声がそのままアメリカに伝わって、生前すでに古典だった。文章は上品だし、長くもないから、教室で教えるには一ばんふさわしい教材だった。ことに「スケッチ・ブック」は、多くの教師に愛用された。これはヨーロッパ大陸でも、同じである。「スケッチ・ブック」を教科書ふうに編んだものも数はおびただしい。
明治以来、この本はずいぶん読まれた。アメリカ帰りの人々が、この小品集を新しい日本文学のモデルにせよと説いた。(中略)
そのころは日本人で英語を学ぶ者は、必ずこの書物を手にしたといわれる。

僕は、この本をアマゾンの中古で買いましたが、巻末の余白に「兵庫県立豊岡高校」という書き込みがあるので、やはり高校の副読本として使われていたということですね。
戦後も1970年代までは、高校の教科書も大学入試問題も、英文学が非常に重視されていました。
それでは、戦前の旧制中学生から戦後の新制高校生まで英語教材として読んだ『スケッチ・ブック』の英文のレベルは、どの程度のものなのでしょうか。
ワシントン・アーヴィングの世界』(名著普及会)には、「殆ど一世紀にわたつて、「スケッチ・ブック」は世界中の英語を学ぶ者にとつての、最初の読本として使用された」とあります。
「最初の読本」ということは、原書講読の入門書ということですね。
ドイツ語で言えば『グリム童話』、ラテン語で言えば『ガリア戦記』に当たるということでしょうか。
斎藤兆史先生の『英語達人列伝』(中公新書)によると、新渡戸稲造は明治6(1873)年、発足したばかりの東京外国語学校に入学しますが、この頃の彼の英語力は文学作品を鑑賞するには十分でなく、ミルトンの『失楽園』を買って、余りにも手に余る難物であることを知り、アーヴィングの『スケッチ・ブック』の方を買えば良かったと後悔したとのことです。
『スケッチ・ブック(改訂版)』(研究社新訳注双書)の篠田錦策氏は、「はしがき」に、「この訳注の筆者が学生として教科書の中で初めてRip Van Winkleの原文を読むことになった時には、(中略)文章も平明で楽しく読めるから教室でのろのろと少しずつ読むのはもどかしく、自宅で辞書をたよりにまがりなりにもぐんぐん読んだ」と書いています。
しかし、この本の初版発行は昭和26(1951)年ですから、篠田氏は間違いなく、旧制の教育を受けているはずです。
かつて豊富なラインナップを誇った対訳本シリーズ「学生文庫」の1冊『スリーピー・ホロウの伝説』(南雲堂)の「はしがき」には、「ひどく洗練された流麗な文体をもち、かつ非常に語彙が豊富であるから、よく味読すれば、語学の習得にも資するところが多大であると思われる」とあります。
こちらも、「訳注者略歴」によると、訳注の田代三千稔氏は「大正13年東京大学英文科卒業」とあるので、旧制です。
同じく田代氏の訳注による『対訳アーヴィング』(南雲堂)の「はしがき」にも、「どの作品も洗練された流麗な文体をもち、かつ極めて詞藻に富み、語彙が豊かであるから、たんに文学作品としての鑑賞ばかりでなく、語学習得の書として、一度は必ず味読すべきものである」と、ほとんど同じことが書かれています。
この本の初版は昭和27(1952)年です。
それから、昭和41(1966)年に新版が出た、伝説の英語教師として名高い田中菊雄氏の『英語研究者のために』には、次のようにあります。

最初から難解なものに突き進むのも一つの勉強法であるが、とかく挫折のおそれがある。やはり飛躍せずに土台を堅めつつ徐々に進むのが最善の道である。何といっても最初はリーダーがよい。リーダーをつまらぬなどという考えを持たずに熱心に読むことが必要である。中学校・高等学校のリーダー数巻をりっぱに征服したならばもうたいていのものは読めるはずであるが、それでも前に述べた程度の書物に入るにはまだ力が足りない。ちょうどこの中間のボーダーライン(国境地帯)として読むべき書物としておすすめしたいのは、平易な小説・物語と、処世訓的論文である。前者にはコナン・ドイルの探偵小説、グリム、アンデルセンなどのおとぎばなし、『クオレ物語』、ラムの『沙翁物語』、キングズリの『希臘の英雄』、ハーンの『妖怪談』、アーヴィングの『スケッチ・ブック』などがよいと思う。後者にはマーデンの『プッシング・ツー・ザ・フロント』、スマイルズの『自助論』、ロード・エイヴバリー(Lord Avebury)の『ユース・オブ・ライフ』などがよろしい。この辺を越せば、もうどんな書物に立ち向かっても心配はないと思う。

田中氏は明治26(1893)年生まれ。
小学校を卒業後、独学で国立大学の教授にまで登り詰めた立志伝中の人です。
上に挙げられた作品は、いずれも戦前の中学・高校で英語教材としてよく読まれました。
学校のリーダーから本格的な文学作品の原書に移行する過程に読むべき「平易な」小説・物語の一つとして、『スケッチ・ブック』も挙げられています。
もっとも、田中氏が実際に修業時代に読んだのは、アメリカから直輸入の『ナショナル・リーダー』ですから、現在の中学・高校の英語のリーダーとは、大分レベルが違うでしょうが。
戦後教育を受けた者の目から見れば、どうでしょうか。
『そしてワシントン・アーヴィングは伝説になった』には、「英語の模範」であり、「平明典雅な文体」とあります。
著者の齊藤昇氏は昭和30(1955)年生まれですから、戦後ですね。
本当に、「平明」なのでしょうか。
では、『リップ・ヴァン・ウィンクル(ニュー・メソッド 英文対訳シリーズ36)』(評論社)の〈作品および作者紹介〉を見てみましょう。

Irvingの文体はかなりこったところもあり、単語にも相当むずかしいものが出てくるが、Rip Van Winkleはその中では最も読みやすいものの一つであるから、高校3年ぐらいの学力があれば容易に読破できよう。
*また余談ではあるが、The Sketch Book1冊を読めば、未知の単語を5,000ぐらいは覚えられると言われている。単語の力をつけたい人はぜひこれを1冊通読されるようおすすめしたい。

この本の初版発行は昭和38(1963)年ですから、今の高校生とは大分学力レベルが違うと考えられます。
『The Sketch Book』はオックスフォード版のペーパーバックで約350ページもありますから、5000語の単語を覚えるために、これを読破するような英語力のある高校生は、受験勉強なんか止めて、とっとと世界に羽ばたいた方が良いでしょう。
一方、英検3・4級レベルの読解教材である『リップ・バン・ウィンクル(やさしい英語で楽しむ世界名作シリーズ3)』(日本英語教育教会)の「『リップ・バン・ウィンクル』について」には、「原作の英文は“formal”(形式ばった)ものなので、読みにくいものである」とあります。
この本の初版発行は昭和59(1984)年です。
平成20(2008)年発行の『日本人は英語をどう学んできたか』(研究社)では、明治期の英語教育について、次のように書いています。

こうして旧制中学校の上級や高等学校では、さらに難解な作品を読むようになる。なかでもSamuel JohnsonのRasselas、MacaulayのLord Clive、SoutheyのThe Life of Nelsonなどの英雄伝記ものや、IrvingのThe Sketch Book、CarlyleやEmersonの論文集などが好まれた。今日の大学院レベルの英文を読んでいたのである。

『スケッチ・ブック』の英文は、「大学院レベル」なのだそうです。
文法無視の英語教育のせいで、英文科でも原書講読の授業が成立せず、英会話の練習やTOEIC対策に明け暮れているような現状では、無理もありませんね。
なお、僕が調べた限りでは、高知大学の文化学科の「アメリカ文学講読」という授業で、『スケッチ・ブック』の講読が行われていました。
年度は判りませんが、担当の山口義成氏は現在、金沢大学の教授で、職歴を見ると、2003~2018年まで高知女子大学・高地県立大学に勤務していたようなので、この間のどこかでしょう。
シラバスには、次のようにあります。

Washington Irving, "The Legend of Sleepy Hollow" (1820)を克明に読む。一つひとつの語義に注意を払うだけでなく、内容や時代背景に関わるような注釈をつけながら読み進める。最終的には、一冊の注釈本に仕上げることを目的とする。

スゴイですね。
現在では珍しい、極めて硬派な授業です。
履修年次は1~4年とあります。
と言う訳で、『スケッチ・ブック』の英文の難易度について、余りにも意見に幅があり過ぎるので、本当のところはどうなのかを知るために、自分で読んでみることにしました。

作者について

それでは、『スケッチ・ブック』の作者であるワシントン・アーヴィングについて、その生涯の概略を、少し長くなりますが、よくまとまっている開拓社の大学用テキスト『Rip Van Winkle』の「はしがき」から引用します。
なお、全くの余談ですが、彼の誕生日は僕と同じです(もちろん、生まれた年は違いますが)。

ワシントン・アーヴィング(Washington Irving)は、日本でいえば、徳川時代末期ごろの人である。1783年の4月3日にニューヨークで生まれている。アメリカ合衆国という国家が生まれかかっていたころのことであり、ワシントンという名前はのちに大統領となったワシントン将軍の名にちなんだものであった。父親はスコットランド人で、母親はイギリス人、その間に生まれた11人の子供の末子がワシントン・アーヴィングである。
そのころのアメリカ合衆国は、いわば、幼児期であり、オランダ色濃かったニューヨークの人口は3万に満たないほどのものであった。子供のアーヴィングは波止場で遊んだり、ハドソン河をさかのぼったりしながら、街燈はまだ石油ランプというような町で育った。この早熟多感な子供は体が弱く、教育はあまり受けなかった。16歳のときには法律事務所にはいったが、あまり気にそまず、19歳のころになると、兄の経営していた新聞(Morning Chronicle)に寄稿したりしている。筆名をJonathan Oldstyleといい、AddisonやSteeleを気どっていたものである。21歳になると、ヨーロッパへ渡っている。航海や転地によって健康を回復しようとしたのであった。1年半ばかりの間、フランスやイタリアなどで過ごし、ニューヨークへ帰ってから弁護士の免状を得た。が、けっきょく彼の興味は文筆に向かい、1807年には兄と友人と自分の3人でSalmagundiという雑誌を出している。AddisonのSpectatorをまねたもので、相当に好評をはくしたらしい。しかし、彼がいわば知名の人になったのはDiedrich Knickerbockerという仮名で出版したHistory of New York(1809)によってである。ニューヨークがまだNew Amsterdamの名で呼ばれていたころのオランダ移民に関するおもしろおかしい物語という種類のものであった。
1815年アーヴィングはイギリスへ渡り、兄の事業を手伝うことになった。そのときからけっきょく17年も在外生活がつづくことになるのであるが、事業は経営困難となり、彼自身は文筆に専念することとなった。
1817年、34歳のときには、Walter Scottを訪ねている。そして、1819年、36歳のころ、一連の随筆・紀行・物語を発表しはじめた。これがThe Sketch Book(1819-1820)である。アメリカにおいては7回にわたって分割出版(最後のものが1820年)され、イギリスではScottの世話で1820年The Sketch Book of Geoffrey Crayon, Gent. と題して出版された。ロンドンにおいても、ニューヨークにおいてもたいへんな成功で、英国の文人にも多くの知己をえた。外国では、まだ、アメリカ人が認められていなかったころのことである。
つづく数年の間を、彼はフランスやドイツで過ごし、Bracebridge Hall(1822)という英国の地方生活に関するもの、The Tales of a Traveller(1824)という物語集を発表している。1826年にはマドリッドを訪れ、米国公使館員として3年を過ごした。古いスペインに対する興味を覚えA History of the Life and the Voyages of Columbus(1828)、The Conquest of Granada(1829)、Voyages of the Companions of Columbus(1831)、The Alhambra(1832)などが出版されるに至っている。2年間(1829-1831)をさらに公使館員としてロンドンで送ってから、1832年、49歳のとき、17年ぶりで、ニューヨークへ帰った。すでにアメリカ文学界の大立物であった。居をハドソン河畔のTarrytownに構え、みずからSunnysideと名づけ、このはれやかな閑居で、都会のざわめきをよそに静かな余生を送ることとなった。
しかし、この静かな生活も、1842年には破られることになった。彼はスペイン公使に任命され、ふたたびマドリッドにおもむかなければならなかったからである。彼がアメリカへ帰ってきたのは1846年であり、63歳になっていた。晩年はLife of General Washington(1855-1859)という彼最大のそして最も長い作品の執筆に、主として、費やされた。彼は1859年11月28日“Sunnyside”の自宅で亡くなった。

作品について

続いて、『スケッチ・ブック』という作品について、『はじめて学ぶアメリカ文学史』(ミネルヴァ書房)に、極めて簡潔にまとめられているので、下に引いておきます。

彼の代表作は、「リップ・ヴァン・ウィンクル」(“Rip Van Winkle”)や「スリーピー・ホロウの伝説」(“The Legend of Sleepy Hollow”)を含む『スケッチ・ブック』(The Sketch Book, 1819-20)である。ハドソン川上流のキャッツキル山中で20年間も「冬眠」した男の話「リップ・ヴァン・ウィンクル」の中では、粗野なリップの妻が戯画的に誇張されており、またリップの20年間の不在の間に独立したアメリカの状況が、リップに違和感をもたらすように描かれている。
また、首のない騎士のかぼちゃのお化けに、全ての目論見をぶち壊される青年、イカボッド・クレーンの登場する「スリーピー・ホロウの伝説」には、民話を題材としながらも、アメリカ人の性急な「成功」への野心を皮肉るアーヴィングの心情が読みとれる。
これらの作品は、ユーモアに包まれてはいても、アメリカの現実に満足感を抱かず、古き良き時代をノスタルジックに追い求めるアーヴィングの心情を投影したものといえる。それゆえ、同時代のイギリスの批評家からは、「アメリカ生まれの最良のイギリス作家」と評されている。

また、『新版 アメリカ文学史』(ミネルヴァ書房)には、別の切り口で書かれているので、こちらも引用しておきます。

ワシントン・アーヴィングは、代表作『ジェフリ・クレイヨン氏のスケッチブック』(The Sketch Book of Geoffrey Crayon, Gent., 1819-20)で、9千ドルを得たといわれる。当時としては、アメリカはもちろんのこと、イギリスでもスコットを除けば、これほど人気のあった作家はいなかったのであり、文字通り文壇の大御所的存在であった。
なぜアーヴィングがこれほどに読まれたのだろうか。その原因の一つに、当時のアメリカ人のイギリスに対する意識の変化がある。『スケッチブック』の語り手クレイヨンにとって、イギリスは「子ども時代に聞かされて以来、長年ずっと思い描いてきたあらゆるものに満ちた約束の地」だったという。「約束の地」(創世記12:7)とは、アメリカ大陸をはじめて目にしたピューリタンたちが、この新世界を呼んだ言葉であったはずだが、それがいま、彼らが拒否し捨ててきた国イギリスに向かって使われているのである。あれから200年、ようやくアメリカ人がイギリスに対して抱くようになった郷愁にも似た親密感を、この作品は表わしていた。
もう一つの理由として、『スケッチブック』が当時のアメリカ社会が与える不安や抑圧から読者を解放してくれたことをあげねばならない。いうまでもなく1820年代のアメリカは、イギリスとの戦争もすんで、工業化、商業化へと走りだし、大きな変化の途上にあった。現実世界に生きる人々にはクレイヨンのいう「朽ち果てた古城のまわりを散策し、倒れかかった尖塔をみつめる」余裕などなかった。ロマンチックなイギリスの点描のみならず、口やかましい妻からのがれ、ひとりキャツキル山に遊ぶ気楽なリップ(“Rip Van Winkle”)、失敗こそすれ安逸な生活を目論んで金持ち娘を手に入れようとしたクレインの話(“The Legend of Sleepy Hollow”)は、禁欲的労働を説くピューリタン倫理からのしばしの解放を読者に味わわせてくれたに違いない。
(中略)しかし、こうした特徴は同時に、現代の読者にはもはや通用せず、かえって物足りなさを感じさせる。政治の大変革がおこったのもリップが山で寝ている間であったように、アーヴィングの世界では、結婚、死その他人間の生にかかわる重大事が正面切って扱われることはない。クレイヨンはそれらに巻き込まれることを避け、あくまでも「他人の幸不幸の傍観者にすぎない」気楽な独身者を通そうとする。アーヴィングが当時の大衆と深いところでつながっていた点を評価するにしても、同時代の他の作家たちと比べて見劣りがしてしまうのは、彼のこうした逃避的姿勢が作品に限界を与えるからである。

『スケッチ・ブック』のうち、「リップ・ヴァン・ウィンクル」については、『たのしく読めるアメリカ文学』(ミネルヴァ書房)にあらすじがまとめられているので、以下に引用します。

ニューヨークからハドソン川を上流へ遡ると、西岸に美しいキャッツキル山脈が見えてくる。まだイギリスの植民地だった頃、その麓の村にリップ・ヴァン・ウィンクルという恐妻家で、人の好い男が住んでいた。畑仕事や儲かる仕事は好きではなかったが、けっして怠け者というわけではなく、たとえ報いは少なくとも、釣りや猟や頼まれ仕事ならば喜んでするという男だった。だがおかげで女房にはどやされっ放しだった。
口うるさい女房から逃れるため、彼はしょっちゅう鉄砲を肩に森へ出かけていたが、ある秋の日のこと、リスを追いかけて森をさまよっているうちに、リップはキャッツキル山脈の奥深く入り込んでいた。日暮れが迫り、女房に叱られると思い、帰途に就こうとしたときだ。どこからか、「リップ・ヴァン・ウィンクル」と呼ぶ声が聞こえた。昔のオランダふうの身なりをした見知らぬ老人だった。酒樽を運ぶ手伝いをして欲しいという老人の依頼に、人の好いリップは怪訝に思いつつもついて行った。山間の窪地に着くと、同じような服装の一団がおり、運んできた樽の酒を飲み初めた。リップも勧められるままに飲み、やがて眠り込んだ。
目を覚ますと、そこは老人と出会った最初の場所だった。持っていた鉄砲は古錆び、連れてきた犬も見当たらない。鉄砲も犬もあの山中の一団に盗まれたと思い、その場所に引き返したが、何もなく、仕方なく村に戻ることにした。だがおかしなことに、戻った村は様子が一変し、見知らぬ人間ばかりだった。女房にどやされると思いつつ自分の家に行ってみたが、誰もおらず家は壊れかけていた。自分が一体誰なのかさえ分からなくなったとき、いまは母親となった自分の娘に出会い、女房も友人たちもすでに亡く、リップが失踪してからじつに20年の歳月が流れていたことを知らされたのだった。その間にアメリカは独立し、選挙だの民主主義だの、リップにはわけの分からぬ世界に変わっていた。だが徐々に新しい世界にも馴れ、村の長老として、独立戦争以前の昔を知る語り部としてリップはその余生を送ったのであった。

テキストについて

Oxford World's Classics版

The Sketch-Book of Geoffrey Crayon, Gent (Oxford World's Classics)

The Sketch-Book of Geoffrey Crayon, Gent (Oxford World's Classics)

初版は1996年。
アメリカ文学に分類される『スケッチ・ブック』ですが、イギリスでも、ほぼ同時期に出版されました。
岩波文庫版『スケッチ・ブック(下)』の「解説」によると、1819年に、まずアメリカで分冊の形で刊行され、翌年、それらをまとめた単行本がイギリスで出版されたのです。
僕は恥ずかしながら、アメリカで古典文学を出しているメジャーな版元を知りません。
そこで、このオックスフォード版を選びました。
アマゾンの本体では品切れになっているので、イギリスの出品業者からの取り寄せになります。
僕の場合は、2週間くらいで到着しました。
本文は約320ページで、『スケッチ・ブック』の全作品(34作)が収録されています。
他に、「Introduction」「Note on the Text」「Select Bibliography」「A Chronology of Washington Irving」「Appendix: Prospectus and Advertisement」「Irving's Notes」「Editor's Notes」を収録。
イギリスの版元なのでイギリス英語かと思いきや、neighbour(イギリス綴り)ではなくneighborと綴られているので、アメリカ英語ですね。
しかしながら、molderはmoulder(イギリス綴り)と綴られており、一方、travelerはtraveller(イギリス綴り)ではなく、また、humorもhumour(イギリス綴り)ではありません。
アメリカ独立から日が浅いので、現在のように、アメリカ綴りとイギリス綴りが明確に分離していなかったのでしょう。
なお、洋書を選ぶ時、アマゾンでタイトルを検索すると、膨大な件数がヒットします。
そこで、池袋のジュンク堂さんの9階へ行くと良いでしょう。
同じ作品でも、色々な出版社から出ている版が揃っているので、実際に手に取って比較が出来ます。
ちなみに、ペンギン・クラシックスからは『The Legend of Sleepy Hollow and Other Stories』というタイトルで発行されていますが、中身は『スケッチ・ブック』です。
こちらも、全34作が収録されています。
パフィン・クラシックス(ペンギンの児童向けレーベル)からは『Rip Van Winkle and Other Stories』というタイトルで出ていますが、こちらは、「Rip Van Winkle」「The Legend of Sleepy Hollow」を含む5作品しか載っていません。

翻訳について

岩波文庫

【上巻】

スケッチ・ブック(上) (岩波文庫)

スケッチ・ブック(上) (岩波文庫)

初版は2014年。
翻訳は齊藤昇氏。
上巻に収録されているのは、「著者自身を語る」「船旅」「ロスコウ氏をめぐって」「妻」「リップ・ヴァン・ウィンクル」「イギリス人文筆家のアメリカ観」「イギリスの田園生活」「ブロークン・ハート」「書物の作り方」「王室の詩人」「田舎の教会」「寡婦とその息子」「ロンドンの日曜日」「イーストチープの居酒屋ボアーズヘッド」「文学の変転」「田舎の葬式」「旅籠の厨房」「幽霊花婿」「ウェストミンスター寺院」の19編。
巻末には、「訳注」があります。
挿絵も豊富です。
現在、新刊で入手出来る唯一の翻訳です。
かつては、角川文庫、新潮文庫などからも翻訳が出ていましたが、いずれも絶版になっています。
また、これまでの翻訳はほとんどが抄訳でしたが、本版は全訳です。
新しい訳なので、非常に読み易くなっています。
古典文学、特に、シェイクスピアと聖書からの引用が多いです。
現在では考えられませんが、当時のアメリカは「辺境の地」でした。
本作は、よく「イギリスへの郷愁」と表現されますが、僕は、植民地アメリカの出身であるアーヴィングはイギリス本国にコンプレックスを抱いていたのではないかと思います。
「辺境のアメリカで認められても仕方がない、何としても本国で認められるぞ」と。
そのようなアーヴィングの思いが、行間からひしひしと伝わって来ます。
当時のアメリカには、未だまともな文学は存在していませんから、文学作品を読むにはイギリスから取り寄せるしかなかったというような時代です。
当然ながら、アメリカには文壇のようなものはなく、アーヴィングはイギリスに渡り、イギリスの文壇の仲間入りを果たそうとしました。
当時のイギリスは、ウォルター・スコットを始めとして、文学者の宝庫ですから。
ですから、アーヴィングを「最初のアメリカ文学」と言いますが、実態はイギリス文学なのではないでしょうか。
さて、実際に読んでみると、特にドラマチックな展開などはなく、何となく「いい話し」が集められています。
チャールズ・ラムの『エリア随筆』などもそうですが、当時は、こういうのが受けたのでしょう。

【下巻】

スケッチ・ブック(下) (岩波文庫)

スケッチ・ブック(下) (岩波文庫)

初版は2015年。
下巻に収録されているのは、「クリスマス」「駅馬車」「クリスマス・イヴ」「クリスマス・デイ」「クリスマス・ディナー」「アンティークのあるロンドンの風景」「リトル・ブリテン」「ストラットフォード・アポン・エイボン」「アメリカ・インディアンの特徴について」「ポカノケットのフィリップ」「ジョン・ブル」「わが村の誇り」「釣り師」「スリーピー・ホローの伝説」「あとがき」の15編。
巻末には、「訳注」と「解説」があります。
「解説」は概ね、訳者のアーヴィング関連の著書の内容をまとめたものです。
「本書の訳出に際しては原著の文意をできるだけ損なうことがないように、それぞれの場面や文脈にふさわしい最も適切な訳語を当てることに努めたのは当然のことながら、文章の読みやすさを考慮し、原文の意味に沿って適宜言葉を補うなどの配慮を心がけた次第である」とあるように、本書の訳文はかなり「意訳」されています。
原文と対照する際には注意が必要です。

注釈書について

『スケッチ・ブック』の注釈書で現在、日本で新刊として流通しているものはないようです。
数年前には、研究社小英文叢書の『リップ・ヴァン・ウィンクル』が普通に大型書店で入手出来ましたが、現在では、アマゾンでも品切れになっています。
やはり、最近はあまり読まれなくなっているのでしょうか。

参考文献について

『そしてワシントン・アーヴィングは伝説になった』

初版は2017年。
著者は、日本におけるアーヴィング研究の第一人者である齊藤昇氏(立正大学文学部・大学院文学研究科教授)。
現在、新刊で入手出来る唯一のアーヴィング研究書です。
アーヴィングの生涯を、作品の解説を織り交ぜながら、コンパクトに綴っています。
ウォルター・スコットを始め、同時代のイギリス本国の文学者と幅広く交流を持ち、そのおかげで、『スケッチ・ブック』で一躍名声を手に入れたのです。
しかし、その後のアーヴィングは、名士との交流を保つために借金を重ね、その穴埋めのために必死で作品を仕上げますが、ついに『スケッチ・ブック』を超えるものは現われませんでした。
彼は、アメリカの文学者ですが、その視線は常にイギリス本国を始めとするヨーロッパを向いていました。
その辺りの概略は、本書を読めば、よく分かります。
それから、最後の「アーヴィングと日本」の章が非常に興味深いです。
明治期から、アーヴィングはどのように日本で受け入れられて来たのかを詳細に綴っています。

映画化作品について

スリーピー・ホロウ

現在、『スケッチ・ブック』の映画化作品で、廉価版のブルーレイで入手可能な唯一のものです。
1999年のアメリカ映画。
監督はティム・バートン
製作総指揮は、『アメリカン・グラフィティ』の巨匠フランシス・フォード・コッポラ
主演は、『プラトーン』のジョニー・デップと、クリスティーナ・リッチ
共演は、『ディア・ハンター』のクリストファー・ウォーケン、『アマデウス』のジェフリー・ジョーンズ、『クリスマス・キャロル1984)』『愛と哀しみの果て』のマイケル・ガフ、『1941』のクリストファー・リー、『炎のランナー』『ガンジー』のリチャード・グリフィス
ティム・バートン監督、ジョニー・デップ主演と言えば、『シザーハンズ』ですね。
確か、浪人中に映画館で観ました。
スリーピー・ホロウ』については、公開時に話題になっていたことは覚えています。
TVCMを何度も見たような。
結論から言うと、原作はワシントン・アーヴィングの「スリーピー・ホローの伝説」ということになっていますが、原作とは全く違う話しになっています。
設定すら違い、ほとんど登場人物の名前を借りただけです。
原作では、主人公イカボッド・クレインは教師ですが、映画では刑事。
原作では、イカボッドは教師として村人達から様々な恩恵を受け、それから、のどかなスリーピー・ホローの村の自然描写が続きます。
そして、イカボッドと村一番の豪農ヴァン・タッセル家の娘カトリナとの淡い恋。
村の青年ブロム・ボーンズとの恋の鞘当て。
首なし騎士の伝説はありますが、当の騎士はクライマックスにやっと出て来るだけです。
しかし、映画では、首なし騎士がのっけから首切り殺人を連発し、刑事であるイカボッドが事件の捜査をします。
首切り描写がジャンジャン出て来て、完全にホラーとして作られており、従って、原作とは全くの別物です。
原作を読む際の参考にと思って見ると、痛い目に遭うでしょう。
本作は、作られた時代と題材から、やたらとCGが使われています。
ただ、メイキング映像を見ると、意外と実物大セットもきちんと作って撮影されている大作だということが判りましたが。
主人公のイカボッドは当初、無神論者ということになっていますが、実際に首なし騎士を目の当たりにしてからは、すっかり迷信を信じるようになります。
ここが、どうにも納得が行きません。
だったら、別に彼が無神論者である必要はないではありませんか。
彼が迷信を科学的に解明する話しだと思っていたら、ここから急に方向転換します。
それから、刑事なのに、失神ばかりして、頼りない主人公です。
後半、話しは二転三転します。
目まぐるしいですが、面白くはありません。
最後に、種明かしがあります。
これも、別に面白くはありません。
はっきり言って、原作を何故こういう映画に仕立てる必要があったのか疑問です。
だったら、最初からオリジナル・ストーリーでも良かったでしょう。
まあ、原作はアメリカ人なら誰でも知っている話しらしいですから、タイトルだけ頂戴したのだと思います。
企画が貧困な近年の映画にありがちな話しです。
『ベオウルフ』や『クリスマス・キャロル』もそうでしたが、昨今の古典の映画化はヒドイですね。
アカデミー賞美術賞受賞。

それでは、次回以降は、例によって、僕の単語ノートを公開します。

【参考文献】
『スケッチ・ブック』田部重治・訳(角川文庫)
http://www.lib.pref.toyama.jp/attach/EDIT/000/000021.pdf
そしてワシントン・アーヴィングは伝説になった: 〈アメリカ・ロマン派〉の栄光 (フィギュール彩)』齊藤昇・著(彩流社
ワシントン・アーヴィングとその時代』齊藤昇・著(本の友社)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jeigakushi1969/1971/3/1971_3_162/_pdf/-char/ja
修猷館の英語教育 明治編』安部規子・著(海鳥社
近代日本の英語科教育史―職業系諸学校による英語教育の大衆化過程』江利川春雄・著(東信堂
坊っちゃん (岩波文庫)夏目漱石・著
英語教師 夏目漱石 (新潮選書)川島幸希・著(新潮選書)
英語天才 斎藤秀三郎: 英語教育再生のために、今あらためて業績を辿る竹下和男・著(日外アソシエーツ
1986年度 二文.pdf - Google ドライブ
別巻Ⅰ/第一編 第三章
伊藤和夫の英語学習法―大学入試 (駿台レクチャーシリーズ)伊藤和夫・著(駿台文庫)
https://www.wul.waseda.ac.jp/gakui/honbun/3636/22_chapter18.pdf
「大正後期における旧制高校の英語教科書について」井田好治・著
英文をいかに読むか』朱牟田夏雄・著(文建書房)
『スケッチ・ブック(旺文社英文学習ライブラリー①)』島田謹二・訳注(旺文社)
ワシントン・アーヴィングの世界』ヴァン・ウィック・ブルックス・著、石川欣一・訳(名著普及会)
英語達人列伝―あっぱれ、日本人の英語 (中公新書)斎藤兆史・著
スケッチ・ブック (研究社新訳注双書 (7))』篠田錦策・訳注(研究社)
スリーピー・ホロウの伝説(英和対訳・学生文庫24)』田代三千稔・訳注(南雲堂)
『対訳アーヴィング(現代作家シリーズ52)』田代三千稔・訳注(南雲堂)
英語研究者のために (講談社学術文庫)』田中菊雄・著
リップ・ヴァン・ウィンクル―「スケッチ・ブック」より (ニュー・メソッド英文対訳シリーズ (C-15))』龍口直太郎・著(評論社)
『リップ・バン・ウィンクル(やさしい英語で楽しむ世界名作シリーズ3)』中内正夫・訳注(日本英語教育教会)
日本人は英語をどう学んできたか 英語教育の社会文化史』江利川春雄・著(研究社)
アメリカ文学講読
山口 善成 - 金沢大学研究者情報
Rip Van Winkle安井稔・編注(開拓社)
はじめて学ぶアメリカ文学史 (シリーズ・はじめて学ぶ文学史 2)』板橋好枝、高田賢一・編著(ミネルヴァ書房
新版アメリカ文学史―コロニアルからポストコロニアルまで別府恵子、渡辺和子・編著(ミネルヴァ書房
たのしく読めるアメリカ文学―作品ガイド150 (シリーズ・文学ガイド)』高田賢一、野田研一、笹田直人・編著(ミネルヴァ書房

『スリーピー・ホロウ』

この週末は、ブルーレイで『スリーピー・ホロウ』を見た。

1999年のアメリカ映画。
監督はティム・バートン
原作はワシントン・アーヴィング
製作総指揮は、『アメリカン・グラフィティ』の巨匠フランシス・フォード・コッポラ
主演は、『プラトーン』のジョニー・デップと、クリスティーナ・リッチ
共演は、『ディア・ハンター』のクリストファー・ウォーケン、『アマデウス』のジェフリー・ジョーンズ、『クリスマス・キャロル1984)』『愛と哀しみの果て』のマイケル・ガフ、『1941』のクリストファー・リー、『炎のランナー』『ガンジー』のリチャード・グリフィス
ティム・バートン監督、ジョニー・デップ主演と言えば、『シザーハンズ』だな。
確か、浪人中に映画館で観た。
スリーピー・ホロウ』については、公開時に話題になっていたことは覚えている。
TVCMを何度も見たような。
結論から言うと、原作はワシントン・アーヴィングの「スリーピー・ホローの伝説」ということになっているが、原作とは全く違う話しになっている。
設定すら違う。
登場人物の名前を借りただけだ。
原作では、主人公イカボッド・クレインは教師であるが、映画では刑事である。
原作では、教師として村人達から恩恵を受けるイカボッド。
それから、のどかなスリーピー・ホローの村の自然描写が続く。
そして、イカボッドと村一番の豪農ヴァン・タッセル家の娘カトリナとの淡い恋。
村の青年ブロム・ボーンズとの恋の鞘当て。
首なし騎士の伝説はあるが、当の騎士はクライマックスにやっと出て来るだけである。
しかし、映画では、首なし騎士がのっけから首切り殺人を連発し、刑事であるイカボッドが事件の捜査をする。
首切り描写がジャンジャン出て来て、完全にホラーとして作られている。
従って、原作とは全くの別物である。
原作を読む際の参考にと思って見ると、痛い目に遭う。
カラー、ワイド。
おどろおどろしい音楽が流れる。
遺言状に封印。
村長ピーター・ヴァン・ギャレットが乗った疾走する馬車。
カボチャの顔のカカシ。
首なしの男が馬車を操る。
ギャレットが飛び降りると、立ちはだかるカボチャのお化け。
首をはねられるギャレット。
ニューヨーク市、1779年」という字幕。
イカボッド・クレーン(ジョニー・デップ)捜査官が殺人事件の捜査をしている。
裁判所で、当時では考えられなかったであろうリベラルな主張を展開するイカボッド。
周囲は呆れ、市長から、スリーピー・ホロウの首切り殺人を調べるように命じられる。
馬車に乗ってスリーピー・ホロウに向かうイカボッド。
のどかで美しい自然の風景が続く。
イカボッドが村に到着するが、村人達は排他的である。
村一番の豪農バルタス・ヴァン・タッセル(マイケル・ガンボン)の屋敷を訪ねる。
中では、パーティーの真っ最中。
これが如何にもCGっぽい。
本作は、作られた時代と題材から、やたらCGが使われている。
タッセル家の娘カトリーナクリスティーナ・リッチ)がイカボッドの頬にキスをする。
カトリーナのボーイフレンドで、村の若者達のリーダー格であるブロム・ヴァン・ブラントは、これが面白くない。
イカボッドは、タッセル邸に宿泊することにする。
ギャレットの息子が殺された。
死体には首がない。
首なし騎士が首を奪い去って、地獄へ持ち帰ったと信じる村の人々。
この村には、首なし騎士の伝説があった。
首なし騎士は、独立戦争の時にイギリス側が送り込んだドイツ人傭兵で、誰よりも殺戮を好んだ。
首を切られ、20年後に蘇り、復讐に。
村人達は聖書しか信じない。
イカボッドは、この時代には珍しい無神論者で、科学的に捜査し、犯人をきっと捕まえると誓う。
その夜、またも首なし騎士が首切り殺人を。
翌朝、暴れ馬のガンパウダー(これは原作にも出て来る)に乗るイカボッド。
殺害現場に首なし遺体が横たわっている。
科学的に捜査をするイカボッド。
被害者の息子マスバス少年が「捜査を手伝わせて」とイカボッドに頼む。
捜査のために墓を掘り返すイカボッド。
村人達には、彼の行動が理解出来ない。
村人達に愛されていた原作の主人公とは違う。
未亡人の遺体を解剖するイカボッド。
腹には赤ん坊がいた。
犯人は異常者だと断定するイカボッド。
その夜、イカボッドは首なし騎士に追われる。
騎士は、火のついたカボチャをイカボッドに投げて来る。
しかし、実は中にブロムが入っていた。
イカボッドをからかうためのイタズラだったのだ。
イカボッドは、カトリーナと馬で森の中へ。
イカボッドの掌には、幼い時につけられたアザがある。
判事が迷信を信じている。
羊が逃げ、雷が鳴り、判事がイカボッドの目の前で首なし騎士に切られ、首を剣で刺して去る。
その光景を見て、イカボッドは失神する。
そして、母親の夢を見る。
無神論者のはずのイカボッドは、すっかり迷信を信じるようになっていた。
ここが、どうにも納得が行かないというか。
だったら、別に彼が無神論者である必要はない。
彼が迷信を科学的に解明する話しだと思っていたら、ここから急に方向転換。
悪夢を見るイカボッド。
しかし、目覚めた彼は、「恐怖は克服した」と言う。
「これから、首なし騎士の墓を見に行く。誰か付いて来る者は?」と問うと、マスバス少年が手を挙げる。
森の中の魔女の家を訪ねる二人。
マスバス少年を家の外へ追い出す魔女。
魔女がコウモリの首を切り落とし、生き血を絞る。
うわあ、コロナに感染しそうだ。
魔女の助言に従い、イカボッド達は森を西へ。
死人の木を目指す。
そこが首なし騎士のねぐらだという。
イカボッドがマスバス少年と馬を進めて行くと、何故か白馬に乗ったカトリーナがいる。
「お供をしたい」とカトリーナ
そして、死人の木へ。
イカボッドが木を切ると、血が飛び散る。
オエッ!
根元に、これまでの被害者のものと思しき幾つもの首が隠されている。
「この木は、あの世への入り口なんだ。」
それから、イカボッドが騎士の墓を掘り返すと、遺体の骨には首がない。
彼の首は盗まれたので、自分の首を探すために外界へ現れるのだと。
すると突然、木の根元から首なし騎士が飛び出す。
思い切りCG。
騎士を追うイカボッド。
消えた。
助産院にやって来る首なし騎士。
親子3人が首を切られる。
ブロムが駆け付け、騎士を撃つが、倒れてもよみがえる。
ブロムはイカボッドを助けるが、自らは首なし騎士にやられる。
しかし、首は切られていない。
イカボッドは、またも失神してしまった。
頼りない主人公だ。
さあ、これからどうなる?
この後、話しは二転三転する。
目まぐるしいが、面白くはない。
そして、種明かしがある。
これも、別に面白くはない。
はっきり言って、原作を何故こういう映画に仕立てる必要があったのか疑問。
だったら、最初からオリジナル・ストーリーでも良かっただろう。
まあ、原作はアメリカ人なら誰でも知っている話しらしいから、タイトルだけ頂戴したのだろう。
企画が貧困な昨今の映画にありがちな話しだ。
『ベオウルフ』とか『クリスマス・キャロル』とかもそうだが、昨今の古典の映画化はヒドイね。
余談だが、当時のニュー・ヨークは既にこんな大都市だったのか。
アカデミー賞美術賞受賞。

Sleepy Hollow (1999) Trailer #1 | Movieclips Classic Trailers