『シェイクスピア物語』を原書で読む(第3回)

Preface(第2回)
(テキスト4ページ、10行目~)
(※赤字は大学受験レベルの語)

I have wished to make these Tales easy reading for very young children.

wish(他)(~)したい(と思う)(+to do)
make(他)(~を)(~に)する(+目+補)
tale(名)(事実・伝説・架空の)話、物語
reading(名)読むこと(力)

To the utmost of my ability I have constantly kept this in my mind; but the subjects of most of them made this a very difficult task.

to(前)(限度・程度・結果などを表わして)~に至るまで、~するほどに ・to that extent その程度まで
utmost(名)(the ~)(能力・力・努力などの)最大限度、最高度、極限、極度 ・to the utmost of one's powers 力の及ぶかぎり
my(代)私の
ability(名)能力、技量 ・to the best of one's ability 力の及ぶかぎり
constantly(副)絶えず、いつも
keep(他)ずっと持っている
this(代)(指示代名詞)(すぐ前に言われたことをさして)こう、こういう、このこと
subject(名)(議論・研究などの)主題、問題、題目、テーマ(of)
most(代)(通例無冠詞/most of ~)(~の)大部分(ofの次の名詞の数によって単数複数扱いが決まる)
of(前)(部分を表わして)~の中の
task(名)(つらくて骨の折れる)仕事

It was no easy matter to give the histories of men and women in terms familiar to the apprehension of a very young mind.

it(代)(形式主語としてあとにくる事実上の主語の不定詞句・動名詞句・that節などを代表して)
no(副)(形容詞の前に置き、その形容詞を否定して)決して~でない
give(他)(~に)(事実・情報・名前・意見などを)伝える、告げる、教える(+目+目)
in(前)(道具・材料・表現様式などを表わして)~で、~でもって、~で作った
term(名)(複数形で)言い方、表現 ・in plain terms 平易な言葉で
familiar(形)(もの・人が)(人に)よく知られて(to)
to(前)(行為・作用の対象を表わして)~にとっては、~には
apprehension(名)理解、理解力(=comprehension)
mind(名)(通例修飾語を伴って)(~な)心(知性)の持ち主、人

For young ladies too it has been my intention chiefly to write, because boys are generally permitted the use of their fathers' libraries at a much earlier age than girls are, they frequently having the best scenes of Shakespeare by heart, before their sisters are permitted to look into this manly book; and therefore, instead of recommending these Tales to the perusal of young gentlemen who can read them so much better in the originals, I must rather beg their kind assistance in explaining to their sisters such parts as are hardest for them to understand; and when they have helped them to get over the difficulties, then perhaps they will read to them (carefully selecting what is proper for a young sister's ear) some passage which has pleased them in one of these stories, in the very words of the scene from which it is taken; and I trust they will find that the beautiful extracts, the select passages, they may choose to give their sisters in this way, will be much better relished and understood from their having some notion of the general story from one of these imperfect abridgements: — which if they be fortunately so done as to prove delightful to any of you, my young readers, I hope will have no worse effect upon you, than to make you wish yourselves a little older, that you may be allowed to read the Plays at full length (such a wish will be neither peevish nor irrational).

intention(名)意図、意向(+to do)
chiefly(副)主に、大部分(が)、ほとんど(が)(=mainly、chiefly)
write(自)著述する、著作する
because(接)(副詞節を導いて)(なぜなら)~だから(である)、~なので
generally(副)普通(は)、通例、通常(=usually)
permit(他)(~を)許す、許可する、認める(+目+目)/(+目+to do)
use(名)(またa ~)使用(すること)、利用(法)(of)
of(前)(目的格関係を表わして)(しばしば動作名詞または動名詞に伴って)~を、~の
their(代)彼ら(彼女ら)の
library(名)蔵書、文庫
at(前)(時の一点を表わして)~(歳の時)に ・at the age of seven 7歳の時に
much(副)(形容詞・副詞の比較級を修飾して)はるかに、ずっと、断然
early(形)(時期・季節・年代など)初期の ・at an early age 若いころ(時、うち)に
frequently(副)しばしば、たびたび、頻繁に
have(他)(~を)(~の位置・状態に)保つ、保っておく
scene(名)(映画・テレビなどの特定の)場面、シーン
Shakespeare(名)シェイクスピア(1564-1616/英国の劇作家・詩人)
by heart そらで ・know by heart そらで知っている
before(接)~より前に、(~する)に先だって、~しないうちに
look into ~ ~をのぞき込む
manly(形)男性的な
therefore(副)それゆえに、従って、それ(これ)によって(=consequently)
instead of ~(前置詞的に)~の代わりに
recommend(他)(~に)(人・ものを)推薦する、推奨する
to(前)(目的を表わして)~のために、~に
perusal(名)熟読、精読
of(前)(主格関係を表わして)(動作の行為者、作品の作者を表わして)~が、~の
gentleman(名)(manに対するていねいな代用語として)男のかた、殿方
who(代)(関係代名詞)(制限的用法で)~する(した)(人)(通例「人」を表わす名詞を先行詞とする形容詞節をつくる)/(主格の場合)
read(他)(書物・手紙・作品などを)読む ・read Shakespeare シェイクスピアの作品を読む
so(副)(程度を表わして)(強意的に)とても、非常に、大変
better(副)(wellの比較級)(~より)いっそうよく
in(前)(方法・形式を表わして)~で、~をもって ・in this way この方法で、こうやって
original(名)(the ~)原文、原典、原書 ・read Shakespeare in the original シェイクスピアを原文(原語、原書)で読む
must(助動)(I must ~として強い希望を表わして)ぜひ~したい
rather(副)どちらかといえば、いやむしろ
beg(他)(~を)頼む、懇願する、(~してほしいと)願う
kind(形)親切な、優しい、思いやりのある(⇔unkind、nasty)
assistance(名)手伝い、助力、援助(in doing)
in(前)(行為・活動・従事を表わして)~して、~に従事して
to(前)(行為・作用の対象を表わして)~に対して、~に
such(形)(種類・範囲を表わして)(such ~ asで)~のように
as(代)(関係代名詞)(such、the sameまたはasを先行詞に含んで、制限的に用いて)~のような
hard(形)難しい、骨の折れる(⇔easy)(for)(+to do)
when(接)~する時に、~時(時を表わす副詞節をつくる)
help(他)(人を)助ける、援助する、救う、(人の)(~する)手伝いをする(1の意味では「人」を目的語にし、「仕事(など)」を目的語にしない)(+目+to do)
get over(障害・困難など)を乗り切る、(混乱など)を克服する(=get around)
difficulty(名)困難なこと、難事、難点
then(副)(whenに導かれる時の副詞節を受けて)その時には
will(助動)(話し手の推測を表わして)~だろう
select(他)(~を)選ぶ、選び出す、選出(選抜)する
what(代)(関係代名詞)(~する)もの(こと)(which、who、thatなどと異なり、意味上先行詞を含む関係代名詞で名詞節を導く)
proper(形)(目的・状況などにかなって)適切な、ふさわしい(=correct)(for)
ear(名)(単数形で)音を聞き分ける力
some(形)(不明または不特定のものまたは人をさして)(単数形の可算の名詞を伴って)何かの、ある、どこかの
passage(名)(文章・引用などの)一節、一句、ひとくだり(=excerpt、extract)
which(代)(関係代名詞)(制限的用法で)~する(した)(もの、事)(通例「もの」を表わす名詞を先行詞とする形容詞節をつくる)/(主格の場合)/(目的格の場合)
please(他)(人を)喜ばせる、楽しませる、満足させる(⇔displease)
one(代)(基数の1)(単数形で)(特定の人(もの)の中の)一つ、1個、一人(of)
story(名)物語、話
very(形)(the、this、thatまたは所有格人称代名詞に伴って強意を表わして)まさしくその、ちょうどその、~にほかならない
word(名)(複数形で)(芝居の)せりふ、台詞
from(前)(出所・起源・由来を表わして)~から(来た、取ったなど)・quotations from Shakespeare シェイクスピアからの引用句
take(他)(~を)(~から)引用する、借用する ・This line is taken from Shakespeare. この行はシェイクスピアから引用されている。
trust(他)(~ということを)(確信して)期待する、(~と)確信する(+that)
find(他)(~が)(~であると)知る、感じる、わかる(+that)
that(接)(名詞節を導いて)(~)ということ/(目的語節を導いて)
extract(名)抜粋、引用章句
select(形)選んだ、抜粋した ・select passages from Shakespeare シェイクスピアから抜粋した数節
may(助動)(譲歩を表わして)(後に等位接続詞butなどを従えて)~かもしれない(が)、~といってもいいが(が)
choose(他)(もの・人を)選ぶ、選択する(+目+to do)・We chose her to replace him as the chair. 彼に代わる議長として彼女を選んだ。
this(形)(指示形容詞)この(⇔that)/(対話者同士がすでに知っているもの(人)をさして)
way(名)やり方、手段 ・in this way このように(して)
better(副)(wellの比較級)いっそう大いに、もっと
relish(他)(~を)楽しむ、たしなむ、享受する
from(前)(原因・理由を表わして)~のために、~の結果
have(他)(感情・考えなどを)(心に)抱いている ・have a notion 考えを抱いている
notion(名)観念、考え、意見(of)・have a notion 考えを抱いている
of(前)(関係・関連を表わして)~の点において、~に関して、~について
general(形)(詳細でなく)概括的な、大体の、概略の(=overall/⇔specific、detailed)
story(名)(小説・劇などの)筋、構想、ストーリー(=plot)
imperfect(形)不完全な、不十分な
abridgement(名)要約したもの(本)、抄本、簡約版
which(代)(関係代名詞)(非制限的用法で/通例前にコンマが置かれる)/(主格・目的格の場合)そしてそれは(を)
if(接)(仮定・条件を表わして)もしも~ならば、~とすれば/(可能性の少ない未来の仮定を表わす場合)(すべての人称でif ~ shouldを用いる/「万一~なら」の訳語になる)
fortunately(副)(文修飾)幸いにも、幸運にも
so ~ as to do ~するほどに(~だ)
prove(自)(~であることが)(あとになって)わかる、(~と)判明する、(結果)(~に)なる(=turn out)(+補)
delightful(形)楽しい、愉快な
any(代)(疑問文・条件節でany of ~の形か既出名詞の省略の形で用いて)何か、だれか(of)
reader(名)(特定出版物の)読者
hope(他)(Iを主語にして)(~と)思う、信じる(+that)
have(他)(~を)得る、もらう、受ける
no(副)(形容詞の前に置き、その形容詞を否定して)決して~でない
worse(形)(badの比較級で)(~より)いっそう悪い、なお悪い(⇔better)(than)
effect(名)影響 ・The experience had a bad effect on me. その経験は私に悪い影響を与えた。
on(前)(影響を表わして)~に ・have an effect on ~に影響を及ぼす
make(他)(強制的にも非強制的にも)(~に)(~)させる(+目+原形)
wish(他)(未来のことに関する願望を表わして)(~ということで)あってほしいと思う(+that)
yourselves(代)(強調に用いて)あなた方自身/(youとともに用いて同格的に)
little(副)(a ~で肯定的用法で/しばしば比較級の形容詞・副詞に伴って)少し、少しは
may(助動)(不確実な推量を表わして)~かもしれない、おそらく~だろう
allow(他)(人が)(~するのを)可能にする(+目+to do)
play(名)劇、戯曲、脚本 ・the plays of Shakespeare シェイクスピアの戯曲
at full length 十分に、詳しく
wish(名)願い、願望、希望、要請
neither(副)(neither ~ nor ~で相関接続詞的に用いて)~も~もどちらも~ない(しない)
peevish(形)気難しい、すれる、怒りっぽい(=bad tempered)
irrational(形)理性に基づかない、不合理な、ばかげた

When time and leave of judicious friends shall put them into your hands, you will discover in such of them as are here abridged (not to mention almost as many more which are left untouched) many surprising events and turns of fortune, which for their infinite variety could not be contained in this little book, besides a world of sprightly and cheerful characters, both men and women, the humour of which I was fearful of losing if I attempted to reduce the length of them.

leave(名)許し、許可(=permission)
judicious(形)思慮分別のある、賢明な(=wise/⇔injudicious)
shall(助動)(意志未来を表わして)(2、3人称を主語とする平叙文または従属節に用い、話者の意志を表わして)~させてやる
put(他)(~を)(~に)委ねる、任せる、預ける ・put A into the hands of B AをBの手に委ねる
your(代)あなた(たち)の、君(ら)の
hand(名)(通例複数形で)(所有の)手、所有
will(助動)(単純未来を表わして)~だろう、~でしょう(通例2人称、3人称の未来形に用いる)
such(代)(単数または複数扱い)(such asで)(~する)ようなもの(人)・Such of us as know her will deeply regret her death. 我々のうちで彼女を知っているものは彼女の死を深く悔やむことであろう。
abridged(形)(書物・話など)縮約(要約、簡略化)された
not to mention ~ ~は言うまでもなく、~に加えて
almost(副)(形容詞・副詞を修飾して)だいたい、ほとんど
as many ~ 同数の~
more(代)(複数扱い)より多くの数のもの(人)(⇔fewer)
leave(他)(人・ものを)(~の状態に)しておく(+目+補)
untouched(形)触れられ(てい)ない、手をつけてない ・leave ~ untouched ~に手をつけないままにしておく
surprising(形)驚くべき、意外な(⇔unsurprising)
turn(名)(a ~)(情勢の)変化、成り行き(of)
fortune(名)運
for(前)(原因・理由)~の理由で、~のため(=because of)
infinite(形)無限の(=boundless)
variety(名)変化(に富むこと)、多様(性)(=diversity)
contain(他)(~を)(内に)含む、包含する
besides(副)そのうえ、なお(また)
world(名)(a world ofまたworlds ofで)非常にたくさんの、無数の
of(前)(分量・内容を表わして/数量・単位を表わす名詞を前に置いて)~の
sprightly(形)活発な、元気な
cheerful(形)快活な、朗らかな、元気のいい
character(名)(小説などの)人物、(劇の)役
both(副)(both ~ and ~で相関接続詞的として)~も~も
and(接)(等位接続詞)(both ~ and ~で)~と~(との間に)
humour(名)(英)=humor(名)(人の)気質、気性
fearful(形)(~を)恐れて、気づかって(of doing)
of(前)(目的格関係を表わして)(形容詞に伴って)~を
lose(他)(~を)(維持できず)失う
attempt(他)(~を)試みる、企てる(+to do)
reduce(他)(大きさ・数量・程度などの点で)(費用・体重・生産などを)減らす、減少させる、下げる
length(名)(文章・映画などの)長さ(of)
【参考文献】
Tales from Shakespeare (Penguin Classics) (English Edition)』Charles and Mary Lamb・著
シェイクスピア物語 上 (岩波文庫)』安藤貞雄・訳
新英和中辞典 [第7版] 並装』(研究社)
中学基本英単語1200』赤尾好夫・編(旺文社)
英語基本単語集』赤尾好夫・編(旺文社)
試験にでる英単語―実証データで重大箇所ズバリ公開 (青春新書)森一郎・著(青春出版社

『透明人間』(1933)

この週末は、ブルーレイで『透明人間』を再見した。

透明人間 [Blu-ray]

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  • 発売日: 2016/08/24
  • メディア: Blu-ray
1933年のアメリカ映画。
監督は、『フランケンシュタイン』のジェームズ・ホエール
原作は、SFの父H・G・ウェルズ
僕は小学生の頃、市立図書館で『透明人間』の原作を借りて読んだ記憶がある。
少年版だったが、面白くて夢中で読んだ。
主演は、『スミス都へ行く』『カサブランカ』『アラビアのロレンス』のクロード・レインズ
本作が映画デビューである。
共演は、『タイタニック』のグロリア・スチュアート
ローズ(ケイト・ウィンスレット)のお婆さん時代を演じて、アカデミー賞にノミネートされた、あの人である。
更に、チョイ役で『西部開拓史』のウォルター・ブレナン、『十戒』のジョン・キャラダイン(ピーター・リッチモンド名義)等も出ている。
『透明人間』は、ピンク・レディーが歌う前から誰でも知っている超有名作品であるため、続編やリメイクも多数、作られている。
僕は2000年にケヴィン・ベーコン主演で映画化された『インビジブル』(ポール・バーホーベン監督)を観に行った。
確かに、CGの登場で透明人間の描写は昔とは比べ物にならないかも知れない。
しかし、全ての原点は、この1933年版にあるのである。
当時の最新技術を駆使して撮影された映像は、今見てもスゴイと思う。
公開された頃は、さぞ観客の度肝を抜いたことだろう。
ユニバーサル映画。
モノクロ、スタンダード・サイズ。
不安気なテーマ音楽。
猛吹雪の中を歩く包帯姿の男。
小さな村で見付けた宿屋に入る。
それまで、浮かれて飲み騒いでいた客達が静まり返る。
「部屋を用意しろ」と告げる包帯男。
長期の滞在になるという。
「あの包帯は何だろう」と客が噂している。
包帯男は2階の部屋に泊まることになった。
宿の女将が部屋を尋ねると、「邪魔するな!」と怒鳴る包帯男。
実に凶暴な性格だ。
そして、この独特のダミ声が実に耳に残る。
当時、全くの無名役者だったクロード・レインズを、監督は声で選んだのだという。
包帯男はジャック・グリフィン(クロード・レインズ)という科学者だった。
彼は、クランリー博士の研究所にいた。
クランリー博士の娘フローラ(グロリア・スチュアート)は、グリフィンの婚約者。
彼女は、グリフィンから1ヵ月以上も音沙汰がないと言って、とても心配している。
フローラは「何かあったのよ」と、泣き出す。
グリフィンの書類は全て燃やされていた。
様子もヘンだったという。
彼は、秘密の薬品を戸棚に入れていたのだが。
グリフィンの同僚アーサー・ケンプ博士は、グリフィンがいないスキにフローラに言い寄ったりしているが、彼女は取り合わない。
一方、宿ではグリフィンが「元に戻る方法が何かあるはずだ」と頭を抱えていた。
宿の女将は、主人に「今すぐあの人を追い出して!」と詰め寄る。
グリフィンは、宿代を1週間も未払いなのであった。
宿の主人はグリフィンの部屋に行き、「出て行ってくれ」と言うと、グリフィンは頭に血が上り、主人を突き飛ばす。
主人は階段から落ちてケガをしてしまった。
「警察を呼べ!」
果たして、お巡りが来た。
しかし、包帯男は一向に動じない。
「オレの正体を見せてやろうか!」と、高らかに笑いながら包帯を解く。
中身は何もない。
透明人間だ。
初めてグリフィンが包帯を解くこのシーンは、透明人間の正体に説得力を持たせるための大事なシーンだ。
それが、実に見事に撮れている。
今ならCGで簡単に作れてしまう映像だろうが、当時の技術では大変だった。
メイキングで、このシーンのカラクリを説明していたが。
いや、スゴイよ。
映画技術史に残る仕事だと思う。
当時の観客は、皆ぶったまげたに違いない。
で、グリフィンの宿屋の人達や警官も、同様にビビって部屋から逃げ出した。
「あいつは透明人間だ。服を脱いだら捕まえられん。」
案の定、グリフィンは服を脱ぎ、透明になって、宿の中で暴れ回り、外へ飛び出した。
だが、警察の上層部は信じてくれない。
その頃、クランリー博士はグリフィンの薬品リストを発見していた。
その中には、「モノカイン」という薬品があった。
これは劇薬で、強烈な漂白剤だ。
犬に注射すると、凶暴になり、白くなって死ぬ。
その夜、ケンプは自宅でくつろいでいた。
ラジオから透明人間のニュースが流れる。
その時、ケンプの部屋にグリフィンが入って来た。
もちろん、姿は見えない。
「逃げたら殺すぞ!」
ケンプは、怖くて電話も出来ない。
その頃、警察は必死で捜査をしていたが、姿が見えないので、何も見付けられない。
グリフィンはケンプと話しをする。
グリフィンは、宿で復元薬の研究をしていたが、愚かな連中に邪魔されたのだと。
「私はこの薬によってパワーを手に入れた! 世界を我々のモノに! パートナーはお前だ! 人殺しもやる!」
何か、言っていることがどこかの国の独裁者とソックリだ。
映画が公開されたのは、ナチスが政権を掌握した頃だが、既にヒトラーの危険性は内外に知られていたのだろうか。
最近も、どこかの国の気の狂った大統領が人種差別政策を推し進めようとしていたが、さすがに、彼の国では未だ民主主義が生きているようで、司法から「待った!」が掛かった。
どこのネトウヨか知らんが、トランプを救世主扱いして、彼を批判するのは頭の古い人間だみたいなことを言っていたが。
アホか!
ヨソの国のことだけど、ありゃオカシイよ。
あれをオカシイと思わないヤツの方が狂っている。
アメリカ国民も、半分は未だ良識が残っていて、今度はバイデンが当選したのが、唯一の救い。
日本も、状況は似たようなものだからな。
差し障りがあるので具体名は挙げないが、安倍とか小池とか、ああいうのを野放しにしておくと危険だ。
ガースーも散々だが。
本当に気を付けないと。
話しが逸れた。
グリフィンの自己陶酔な演説を聞かされたケンプは、「冗談じゃない!」と言う。
しかしながら、姿の見えない恐ろしさで、何の抵抗も出来ない。
グリフィンは、宿に研究ノートを忘れて来て、それを取りに戻るから、車を出せとケンプに命じる。
その頃、宿では警察の偉いさんが村人を尋問していた。
彼らが集団でありもしない透明人間の話しをでっち上げ、警察を騙したというのだ。
このオッサンは、善良な市民の言うことを全く信じていない。
この映画は、権力者というものについて考えさせる。
市民を信用しない警察なんて、何の存在意義があろう。
ただ危険なだけじゃないか。
グリフィンは警察署の前で大暴れする。
そして、「透明人間なんてデタラメだ」と言い放った警察署長を殴って殺す。
彼のやることはどんどんエスカレートして行った。
これもクスリの副作用のようだ。
クスリもコワイね。
さあ、これからどうなる?
後半、ニャンコに色付きのスプレーを吹き付けるシーンがある。
今なら、動物虐待として問題になるだろう。
グリフィンは、ついにポイントを切り替えて列車事故まで起こすが、このシーンはミニチュア。
多少のケチもあるが、当時としては驚愕の特殊技術と、色々と考えさせられる問題提起の数々。
テンポも良くて、ラストまでグイグイ引っ張る。
やはり、古典になるような作品には理由があるということだろう。

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『シェイクスピア物語』を原書で読む(第2回)

Preface(第1回)
(テキスト3ページ、1行目~)
(※赤字は大学受験レベルの語)

PREFACE

preface(名)(本などの)序文、まえがき、はしがき

The following Tales are meant to be submitted to the young reader as an introduction to the study of Shakespeare, for which purpose, his words are used whenever it seemed possible to bring them in; and in whatever has been added to give them the regular form of a connected story, diligent care has been taken to select such words as might least interrupt the effect of the beautiful English tongue in which he wrote: therefore words introduced into our language since his time have been as far as possible avoided.

following(形)(the ~)次に述べる、以下の
tale(名)(事実・伝説・架空の)話、物語
be meant to do(人が)~することになっている
submit(他)(~を)(~に)提出する、掲示する(to)
to(前)(行為・作用の対象を表わして)~に対して、~に
as(前)~として
introduction(名)入門(書)、序説(to)
to(前)(目的を表わして)~のために、~に
study(名)(綿密な)研究、検討、調査(of)
of(前)(目的格関係を表わして)(しばしば動作名詞または動名詞に伴って)~を、~の
Shakespeare, William(名)シェイクスピア(1564-1616/英国の劇作家・詩人)
for(前)(目的・意向を表わして)~のために、~を目的として
which(形)(関係形容詞)そして(だが)その
purpose(名)目的、意図 ・for ~ purpose ~の目的のために
his(代)彼の
word(名)(しばしば複数形で)(口で言う)言葉
use(他)(表現・偽名などを)使用する
whenever(接)~する時にはいつでも、~する時には必ず
it(代)(形式主語としてあとにくる事実上の主語の不定詞句・動名詞句・that節などを代表して)
seem(自)(~と)見える、思われる、(~)らしい(通例話し手の推量をこめた見方・判断を示す語で、文法上の主語と判断の主体は一致しないことが多く、時に判断の主体を示すのにto a personを従えることがある)(to+名詞+補)
bring in(法案・新制度などを)導入する(=introduce)
in(前)(範囲を表わして)~において、~内で
whatever(代)(譲歩節を導いて)どんなこと(もの)が~でも、いかに~でも(=no matter what)
add(他)(言葉を)付け加える
give(他)(~に)(場所・役などを)割り当てる、(課題などを)あてがう
regular(形)(法律・慣例・標準などに合った)正規の、正式の
form(名)(内容に対して)形式、外形(⇔content)
connected(形)つながった、連絡した
diligent(形)(仕事など)骨を折った、入念な
take care(受身可)注意する、気をつける
select(他)(~を)選ぶ、選び出す、選出(選抜)する
such(形)(such ~ asで)~のような
as(代)(関係代名詞)(such、the sameまたはasを先行詞に含んで、制限的に用いて)~のような
might(助動)(条件節の内容を言外に含めた主節だけの文で)(現在の推量を表わして)~するかもしれない
least(副)(littleの最上級)最も少なく
interrupt(他)(~を)さえぎる
effect(名)(単数形で)(色彩・形の配合による)効果、感銘、印象
English(形)英語の ・the English language 英語
tongue(名)言語、国語(=language)・the Chinese tongue 中国語
in(前)(道具・材料・表現様式などを表わして)~で、~でもって、~で作った ・in English 英語で
which(代)(関係代名詞)(制限的用法で)~する(した)(もの、事)(通例「もの」を表わす名詞を先行詞とする形容詞節をつくる)/(目的格の場合)/(主格の場合)
write(自)著述する、著作する
therefore(副)それゆえに、従って、それ(これ)によって(=consequently)
introduce(他)(新しい考え・流行・外国のものなどを)取り入れる、導入する(into)
our(代)我々の、私たちの
language(名)(一国・一民族などの)国語、~語 ・English language 英語
since(前)(通例継続・経験を表わす完了形の動詞に伴って)~以来(ずっと)、~から(ずっと)
his(代)彼の
time(名)(歴史上の)時代、年代、(~)代
as ~ as possible できるだけ
as far as ~(接続詞的に)~する限り(では)
avoid(他)(もの・人などを)避ける、よける、回避する

In those Tales which have been taken from the Tragedies, as my young readers will perceive when they come to see the source from which these stories are derived, Shakespeare's own words, with little alteration, recur very frequently in the narrative as well as in the dialogue; but in those made from the Comedies I found myself scarcely ever able to turn his words into the narrative form; therefore I fear in them I have made use of dialogue too frequently for young people not used to the dramatic form of writing.

take(他)(~を)(選んで)用いる、採用する
from(前)(出所・起源・由来を表わして)~から(来た、取ったなど)
tragedy(名)悲劇
as(代)(関係代名詞)(前後の主節全体を先行詞として、非制限的に用いて)それは~だが
my(代)私の
reader(名)(特定出版物の)読者
will(助動)(話し手の推測を表わして)~だろう
perceive(他)(~が)(~であると)わかる(+that)
when(接)~する時に、~時(時を表わす副詞節をつくる)
come(自)(~するように)なる、(~するに)至る(+to do)
see(他)(新聞などで)(~を)確かめる、調べる、よく見る
source(名)情報源、出所、消息筋
derive(他)(~を)(他のもの・本源から)引き出す、得る(from)
with(前)(様態の副詞句を導いて)~を示して、~して
little(形)(不可算の名詞を修飾して)(aをつけないで否定的用法で)少ししかない、ほとんどない(⇔much)
alteration(名)(部分的)変更、改変
recur(自)繰り返される
frequently(副)しばしば、たびたび、頻繁に
narrative(名)(本の会話部分に対して)語りの部分
as well as ~ ~はもちろん、~も~も
dialogue(名)(小説・劇などの)対話
those(代)(指示代名詞)(前に述べた複数名詞の反復を避けるために用いて)それら(⇔these)
comedy(名)喜劇
find(他)(find oneselfで)(~であるのに)気づく(+目+補)
myself(代)(再帰的に用いて)(再帰動詞の目的語に用いて)(再帰動詞とともに全体で自動詞的な意味になる)
scarcely(副)ほとんど~ない
ever(副)(否定文で)決して(~ない)
able(形)(~することが)できて、(~し)えて(⇔unable)(+to do)
turn(他)(~を)(別の表現に)変える(into)
into(前)(変化・結果を表わして)~に(する、なる)(通例ある物が別の物に形や状態を変えることを表わす)・turn A into B AをBに変える
narrative(形)物語体(風)の
fear(他)(よくない状態を気づかって)(~ではないかと)思う、気づかう、恐れる(+that)
make use of ~ ~を使用(利用)する
too(副)(形容詞・副詞の前に置いて)(~には)あまりに~すぎる(for)
for(前)(主にtoo+形容詞・副詞+for、またはenough+forの形で)~にとって(は)、~するには
not(副)(不定詞・分詞・動名詞の前に置いてそれを否定して)(~し)ない
used(形)(~に)慣れて(to)
dramatic(形)演劇の(に関する)
writing(名)書くこと、執筆

But this fault, if it be as I fear a fault, has been caused by my earnest wish to give as much of Shakespeare's own words as possible: and if the ‘He said’ and ‘She said’, the question and the reply, should sometimes seem tedious to their young ears, they must pardon it, because it was the only way I knew of, in which I could give them a few hints and little foretastes of the great pleasure which awaits them in their elder years, when they come to the rich treasures from which these small and valueless coins are extracted; pretending to no other merit than as faint and imperfect stamps of Shakespeare's matchless image.

this(形)(指示形容詞)この(⇔that)/(対話者同士がすでに知っているもの(人)をさして)
fault(名)(性格上の)欠点、短所
if(接)(仮定・条件を表わして)もしも~ならば、~とすれば/(可能性の少ない未来の仮定を表わす場合)(すべての人称でif ~ shouldを用いる/「万一~なら」の訳語になる)
be(自)(特別用法)(条件節・譲歩節などの中で)・If it be so ~ そうならば~
as(接)(様態・状態を表わして)~のように
fear(自)心配する、気づかう
cause(他)(~を)引き起こす
earnest(形)まじめな、真剣な
wish(名)願い、願望、希望、要請
give(他)(人に)(伝言などを)伝える、(保証として)与える
much(代)(単数扱い)(通例否定・疑問文で)多量、たくさん(⇔little)(of)(how、too、as、soなどとともに用いる時、または主語(の一部)になる時や特定の言い方では肯定文でも用いる)
of(前)(分量・内容を表わして/数量・単位を表わす名詞を前に置いて)~の
reply(名)答え、回答、返事(=response)
should(助動)(仮定法で)(条件節に用いて実現の可能性の少ない事柄に対する仮定・譲歩を表わして)万一(~ならば、~しても)、もしかして~ということでもあれば(あっても)
tedious(形)長ったらしくて退屈な、あきあきする、つまらない(=boring)
to(前)(行為・作用の対象を表わして)~にとっては、~には
their(代)彼ら(彼女ら)の
ear(名)耳
must(助動)(必要・義務を表わして)~ねばならない
pardon(他)容赦する、許す、大目に見る
because(接)(副詞節を導いて)(なぜなら)~だから(である)、~なので
way(名)やり方、手段
know(自)(直接ではないが)(~のことを)間接的に知って(聞いて)いる ・This is the best method I know of. 私の知るところではこれがいちばんよい方法だ。
in(前)(方法・形式を表わして)~で、~をもって
which(代)(関係代名詞)(非制限的用法で/通例前にコンマが置かれる)(主格・目的格の場合)そしてそれは(を)
give(他)(~に)(事実・情報・名前・意見などを)伝える、告げる(+目+目)
few(形)(a ~の形で肯定的用法で)少しはある、ないことはない
hint(名)ほのめかし、暗示、ヒント
little(形)ささいな、大したことのない
foretaste(名)(a ~)(将来の苦楽の一端を)前もって味わうこと(of)
await(他)(事物が)(~に)用意されている、(~を)待ち構えている
in(前)(時間を表わして)~(のうち)に、~の間、~中
elder(形)(廃)年をとってからの、後年の
year(名)(複数形で)時代 ・one's childhood years 子供時代
when(副)(関係副詞)(非制限的用法で/通例前にコンマが置かれる)(~すると)その時
come(自)届く、達する
to(前)(方向を表わして)(到達の意を含めて)~まで、~へ、~に
rich(形)豪華な、ぜいたくな
treasure(名)(通例複数形で)貴重品、重要品
valueless(形)無価値な、価値(値打ち)のない、つまらない(=worthless/⇔valuable)
coin(名)硬貨、鋳貨
extract(他)(~から)(章句を)抜粋する(from)
pretend(自)(通例否定文で)(~だと)自任する(to)
merit(名)(称賛に値する)価値
than(接)(other、otherwise、elseなどを伴って/しばしば否定文で)~よりほかの、~よりほかには ・no other A than B AはB以外にない
as(前)~として
faint(形)(音・色・光など)かすかな、ほのかな
imperfect(形)不完全な、不十分な
stamp(名)スタンプ、印章、刻印、極印
matchless(形)無双の、無比の
image(名)(写実的)描写、表現

Faint and imperfect images they must be called, because the beauty of his language is too frequently destroyed by the necessity of changing many of his excellent words into words far less expressive of his true sense, to make it read something like prose; and even in some few places, where his blank verse is given unaltered, as hoping from its simple plainness to cheat the young readers into the belief that they are reading prose, yet still his language being transplanted from its own natural soil and wild poetic garden, it must want much of its native beauty.

call(他)(人を)(~と)呼ぶ、称する(+目+補)
language(名)語法、文法、言葉づかい
too(副)(形容詞・副詞の前に置いて)(~するには)~すぎる、非常に~で(~する)ことができない(to do)
destroy(他)(名声などを)だめにする
necessity(名)(またa ~)必要(性)、緊急の必要(of doing)
change(他)(~を)変える、変化させる(into)
many(代)(複数扱い)多数(の人、もの)(of)
of(前)(部分を表わして)~の中の
excellent(形)優れた、一流の、すばらしい
far(副)(程度に関して)はるかに、大いに、ずっと
less(副)(littleの比較級)(形容詞・副詞を修飾して)より少なく、もっと少なく、~ほどでなく(⇔more)
expressive(形)(感情などを)表わして、表現して ・words expressive of ~を表わす言葉
of(前)(目的格関係を表わして)(形容詞に伴って)~を
true(形)本来の、適正な ・the truest sense of the word その語の最も適正(厳密)な意味
sense(名)意味、意義
make(他)(~を)(~)させる(してもらう)(+目+過分)
read(他)(書物・手紙・作品などを)読む
something(副)(前置詞つきの句の前に用いて)いくぶん、多少
like(前)~らしく、~同様に
prose(名)散文
some few ~ 少数の~、少しの~、多少の~
place(名)(話・書物・映画などの特定の)個所
where(副)(関係副詞)(非制限的用法で/通例前にコンマが置かれる)そしてそこに(で)
blank verse(名)(韻)無韻詩(普通弱強5歩格)
give(他)(人に)(言葉・返事・命令・あいさつなどを)述べる、言う(+目+目)
unaltered(形)変更のない、もとのままの
as(接)(原因・理由を表わして)~だから、~ゆえに
hope(他)(~したいと)思う、望む、(~であればよいと)思う(+to do)
from(前)(原因・理由を表わして)~のために、~の結果
its(代)それの、あれの、その
simple(形)単純な、込み入ってない、基本的な
plainness(名)<plain(形)明白な、わかりやすい、明瞭な(=clear)・plain words わかりやすい言葉
cheat(他)(~を)だます
belief(名)(またa ~)信じること、信念、確信(+that)
that(接)(名詞節を導いて)(~という)/(同格節を導いて)
yet(接)それにもかかわらず、しかしそれでも、それなのに
still(副)それでも(やはり)、なお(=nonetheless)
transplant(他)(植物を)移植する(from)
soil(名)土、土壌、うわさ(特に、植物の生長に関係のある表層部の土)
wild(形)自然のままの
poetic(形)詩的な
must(助動)(必然を表わして)必ず~する
want(他)(~が)欠けている、足りない
native(形)生まれつきの、生来の
【参考文献】
Tales from Shakespeare (Penguin Classics) (English Edition)』Charles and Mary Lamb・著
シェイクスピア物語 上 (岩波文庫)』安藤貞雄・訳
新英和中辞典 [第7版] 並装』(研究社)
リーダーズ英和辞典 <第3版> [並装]』(研究社)
中学基本英単語1200』赤尾好夫・編(旺文社)
英語基本単語集』赤尾好夫・編(旺文社)
試験にでる英単語―実証データで重大箇所ズバリ公開 (青春新書)森一郎・著(青春出版社

『グランド・ホテル』

この週末は、ブルーレイで『グランド・ホテル』を再見した。

グランド・ホテル [Blu-ray]

グランド・ホテル [Blu-ray]

  • 発売日: 2013/02/06
  • メディア: Blu-ray
1932年のアメリカ映画。
後に、『大空港』や『タワーリング・インフェルノ』といったパニック映画が「グランド・ホテル形式」で作られたということで、名前だけは以前から知っていたのだが、恥ずかしながら、5年前に初めてブルーレイで見た。
監督はエドマンド・グールディング。
主演は、グレタ・ガルボジョン・バリモアジョーン・クロフォードウォーレス・ビアリー、ライオネル・バリモア。
共演は、『ベン・ハー(1925)』『独裁者』『カサブランカ』のレオ・ホワイト。
本作はモノクロ、スタンダード。
画質は、それほど良くない(とは言っても、保存されている元のフィルムよりは、余程良いだろうが)。
MGMのライオンが現在とは違う。
ファンファーレが鳴り響く。
テーマ曲は『美しき青きドナウ』。
この曲を耳にすると、まず真っ先に『2001年宇宙の旅』の宇宙ステーションが回転しているシーンを想起するのだが、こちらの方が先だったか。
最初に電話交換台が映される。
この時代は、電話交換手がいて、あちこちの電話を取り次ぐのに、コードを繋ぎ直したりしていたんだな。
で、ホテルの公衆電話で、色々な人が話しているところが順番に出て来る。
これが、実は登場人物の紹介だ。
最初は誰が誰だか、よく分からなかったが、見ている内にはっきりして来る。
「グランド・ホテル、人々が来ては去って行く。」
舞台はベルリンで一番高級な「グランド・ホテル」。
なお、セリフは、ベルリンなのに英語である。
そして、どの役者も、まるで舞台のように朗々とセリフを唱える。
主な登場人物は5名。
人気バレリーナだったが、今は落ち目のグルシンスカヤ(グレタ・ガルボ)。
大企業の社長だが、会社が危機に瀕し、合併工作を図っている最中のプライシング(ウォレス・ビアリー)。
たまたま彼に雇われた秘書フレムヘン(ジョーン・クロフォード)。
借金で首が回らなくなっている自称「男爵」のフォン・ガイゲルン(ジョン・バリモア)。
プライシングの会社の経理係だったがクビになり、一生の思い出作りにとこのホテルに泊まりに来た老人クリンゲライン(ライオネル・バリモア)。
これらの客の人生模様が、ホテルを舞台に交錯する。
役者のメイクが昔風である。
ホテルのセットがスゴイ。
5階(それ以上?)から1階まで、巨大な吹き抜けのホール。
そこの5階の手すりでタバコを吸うシーンがある。
灰が下まで落ちるではないか。
今では考えられない。
本作に登場する「ルイジアナ・フリップ」という甘い(らしい)カクテルは、調べてみると、ブランデーと卵と砂糖を混ぜたものらしい。
ミルク・セーキのミルクの代わりにブランデーを入れたということか。
で、しばらくはそれぞれの登場人物の紹介のような感じだったが、ガイゲルン男爵がカネに困り、グルシンスカヤの部屋に侵入して真珠を盗もうとする辺りから、ようやく話しが展開して来る。
グルシンスカヤの留守中を狙った真珠泥棒も、部屋に本人が戻り、人が集まって来たため、逃げられなくなった。
グルシンスカヤは、現状に苦悩しており、逃げ出したがっている。
いや、死にたいとすら思っている。
そんな彼女を見るに見かねて、ガイゲルンは部屋の影から姿を現し、声を掛ける。
そして、彼女を口説く。
ガイゲルンは、彼女のことを本気で愛してしまった。
盗もうとしていた宝石も返す。
実は、彼は悪人になり切れないのであった。
で、グルシンスカヤから一緒にウィーンに来てと懇願される。
しかし、彼にはカネがない。
でも、「男爵」である手前、そんなことは言えない。
その頃、クリンゲラインはへべれけに酔っ払っていた。
一方、プライシングは合併話しが破断になった。
彼は、秘書のフレムヘンを愛人にしたがっていたが、彼女には全くそんな気はない。
で、更に困ったことに、ガイゲルンはフレムヘンにも声を掛けていた(つまり、二股)。
で、次第に登場人物が絡んで来たところで、事件が起こる。
これはショッキングだ。
なかなかの展開である。
本作は、悪役のプライシング以外、基本的に性善説である。
「グランド・ホテルは変わらない。人々が来ては去って行く。元のままだ」という最後のセリフが印象的。
しかし、さすがに群像劇としてはよく出来ている。
アカデミー賞作品賞受賞。

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『シェイクスピア物語』を原書で読む(第1回)

日本の英語教育史における『シェイクスピア物語』

僕が読破したことのある数少ない原書の一つである『シェイクスピア物語』を、思うところがあって、もう一度、読んでみることにしました。
シェイクスピア物語』は、今から約200年前、チャールズ・ラムと、その姉のメアリー・ラムがシェイクスピアの悲劇と喜劇の中から20篇を選んで、子供向けに分かり易く書き直したものです。
岩波文庫版の「まえがき」から引用してみましょう。

以下の物語は、若い読者にシェイクスピアを学ぶための入門書を提供するつもりで書いたものです。そのために、シェイクスピアのことばをそのまま取り込めそうなときには、いつでも原文をそのまま利用しています。また、シェイクスピアのことばを一貫した物語の定まった形式にするために、何かをつけ加えた場合も、シェイクスピアが書いた美しい英語の効果をもっとも損なわないような用語を選ぶように苦心しました。ですから、シェイクスピアの生きた時代以降に英語にはいってきた用語は、できるだけ避けるようにしました。

英文学の最高峰であるシェイクスピアの入門書ということで、明治の初期から日本にも紹介され、翻案・翻訳が相次ぎました。
『チャールズ・ラム――批評史的考察』(篠崎書林)には、次のようにあります。

チャールズ・ラム(1775-1834)の著作について、日本でのもっとも早い時期の紹介には、明治10年(1877年)「民間雑誌」(慶應義塾出版部)の98号(12月2日、pp. 2-3)と99号(12月9日、pp. 2-3)に、「胸肉の奇訟」と題して連載された『シェイクスピア物語』(1807年)から「ヴェニスの商人」の翻案(著者不詳)があった。次いで、明治16年1833年)3月郵便報知新聞「漫言」欄に連載された翠嵐生(藤田鳴鶴)による『シェイクスピア物語』から「春宵夜話The Winter's tale」の翻訳がある。続いて同紙に、同訳者による「お氣に召すまま」、「ヴェロナの二紳士」、「ハムレット」の訳が現われた。「お氣に召すまま」は同年7月、『佛國某州領主麻吉侯情話』として春夢樓から単行本となった。
同年、これらと同様にラムに拠ったもうひとつの著作として、「西基斯比耶著 井上勤譯『西洋珍説人肉質入裁判』(今古堂 10月刊)」があった。
これらの明治16年に公けにされた『シェイクスピア物語』からの訳出以前に、同種の試みが行われた可能性を否定することは出来ない。たとえば、明治13年1880年)12月18日発行の『鳳鳴新誌』第18号掲載の広告に、「泰西奇聞愛姫譚」として同物語から「シンベリン」の訳と推測されるものがあるが、未確認である。

また、全20篇の初の完訳は、明治37(1904)から40(1907)年に掛けてのことでした。
再び、『チャールズ・ラム――批評史的考察』から引用します。

シェイクスピア物語』に関する註釈、翻案などはその後も続くが、全20編の訳は、次の小松武治(月陵)の2著によって初めて行われた。

チャールス、ラム著 小松武治譯
沙翁物語集
日高有隣堂 明治37年(1904年)6月12日刊 縦19×横13センチ 447頁

内容は、訳者「自序」(4頁 以下同様)ラム原序(6) Arthur LloydのCharles Lambと題する文章(4) 上田敏による序(3) 夏目漱石がこの書に収められた10作品からの英文による2、3行の引用に、それぞれ自作の句を配した「小羊物語に題す十句」(5) 目次(2) 本文(400) チャールズ・ラム小傳(9) シェイクスピーヤ小傳(14)から構成されている。収められた10作品は、「悲劇」として「リーア王物語」、「オセロ物語」、「ロメオ・ジュリエット戀物語」、「マクベス物語」、「ハムレット物語」、「喜劇」として「御意の儘物語」、「十二夜物語」、「暴風雨物語」、「威尼斯商人物語」、「冬物語」の各5編であった。この訳書は、明治42年2月13日には第11版を発行して、世に迎えられたことを証している。
同書の訳者による「自序」には、「此書を成すに當りては我が文科大學なる3講師先生の厚意を蒙りたる事一方ならず。即ち夏目先生にはリーア王、オセロ、ロメオ・ジュリエット、御意の儘、冬物語。上田先生にはマクベスハムレット十二夜、暴風雨、威尼斯商人の校閲の勞を賜はり、ロイド先生には屡々質疑をただして指導の惠を受けたり。」とあり、さらに小松はこれら3人に序文を依頼したのであった。

当時の東京帝国大学文科大学(現・東京大学文学部)の講師として、夏目漱石上田敏に協力を依頼したというのがスゴイですね。
実際、東北大学附属図書館の「東北大学デジタルコレクション」で検索すると、同大学に保存されている漱石文庫(漱石の蔵書)の中に、『Tales from Shakespeare』も含まれています。
この本の続編が出たのは、明治40(1907)年です。

小松が『沙翁物語集』に収めた10編以外の残りの10編の訳をまとめて出版したのが、次のものである。

チャールス、ラム 小松月陵譯
沙翁物語十種
博文館 明治40年(1907年)12月25日刊 縦19.2×横12.8センチ 299頁

内容は、訳者「序文」(2頁 以下同様) 解題一般(5) 目次(2) 本文(290)から成り立っている。「喜劇」を初めにまとめて「夏の夜の夢」、「しつぺい返し」、「終よき皆よし」、「から騒ぎ」、「娨婦馴らし」、「ヴエロナの二紳士」、「間違の喜劇」の7編、その語に「悲劇」として、「タイモン」、「ペリクリーズ」、「シムベリン」の3編を収めている。

シェイクスピアの原書は400年以上も昔に書かれた古典ですので、相当難解ですが、ラムの『シェイクスピア物語』は、その入門編とされているため、明治期以降、英語の教材としても大変よく使われて来ました。
作者の名高い伝記である『チャールズ・ラム伝』(講談社文芸文庫)では、小松月陵の翻訳が出てからの動きを、次のように述べています。

その後、実際ラムの物語は無数に出た。原文を添えた学習用訳註本も多かった。

そして、「今日でも訳文はたえず読まれており、原文を英文教科書に仕立てたものは、無数と言ってよかろう」とのことです(但し、この本が最初に出たのは1968年)。
研究社小英文叢書の『シェイクスピア物語(下)』の「はしがき」には、次のようにあります(旧字体新字体に改めました)。

明治の作家風葉の「恋ざめ」(明治四十一年刊行)の女主人公は、Shakespeareに一通り目を通したと自称しているが、そのShakespeareとは実はこのLambのTales from Shakespeareのことであった。この女主人公は、たとえShakespeareの原作を読まなかったにしても、Lambのこの物語によって、原作者Shakespeareの片鱗に触れ得たことだけは確かである。

英語教材としての『シェイクスピア物語』の利点は何でしょうか。
再び、研究社小英文叢書の『シェイクスピア物語(下)』の「はしがき」から引きます。

Shakespeareの名作の筋を一通り心得ておくことは、現代文化人の教養に欠くことのできないアクセサリの一つとなっている。それには原作を読むに越したことはないが、その道の専門家でない限り、なかなか容易なことでなく、時には時間の浪費でさえもある。Lambの「シェイクスピア物語」(Tales from Shakespeare)を読んでおけば一応この目的は達せられるのではあるまいか。元来この物語はイギリスの若い読者のためにShakespeare入門の書として書かれたもので、複雑な筋を簡明にするために、枝葉末節は思い切って省略してはあるが、それでいていささかの渋滞を止めず、渾然とした芸術品となっている。その上、原作のもつ言語の美しさを伝えるために、めぼしい名句は出来るだけ原作のままに挿入してあるから、Shakespeareの名作の筋を一通り知ることが出来る上、原作のもつ美しさをある程度味うことが出来るという便利がある。

また、英和対訳学生文庫の『シェイクスピア物語(I)』(南雲堂)の「はしがき」には、次のようにあります。

Tales from Shakespeareは言うまでもなく、年少の人々にShakespeareを紹介するため、その全作中から二十篇をえらんで物語化したもので、このうち悲劇六篇をLambが書き、他の十四篇は姉のMaryが手がけたものである。Lamb姉弟は、この書でShakespeareの名作を巧みに物語化して、気品のある楽しい独自な読み物となし、スタイルも原作の風韻を伝えた苦心の名文である。だから、Shakespeareの好個な手引書として役立つほか、語学の習得をかねた楽しい読み物としても、得がたい良書である。

上の二つの引用にあるように、『シェイクスピア物語』の美点の一つは「原作の表現をも巧みに織り込んだこと」とされていますが、この点については、上述の『チャールズ・ラム伝』の中で、著者の福原麟太郎が、「原作と物語とを並べて原文で印刷して比較」しています。
結果は果たして、その通りでした。
「伝説の英語教師」として名高い田中菊雄は、『英語研究者のために』(講談社学術文庫)の中で、「(英語で)第一流の作家の代表的作品または一時代を画したような名著というものを選んで読んで行く」前段階として取るべき勉強法として、次のように書いています。

何といっても最初はリーダーがよい。リーダーをつまらぬなどという考えを持たずに熱心に読むことが必要である。中学校・高等学校のリーダー数巻をりっぱに征服したならばもうたいていのものは読めるはずであるが、それでも前に述べた程度の書物に入るにはまだ力が足りない。ちょうどこの中間のボーダーライン(国境地帯)として読むべき書物としておすすめしたいのは、平易な小説・物語と、処世訓的論文である。前者にはコナン・ドイルの探偵小説、グリム、アンデルセンなどのおとぎばなし、『クオレ物語』、ラムの『沙翁物語』、キングズリの『希臘の英雄』、ハーンの『妖怪談』、アーヴィングの『スケッチ・ブック』などがよいと思う。後者にはマーデンの『プッシング・ツー・ザ・フロント』、スマイルズの『自助論』、ロード・エイヴバリー(Lord Avebury)の『ユース・オブ・ライフ』などがよろしい。この辺を越せば、もうどんな書物に立ち向かっても心配はないと思う。

ここに挙げられているのは、戦前の英語教育において、必読書とされていた作品ばかりです。
前述の福原麟太郎も、『チャールズ・ラム伝』の中で、次のように述べています。

チャールズ・ラムの本で、私の買った記憶のいちばん古いものは、英学生には誰でも思い出のある『シェイクスピア物語』(Tales from Shakespeare)だが、これはウォード・アンド・ロック(Ward and Lock)社から出た世界文庫(The World Library)の一冊であった。大正の始めで、ちかごろは稀だが、その頃はよく売っていた本であった。

江利川春雄先生の『日本人は英語をどう学んできたか――英語教育の社会文化史』(研究社)には、「明治以降外国語教科書データベース」を使って検索した、戦前の副読本(781種)中の文学作品ベスト10が載っています。
それによると、Lambの『Tales from Shakespeare』は12種で、『Robinson Crusoe』(14種)に次ぐ5位です。
また、英語教授研究所の「高等学校使用教科書一覧」(のべ423種)を基とした、旧制高校で読まれた作家ベスト10も載っており、それによると、W. Shakespeare(Lamb版を含む)は11種で、C. Dickens(Christmas Carolなど)に次ぐ4位でした。
それでは、具体的に見て行きましょう。
早稲田大学百年史』には、早稲田の英文科の創設当時に使用されたテキストが、かなり詳細に載っています。
早稲田大学が未だ東京専門学校と呼ばれていた明治19(1986)年、正規の学科(政・法・理)とは別に、語学を学ぶための「英学部」が設けられました。
英学部で用いられた教科書については、次のようにあります。

この英学部で何をどう教えていたかと言えば、使用されていたテキストから主に推測するほかないが、文学書を中心にかなりさまざまな英語を教えていたと言っていい。例えば予科ではウェブスターによるスペリング教本や『ユニオン・リーダー』の訳読から、ミルの『自由論』やスペンサーの『哲学原理』やモーリーの『地理学』などを読ませている。本科ではバジョットの『憲法論』やフォーセットの『小経済書』やスイントンの『万国史』のほかに、ラムの『シェイクスピア物語』、マコーレーの『クライヴ伝』『ヘイスティングズ伝』、スペンサーの『哲学原理』から、アンダーウッドの『英国大家詩文集』やシェイクスピアの『ジュリアス・シーザー』まで、一応古典的な価値をもつ文学書をテキストに選び、訳読、輪講、文法作文、会話などの形で授業が行われた。

明治29(1896)年、文学科に付属していた専修英語科が独立して英語学部となります。
この時の担当講師と使用された主なテキストは次の通りです。

英語学部は初め、文学士と神学修士の学位をもってアメリカから帰国した片山潜を主任にして発足したが、主任の役は間もなく宗教学者でいて修辞書や英作文を教える岸本能武太に交代した。この学部の担当講師は、片山が英語で社会学を教え、天野がジョン・スチュアート・ミルの経済学、高田は憲法、坪内はアーヴィングの『スケッチ・ブック』やチャールズ・ラムの『シェイクスピア物語』、増田はマコーレーの『ミルトン論』を教えた。

明治35(1902)年に早稲田大学と改称された時期に加わった内ケ崎作三郎は、この年から『シェイクスピア物語』を使って英文訳読を教え始めています。
草創期の早稲田では、一貫して『シェイクスピア物語』が英語教材として使用されていたことが伺えるでしょう。
早稲田の英文科と言えば、坪内逍遥シェイクスピア講義が有名ですが、ラムの方も重視されていたということですね。
『英語天才 斎藤秀三郎―英語教育再生のために、今あらためて業績を辿る』(日外アソシエーツ)には、大正元(1912)年から斎藤が主宰した『正則英語学校講義録』のインデックスが掲載されています。
これは、旧制中学レベルの英語の通信教育で、その中の、中学5年(現在の高校2年に相当)の教材「正則英語読本 巻の5」に「リヤ王」とあります。
おそらく、ラムの『シェイクスピア物語』から採られたものでしょう。
井田好治氏の論文「大正後期の旧制高校における英語教科書について」によると、大正10(1921)年にLambの『Tales from Shakespeare』を教科書として使用しているのは、次の6校です。

・第六高等学校(現・岡山大学)一年級(文科乙組)
・第七高等学校造士館(現・鹿児島大学)一年級(理科甲組)
・第八高等学校(現・名古屋大学情報学部)二年級(理科甲類)
・松本高等学校(現・信州大学)一年級(文科甲組)
・松山高等学校(現・愛媛大学)一年級(理科乙類)
・山形高等学校(現・山形大学)一年級(文理科乙類)

調査対象が15校ですから、その内の6校というのは多いですね。
同じく、Lambの『Essays of Elia』を教科書として使った高校もたくさんありました。
なお、甲組(類)とは英語が第一外国語のクラス、乙組(類)とはドイツ語が第一外国語のクラスです。
伊村元道先生の『パーマーと日本の英語教育』(大修館書店)によると、日本にオーラル・メソッドによる英語教育を導入しようとしたハロルド・イー・パーマーは、中等学校用の『The “English as Speech” Series』という精読用教科書も作っており、1932年刊行のVol. VIIは、『Twelfth Night by Mary Lamb』でした。
(※但し、これは学習語彙の範囲内で易しく書き直された教材です。)
あの伊藤和夫先生も、高校(旧制)時代に、英語の授業で『シェイクスピア物語』を原文で読みました。
『予備校の英語』(研究社)によると、伊藤先生は昭和15(1940)年に、旧制東京府立第五中学校(現・都立小石川中等教育学校)に入学。
しかしながら、週に6~7時間あった英語の授業は、戦争の激化につれて、週4時間に減らされ、それすらも、軍事教練や勤労動員で満足に行われなくなります。
そして、伊藤先生は昭和19(1944)年、第一高等学校(現・東京大学教養学部)に四修(飛び級)で入学しますが、この年の入試には、何と英語が試験科目にありませんでした。
続いては、同書からの引用です。

以上のような経過で、とにかく幸運にめぐまれて、昭和十九年に、中学の四年修了ということで、第一高等学校の文科、それも英語を第一外国語、ドイツ語を第二外国語とする部科に入学してしまったわけです。入学はしたものの、お話ししたような状況ですから、私の英語の学力は中学三年の域をあまり出ていなかったのですが、そこでいきなり与えられた教科書は、ラムの『Tales from Shakespeare』、スティーブンスンの『Travels with a Donkey』、ポーの『Black Cat』でありました。今の私が考えてみても、中学三年+αの学力でわかるはずはありません。『ターヘル・アナトミア』の翻訳に立ち向かった杉田玄白ではありませんが、「小舟で大海に乗り出した」心境であったことはたしかであります。

鳥飼玖美子先生の『戦後史の中の英語と私』(みすず書房)によると、同時通訳のパイオニアとして名高い村松増美(1930年生まれ)は東京府(都)立航空工業学校(現・東京都立産業技術高等専門学校)に通っていました。
そこで受けたのは、教科書を読んで文法を学ぶというオーソドックスな英語教育でしたが、特に印象に残っているのは、終戦直後(昭和20年)の中学3年(に当たる学年)の秋に読んだ『シェイクスピア物語』だそうです。
同書から引用します。

一番よかったのは、主として今石先生ですが、たとえばチャールズ&メリー・ラムの「テイルズ・フロームシェークスピア」を選んでくれて、そのなかの「マクベス」をやったんですね。最初に“Macbeth, the lord of Glamis”. Glamisと書いてグラームスと読むんだということもそのとき覚えたしね。それから、殺されたダンカンという王様が非常に穏和な人だった――the meek king. m-e-e-kというのはそのころ覚えたですよ。
いま中学でそんなことは誰も教わらないですよ。それはやっぱり教科書というのは、少し難しいのを与えるほうが私は絶対いいと思いますよ。
ラムの『シェークスピア物語』というのは、ご存じのように、イギリスで青年たちのために、シェークスピアを、もう百年以上前のを、わかりやすい言葉で書き直した。しかしもとのフレーバーが残っている言葉でしょう。だからそれを読んでいると、リズム感といい、ときどき出てくる表現といい、ほんものに相当近いわけですよ。
早稲田へ行ってほんものの「マクベス」をやったときに、それこそデジャビュですよ。「おぅ、これ知ってるわ」。もううれしかったですね。だからすいすいとクルージングのように「マクベス」なんか読めた。いまはチャールズ&メリー・ラムなんて忘れられているけれども、私はあれをぜひ読むべきだと思いますねぇ。

ちなみに、村松氏が進学したのは早稲田大学第二文学部だそうです。
僕の先輩ですね(しかも、僕と同じで中退だとか)。
江利川春雄先生の『近代日本の英語科教育史――職業系諸学校による英語教育の大衆化過程』(東信堂)によると、昭和22(1947)年度の愛知第一師範学校(現・愛知教育大学)の英語教科書について、次のようにあります。

1946~47年度の愛知第一師範学校本科の教科書については「教科書ニ関スル調」が実状を伝えている。それによれば、英語では「テキスト入手困難な為謄写印刷せしめたるものを使用」と記されている。また、「昭和二十二年度ニ於ケル教科書所用調べ」の欄には、本科一年(初級)としてN. HawthorneのBiographical Stories、本科二年(初級)にC. LambのTales from Shakespeare、E. A. PoeのProse Talesが指定され、備考欄に「中等学校用 英語 巻三」と記入されている。本科用の3種はいずれも戦前の旧制中学校の上級学年や高等専門学校で盛んに使用されていた教材であるが、いずれも鉛筆で消去された跡があるため、結局は教科書の入手が困難だったようである。

愛知第一師範学校本科については、同時期(昭和20年9月~23年3月)に同校に在籍していたという紀平健一氏が、「戦後英語教育史 私論――ひとつの総括――」の中で、次のように述べていることからも裏付けられます。

英語の授業のテキストは、ハーンの『怪談』、チャールズ・ラムのTales from Shakespeare、バーネットのLittle Lord Fauntleroyなどが使われた。そのテキストの「ヒアリング」が試みられたこともあったが、ただ一回の試みとして終り、講読という形が続けられた。

戦後の新学制でも、ある時期までは、『シェイクスピア物語』(を含む文学作品)は英語教育に普通に取り入れられていました。
例えば、昭和22(1947)年の「学習指導要領 英語編(試案)」を見てみましょう。
「第十章 高等学校における英語科指導」では、「第10学年(高校1年)ではいろいろの本を読む力をすすめること」として、「課外の読みもの」を「生徒は次のうちから二つぐらい選んで読むことにする」とされています。
その中には、「Lamb:Tales from Shakespeare」「Stevenson:Treasure Island」「Stowe:Uncle Tom's Cabin」「Dickens:A Christmas Carol」などが挙げられていました。
これらは、いずれも旧制中学や旧制高校で英語の教材として、よく読まれていたものばかりです。
また、『ああ朱雀――新制高校誕生の記録』(かもがわ出版)には、かつて京都府立朱雀高校に在籍していた方々の手記が集められています。
その中の一人で、三期生(昭和26年3月卒業)の方の書かれた文を引用しましょう。

英文法なども、あちらこちらつまみ食いといった感じでした。でも教科書内容のレベルが高かったのか、英語でいえば、ハーンの文学論やラムのシェークスピア物語など、上質の文章を大変印象深く習ったことを思い出します。

僕も同じく京都府立高校の出身(平成3年3月卒業)ですが、我々の時代には、英語の授業で、普通のリーダーや入試問題集を使った授業はありましたが、ハーンやラムを原文で読むなど、全く考えられませんでした。
「朱雀高校が名門校だからではないのか?」と思われる方がいらっしゃるかも知れません。
確かに、朱雀高校は旧制京都府立第二高等女学校であり、僕の出身校は70年代の高校進学率急上昇期に粗製乱造された新設校の一つです。
しかしながら、京都は、全国でほぼ唯一、GHQによって、いわゆる高校三原則(男女共学、総合制、小学区制)が徹底されたので、我々の時代までは、公立高校間の学力格差は(少なくとも建前上は)ありませんでした。
つまり、戦後間もない頃には、普通の新制高校で英文学を使った英語の授業が行われていたということです。
もっとも、1950年頃の高校進学率は4割程度で、ほぼ全入に近くなっていた我々の時代とは大きく異なりますが。
『日本人は英語をどう学んできたか――英語教育の社会文化史』には、次のようにあります。

高校では副読本による多読指導が盛んだったが、70年代ごろまでの主流は文学だった。全英連の調査によれば、1960年度に高校で多く使用された副読本は、LambのStories from Shakespeare(16校)、BaldwinのFifty Famous Stories(14校)、HawthorneのBiographical Stories(12校)、Aesop's Fables(7校)など、旧制中学時代とあまり変わらない。

その流れが変わったきっかけは、同書によると、「1955(昭和30)年に日本経営者団体連盟が『シェークスピアより使える英語』への転換を要望すると、脱英米文学への政策誘導が加速する」とのことです。
それでも、しばらくの間は、英語教育の中に文学は生き続けていました。
昭和34(1959)年、あの旺文社が「英文学習ライブラリー」という英文学の対訳本のシリーズを出しましたが、その第1巻はアーヴィングの『スケッチ・ブック』、第2巻は『シェークスピア物語』でした。
「はしがき」には、次のようにあります。

何によらず、長い間愛されてきたものは、それだけのいいものをもっているものである。Tales from Shakespeareはいい例だとおもう。その上、これは、いい文学には国境もなく、時代もないということをよく示している。150年も前に書かれて、いまだに広く読まれている。日本でも、英語がはいってきて以来、おそらく一番長く、広く読まれ、愛されてきた書物の一つであろう。

教養英語派の筆頭・渡部昇一先生は、かつて大学入試の英語を、この『シェイクスピア物語』から出題することを提唱されていました。
昭和50(1975)年に刊行された、有名な『英語教育大論争』(文藝春秋)より引用します。

今、入学試験の英語においてテキストがあらかじめ定められていたらどうであろうか。仮りに上智大学カトリック大学であるから、四福音書を課してもよいであろう。それからたとえばラムの『シェイクスピア物語』からの四大悲劇を選ぶ。そして英語の問題は毎年この八種のテキストからしか出さないと公表してしまうのである。受験生は二年前ぐらいから、この大した長くもないテキスト八篇を精読に精読するであろう。
今の受験生の質と学力水準から判断すれば、入学者の大部分はこのテキストを暗記して来るに違いない。つまり欧米人の常識になっているバイブルのさわりは、いつでも英語で言えるし、書けるということだ。また英語文化圏においてのみならず、国際的な場でいつでも使われるシェイクスピアの名文句もいつでも引用できるようになっているということである。またそれに対して言及がなされた時も、敏感に反応できるということを意味する。

ただ、現在の高校生が読みこなすには、この作品は高度過ぎるような気がします。
実際の難易度は、どの程度のものなのでしょうか。
かつての駿台の名物講師であった奥井潔先生の『奥井の英文読解』(駿台文庫)という学習参考書があります。
この本で取り上げているのは、現在の大学入試ではまず出題されない英文学の短編です。
その中に、メアリー・ラムの「The Father's Weddind-Day」があります。
これは、『シェイクスピア物語』と並んで名高いラム姉弟の児童文学『レスター先生の学校』の中の一篇です。
この作品について、奥井先生は「はじめに」で、次のように仰っています。

第一の物語は、The Father's Weddind-Dayというメアリー・ラムの書いた小品で、一人の少女(十歳前後くらいか)が物語る思い出話という形式で書かれている小説です。ですからこの作品の英文は一見やさしく読み易く見え、高校二年生以上の諸君なら、さほどの苦労なく読みこなして大体の大意をつかむことが出来ましょう。しかしどのくらい正確に、厳密に読めているかとなると、これは極めて怪しいものだと思います。皆さんに現在どのくらいの英語の基礎的な学力があるかを試すには、絶好の教材になると思います。これは確かに比較的やさしい英文なのですが、その文章は、成熟した大人の、それも秀れた作家の筆になる一種の名文なのです。いかにも子供らしい文体は上辺ばかりのものに過ぎません。稚拙を装ったこの文章の行間まで読み、主題をつかみ取るためには、皆さんのものを考える力と、ものに感ずる力を、つまり知力と感受性を、存分に働かせなければなりません。そして、そのためには、英文法に関する基本的な知識が必要不可欠な道具・手段であります。

「英文は易しいが、内容は難しい」と譲歩されてはいますが、その英文は「高校二年生」レベルとのことです。
しかし、この参考書が出版されたのは1995年。
奥井先生は長年、駿台の東大コースで、今や伝説となっている『CHOICE EXERCISES(チョイス)』という難解なテキストを教えていらっしゃった方です。
かつての、教養主義の空気を微かに残していた優秀な受験生ならいざ知らず、現在の普通の高校2年生が、英文学の著名な作品を「さほどの苦労なく」読みこなすことなど考えられません。
なお、奥井先生は、『シェイクスピア物語』については、次のように仰っています。

二人は子供たちのためにしばしば物語りを共作しましたが、その中の「シェイクスピア物語」は、「レスター先生の学校」と共に、英米のみならず、日本においても広く親しまれてきました。どちらも安心して皆さんに推薦出来る英文学の入門書になりましょう。

僕は以前、『シェイクスピア物語』の原書を最後まで読んだので分かりますが、到底「易しい」と言えるような代物ではありません。
この作品が書かれた200年前のイギリスの子供達にとっては易しかったのかも知れませんが。
確かに、新潮文庫版『シェイクスピア物語』の「前がき」に、「私はこの訳本の読者が、他日英語を勉強してこの原書を読み、古風な用語で書かれた文章の美しさを味わい、やがてシェイクスピア劇をたのしまれるように希望します」とあるように、シェイクスピアの原文に挑戦する前に読むべき作品であるとは言えるでしょう。
しかしながら、今となっては、この作品自体が、英語学習の一つの目標としても良いと言える位のレベルなのではないでしょうか。
英語学習用のテキストも、現在に至るまで、多数出版されています。
昭和34(1959)年発行の『(英和対訳)ラム『シェイクスピア物語』(1)』(英宝社)の「はしがき」をご覧下さい。

Shakespeareの原作が、ほとんど全部韻文で書かれている劇であるのを、Lambはできるだけ忠実に原作の言葉を生かし、またShakespeare以後に英語に入って来た言語はなるべく除外し(中略)このようにして、それ自身古典と見なされるような物語としたのである。
それがまた、単語の意味や、語法が、現代と異なっているために、ちょっと取りつきにくくなっている原因ともなった。そこで、ここに企てられたような訳注書の必要もまた生まれているのだが、そうしてまでも、なお読むに価いするのがTales from Shakespeareであろう。Lambは原作へ近づく道を容易にし、その上原作への誘惑を強く感じさせる巧みな筆づかいを示している。まず、Lambで原作のおもかげをしのびながら、原作の一つにでも触れる結果となれば、これもまた楽しい人生経験の一つとなるであろう。

つまり、「できるだけ忠実に原作の言葉を生かし」たことによって、「ちょっと取りつきにくくなっている」というのです。
これまで、『シェイクスピア物語』のメリットとされていた点が、逆に、デメリットにもなっているということですね。
ただ、最終的にはシェイクスピアの原作を読むべきだというのは、先の新潮文庫版の訳者と同じ結論だと言えるでしょう。
昭和37(1962)年発行の『シェイクスピア物語(上)』(研究社小英文叢書)の「はしがき」にも、「今日の英語からみて、ときに破格と思われる構文も原作そのままに用いられているばあいがある」とあります。
また、比較的最近(2014年)出版された『[IBC対訳ライブラリー]英語で読むシェイクスピア四大悲劇』(IBCパブリッシング)の「まえがき」にも、「ラムが使った語彙は今となってはかなり古めかしく、21世紀の読者には理解が困難なこともある」と書かれていました。
チャールズ・ラムの『エリア随筆』の文体については、『シェイクスピア物語』(沖積舎)の「訳者解説」で、シェイクスピア研究の権威である大場建治氏が次のように述べています。

そうした微妙な味を完全に味わいつくすためには、読者のほうでもそれ相当の人生経験と文学的鑑賞力が必要になるだろう。ラムの文学は中年の文学であると言われる所以である。それに原文の英語もかなり古めかしく凝ったもので、最近は大学の英文科の教室でもなかなか読まれなくなった。ラムの名声は、とくに海外では、『シェイクスピア物語』にかかっていると言っていい。

この本が出たのは2000年ですが、元になった旺文社文庫版の発行は昭和52(1977)年。
そちらの「解説」にも同じことが書かれているので、かつては旧制高校でも盛んに読まれた『エリア随筆』が、1970年代には、既に英文科でさえも読まれなくなっていたということですね。
それどころか、昨今では『シェイクスピア物語』の原書講読も消滅の危機のようで、僕が調べた限りでは、岐阜市立女子短期大学英語英文学科の平成30(2018)年度のシラバスしか見付かりませんでした。
さて、『シェイクスピア物語』の英文の難易度についてですが、僕が実際に読んでみた印象では、かなり骨があります。
文法・構文に関しては、特別に大学受験レベルから逸脱しているとは思わないのですが、語彙が相当に難しいでしょう。
ほぼ、昔の大学入試の英文解釈で見掛けたような単語で構成されていますが、シェイクスピアの原文から表現を借用したり、やや古い言い回しを使っている箇所では、見たことのないような難単語も結構出て来ます。
特に、弟チャールズが担当した悲劇の方が、姉メアリーの担当した喜劇よりも難しいです。
シェイクスピアの原文自体が、『ハムレット』等の悲劇の方が、『ヴェニスの商人』等の喜劇よりも難解だからというのもあるかも知れません。
シェイクスピア物語』では、原作の戯曲のセリフを、悲劇の方は出来る限り、散文に移しました。
しかしながら、喜劇ではそれが難しく、会話体のままにしている箇所が多々あります。
一般に、文章体の方が会話体よりも難しいということは言えるでしょう。
悲劇では、分詞構文や関係詞等を多用して、一文が10行以上にも及ぶ場合があります。
しかも、格調高い語彙や言い回しが多数、使われているのです。
また、これは全体に言えることですが、前置詞の使い方が非常に独特なので、現代英語と同じ感覚で読むと、戸惑います。
それでは、どのようにして本作に取り組めば良いでしょうか。
かつての高校生向け多読用教材「直読直解アトム英文双書」(学生社)の『シェークスピア物語』の「作者と作品について」にヒントがあります。
以下に引いてみましょう。

シェークスピアと聖書を知らなくては本当に英語を理解することができない、とよく言われます。これは英米人が幼時から家庭や学校や教会などで、この二つの古典によく親しんでいるので、シェークスピアの劇や新・旧約聖書の中に出てくる有名な物語や人物やその言葉などが日常の生活の言葉のなかにとけこんでおり、それを知らないと英語の本当の意味や味わいを十分くみとることができないことが多いという意味で、われわれ英語を学ぶ者の忘れてはならないことです。
ところがシェークスピアも聖書も、その原文の英語は今から三百年以上も前の古いものなので、少しくらい英語をやっただけではなかなか読みこなせるものではありません。そこで諸君には次のような三段跳びによる、シェークスピアに近づく道を勧めますから、5年でも10年でも遠大な計画を立てて目的を達成して下さい。
まず本書をよく読んでだいたいの概念をつかみ、これを基礎の踏台とする。本書を完全にマスターしたら、次にはTales from Shakespeareという本に取り組む。これは19世紀英国のすぐれた随筆家Charles Lamb(1775-1834)〔Essays of Elia「エリヤ随筆集」の著者〕が姉のMaryと協力して、シェークスピアの作品から20篇を選んで子供のための物語にしたものですが、日本の高校生諸君にはそうとう程度の高い英文ですから、これを第二の目標としたらよいと思います。それから始めてシェークスピアの原文を手にしてみる、というのが順序でしょう。

「アトム英文双書」は、辞書を引かなくても英文が読めるように、左ページの本文に出て来る全ての単語(中学レベルの基本単語は除く)の意味が右ページに載っているという画期的な多読教材でした(※中学レベルの基本単語については、巻頭にまとめてあります)。
ほんの数年前までは、神保町の三省堂本店さんの6F・学参売り場に行けば、ズラリと並んでいたのですが、今では絶版になってしまい、アマゾンの古書でもプレミアが付いています。
そこで、英文科を目指す高校生は、まず最初に、前述のIBC対訳ライブラリーを読めばいいでしょう。
「まえがき」に、「もちろんラム姉弟の『シェイクスピア物語』によるところは大きいが、より理解しやすく、また現代社会のコミュニケーションにはるかに適した語彙が使用されている」とあるように、『シェイクスピア物語』を基にして、分かり易い現代英語に書き直されています。
本当は、英文学の代表であるシェイクスピアの作品くらいは、たとえ易しく書き直したものであっても、高校の英語教科書に載せるべきだと思うのですが。
国語の教科書に、『源氏物語』や鷗外・漱石が載っているように。
まあ、現在のコミュニケーション中心(文学無視)の教科書では難しいでしょうね。
それから、5年も10年も掛けていたら、僕のように留年して中退しなければならないので、英文科では、1・2年生の語学の授業で、『シェイクスピア物語』の中から主要な何作かを選んで、講読を必修にすれば良いのではないでしょうか。
今では、大学の語学の授業は、英会話とTOEIC対策らしいですから。
そして、多くの大学の英文科では、3・4年生の演習やゼミでシェイクスピアの原書講読が必修になっていると思いますので、これで「三段跳び」は完了です。
と書いていて、何だか虚しくなって来ました。
昨今の異常な「使える英語」指向のせいで、シェイクスピアは目の敵にされ、原書講読はおろか、英文科自体が「英語コミュニケーション学科」等に看板の架け替えを余儀なくされています。
シェイクスピアの原書講読も、いわゆる難関大学ですら成立しなくなっているそうです。
ですから、シェイクスピアを原書で読みたければ、自分で挑戦するしかありません。
その前段階としての『シェイクスピア物語』です。
頑張りましょう。

チャールズ・ラムについて

シェイクスピア物語』はラム姉弟による共作ですが、英文学史の教科書は、何故か弟しか項目として取り上げていません。
仕方がないので、チャールズ・ラム(Charles Lamb, 1775―1834)の略歴について、ごく簡潔にまとめてある『はじめて学ぶイギリス文学史』(ミネルヴァ書房)から引用しておきます。

随筆家、批評家。法学者の奉公人の子としてロンドンに生まれ、クライスツ・ホスピタル慈善学校でコウルリッジと親交を結ぶ。東インド会社に入り、51歳まで事務員として働いた。1796年に、姉メアリィ(Mary Lamb, 1764―1847)が狂気の発作から母を刺し殺すという事件が起こった。ラムは、自分自身も発狂への不安をいだきながら、生涯独身で姉の世話をするという恵まれない一生を送った。
ラムは、メアリィと『シェイクスピア物語』(Tales from Shakespeare, 1807)を出版し、続いて『イギリス劇詩人抜粋集』(Specimens of English Dramatic Poets, 1808)を著わした。しかし、ラムの名をイギリス文学史上不朽にしたのは、1820年から『ロンドン・マガジン』にエリアという筆名で寄稿され、後に一冊にまとめて出版された『エリア随筆』、および『エリア随筆後集』(The Last Essays of Elia, 1833)である。
幼児期の思い出や、日常の出来事の中に、しみじみとしたユーモアや優しさを織り込んだラムの香り高いエッセイは、イギリス随筆文学の最高峰といわれる。

シェイクスピア物語』について

文学史の教科書は、ラムの代表作として『エリア随筆』を取り上げ、『シェイクスピア物語』(Tales from Shakespeare, 1807)については、極めて簡単にしか触れていません。
しかし、既に上で作品については、かなり詳しく述べたので、『イギリス文学の歴史』(開拓社)の記述だけ引いておきます(一部修正)。

若い人たちに、シェイクスピアに対する興味を呼び起こさせる名著。姉との共著とあるが、ラムが書いたのは、6編の悲劇だけ。

テキストについて

一口にテキストと言っても、様々な版が出ていますが、僕が選んだのは下のペンギン版です。

PENGUIN CLASSICS版

初版は2007年。
ペンギン版を選んだ理由は、この版が大型書店の洋書コーナーなどで普通に売られていて、最も入手し易いからです。
ちなみに、僕がアマゾンの本体で検索した時には品切れになっていたので、イギリスの出品業者から取り寄せました。
到着まで、僕の場合は、2週間位でした。
ペンギン版は価格も手頃です。
確かに、版によって単語の綴りや句読点の打ち方などが微妙に違うことがあります。
そのため、学術的な目的には使い難いのかも知れません。
しかし、僕は別に学者ではないので、入手し易いペンギン版で十分なのです。
テキストとして使うなら、シンプルで良いでしょう。

翻訳について

原書を読んでいて、辞書を引いても文の意味が分からない場合は、翻訳を参照すると良いです。
基本的な文法や構文が身に付いていれば、たちどころに文の構造が見えて来ます。
僕が尊敬する伊藤和夫先生(元・駿台予備学校英語科主任)も、『伊藤和夫の英語学習法』(駿台文庫)の中で、「僕も修行中は、対訳本は使わなかったけれど、翻訳と原書を並べて、原書で分からなかったら翻訳を見る、つまり翻訳を辞書のように使う勉強はずいぶんやったよ」と仰っています。
シェイクスピア物語』の翻訳は現在、廉価な文庫で新刊として流通しているのは岩波文庫版のみです。
(※但し、少年向けのものは除きます。)

岩波文庫

【上巻】

初版は2008年。
翻訳は、英文法の研究で名高い安藤貞雄氏。
上巻に収録されてるのは、「まえがき」「あらし」「真夏の夜の夢」「冬物語」「から騒ぎ」「お気に召すまま」「ベローナの二紳士」「ベニスの商人」「シンベリーン」「リア王」「マクベス」。
巻末には、「解説」があります。
挿絵も豊富です。
現在、新刊で入手出来る唯一の翻訳。
かつては、角川文庫、新潮文庫などからも翻訳が出ていましたが、いずれも絶版になっています。
また、これまでの文庫の翻訳はほとんどが抄訳でしたが、本版は全訳です。
比較的、新しい訳なので、読み易くはなっています。
ただ、素人の僕がプロの仕事にケチを付けるのは大変恐縮なのですが、本書の翻訳は、日本語として、あまりこなれていません。
もう少し、うまい訳し方があるのではないかと思ったところが幾つもありました。
原文では間接話法の箇所が、直接話法に直されているところがたくさんあります。
それから、原文になくても、登場人物名等をシェイクスピアの原作から補っているところも。
しかし、多少の意訳もありますが、概ね原文に忠実な翻訳ではないでしょうか。
さて、本文は、シェイクスピアの原作のセリフを、なるべく多く盛り込もうと配慮されているのが伺えます。
その反面、地の文にラム自身の解釈がかなり含まれてしまっているように感じました。

【下巻】

初版は2008年。
翻訳は安藤貞雄氏。
下巻に収録されているのは、「終わりよければすべてよし」「じゃじゃ馬ならし」「まちがいの喜劇」「しっぺい返し」「十二夜」「アテネのタイモン」「ロメオとジュリエット」「ハムレット」「オセロー」「ペリクリーズ」。

注釈書について

シェイクスピア物語』の注釈書で現在、日本で新刊として流通しているものはないようです。
ほんの数年前には、研究社小英文叢書や、南雲堂の対訳本が普通に大型書店で入手出来ましたが、現在では、アマゾンでも品切れになっています。
いよいよ、需要がなくなってしまったのでしょうか。

それでは、次回以降は、例によって、僕の単語ノートを公開します。

【参考文献】
チャールズ・ラム―批評史的考察』小澤康彦・著(篠崎書林)
東北大学デジタルコレクション簡易検索
チャールズ・ラム伝 (講談社文芸文庫―現代日本のエッセイ)福原麟太郎・著
シェイクスピア物語 下石井正雄・註釈(研究社)
シェイクスピア物語(英和対訳) 1 (南雲堂英和対訳・学生文庫 73)』田代三千稔・訳注(南雲堂)
英語研究者のために (講談社学術文庫)』田中菊雄・著
日本人は英語をどう学んできたか 英語教育の社会文化史』江利川春雄・著(研究社)
別巻Ⅰ/第一編 第三章
英語天才 斎藤秀三郎: 英語教育再生のために、今あらためて業績を辿る竹下和男・著(日外アソシエーツ
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jeigakushi1969/1998/30/1998_30_93/_pdf
パーマーと日本の英語教育』伊村元道・著(大修館書店)
予備校の英語伊藤和夫・著(研究社)
戦後史の中の英語と私』鳥飼玖美子・著(みすず書房
近代日本の英語科教育史―職業系諸学校による英語教育の大衆化過程』江利川春雄・著(東信堂
https://www.jstage.jst.go.jp/article/hisetjournal1986/15/0/15_91/_pdf/-char/ja
第十章 高等学校における英語科指導
ああ朱雀―新制高校誕生の記録』「学制改革」を記録する会・編(かもがわ出版
シェークスピア物語(旺文社・英文学習ライブラリー 2)』高橋源次・訳注(旺文社)
『英語教育大論争』平泉渉渡部昇一・著(文藝春秋
奥井の英文読解 3つの物語―分析と鑑賞 (駿台レクチャー叢書)』奥井潔・著(駿台文庫)
シェイクスピア物語 (新潮文庫)』松本恵子・訳
『(英和対訳)ラム『シェイクスピア物語』(1)』伊藤恭二郎・訳注(英宝社
シェイクスピア物語 (上) (研究社小英文叢書 (41))上田和夫・注釈(研究社)
MP3 CD付 英語で読むシェイクスピア四大悲劇 Four Tragedies of Shakespeare【日英対訳】 (IBC対訳ライブラリー)』出水田隆文・英語解説(IBCパブリッシング)
シェイクスピア物語』大場建治・訳(沖積舎
シェイクスピア物語 (1977年) (旺文社文庫)』大場建治・訳
http://www.gifu-cwc.ac.jp/wp-content/uploads/syllabus_1_eibun.pdf
シェークスピア物語 (直読直解アトム英文双書 (9))』西田実・註解(学生社
はじめて学ぶイギリス文学史 (シリーズ・はじめて学ぶ文学史 1)神山妙子・編著(ミネルヴァ書房
イギリス文学の歴史』芹沢栄・著(開拓社)
伊藤和夫の英語学習法―大学入試 (駿台レクチャーシリーズ)伊藤和夫・著(駿台文庫)

『スケッチ・ブック』を原書で読む(第10回)

The Voyage(第6回)
(テキスト19ページ、2行目~)
(※赤字は大学受験レベルの語)

She seemed disappointed and agitated; when I heard a faint voice call her name.

seem(自)(~と)見える、思われる、(~)らしい(通例話し手の推量をこめた見方・判断を示す語で、文法上の主語と判断の主体は一致しないことが多く、時に判断上の主体を示すのにto a personを従えることがある)
disappointed(形)失望した、がっかりした
agitated(形)動揺した、興奮した
when(接)(主節の後にwhenの導く従属節がくる時文脈上で)(~すると)その時
hear(他)(~が)聞こえる、(~を)聞く(+目+原形)
faint(形)(音・色・光など)かすかな、ほのかな
call(他)(~を)大声で叫ぶ(言う)、(~に)呼び掛ける ・call a person's name 人の名を大声で呼ぶ
her(代)彼女の

It was from a poor sailor who had been ill all the voyage, and had excited the sympathy of every one on board.

from(前)(出所・起源・由来を表わして)~から(来た、取ったなど)
poor(形)哀れな、不幸な、気の毒な(話し手の気持ちからpoorと言っているので、訳の時には「気の毒に」と副詞的に訳すとよい)
sailor(名)船員、船乗り、水夫
who(代)(関係代名詞)(制限的用法で)~する(した)(人)(通例「人」を表わす名詞を先行詞とする形容詞節をつくる)/(主格の場合)
ill(形)病気で、体調が悪い(⇔well)
voyage(名)(船・飛行機・宇宙船による)旅、船旅、航海、航行、飛行
excite(他)(強身・感情・想像力などを)そそる、起こさせる、かき立てる
sympathy(名)同情、思いやり、あわれみ ・excite(a person's)sympathy(人の)同情をそそる
on board 船上(船内、機内)に(の)

When the weather was fine, his messmates had spread a mattress for him on deck in the shade, but of late his illness had so increased, that he had taken to his hammock, and only breathed a wish that he might see his wife before he died.

when(接)~ならば、~とすると
fine(形)(天気が)よく晴れた、快晴の、好天気の(=fair)・fine weather 快晴、晴天
his(代)彼の
messmate(名)(軍隊などの)会食仲間
spread(他)(たたんだものなどを)開く、広げる
mattress(名)(寝台の)マットレス、敷きぶとん
on deck(海)デッキに出て
in(前)(環境を表わして)~の中で(を)
shade(名)(薄暗い)陰、日陰、木陰 ・in the shade 日陰に(で)、木陰に(で)
of late 最近(=lately、recently)(普通完了形とともに用いられる)
illness(名)病気
so(副)(程度・結果を表わして)(so ~ that ~で)(順送りに訳して)非常に~なので~
increase(自)(数量・程度などが)ふえる、増加する、増大(増進)する(⇔decrease)
that(接)(副詞節を導いて)(so ~ thatの形で程度・結果を表わして)(非常に)~なので、~(する)ほど
take to ~(隠れ場・避難場所を求めて)~へ行く
hammock(名)ハンモック
breathe(他)(~を)ささやく
wish(名)願い、願望、希望、要請 ・It is his earnest wish that he might go abroad. 彼は外国へ行きたいという切なる願いを持っている。
that(接)(名詞節を導いて)(~)という/(同格節を導いて)
might(助動)(条件節の内容を言外に含めた婉曲話法)
see(他)(人に)会う、面会する
before(接)~より前に、(~する)に先だって、~しないうちに
die(自)(人・動物が)死ぬ

He had been helped on deck as we came up the river, and was now leaning against the shrouds, with a countenance so wasted, so pale, so ghastly, that it was no wonder even the eye of affection did not recognize him.

as(接)(時を表わして)~している時、~したとたんに
up(前)(川)の上流へ(に)、(流れ)をさかのぼって ・go up a river 川を遡行(そこう)する
now(副)(過去時制の動詞ととともに)(物語の中で)今や、そのとき、それから、次に
lean(自)もたれる、寄り(もたれ)かかる(against)
against(前)~によりかかって、~にもたれて ・lean against ~にもたれる
shroud(名)(通例複数形で)(海)横静索、シュラウド(マストの先から左右の舷側(げんそく)に張る)
with(前)(付帯状況を表わす句を導いて)~して、~したまま、~しながら(名詞の後に通例前置詞付きの句・副詞・形容詞・分詞などの補足的要素を従える)
countenance(名)顔つき、表情
wasted(形)衰弱した、やや衰えた
pale(形)(人・顔が)青白い、青ざめた
ghastly(形)(人・顔つきなど)死人(幽霊)のようで、青ざめて
It is no wonder(that)~ ~は少しでも不思議でない(この構文ではしばしばthatは略される)
affection(名)(人が子供・妻などに示すような)愛情、優しい思い
recognize(他)(人・ものを)(以前知っているものと同じだと)わかる、見覚えがある、(見て)思い出す

But at the sound of his voice, her eye darted on his features; it read, at once, a whole volume of sorrow; she clasped her hands, uttered a faint shriek, and stood wringing them in silent agony.

at(前)(感情の原因を表わして)~に(接して)、~を見て、聞いて、考えて
sound(名)音、音響 ・the sound of voices 人声
dart(自)(槍・矢・視線を)投げる、射る
on(前)(動作の対象を表わして)~に対して、~に当てて
feature(名)(通例修飾語を伴って)(複数形で)容貌(ようぼう)、顔だち、目鼻だち
read(他)(顔・表情などに(から))(人の心・考えなどを)読み取る
at once すぐに、直ちに、即刻(=recently)
whole(形)(部分に)分けない、まるのままの(で)、まるごと(の)
volume(名)量、かさ
of(前)(分量・内容を表わして/数量・単位を表わす名詞を前に置いて)~の
sorrow(名)悲しみ、悲哀、悲痛、悲嘆
clasp(他)握りしめる ・He clasped his hands. 彼は両手の指を組み合わせた(哀願・絶望などを示すしぐさ)。
utter(他)(声・言葉・うなり声・ため息などを)口から出す、発する
shriek(名)悲鳴、金切り声、かん高い叫び声 ・utter a shriek 悲鳴をあげる
stand(自)(~の状態で)立つ(+doing)
wring(他)(手を)固く握る
in(前)(状態を表わして)~の状態に(で)
silent(形)声(音)を出さない、無言の
agony(名)(心・体の)激しい苦痛、もだえ苦しみ、苦悩 ・in agony 苦しみもだえて

All now was hurry and bustle.

all(代)(単数扱い)すべて(のもの)、万事
hurry(名)大急ぎ、あわて急ぐこと ・Everything was hurry and confusion. てんやわんやの大騒ぎだった。
bustle(名)(単数形で)ざわめき、にぎわい ・be in a bustle(人が)忙しそうに動き回っている

The meetings of acquaintances—the greetings of friends—the consultations of men of business.

meeting(名)出会い、面会、遭遇
of(前)(目的格関係を表わして)(しばしば動作名詞または動名詞に伴って)~を、~の
acquaintance(名)知人、知り合い、知己(友人ほど親密ではなく仕事などの関係で知っている人にいう)
greeting(名)(会った時の)あいさつ
consultation(名)(専門家に対する)相談
man(名)(修飾語句を伴って)(特定の仕事・性格などの)男性(of)
business(名)業務、事務、仕事、執務、営業 ・a man of business 実業家

I alone was solitary and idle.

alone(副)ひとりで、単独に(で)
solitary(形)孤独の
idle(形)(人が)仕事のない、働いていない、遊んでいる

I had no friend to meet, no cheering to receive.

have(他)(ある関係を表わして)(肉親・友人などが)いる、(~が)ある
meet(他)(約束して)(人と)会う、落ち合う
cheering(名)喝采、声援、歓声
receive(他)(印象・同情・打撲・侮辱などを)受ける

I stepped upon the land of my forefathers—but felt that I was a stranger in the land.

step(自)(~を)踏む(on)
land(名)国、国土
my(代)私の
forefather(名)(通例複数形で)(特に男性の)祖先、先祖
feel(他)(何となく)(~である(~している)と)感じる、(~だという)感じ(気)がする(+that)
that(接)(名詞節を導いて)(~)ということ/(目的語節を導いて)
stranger(名)(場所などに)不慣れな人、初めての人、未経験者(in)
in(前)(場所・位置・方向などを表わして)~において、~で ・in London ロンドンで(に)
【参考文献】
The Sketch-Book of Geoffrey Crayon, Gent (Oxford World's Classics)』Washington Irving・著
スケッチ・ブック(上) (岩波文庫)』齊藤昇・訳
新英和中辞典 [第7版] 並装』(研究社)
リーダーズ英和辞典 <第3版> [並装]』(研究社)
新英和大辞典 第六版 ― 並装』(研究社)
中学基本英単語1200』赤尾好夫・編(旺文社)
英語基本単語集』赤尾好夫・編(旺文社)
試験にでる英単語―実証データで重大箇所ズバリ公開 (青春新書)森一郎・著(青春出版社

『素晴らしき放浪者』

連休中は、ブルーレイで『素晴らしき放浪者』を再見した。

1932年のフランス映画。
監督・脚本は、『フレンチ・カンカン』の巨匠ジャン・ルノワール
音楽はヨハン・シュトラウス
主演はミシェル・シモン
ジャン・ルノワールは、絵画で有名なあのルノワールの次男。
フランス映画の巨匠中の巨匠である。
僕は学生の頃、彼の代表作『大いなる幻影』をレンタル屋で借りたが、何故か途中で見るのを止めてしまった。
その後、大人になってから、『フレンチ・カンカン』をブルーレイで見た。
なので、彼の作品をちゃんと見るのは、これが2作目である。
本作の日本公開は1977年と、かなり後になってから。
モノクロ、スタンダード。
画質は良い。
86年前の映画なので、修復は大変だったろう。
最初に、どうやって修復したかが字幕で出る。
のどかなテーマ曲(ただし、音は揺れている)。
パリの街の書き割り風の舞台の前で、一組の男女が戯れ、キスをする黙劇。
これは導入だろう。
セーヌ河畔の本屋の主人レスタンゴワ(シャルル・グランヴァル)は、女中のアンヌ・マリに「君は妖精のようだ」と告げる。
レスタンゴワには奥さんがいる。
要するに、不倫だ。
毎晩、秘かに寝室を抜け出してマリーと逢瀬を重ねているが、「昨晩は眠ってしまった。歳には勝てん。」
一方、公園では、浮浪者のブーデュ(ミシェル・シモン)が長毛のワンコと遊んでいる。
鼻歌をうたいながらパンをかじるブーデュ。
ワンコがどこかへ行ってしまう。
必死で探すブーデュ。
浮浪者に対して、世間は冷たい。
彼が近寄ると、人は逃げる。
警官にワンコの行方を尋ねると、「お前も失せろ! さもないとブチ込むぞ!」と恫喝される。
国家権力の横暴だ。
ところが、金持ちの婦人が犬の行方を尋ねると、同じ警官が、今度は応援まで呼んで探そうとする。
国家権力の犬め!
断じて許せない!
ブルジョワの親子連れがブーデュに金を恵む。
母親が「可哀想な人に施しを」と言って、女の子が渡したのだ。
しかし、ブーデュはその金を、オープンカーに乗った金持ちの青年に渡してしまう。
金に拘泥しない彼の性格が、既に現われている。
一方、本屋で学生がヴォルテールの著書を立ち読みしている。
昔は、学生も本を読んだのだろう。
早稲田の学生が本を読まなくなって、高田馬場の芳林堂が縮小されてしまう昨今とは、隔世の感がある。
レスタンゴワは、その学生に「持って行きなさい。私の好意だ」と、本を与える。
レスタンゴワの人の良さが、ここで描かれている。
その頃、ブーデュは街をうろついている。
レスタンゴワは、2階の窓から望遠鏡で街を覗いている。
マリーが「また女の人を見ている」と嫉妬する。
すると、レスタンゴワはブーデュを発見する。
「何と素晴らしい男だ! 彼こそ一流の放浪者だ!」と、何故か称賛。
その瞬間、ブーデュがセーヌ川に飛び込む。
急いで駆けて行くレスタンゴワとアンヌ。
当時から既にパリの街には人が多かったのだろう。
黒山の人だかりが出来ている。
すごいエキストラの数である。
この時代に、既にこういった群衆シーンがあったということだ。
溺れているブーデュを助けようと、レスタンゴワも川に飛び込む。
遊覧船が横を通り過ぎる。
ボートがやって来る。
二人はボートに引き上げられる。
ブーデュは失神している。
レスタンゴワは、川の傍にある自分の家へブーデュを連れて行く。
自宅でレスタンゴワはブーデュを蘇生させる。
水を吐くブーデュ。
「死んだのか?」
「生き返ったんだ。」
「この人が命の恩人よ。」
しかし、ブーデュは「うらんでいる」と言う。
「なぜ助けた? 人生は下らん!」
しかし、その頃、外の人達は勝手にレスタンゴワを英雄扱いし、「勲章を与えよう!」などと騒いでいる。
ボロ切れのような服を着たブーデュを、自分の服に着替えさせるレスタンゴワ。
ブーデュは、レスタンゴワの奥さんのことを「女を追い出してくれ」と告げる。
なかなかわがままな野郎である。
サイズが合わないので、レスタンゴワの服を「似合わん」と一蹴。
「明日、服を買おう」とレスタンゴワ。
ブーデュに、食事としてオイル・サーディンとバター・パンと白ワインを与えるが、酒を飲み慣れていないブーデュは、白ワインを「酸っぱい」と言って吐き出してしまう。
アンヌは「不潔な男ね。早く出て行くといいわ。」
レスタンゴワは、たまたま自分のポケットに入っていた宝くじを1枚、ブーデュにやる。
泊まる所のないブーデュを、家に泊めてやることにしたレスタンゴワ。
しかし、ベッドで眠ったことのないブーデュは、「ベッドは苦手だ」と、階段の前で寝る。
夜中、階下の部屋でアンヌが待っているのに、ブーデュが邪魔でレスタンゴワは下に降りられない。
翌朝の朝食で、ブーデュはグラスを倒し、テーブル・クロスを汚してしまう。
レスタンゴワの奥さんは激怒。
今度は、片付けようとして食器を落としてしまうブーデュ。
奥さんはウンザリし、アンヌも怒っている。
さらに、ブーデュはそこら辺中でツバを吐く。
さすがのレスタンゴワも「家の中でツバを吐くのは止めろ」とたしなめる。
今度は、ブーデュはアンヌに後ろから抱き着こうとする。
レスタンゴワは「礼儀をわきまえてくれ」と言うが、ブーデュは彼のことを「アイツは偏執狂だ。オレに会ったこともないのに、なぜ助けた?」とうそぶく。
アンヌは「この恩知らず!」とののしるが、ブーデュのセクハラはエスカレートし、「キスしろ」などとのたまう。
レスタンゴワはブーデュに「床屋へ行ってヒゲを剃って来い」と命じる。
レスタンゴワは、ブーデュのせいで夜、アンヌと会えないことが不満だった。
が、レスタンゴワの大切な蔵書のバルザックにブーデュがツバを吐いていたのを見付け、「今日こそ追い出すぞ! もうガマンならん!」
さあ、これからどうなる?
後半では、ヨハン・シュトラウスの『美しき青きドナウ』が繰り返し効果的に使われている(『2001年宇宙の旅』か)。
ラストは「なるほど」という感じだ。
要するに、ブーデュは自由人なんだな。
何ということもない話しだが、世の中の世知辛さを皮肉っているのだろう。

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『スケッチ・ブック』を原書で読む(第9回)

The Voyage(第5回)
(テキスト18ページ、3行目~)
(※赤字は大学受験レベルの語)

A fine day, however, with a tranquil sea and favoring breeze, soon put all these dismal reflections to flight.

fine(形)(天気が)よく晴れた、快晴の、好天気の(=fair)・fine weather 快晴、晴天
with(前)(同時・同程度・同方向などを表わして)~とともに、~と同時に
tranquil(形)(海・風景など)静かな、穏やかな、平穏な
favoring(形)好都合(順調)な、有利な
breeze(名)微風、そよ風
put(他)(~を)(~の状態・関係に)置く、する(to)
all(形)(複数名詞の前に置いて)あらゆる、すべての、みな
dismal(形)(気分など)憂鬱な、暗い
reflection(名)(しばしば複数形で)(熟考して得た)感想、意見、考え
to(前)(結果・効果を表わす句を導いて)
flight(名)(またa ~)逃走、敗走 ・put ~ to flight ~を敗走させる

It is impossible to resist the gladdening influence of fine weather and fair wind at sea.

it(代)(形式主語としてあとにくる事実上の主語の不定詞句・動名詞句・that節などを代表して)
impossible(形)不可能な(+to do)
resist(他)(~に)抵抗する、反抗する
gladden(自)(古)喜ぶ
influence(名)(またan ~)(~の)(~に及ぼす)影響、感化(力)
fair(形)(海)(風が)順調な、好都合な ・a fair wind 順風、追い風
wind(名)(またthe ~)(強い)風 ・a fair wind 順風
at sea 航海中に(で)

When the ship is decked out in all her canvas, every sail swelled, and careering gayly over the curling waves, how lofty, how gallant she appears—how she seems to lord it over the deep!

when(接)~する時に、~時(時を表わす副詞節をつくる)
deck(他)(~を)(~で)飾る、装飾する(通例受身)(out)(in)
out(副)広げて
in(前)(道具・材料・表現様式などを表わして)~で、~でもって、~で作った
her(代)彼女の
canvas(名)帆
sail(名)(船の)帆
swell(自)(帆などが)はらむ ・The sails swelled. 帆ははらんでふくれた。
career(自)(副詞句を伴って)疾走する、暴走する(=hurtle)
gayly(副)=gaily(副)陽気に、愉快に
over(前)(動作動詞とともに)~を越えて(=across)
curl(自)巻きつく
how(副)(疑問詞)(感嘆文に転用して)まあ何と、いかに
lofty(形)(山など)非常に高い、そびえ立つ
gallant(形)(人・行為など)勇敢な、雄々しい
appear(自)(~(のよう)に)見える、(~と)思われる(+補)
seem(自)(~と)見える、思われる、(~)らしい(通例話し手の推量をこめた見方・判断を示す語で、文法上の主語と判断の主体は一致しないことが多く、時に判断の主体を示すのにto a personを従えることがある)(+to do)
lord(他)(lord itで)(人に対して)殿様顔をする、いばる、牛耳る(over)
over(前)(支配・優位を表わして)~の上位に、~にまさって
deep(名)(the ~)わだつみ、海原

I might fill a volume with the reveries of a sea voyage, for with me it is almost a continual reverie—but it is time to get to shore.

might(助動)(仮定法仮定)(条件節の内容を言外に含めた主節だけの文で)(現在の推量を表わして)~するかもしれない
fill(他)(場所・空間を)埋める、占める、詰める(with)
volume(名)(特に、分厚い)本
with(前)(材料・中身を表わして)~で ・fill A with B AにBを満たす
reverie(名)(目覚めている時の)幻想、夢想
sea(形)海の
voyage(名)(船・飛行機・宇宙船による)旅、船旅、航海、航行、飛行
for(接)(通例コンマ、セミコロンを前に置いて、前文の付加的説明・理由として)という訳は~だから(=as、since)
with(前)(関係・立場を表わして)~にとっては、~の場合は
almost(副)(形容詞・副詞を修飾して)だいたい、ほとんど
continual(形)(過程・事態など)継続的な、絶え間ない
time(名)(~する)時、時間、時期 ・It's time to do. もう~をする時間だ。
get to ~ ~に達する
shore(名)(海に対して)陸(地)

It was a fine sunny morning when the thrilling cry of ‘land!’ was given from the mast-head.

it(代)(非人称動詞(impersonal verb)の主語として)(特にさすものはなく、従って訳さないで文の形式的主語となる)/(時間・日時を漠然とさして)
sunny(形)日のよくさす
when(副)(関係副詞)(制限的用法で)~する(した)(時)(通例「時」、時には「場合」を表わす名詞を先行詞とする形容詞節をつくる)
thrilling(形)わくわくさせる、スリル満点の
cry(名)叫び(声)
of(前)(目的格関係を表わして)~という、~の、~である
land(名)(海などに対して)陸、陸地(⇔sea)
give(他)(主に動詞と同形の名詞を目的語として)(叫び・ため息・音などを)発する
from(前)(出所・起源・由来を表わして)~から(来た、取ったなど)
masthead(名)(海)マストの先、檣頭(しょうとう)(檣頭見張り台(crow's-nest)がある)

None but those who have experienced it can form an idea of the delicious throng of sensations which rush into an American’s bosom, when he first comes in sight of Europe.

none but ~ ~でなければだれも~ない
those(代)(指示代名詞)(whoなどの関係代名詞を伴って)(~な)人々(⇔these)
who(代)(関係代名詞)(制限的用法で)~する(した)(人)(通例「人」を表わす名詞を先行詞とする形容詞節をつくる)/(主格の場合)
experience(他)(~を)経験する、体験する
can(助動)(能力を表わして)~(することが)できる
form(他)(概念・意見などを)形づくる
of(前)(関係・関連を表わして)~の点において、~に関して、~について
delicious(形)爽快な、非常に楽しい(快い、おもしろい)
throng(名)多数、大勢、大軍(of)
of(前)(分量・内容を表わして/数量・単位を表わす名詞を前に置いて)~の
sensation(名)(漠然とした)感じ、感覚、気持ち、~感
which(代)(関係代名詞)(制限的用法で)~する(した)(もの、事)(通例「もの」を表わす名詞を先行詞とする形容詞節をつくる)/(主格の場合)
rush(自)急に(~に)起こる(現われる)(into)
American(名)アメリカ人、米国人 ・an American 米国人(一人)
bosom(名)胸中、情、愛情
first(副)(通例動詞の前に用いて)初めて
come(自)(人・ものが)(ある場所に)到着する、やってくる
in sight(~の)見える所に
of(前)(目的格関係を表わして)(しばしば動作名詞または動名詞に伴って)~を、~の
Europe(名)ヨーロッパ、欧州(ウラル山脈がヨーロッパの東の境と考えられている/また英国ではEnglandまたはBritish Islesと対照してヨーロッパ大陸(the Continent)の意に用いる)

There is a volume of associations with the very name.

there(副)(thereは形式上主語のように扱われるが、動詞の後に通例不特定のものや人を表わす主語が続く/「そこに」の意味はなく、日本語ではthere isで「~がある」の意になる)/(beを述語動詞として)
volume(名)大量、たくさん(of)
association(名)(通例複数形で)連想されたもの、(連想による)思い出、連想
very(形)(the、this、thatまたは所有格人称代名詞に伴って強意を表わして)まさしくその、ちょうどその、~にほかならない

It is the land of promise, teeming with every thing of which his childhood has heard, or on which his studious years have pondered.

the Land of Promise=Promised Land(名)(the ~)(聖)約束の地
teem(自)満ちる、富む(=swarm)(with)
hear of ~(しばしば完了形で)~の存在(事実)を聞いて知っている
his(代)彼の
childhood(名)幼年時代、幼時
on(前)(関係を表わして)~について、~に冠する
studious(形)勉強好きな、学問に励む
ponder(自)(~を)熟考する(on)

From that time until the moment of arrival, it was all feverish excitement.

from(前)(空間・時間などの起点を表わして)~から ・from A until B AからBまで
that(形)(指示形容詞)(遠方の時・所をさして)あの、あちらの、その
time(名)(特定の)時、時期
arrival(名)到着(すること)
all(形)(修辞的強意表現として補語または同格に用いて)(抽象名詞を修飾して)まったく~そのもので
feverish(形)熱狂的な
excitement(名)興奮

The ships of war, that prowled like guardian giants along the coast; the headlands of Ireland, stretching out into the channel; the Welsh mountains, towering into the clouds; all were objects of intense interest.

war(名)軍事
that(代)(関係代名詞)(人・ものを表わす先行詞を受けて通例制限用法で)(~する(である))ところの/(主語として)
prowl(自)(通例副詞句を伴って)(人・動物が)(獲物などを求めて)うろつく
like(前)~のような、~に似た
guardian(形)保護する、守護の
giant(名)(神話・伝説・物語などに現われる)巨人
coast(名)(大陸・大きな島などの)海岸、沿岸
headland(名)岬(=promontory)
Ireland(名)アイルランド(島)(英国諸島中の島/アイルランド共和国(the Republic of Ireland)と英国に属する北部の北アイルランド(Northern Ireland)に分かれる)
stretch(自)(副詞句を伴って)(~に)広がる、及ぶ、達する
out(副)(外へ)突き出て、(外へ)伸びて
channel(名)海峡
Welsh(形)ウェールズ
tower(名)高くそびえる
cloud(名)雲
all(代)(複数扱い)すべて、みんな
object(名)(動作・感情などの)対象(of)
intense(形)(感情など)熱烈な、強烈な

As we sailed up the Mersey, I reconnoitred the shores with a telescope.

as(接)(時を表わして)~している時、~したとたんに
sail(自)(通例副詞句を伴って)(船・人が)帆走する、航海する
up(前)(川)の上流へ(に)、(流れ)をさかのぼって
Mersey(名)(the ~)マージー川イングランド北西部を西に流れてLiverpoolの近くでIrish海に注ぐ)
reconnoitre(他)(敵を)偵察する
shore(名)(海・湖・川の)岸
with(前)(道具・手段を表わして)~を用いて、~で
telescope(名)望遠鏡

My eye dwelt with delight on neat cottages, with their trim shrubberies and green grass plots.

my(代)私の
eye(名)注目、注視
dwelt(動)dwellの過去形・過去分詞
dwell on(目が)(景色などを)いつまでも眺める
with(前)(様態の副詞句を導いて)~を示して、~して
delight(名)大喜び、うれしさ、歓喜 ・with delight 大喜びで
neat(形)整った(形をした)、均整のとれた ・a neat little house こぢんまりした家
cottage(名)(特にいなかの)小小屋、いなか家、コテージ
their(代)彼ら(彼女ら)の
trim(形)(服装・格好など)きちんとした、手入れのよい
shrubbery(名)(庭園内などの)低木の植え込み
green(形)緑におおわれた、青々とした ・green fields 緑の野原
grass(名)芝生
plot(名)小区画の地所、小地面

I saw the mouldering ruin of an abbey overrun with ivy, and the taper spire of a village church rising from the brow of a neighboring hill—all were characteristic of England.

mould(英)(自)かびが生える
ruin(名)荒廃の跡、廃墟(はいきょ)(of)
abbey(名)(もと大修道院であった)大寺院(邸宅)
overrun(他)(雑草・害虫などが)(場所などに)はびこる、群がる(しばしば受身で用いる)(with)
ivy(名)(植)ツタ
taper(形)先細の(指など)
spire(名)(教会などの塔の上の)尖塔(せんとう)、とがり屋根
village(形)村の(にある)
church(名)(キリスト教の)教会(堂)、聖堂
rise(自)(高い山・建物が)(~に)そびえる、そびえ立つ
from(前)(空間・時間などの起点を表わして)~から
brow(名)(the ~)(険しい坂の)頂上 ・the brow of a hill 山の端
neighboring(形)隣接した
characteristic(形)特質ある、独特の、特徴的な(=typical)(of)
England(名)イングランド(Great Britain島のScotlandとWalesを除いた部分)

The tide and wind were so favorable that the ship was enabled to come at once to the pier.

tide(名)潮、潮の干満
wind(名)(またthe ~)(強い)風
so(副)(程度・結果を表わして)(so ~ that ~で)(順送りに訳して)非常に~なので~
favorable(形)(事情・形勢など)有利な、好都合の、順調な
that(接)(副詞節を導いて)(so ~ thatの形で程度・結果を表わして)(非常に)~なので、~(する)ほど
enable(他)(物事を)(人を)(~することが)できるようにする(+目+to do)
at once すぐに、直ちに
to(前)(方向を表わして)(到達の意を含めて)~まで、~の、~に
pier(名)桟橋、埠頭(ふとう)

It was thronged with people; some, idle lookers-on, others, eager expectants of friends or relatives.

throng(他)(場所に)群がる ・The streets were thronged with shoppers. 町は買い物客でごった返していた。
some(代)(可算の名詞を表わす時には複数扱い、不可算の名詞を表わす時には単数扱い)ある人たち、あるもの(しばしば後に対照的にothersまたはsomeを用いる)
idle(形)(人が)仕事のない、働いていない、遊んでいる ・an idle spectator 手をこまねいて見ている人
looker-on(名)傍観者、見物人
other(代)(通例複数形で)ほかのもの、ほかの人たち、他人
eager(形)(人・目つきなど)熱心な
expectant(名)期待する人、予期する人
relative(名)親類(の人)、親戚(の人)(=relation)

I could distinguish the merchant to whom the ship was consigned.

distinguish(他)(~を)識別する
merchant(名)商人
to(前)(行為・作用の対象を表わして)~に対して、~に
whom(代)(関係代名詞)(制限的用法で)~する(ところの)(人)(「人」を表わす名詞を先行詞とする形容詞節をつくる)
consign(他)(~を)(他の管理に)ゆだねる、託す、任す

I knew him by his calculating brow and restless air.

know(他)(~を)見分ける、見て(~と)わかる(by)
by(前)(判断の尺度・標準を表わして)~によって、~に従って
calculating(形)打算的な、抜けめのない、ずるい
brow(名)顔(つき)、表情
restless(形)落ち着かない、そわそわした、せかせかした

His hands were thrust into his pockets; he was whistling thoughtfully, and walking to and fro, a small space having been accorded him by the crowd, in deference to his temporary importance.

thrust(他)(副詞句を伴って)ぐいと押す、突っ込む ・He thrust his hands into his pockets. 彼は手をポケットに突っ込んだ。
whistle(自)口笛を吹く
thoughtfully(副)考え込んで、思いにふけって
to and fro あち(ら)こち(ら)に
small(形)(家など)狭い
accord(他)(人に)(許可・称賛などを)与える(+目+目)
crowd(名)(集合的/単数または複数扱い)群衆、大勢
in(前)(状態を表わして)~の状態に(で)
deference(名)尊敬、敬意 ・in deference to ~を尊重して
temporary(形)一時の、はかない(⇔permanent)
importance(名)重要(性)、重大さ

There were repeated cheerings and salutations interchanged between the shore and the ship, as friends happened to recognize each other.

repeated(形)繰り返された、たびたびの、たび重なる
cheer(自)歓声をあげる
salutation(名)あいさつ(の言葉)
interchange(他)(二つのものを)互いにやり取りする、交換する、取り交わす
between(前)(分配・共有・関係などを表わして)~の内で、共同で
happen(自)偶然(たまたま)(~)する(+to do)
recognize(他)(人・ものを)(以前知っているものと同じだと)わかる、見覚えがある、(見て)思い出す
each other(目的格・所有格でのみ用いて)お互い(に、を)

I particularly noticed one young woman of humble dress, but interesting demeanor.

particularly(副)特に、とりわけ
notice(他)(~に)気がつく、(~を)認める
of(前)(of+名詞で形容詞句をなして)~の
humble(形)粗末(質素)な
dress(名)服装、衣服
demeanor(名)ふるまい、行ない、行状

She was leaning forward from among the crowd; her eye hurried over the ship as it neared the shore, to catch some wished-for countenance.

lean(自)(副詞句を伴って)体を乗り出す ・lean forward 前かがみになる
hurry(自)(通例副詞句を伴って)急ぐ、急いでいく(=rush)
over(前)(動作動詞とともに)~を越えて(=across)
near(他)(~に)近づく、接近する(=approach)
catch(他)(問題・病気などを)見つける、発見する
some(形)(不明または不特定のものまたは人をさして)(単数形の可算の名詞を伴って)何かの、ある、どこかの
wished-for(形)望んでいた、望みどおりの
countenance(名)顔つき、表情
【参考文献】
The Sketch-Book of Geoffrey Crayon, Gent (Oxford World's Classics)』Washington Irving・著
スケッチ・ブック(上) (岩波文庫)』齊藤昇・訳
新英和中辞典 [第7版] 並装』(研究社)
リーダーズ英和辞典 <第3版> [並装]』(研究社)
新英和大辞典 第六版 ― 並装』(研究社)
中学基本英単語1200』赤尾好夫・編(旺文社)
英語基本単語集』赤尾好夫・編(旺文社)
試験にでる英単語―実証データで重大箇所ズバリ公開 (青春新書)森一郎・著(青春出版社

『フランケンシュタイン』(1931)

今日は、ブルーレイで『フランケンシュタイン』を再見した。

フランケンシュタイン [Blu-ray]

フランケンシュタイン [Blu-ray]

  • 発売日: 2016/08/24
  • メディア: Blu-ray
1931年のアメリカ映画。
数々の続編やらリメイクやらが作られたフランケンシュタイン映画のオリジナルである。
リメイクの中には、あのケネス・ブラナーが監督し、ロバート・デ・ニーロが怪物(!)を演じた1994年版もある。
僕は小学生の頃、テレビでフランケンシュタインを見た記憶があるが、それはおそらく、ピーター・カッシングクリストファー・リーが主演の『フランケンシュタインの逆襲』(テレンス・フィッシャー監督、1957年)だろう。
監督はジェイムズ・ホエール。
原作はメアリー・シェリー。
ゴシック小説の元祖として英文学史の教科書にも載っている。
主演(怪物)はボリス・カーロフ
ただし、オープニングでは「?」とクレジットされている。
『魔人ドラキュラ』のベラ・ルゴシと並んで、怪物映画の大スターである。
ユニバーサル映画。
モノクロ、スタンダード・サイズ。
最初に、製作者からの「忠告」がある。
それから、勇ましいテーマ音楽と共に始まる。
墓場で葬式が行われている。
棺が埋められた。
夜になって、墓場荒らしが現れる。
二人組の男。
若き科学者ヘンリー・フランケンシュタイン(コリン・クライヴ)と、その助手フリッツ(ドワイト・フライ)だ。
ちなみに、よく誤解されるが、フランケンシュタインとは、怪物を生み出した博士の名である。
二人は墓を掘り始め、棺を取り出す。
ハムレット』か。
続いて、磔になっている死体を発見。
だが、この死体は、首の骨が折れているので、脳みそは使えないという。
場面変わって、医大で脳のホルマリン漬け標本を前に講義をするウォルドマン教授(エドワード・ヴァン・スローン)。
犯罪者の脳は、健常者の脳とは違うらしい。
その夜、研究室に忍び込むフリッツ。
健常者の脳を盗み出そうとするが、物音に驚いて、容器を落として割ってしまう。
仕方がないので、隣に置いてあった犯罪者の脳を盗み出す。
マンガ的とも言えるほど分かり易い伏線だ。
一方、ヘンリーは婚約者であるエリザベス(メイ・クラーク)に手紙を送った。
ヘンリーにとって、今は実験が一番大事で、結婚のことは考えられないというのであった。
彼の恩師でもあるウォルドマン博士は、「フランケンシュタイン君は大学を辞めて、一人で研究に没頭している」と話す。
嵐の夜、ヘンリーが正にスイッチを入れようとしたその時、人が訪ねて来る。
エリザベスとその友人ヴィクター、それにウォルドマン博士の3人であった。
実験の途中なので追い返そうとするが、嵐なので、仕方なく中に入れる。
ヘンリーは、彼らに実験を見せる。
それは、死体を集めて作った人造人間に生命を与えるという、倫理的に狂った実験であった。
ヘンリーがスイッチを入れると、実験室内の謎の機器どもが怪しく放電し、点滅し、光を放つ。
この時代に、ここまでの描写が出来る技術があることに驚いた。
そして、動き出す人造人間の手。
「生きているぞ!私は神になった!」と叫ぶヘンリー。
かなり迫真の演技である。
まあ、実際にこんな実験が成功したら、誰だってそう叫ぶだろう。
場面変わって、ヘンリーの父親(実は男爵)は、息子のことを心配している。
そこへ、「息子さんの結婚式のことで」と、市長が訪ねて来る。
父親は「結婚式は延期だ」と告げざるを得ない。
またまた場面変わって、ヘンリーの家。
ウォルドマン博士は「あの生き物は危険だ」と強く主張する。
しかし、ヘンリーは「危険を恐れていては、新たな発見は出来ない」と取り合わない。
ここまで、未だ怪物は全身を見せていない。
ついに怪物(ボリス・カーロフ)が姿を現す。
すごいメイクである。
それに、目つきが恐ろしい。
彼は人間の言葉を理解する。
何故かフリッツは、この怪物を邪険に扱う。
怪物の前で松明を振り回す。
火を恐れて、暴れる怪物。
この「火がコワイ」というのも、ラストへの重要な伏線になる。
怪物は鎖につながれ、地下室に監禁された。
フリッツは、まるでいじめっ子のように、怪物をムチ打ちして楽しむ。
まあ、これまで博士にアゴでこき使われて来たので、自分より立場が下の者に、そのうっぷんをぶつけているのであろう。
怪物は暴れ出した。
邸内に悲鳴が響き渡る。
ヘンリーとウォルドマン博士が駆け付けると、フリッツが首吊り状態になって死んでいた。
そして、怪物はいよいよ大暴れする。
二人は、かろうじて怪物を地下室に閉じ込めるが、ウォルドマン博士は「あれは怪物だから殺せ」と言う。
強烈な薬品が注射され、怪物は倒れる。
さあ、これからどうなる?
有名なシーンだから見覚えがあるのだが、湖のほとりで遊ぶ女の子を、フランケンシュタインの怪物が水の中へ投げ入れるシーンがある。
あれは、今なら「児童虐待」で問題になりそうだ。
クライマックス・シーンは、今見てもよく出来ている。
巨大な風車のセットを燃やして、一発撮り。
黒澤映画か。
結末は分かり切っているから書くが、残酷でかわいそうだ。
人間が勝手に生み出しておいて、人間の都合で。
その無念さが伝わって来るような場面だ。
いずれにしても、この1本の映画の印象で、フランケンシュタインの怪物というのは誰もが知っているキャラクターになったのだから、スゴイことである。

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『スケッチ・ブック』を原書で読む(第8回)

The Voyage(第4回)
(テキスト17ページ、20行目~)
(※赤字は大学受験レベルの語)

I confess these stories, for a time, put an end to all my fine fancies.

confess(他)(~と)認める、自認する(=admit)(+that)
story(名)話、うわさ話、所説
for a time ちょっとの間、一時
put(他)(限度・きりを)(~に)つける、打つ ・put an end to ~に終止符を打つ、~を終わらせる
end(名)(存在・行為などの)終止 ・put an end to ~を終わらせる
to(前)(行為・作用の対象を表わして)~に対して、~に
all(形)(複数名詞の前に置いて)あらゆる、すべての、みな
my(代)私の
fine(形)楽しい、けっこうな
fancy(名)(気まぐれで自由な)空想

The storm increased with the night.

storm(名)あらし、暴風(雨)、大しけ
increase(自)(数量・程度などが)ふえる、増加する、増大(増進)する
with(前)(同時・同程度・同方向などを表わして)~とともに、~と同時に

The sea was lashed into tremendous confusion.

lash(他)(雨・風・波などが)(~に)打ち当たる ・The wind lashed the sea into a fury. 風が海を激しく打って荒れ狂わせた。
into(前)(変化・結果を表わして)~に(する、なる)(通例ある物が別の物に形や状態を変えることを表わす)
tremendous(形)恐ろしい、すさまじい
confusion(名)混乱

There was a fearful, sullen sound of rushing waves and broken surges.

there(副)(thereは形式上主語のように扱われるが、動詞の後に通例不特定のものや人を表わす主語が続く/「そこに」の意味はなく、日本語ではthere isで「~がある」の意になる)/(beを述語動詞として)
fearful(形)恐ろしい、ぞっとするような、ものすごい
sullen(形)(天気など)陰気な、陰鬱(いんうつ)な
sound(名)音、音響(of)
rush(自)(通例副詞句を伴って)(ある方向に)突進する、殺到する(=hurry)
broken(形)壊れた、砕けた、破れた
surge(名)大波、うねり

Deep called unto deep.

deep(名)(海・川などの)深み、深い所、深淵
call(自)(大声で)叫ぶ
unto(前)(古)~に、~のほうへ、~まで

At times the black volume of clouds over head seemed rent asunder by flashes of lightning which quivered along the foaming billows, and made the succeeding darkness doubly terrible.

at times 時々、たまに
black(形)(空・深い水など)黒ずんだ、暗黒の
volume(名)大きなかたまり(of)
of(前)(分量・内容を表わして/数量・単位を表わす名詞を前に置いて)~の
cloud(名)雲
seem(自)(~と)見える、思われる、(~)らしい(通例話し手の推量をこめた判断を示す語で、文法上の主語と判断の主体は一致しないことが多く、時に判断の主体を示すのにto a personを従えることがある)(+補)
rent(動)rendの過去形・過去分詞
rend(古)(他)引き裂く、ちぎる
asunder(副)真っ二つに
flash(名)(光などの)ひらめき、ぱっと出る発火、閃光(せんこう)・a flash of lightning 電光のひらめき、稲光
lightning(名)稲光、電光、稲妻 ・a flash of lightning 一光の稲妻
which(代)(関係代名詞)(制限的用法で)~する(した)(もの、事)(通例「もの」を表わす名詞を先行詞とする形容詞節をつくる)/(主格の場合)
quiver(自)(小刻みに)揺れる、震える
foam(自)泡立つ、泡になる
billow(名)(通例複数形で)大波
make(他)(~を)(~に)する(+目+補)
succeeding(形)続いて起こる、続く、次の
darkness(名)暗さ
doubly(副)二重に、二様に

The thunders bellowed over the wild waste of waters, and were echoed and prolonged by the mountain waves.

thunder(名)(ゴロゴロ鳴る)雷、雷鳴
bellow(自)(大砲・雷などが)とどろく
wild(形)(天候・海など)荒れた、激しい(=stormy)・a wild sea 荒海
waste(名)荒れ地、不毛の荒野、荒涼たる広がり、砂漠 ・a waste of waves 果てしない大海原
water(名)(複数形で)海
echo(他)(音響を)反響する
prolong(他)(~を)延長する、引き延ばす
mountain(形)山のよう(に大き)な

As I saw the ship staggering and plunging among these roaring caverns, it seemed miraculous that she regained her balance, or preserved her buoyancy.

as(接)(時を表わして)~している時、~したとんに
see(他)(~を)見る、(~が)見える(+目+doing)
stagger(自)(副詞句を伴って)よろめく、ふらふら歩く
plunge(自)(船が)(船首を下にして)縦に揺れる
roaring(形)ごうごういう
cavern(名)暗い巨大な空間
it(代)(形式主語としてあとにくる事実上の主語の不定詞句・動名詞句・that節などを代表して)
miraculous(形)奇跡的な、不思議な
that(接)(名詞節を導いて)(~)ということ/(主語節を導いて)
regain(他)(なくしたものを)取り戻す、回復する
her(代)彼女の
balance(名)(またa ~)釣り合い、平均
preserve(他)(性質・状態を)維持する、保つ(=maintain)
buoyancy(名)浮力

Her yards would dip into the water: her bow was almost buried beneath the waves.

yard(名)(海)桁(けた)、帆桁
would(助動)(話し手の過去についての推測を表わして)~だったろう
dip(自)(液体の中に)ちょっと浸る、もぐる(into)・The bow of the boat dipped low in the water. 船のへさきが水中に低くもぐった。
water(名)(しばしばthe ~)(空中・陸地に対する場所としての)水中
bow(名)船首、艦首、へさき、おもて(⇔stern)
almost(副)(動詞を修飾して)もう少しで、すんでのところで、~するばかりに
bury(他)(~を)(~に)突っ込む(into)
beneath(前)(位置・場所などを表わして)~の下に

Sometimes an impending surge appeared ready to overwhelm her, and nothing but a dexterous movement of the helm preserved her from the shock.

impending(形)(不吉なことが)今にも起こりそうな ・an impending storm 今にも来そうなあらし
surge(名)大波、うねり
appear(自)(~(のよう)に)見える、(~と)思われる(+補)
ready(形)今にも(~)しようとして(+to do)
overwhelm(他)(洪水などが)(~を)沈める、のみこむ
nothing but ~ ただ~のみ、~にほかならない
dexterous(形)上手な
movement(名)動くこと、動き、運動、活動(of)
of(前)(目的格関係を表わして)(しばしば動作名詞または動名詞に伴って)~を、~の
helm(名)(海)操舵装置、舵機
preserve(他)(人などを)(損傷・危険などから)保護する、守る(from)
from(前)(抑制・防止などを表わして)~から
shock(名)(衝突・帽子などを表わして)~から

When I retired to my cabin, the awful scene still followed me.

when(接)~する時に、~時(時を表わす副詞節をつくる)
retire(自)退く、去る、引きこもる、立ち去る(to)
to(前)(方向を表わして)(到達の意を含めて)~まで、~へ、~に
cabin(名)(客船の)客室
awful(形)恐ろしい、ぞっとする(ような)
scene(名)(舞台面を思わせるような)景色、風景、光景
still(副)まだ、今までどおり

The whistling of the wind through the rigging sounded like funereal wailings.

whistle(自)(副詞句を伴って)(風が)ピューと鳴る、(弾丸などが)ピューと(うなって)飛ぶ
of(前)(主格関係を表わして)(動作の行為者、作品の作者を表わして)~が、~の
wind(名)(またthe ~)(強い)風
rigging(名)(海)索具(マストや帆を支えるロープやチェーン類一式)、艤装
sound(自)(~に)聞こえる、見える、思われる(+補)(like)
like(前)~のような、~に似た
funeral(形)葬式の
wail(自)(痛み・苦しみなどで)泣き叫ぶ、声をあげて泣く

The creaking of the masts, the straining and groaning of bulk-heads, as the ship labored in the weltering sea, were frightful.

creak(自)きしる、キーキーという音を出す
mast(名)(海)帆柱、マスト
strain(他)(綱などを)(ぴんと)張る、引っぱる
groan(自)(苦痛・悲しみなどで)うめく
bulkhead(名)(しばしば複数形で)(船・飛行機の中の)隔壁
labor(自)(副詞句を伴って)骨折って進む、やっと進む ・The ship labored in the heavy seas. 船は荒海の中で難航を続けた。
welter(自)(波などが)うねる、逆巻く
frightful(形)恐ろしい、ものすごい、ぞっとする(ぎょっとする)ような(=terrible)

As I heard the waves rushing along the sides of the ship, and roaring in my very ear, it seemed as if Death were raging around this floating prison, seeking for his prey: the mere starting of a nail, the yawning of a seam, might give him entrance.

hear(他)(~が)聞こえる、(~を)聞く(+目+doing)
side(名)船側、船ばた
roar(自)(エンジン・大砲・風・海などが)轟音(ごうおん)を発する、うなる、鳴り響く
in(前)(特定の部分を表わして)~の、~に関して
very(形)(the、this、thatまたは所有格人称代名詞に伴って強意を表わして)まさしくその、ちょうどその、~にほかならない
ear(名)耳
it(代)(非人称動詞(impersonal verb)の主語として)(特にさすものはなく、従って訳さないで文の形式的主語となる)(seem that ~の主語として)
seem(自)(itを主語として)(~には)(~のように)思われる(+as if)
as if まるで~であるかのように(as if節の中では仮定法を用いる)
Death(名)死に神(通例手に大かま(scythe)を持った黒服(black cloak)を着た骸骨(がいこつ)(skelton)で表わされる)
rage(自)(人が)激怒する、あばれまわる
round(前)~の周りに(を)、~の四方に
this(形)(指示形容詞)この(⇔that)/(近くの時・所をさして)
floating(形)浮かんでいる、浮遊の
seek(自)捜し求める(for)
for(前)(獲得・追求・期待の対象を表わして)~を得るために(の)、~を(求めて)
his(代)彼の
prey(名)(他の動物の)えじき、獲物
mere(形)ほんの、単なる、まったく~にすぎない
start(自)(船材・釘など)ゆるむ、曲がる、はずれる、反(そ)る
nail(名)くぎ
yawn(自)(ふち・割れ目・湾などが)大きく開く
seam(名)(布・毛皮・服などの)縫い目、継ぎ目
might(助動)(仮定法仮定)(条件節の内容を言外に含めた主節だけの文で)(現在の推量を表わして)~するかもしれない
give(他)(人などに)(時間・機会・許可・休息などを)認める、許す(+目+目)
entrance(名)入ること
【参考文献】
The Sketch-Book of Geoffrey Crayon, Gent (Oxford World's Classics)』Washington Irving・著
スケッチ・ブック(上) (岩波文庫)』齊藤昇・訳
新英和中辞典 [第7版] 並装』(研究社)
リーダーズ英和辞典 <第3版> [並装]』(研究社)
中学基本英単語1200』赤尾好夫・編(旺文社)
英語基本単語集』赤尾好夫・編(旺文社)
試験にでる英単語―実証データで重大箇所ズバリ公開 (青春新書)森一郎・著(青春出版社