『アメリカン・グラフィティ2』

この週末は、ブルーレイで『アメリカン・グラフィティ2』を見た。

1979年のアメリカ映画。
監督はB・W・L・ノートン(製作総指揮はジョージ・ルーカス)。
ジョージ・ルーカス監督の『アメリカン・グラフィティ』の続編である。
70年代の映画にこだわって見て来たが、いよいよネタが切れて来て、禁断の続編に手を出す。
アメリカン・グラフィティ2』の登場人物は概ね1作目と一緒(何故か、主役はいないが)。
地獄の黙示録』みたいなヘリの飛行から始まる。
場所はどうやら戦争中のベトナムらしい。
続いて、1964年の大晦日
ジョン・ミルナ―(ポール・ル・マット)はカーレースの真っ最中。
バックに「ムーン・リバー」が流れる。
前作の悪友どもが勢揃いして応援に駆け付けた。
テリー・フィールズ(チャールズ・マーティン・スミス)は「ベトナムへ送られることが決まった」と告げる。
1965年、大晦日
記録フィルム風のベトナム戦争の映像。
テリーは戦場で銃を誤射し、敵の襲来と勘違いした米軍が戦闘態勢に入って大騒ぎ。
これはコメディーにしてもいいのか?
1966年、大晦日
デビー(キャンディ・クラーク)はロン毛の彼氏との結婚を夢見ている。
しかし、彼氏はヤクで警察に捕まってしまう。
このシーンは、マルチ画面で進行する。
1967年、大晦日
ティーヴ(ロン・ハワード)とローリー(シンディ・ウィリアムス)は、子供を放ったらかしてハデな夫婦喧嘩を繰り広げている。
ローリーは話しの通じない夫にキレて、家を飛び出す。
本作は、この四つの時間を同時並行的に描く。
キューブリックの『現金に体を張れ』のようである。
従って、最初はなかなかストーリーがつかめない。
また1964年のカーレースに戻り、次いで、ベトナムへ。
銃の誤射から敵と勘違いされたテリーは、何とか生き残る。
そして、視察中の下院議員にハッタリの報告をする。
ジョンとテリーには不幸な結末が待ちうけているらしいことは、最初に示されている。
そのため、語り口は、どのようにして彼らがそうなるかに重点を置くことになる。
大ヒットした青春映画の続編の割には、実験的な作りである。
カーレーサーのジョンは、前田敦子みたいな顔のスウェーデン娘(?)を好きになる。
だが、言葉が全く通じない。
ベトナム戦争のシーンは、『地獄の黙示録』と『フルメタル・ジャケット』を合わせたような本格的なもので、撮影は大変だっただろう。
デビーは、ヤク中彼氏が逮捕されたので、必死で保釈金をかき集める。
でも、彼氏には結婚する気などさらさらない。
ローリーは、家を飛び出して兄弟の家へ行く。
兄弟はベトナム反戦デモに参加している。
デモの警官が乱入するシーンは、まるで『いちご白書』のようだ。
とにかく、四つの場面をせわしなく行ったり来たりする。
見ていると、勝手に時間が流れるような感じ。
コメディー仕立てにはなっている。
一応、時代の雰囲気は出ているのだろうか。
ただ、結論としては、「続編に名作ナシ」とは言える(『ゴッドファーザー』を除く)。
どうにも微妙な出来栄えである。
最後に、サイモン&ガーファンクルの「サウンド・オブ・サイレンス」が流れる。
余談だが、あちらの国では、年が明けてから「蛍の光」を歌うようだ。
日本とは違うんだな。