『グレート・スタントマン』

この週末は、ブルーレイで『グレート・スタントマン』を見た。

1978年のアメリカ映画。
監督はハル・ニーダム
主演は、『脱出』のバート・レイノルズ
共演は、『ゴッドファーザー』のジョン・マーリー
傷付いた脚にサポーターをグルグル巻きにする様子のアップから始まる。
勇ましいテーマ音楽。
体中傷だらけ。
全身を保護するためのフル装備。
そして、クアーズとジャック・ダニエルを飲む。
ハリウッドの一流スタントマンであるフーパー(バート・レイノルズ)の出陣である。
今日も危険な撮影だ。
バイクの前輪を上げて走るフーパー。
撮影が始まった。
バイクを横転させて、走るトラックの下をくぐり抜ける。
見事成功。
しかし、暴君のような監督は、彼に冷たい。
スタントマンは、アクション映画には絶対必要な存在だが、所詮裏方でしかない。
本作は、そんなスタントマンの悲哀が見事に表現されている。
危険なシーンは代わりに演じさせるが、主役はあくまでスター。
全身はボロボロ。
いつまでも続けられる仕事ではない。
監督の提灯持ちをする助監督が、滑稽で良い。
橋下みたいな監督と、府知事のような腰巾着の助監督。
アハハ。
大阪都構想絶対反対!!
撮影終了後、フーパーは恋人のグエンを訪ねる。
彼女の所にいる愛馬ダンサーは、クアーズをおいしそうにゴクゴクと飲む。
スゴイね。
グエンは、満身創痍のフーパーを心配する。
それで、二人はいつも大ゲンカ。
今度は、屋根から屋根へと犬を連れて綱渡りし、落下するというスタント。
フーパーの背中が痛む。
痛み止めの注射を打ってもらった。
彼は医者がキライだ。
プロデューサーのバーンズ(ジョン・マーレー)の視線だけは、フーパーに対して父親のように暖かい。
フーパーは、施設の子供達の前で、スタント・ショウに出ることになった。
まずは、西部劇のスタント。
更に、走る車、横転するバイク。
注目の若手スタントマン・スキーのヘリから落ちるスタント。
フーパーは、スキーにライバル心を抱く。
次は、『ベン・ハー』のような戦車競走のスタント。
フーパーとスキーが対決することになった。
フーパーが勝利し、彼のプライドは保たれた。
休日、みんなで海へ遊びに行く。
走る車から隣の車へ飛び乗る女の子。
スタントマンの周辺は、休みでも無謀である。
フーパーは、バック運転でお巡りに捕まる。
バックで90キロって!
でも、ちゃっかりお巡りにイタズラ。
この辺は、かなりコミカルな展開。
フーパーは、飲み屋で絡んで来た警官の前で、ヘルメットを被ってジューク・ボックスに突撃する。
その後、『毎度おさわがせします』のような大乱闘。
完全なドタバタ。
何故か、警官達と仲良くなって、大人数で自宅へなだれ込み、フーパーのスタント・フィルムを見ることに。
『脱出』がチラリと映る。
既に、みんな酔っ払って寝ている。
けれども、スキーは大感激。
翌日、二日酔いのまま撮影。
夜、今度は『タワーリング・インフェルノ』のような火を使った撮影。
まあ、「これでもか!」とばかりにスタント・シーンが繰り返される。
監督が、新人のスキーを気に入った。
どんな仕事でもそうだろうが、新人が台頭して来ると、旧世代との軋轢も生じる。
今度は、スキーがロープで高層ビルから降りるスタント。
『007』みたいな音楽。
この辺は、完全にパロディーだな。
続いては、フーパーによる、地上75メートルのヘリの上から飛び降りるスタント。
これは新記録なのだとか。
フーパーは、常に記録を意識している。
オリンピックか。
しかしながら、いよいよフーパーの身体はボロボロである。
医者が彼に忠告する。
「死にたいのか。」
さあ、これからどうする。
見せ場が満載の映画である。
今なら、全部CGだろうが。
スタントマンという裏方にスポットを当てた、実に映画愛に満ちた作品だ。
ちょっと、『蒲田行進曲』みたい。
余談だが、途中、フーパーとスキーが思い切り飲酒運転(もちろん、クアーズを飲みながら)をするシーンがあるので、今ではテレビ放映は難しいだろう。
クライマックス・シーンは、ものすごい迫力である。
昔は、本当にこんなシーンを、スタントマンが体を張って演じていたのだ。