この週末は、ブルーレイで『エデンの東』を見た。
- 出版社/メーカー: ワーナー・ホーム・ビデオ
- 発売日: 2014/04/23
- メディア: Blu-ray
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監督はエリア・カザン。
僕が中学生くらいの時に読んだムックに、スタンリー・キューブリックが尊敬する監督として、確かエリア・カザンの名が挙げられていたと思う。
原作はジョン・スタインベック。
僕は英文科に7年も在籍したのに、スタインベックの作品は一つも読んだことがない。
『二十日鼠と人間』は映画で観た。
スタインベックは、幼少の頃からトマス・マロリーの『アーサー王の死』やミルトンの『失楽園』を愛読していたらしい。
僕も見習おう。
主演はジェームズ・ディーン。
伝説的な俳優だが、僕はこれまで、彼の出演作を見たことがなかった。
生涯でわずか3本の映画にしか出演していない。
今の日本に、彼に匹敵する役者はいないだろう。
共演は、『西部開拓史』のレイモンド・マッセイ、『暴力脱獄』のジョー・ヴァン・フリート、『ワイルドバンチ』のアルバート・デッカー、『大いなる西部』のパール・アイヴス等。
音楽は、『続・猿の惑星』『バリー・リンドン』の巨匠レナード・ローゼンマン。
最初に「序曲」が流れる。
古い映画だが、シネマ・スコープのカラー作品である。
テーマ曲は非常に有名。
誰でも一度は聴いたことがあるだろう。
舞台は1917年のアメリカ・カリフォルニア州モントレー。
海岸近くの町である。
道端に座っているキャル(ジェームズ・ディーン)。
鋭い目つきだ。
目の前を通り過ぎたケート(ジョー・ヴァン・フリート)という中年女性の後を追う。
辿り着いた家は邸宅であった。
明らかに金持ちである。
しかし、この家の用心棒に見付かって、ボコボコにされる。
キャルは貨物列車に飛び乗り、地元のサリナスへ戻った。
彼には双子の兄のアロン(リチャード・ダヴァロス)がいた。
従順なアロンは、父アダム(レイモンド・マッセイ)から愛されていた。
一方、反抗的なキャルは、父親から嫌われている。
キャル達の母親は、既に亡くなって、いなかった。
アロンの恋人アブラ(ジュリー・ハリス)も、キャルのことを恐れていた。
最初の方で、これらの人間関係を簡潔に描く。
昔の映画は、実に分かり易い。
アダムは、レタスの冷凍保存というビジネスを手掛けている。
当時は、今と違って、野菜を保存するのも大変だった。
キャルは、氷の保管庫に行く。
そこでは、アロンとアブラが逢い引き中だった。
キャルが覗いているのを見付けたアブラが、彼を怖がる。
突然、キャルは大量の氷の塊を破壊し始める。
無軌道な若者の衝動。
尾崎豊みたいだ。
アダムは怒るが、聖書の一節を引用して、キャルのことを許そうとする。
だが、キャルには全く反省の色が見えない。
キャルは「母さんは死んでいない!」と言い張る。
では、母は何故出て行ったのか?
出て行ったとしても、それから何の便りもないのはどうしてか?
問い質しても、アダムは黙ってしまう。
実は、キャルは先述のケートを自分の母親ではないかと疑っているのであった。
夜、キャルはモントレ―のいかがわしい酒場へ行く。
そこは、ケートの経営する店であった。
キャルは店の奥の彼女の部屋に侵入するが、捕まってしまう。
彼は、保安官から真実を聞く。
今まで誰にも見せなかったという、キャルの両親が結婚した時の写真。
そこに写っているのは、アダムと、間違いなくケートであった。
キャルは、保安官に家まで送ってもらう。
それから、キャルは父のレタス農場で真面目に働くようになった。
ある時、彼はふとしたきっかけでアブラと話しをする。
彼女も、13歳の時に母親を亡くしたと打ち明ける。
お互い似たような境遇であることを知って、二人の心理的な距離が一気に縮まった。
キャルは、レタスを効率的に運ぶための工夫を考え出す。
けれども、アダムはその考案を認めない。
とにかく、キャルのやることなすことが気に入らないのだ。
アダムは、冷凍保存したレタスを貨物列車で東海岸まで運び、大儲けすることを狙っていた。
そのために全財産を賭けていた。
ところが、雪崩のために汽車が立ち往生して氷が融け出し、レタスがパーになる。
貨物列車から滝のように流れる水が切ない。
父の考え出した冷凍法は、自然の前には無力であった。
キャルは父親の出した損失を取り戻すべく、大豆で稼ぎたいと考える。
第一次大戦に米国が参戦すれば、大豆が値上がりするという話しを聞いたのだ。
しかしながら、先物投資に必要な5000ドルは、到底彼に工面出来るものではない。
余りにもハチャメチャな振る舞いなので忘れていたが、彼は未だ高校生なのだ。
再びキャルはケートの後を付け、彼女のもとへ。
そこで、彼女に「5000ドルを貸して欲しい」と頼む。
彼女は、ついに自分がキャルの母親であることを認めた。
ケートは、アダムに束縛されていた。
自由が欲しかった。
彼女は家を出る時にアダムを撃った。
殺すことも出来たが、それはしなかった。
そして、彼女はいかがわしい店の経営を始め、成功させた。
ケートはアダムのことを恨んでいる。
だが、キャルには自分と共通する部分を感じたのかも知れない。
「憎めない子だ。さっさとお行き!」と言って、彼女はキャルに5000ドルを渡した。
キャルの読み通り、アメリカはドイツに宣戦布告をする。
さあ、これからどうなる?
この後の展開は、なかなかに衝撃的である。
本作が映画史上に残っているのも、分かる気がする。
ただ、最後がメロドラマなんだよなあ。
アカデミー賞助演女優賞(ジョー・ヴァン・フリート)受賞。
1955年洋画興行収入5位。