『見知らぬ乗客』

この週末は、ブルーレイで『見知らぬ乗客』を見た。

見知らぬ乗客 [Blu-ray]

見知らぬ乗客 [Blu-ray]

1951年のアメリカ映画。
監督は、『レベッカ』『逃走迷路』『疑惑の影』『ロープ』『私は告白する』『裏窓』『泥棒成金』『ハリーの災難』『間違えられた男』『めまい』『北北西に進路を取れ』『サイコ』『鳥』『フレンジー』『ファミリー・プロット』のアルフレッド・ヒッチコック
音楽は、『我が家の楽園』『スミス都へ行く』『私は告白する』『ナバロンの要塞』『ローマ帝国の滅亡』のディミトリ・ティオムキン
主演は、『ロープ』のファーリー・グレンジャー
共演は、『レベッカ』『北北西に進路を取れ』のレオ・G・キャロル
ワーナー・ブラザース、モノクロ、スタンダード・サイズ。
哀愁の漂う音楽。
やや画質が甘い。
タクシーが到着するところから始まる。
人が降りて来る。
駅へ。
列車に乗る。
ここまで顔を見せない。
サロン・カーのような車両で、二人の男が隣同士に座っている。
主人公はアマチュア・テニス選手のガイ・ヘインズ(ファーリー・グレンジャー)。
隣の席のブルーノ・アントニーロバート・ウォーカー)と足先が触れたのをきっかけに話し始める。
正に、「見知らぬ乗客」だ。
このブルーノというのは偏執狂的な男で、有名人の動向にやたら詳しかった。
ガイが既婚者で、上院議員の娘であるアン・モートンと付き合うために、妻と別れたがっているということまで知っている。
しかも、態度は馴れ馴れしい。
ガイは振り切ろうとするが、何故か彼の部屋(コンパートメント)で食事をする羽目に。
ブルーノは、自分の父親と折り合いが悪かった。
彼は、ガイに「完全殺人」の話しを持ち掛ける。
殺人には動機が必要だ。
動機がなければ、捕まりようがない。
ガイがブルーノの父を殺し、ブルーノがガイの妻を殺すという「交換殺人」を行おうと。
もちろん、ガイは相手にせず、ブルーノの個室を後にするが、その時、急いでいて、ライターを忘れる。
そのライターは、恋人アンからガイへ贈られたもので、イニシャルが掘られていた。
これが、後の重要な伏線となる。
ヒッチコック映画は、相変わらず見事な展開である。
ガイは、故郷のメトカフ駅で列車を降りた。
妻ミリアム(ケイシー・ロジャース)が働いている店へ。
ミリアムは、浮気をして、他の男の子供を身ごもっていた。
しかし、ガイが有名になったから、離婚はしないと言う。
とんでもない嫁だが、これはどっちもどっち。
で、店の中で大ゲンカになる。
ガイは店を飛び出し、アン(ルース・ローマン)に電話を掛ける。
彼は、腹立ちまぎれに「妻を絞め殺したい!」と言ってしまう。
一方、ブルーノはガイに電話をするが、切られてしまう。
そりゃそうだよな。
たまたま列車の中で隣の席だった見知らぬ男から、人殺しの話しを持ち掛けられて、そいつから電話が掛かってきたりしたら、気持ち悪いもんな。
今なら、ストーカー規制法違反で、一発逮捕だ。
だが、ブルーノは非常にしつこい男だった。
彼は、わざわざメトカフまでやって来る。
そして、ガイの妻に近付く。
ミリアムは、男友達二人と、遊園地に遊びに行くところだった。
ブルーノは、うまいことミリアムの気を引く。
で、物陰で首を締めて、彼女を殺してしまった。
その頃、ガイは展望車に乗っていた。
酔っ払った大学教授が、一方的にガイに話し掛けて来る。
ワシントンに着いた。
自宅の前で、ガイを呼ぶブルーノ。
ひえ、こんな所まで来るのか!
もう、気持ち悪いから、ガイは関わりたくないのだが。
ブルーノは、ガイに、ミリアムのメガネを渡し、彼女を殺したことを伝える。
ガイは直ちに警察に行こうとするが、ブルーノがミリアムを殺す動機はない。
それに対し、ガイはミリアムと別れたがっていた。
警察はガイを捕まえるぞ、と脅す。
ブルーノは、またも交換殺人の話しを持ち掛けるが、ガイは断る。
ガイは、アンの家へ行く。
アンの父親であるモートン上院議員レオ・G・キャロル)が、ガイにミリアムの死を伝える。
アンやモートンは、言葉には出さないが、ガイのことを疑っている。
けれども、ガイは「アリバイがある」と言う。
列車に乗っていて、大学教授と話したと。
なお、アンの妹役で、ヒッチコックの娘パトリシアが出演している。
ガイは警察に呼ばれる。
ガイが展望車で話したという大学教授も来ている。
ところが、大学教授は、ひどく酔っ払っていたから、ガイと話したことも、会ったことさえも、全く覚えていないという。
落胆するガイ。
ブルーノのストーキングはいよいよ激しくなっていった。
ガイが自宅に帰ると、ブルーノからの手紙が入っている。
アンや上院議員が出席しているパーティの会場にまでやって来る。
更に、ガイの家には、ブルーノの家の鍵と銃まで送られてくる。
ブルーノは気持ち悪いヤツなんだけど、ハッタリ野郎で、口は上手い。
だから、初対面でもコイツのことを信用する人も多い。
さあ、これからどうなるだろうか。
相変わらず、クライマックスは畳み掛けるよう。
特に、メリー・ゴーランドが壊れるシーンがスゴイ。