『白い恐怖』

この週末は、ブルーレイで『白い恐怖』を見た。

1945年のアメリカ映画。
監督は、『レベッカ』『逃走迷路』『疑惑の影』『ロープ』『見知らぬ乗客』『私は告白する』『裏窓』『ハリーの災難』『知りすぎていた男』『間違えられた男』『めまい』『北北西に進路を取れ』『サイコ』『鳥』『フレンジー』『ファミリー・プロット』の巨匠アルフレッド・ヒッチコック
製作は、『風と共に去りぬ』『レベッカ』『第三の男』のデヴィッド・O・セルズニック
音楽は、『クォ・ヴァディス』『ベン・ハー(1959)』『エル・シド』のミクロス・ローザ
撮影は、『レベッカ』のジョージ・バーンズ
途中で主人公が見る夢のイメージ・シーンには、サルバドール・ダリが協力している。
あの『アンダルシアの犬』の。
主演は、『カサブランカ』のイングリッド・バーグマンと、『大いなる西部』『ナバロンの要塞』『西部開拓史』『アラバマ物語』『オーメン』のグレゴリー・ペック
共演は、『レベッカ』『見知らぬ乗客』『北北西に進路を取れ』のレオ・G・キャロル
精神分析がテーマの映画だが、僕自身が精神分析なんて全く信用していないのと、歯の激痛のせいで、あまり作品に集中出来なかった。
本作は、2時間弱しかないのに、「OVERTURE」と「EXIT MUSIC」が流れる。
モノクロ、スタンダード。
画質は良い。
レベッカ』もそうだったが、本ブルーレイは、台湾のメーカーが作っているので、字幕の字体がヘンである。
軽やかなテーマ音楽。
「過ちは我々の運命の中ではなく、我々自身の中にある」というシェイクスピアの1節(『ジュリアス・シーザー』?)が字幕で出る。
舞台は精神病院。
色気違いみたいな女性が、オッサンの先生を誘惑しながら診察室へ連れて行かれる。
診察するのはコンスタンス・ピーターソン(イングリッド・バーグマン)。
コンスタンスが原因を探ろうと問診を始めると、突然、「男なんて大嫌い!」などと切れ出す患者。
要するに、頭のおかしな患者を相手にしているということが言いたいんだな。
院長のマーチソン(レオ・G・キャロル)はコンスタンスを口説くが、あまり相手にされない。
で、マーチソンが更迭されることになり、後任としてエドワーズ博士(グレゴリー・ペック)がやって来ることになった。
グレゴリー・ペックが若い!
医者同士で食事をしている時、コンスタンスはエドワーズのことが気になる。
彼女が白いテーブル・クロスにフォークで模様を書くと、突然、エドワーズの様子がおかしくなる。
ガームスという患者は、自分が父親を殺したと思い込んでおり、その罪責感に苦しめられている。
「罪責感」というのは、あまり耳にしない言葉だが。
で、ちゃっかりコンスタンスとエドワーズは一緒に散歩を楽しんだりしている。
そこへ、ガームスが発作を起こしたという連絡が。
オッサンばっかりの医者連は、若い色男がやって来たから、コンスタンスとの関係を好奇の目で見ている。
夜、エドワーズは読書しながら、うたた寝している。
そこへ、コンスタンスが入って来る。
「僕達は恋に落ちたんだ。」
すごいセリフだ。
ところが、彼女のローブの縞模様に気付いたエドワーズは、またも様子がおかしくなる。
どう見ても、メンヘラだが。
今度は、ガームスがノドを切ったと。
もう、本当に人騒がせな患者だ。
ガームスの手術中に、エドワーズは取り乱して、卒倒してしまう。
コンスタンスは、エドワースの著書の署名と、彼が寄越した手紙の筆跡が違うことに気付く。
彼は一体、誰なのか?
「あなた誰なの?」とコンスタンスが偽エドワーズに尋ねると、彼は「エドワーズを僕が殺して、入れ替わった」と言う。
彼は、どうやら記憶喪失であった。
彼のシガレット・ケースには、J・Bというイニシャルが刻まれている。
彼は、コンスタンスに置き手紙をして出て行く。
そこには、ニューヨークのエンパイア・ステート・ホテルに行くと書いてあった。
「構ってちゃん」か。
元・エドワードの助手だったという人が病院に来たが、その人が見せた本物のエドワードの写真は、先刻までいたエドワードとは別人だった。
コンスタンスは、エンパイア・ステート・ホテルへ行く。
ホテルにいた保安官が、彼女のことを色々と詮索してくる。
で、グレゴリー・ペックは、「ジョン・ブラウン」という偽名で宿泊していた。
コンスタンスが彼のところへ行くと、「なぜ来た?」
そりゃ、お前がホテルの名前を置き手紙に書いておいたからだろう。
彼女を試すのも、いい加減にしろ!
彼の左腕には、火傷の痕がある。
しかし、彼はどこで火傷をしたのか、思い出せない。
その日の新聞には、コンスタンスの顔写真がデカデカと載っていた。
彼女の部屋に新聞を届けに来たホテルの従業員に気付かれてしまう。
「出ましょう。」
彼女は、彼を連れて駅へ向かった。
駅にいる人達が皆、二人のことを怪しんでいるように見える。
要するに、グレゴリー・ペックは「本物のエドワーズを殺した容疑」で指名手配されていたんだな。
彼らの運命や如何に。
まあ、後半は謎解きになるのだが。
最初に書いたように、僕は精神分析なんて全く信じていないので、本作の展開は、どうも出来過ぎのような。
なぜなら、その分析が正しいという前提がないと、この物語は進まないはずなのだが、そこは不問にされている。
グレゴリー・ペックが見た夢を分析して、「これはこういう意味だ」と分析して行くのだが。
そんなもん、正しいとは限らんだろ。
ただのこじつけかも知れんし。
どうも、いつもは緻密なヒッチコック作品としては、その点が甘いような気がした。
アカデミー賞音楽賞受賞。