『カルメン』(1954)

この週末は、ブルーレイで『カルメン』を見た。

1954年のアメリカ映画。
これまでに何度も映画化されている『カルメン』の中でも、有名な作品の一つ。
監督はオットー・プレミンジャー
彼は、ジーン・セバーグの『悲しみよこんにちは』の監督か。
高校時代に原作(『悲しみよこんにちは』の)は読んだが、どこが面白いのか、よく分からなかったな。
カルメン』の原作は、オスカー・ハマースタイン2世
王様と私』や『サウンド・オブ・ミュージック』の音楽を書いた人。
主演は、ハリー・ベラフォンテ、ドロシー・ダンドリッジ。
ハリー・ベラフォンテは『ウィ・アー・ザ・ワールド』の人か。
音楽には疎いもので。
共演は、『アラバマ物語』のブロック・ピーターズ。
なお、本作のキャストは、オール黒人である。
音楽に疎い僕だが、本作に使われているのは、どこかでよく聴いたことのある曲ばかりだ。
逆に、『カルメン』の音楽が色々な所で使われているということだが。
デラックス・カラー、シネマ・スコープ・サイズ。
時代は第二次世界大戦中。
バスから降りて来る若い女性達。
南部駐屯黒人部隊にいる恋人に面会に来たのだろう。
シンディは、婚約者のジョー(ハリー・ベラフォンテ)に会いに来た。
ジョーは、近日中に飛行学校へ入学することが決まり、彼女とお別れになる。
そばのパラシュート工場には、カルメン・ジョーンズ(ドロシー・ダンドリッジ)という浮気娘が働いていた。
画面に登場した時から、明らかに他の人達とは雰囲気が違う。
ケバイ!
しかし、男好きのする美人ではあるな。
彼女は、美男のジョーを狙っていた。
もちろん、シンディは面白くない。
でも、彼女は母親に似ているから、絶対に裏切らないとジョーは言った。
カルメンが、大キャットファイトを繰り広げる。
まあ、こういうタイプは、女には鼻つまみ者だろうからな。
で、ケンカが原因で、カルメンは逮捕される。
飛行学校入学前の最後の休みをシンディと過ごそうと思っていたジョーは、上官から、カルメンをメイソンヴィルの留置場へ護送するように命じられる。
ジープに乗って走り去るジョーとカルメンを見つめるシンディ。
走るジープの上は二人きり。
当然のように、ジョーを誘惑するカルメン
でも、ジョーは相手にしない。
踏切に差し掛かった時、ゆっくりと走っている列車に飛び乗るカルメン
ジョーも追う。
そして、飛び降りる二人。
恋愛には奔放でも、自由を奪われるのは嫌う女。
ジョーは、逃げられないように、カルメンの手足を縛る。
車は通れない道を、無理矢理選んで進むジョー。
途中、木で出来たショボイ橋で、案の定、橋が壊れて、ジープは川に転落してしまう。
仕方がないから、ジョーはカルメンの手足をほどく。
カルメンは「線路沿いに歩いて行くと、私の故郷に着くから、そこからメイソンヴィル行きの列車に乗ろう」と提案する。
ジョーは、渋々受け入れる。
故郷で歓迎されるカルメン
彼女は、祖母にジョーを紹介する。
まるで婚約者気取り。
二人きりになると、カルメンはまたジョーを誘惑する。
とうとう受け入れるジョー。
あ〜あ。
翌朝、カルメンは置き手紙をして消えていた。
男を引っ掻き回すタイプの、大変タチの悪い女。
ジョーは、要するに護送していた女を逃した罪で、軍の拘置所に入れられる。
そこへ、シンディが面会に来る。
ちょうどその時、ジョーが贈り物の箱を開けると、何と、カルメンから送られて来たバラの花だった。
たまらず、立ち上がって出て行くシンディ。
だが、ジョーは追い掛けない。
彼は、すっかりカルメンに骨抜きになっていた。
枯れたバラの花を彼女だと思って過ごす日々。
一方、カルメンはナイトクラブに勤めながら、ジョーが店に訪れるのを待っていた。
まあ、仮に来たとしても、スゴイ偶然だよな。
そこへ、ヘビー級ボクサー、ハスキー・ミラーが到着。
人気ボクサーに、店の女は皆、群がったが、カルメンは見向きもしない。
ところが、ミラーは彼女のことが気に入った。
マネージャーに、あらゆる手段を使っても彼女を連れて来いと命じる。
マネージャーは、店の女達に、カルメンを連れて来るように頼む。
カルメンは全く興味がない。
半日で1600キロの弾丸列車に乗ってシカゴへ行かないかと誘う。
半日で1600キロって、時速130キロ以上か。
当時のアメリカには、既にそんな高速列車があったのか。
しかしながら、カルメンは行かない。
「好きな男がいるから行かない。行かずに彼を待つ。」
仕方がないから、彼女に切符だけ渡して、ミラー、マネージャーと女達は、シカゴへ旅立った。
そこへ、ジョーがやって来る。
彼はようやく出所し、飛行学校行きを許された。
カルメンの判決は執行猶予。
二人踊る。
けれども、ジョーは飛行学校へ行くために、明日には出発しないといけない。
恋に生きる女は、そんなことには耐えられない。
そこにいたジョーの上官ブラウン軍曹が、カルメンにちょっかいを出す。
逆上したジョーは、ブラウンを殴ってしまう。
また拘置所へ逆戻りだ。
とっさに、カルメンはジョーの手を取る。
逃げる二人。
逃避行が始まったが…。
カルメンは、典型的な男をダメにする女。
ジョーは、典型的な女で人生を棒に振る男。
恋も、結局はカネの力には勝てない。
かわいそうなのは、婚約者のシンディ。
ラストは衝撃的。
でも、何だかなあ。
ジョーはまるで、池永チャールストーマスのようだ。