『シンドバッド7回目の航海』

この週末は、ブルーレイで『シンドバッド7回目の航海』を見た。

1958年のアメリカ映画。
監督はネイザン・ジュラン。
特撮は、『原子怪獣現わる』のレイ・ハリーハウゼン
音楽は、『地球の静止する日』『ハリーの災難』『間違えられた男』『知りすぎていた男』『めまい』『北北西に進路を取れ』『サイコ』『鳥』『タクシードライバー』の巨匠バーナード・ハーマン
主演はカーウィン・マシューズ。
僕が本作を知ったのは、小学生の頃、ケイブンシャの大百科か何かで、「特撮の神様」であるレイ・ハリーハウゼンの作品として紹介されていたからであった。
残念ながら、今まで見る機会がなかったが、ようやく、それが訪れた。
レイ・ハリーハウゼンと言えば、「ダイナメーション」だ。
本作でも、冒頭のクレジットに「ダイナメーション」と出て来る位だから、当時としては、余程画期的な技術だったんだろうな。
(と偉そうに書きながら、実はどんな技術だか詳しくは知らないのだが。)
コロンビア映画
テクニカラー、ワイド。
勇ましい音楽。
原色のタイトル・バッグ。
色は鮮やかだが、画質はやや荒い。
夜の海上、船の上。
バグダッドの王子シンドバッド船長(カーウィン・マシューズ)が陸地を発見する。
船には、チャンドラ王国の王女パリサ姫(キャスリン・グラント)も乗っている(優雅に、オウムを連れて)。
船内には、最早食べ物も水もなかったので、その補給のため、島(コロッサ島)へ上陸することにする。
シンドバッドとパリサ姫は婚約していた。
翌朝、シンドバッドは船員達皆とコロッサ島へ上陸する。
イースター島のモアイ像のような、巨大な石像を発見する。
どうやら古代文明の遺跡らしい。
その石像の口から、スキンヘッドのオッサンが飛び出して来る。
その後には、一つ目の巨人(サイクロプス)が。
今の技術からすれば、当時の人形アニメーションは、動きがチャカチャカしていて、どうしてもチャチに見える。
しかし、昨今のCGは、どう見てもゲームにしか見えない。
その方が不自然だと思うが。
本作の特撮が評価されているのは、人形アニメと実写とを巧みに合成したからだろう。
これは当時の観客の度肝を抜いたに違いない。
本ディスクの特典映像には、この作品を見て、特撮作家になることを目指したという高名なクリエイター達のインタビューが、「これでもか」という程、収められている。
で、スキンヘッドのオッサンが持っているランプに何やら呪文を唱えると、中から子供の姿をしたランプの精バラニ(リチャード・アイアー)が出て来て、サイクロプスを動けなくする。
そのスキに、シンドバッドは仲間達と共に小舟で脱出する。
シンドバッドは、オッサンに「ランプで巨人を殺せばいいじゃないか」と言うが、ランプの魔法は暴力には使えないのであった。
サイクロプスが小舟に向かって大きな岩を投げる。
そのため、小舟は転覆し、ランプは海中へ。
皆、母船に戻って、命からがらで逃げおおせるが、ランプはサイクロプスに奪われてしまった。
スキンヘッドのオッサン(トリン・サッチャー)は、ソクラという名の魔術師であった。
ソクラは、何としてもランプを取り返したい。
まあ、でも、他の者にとっては、そんなことどうでもいいので、船はバグダッドに戻った。
シンドバッドはパクら姫と結婚する。
二人がイチャイチャしていると、ソクラが登場し、「島に行きたい」と懇願する。
もう危険を冒したくないシンドバッドは、その申し出を断る。
ソクラは、王様達の前で怪しい魔術を披露する。
次女を大きなツボの中に入らせ、そこにコブラを入れる。
ツボを割ると、あら不思議、ヘビ女が。
このヘビ女も人形アニメである。
動きが実に滑らかだ。
で、ソクラが魔法を解くと、彼女は元の人間の姿に戻った。
ソクラは、王様達の前で未来を予言する。
「都に災いが…。」
何と、バグダッドとチャンドラの間で戦争が始まるというのだ。
結婚式は出来ない。
せっかく王子と王女が結婚したというのに、何と不吉な。
シンドバッドも、両国の国王も激怒する。
王はソクラを追い出してしまう。
すると、その夜、ソクラはパリサ姫の寝室に忍び込む。
怪しい魔術で、彼は姫を小人に変えてしまった。
これはもちろん、巨大な寝室のセットを作って、姫を小さく見せているのだが。
モスラの小美人(ザ・ピーナッツ)も、この撮影方法を真似て撮ったのだろう。
姫が小さくなったのを見たシンドバッドはビックリ仰天!
ソクラに助けを求める。
このオッサンの仕業だとも知らずに。
ソクラはとんだ一杯食わせ者で、姫を元に戻すには、コロッサ島にいる巨大鳥ロクの卵の殻が必要だと主張する。
で、結局、島に行くハメに。
前回、シンドバッドとコロッサ島へ行った者は、怖がって誰も行きたがらない。
仕方がないので、死刑囚をスカウトして、航海へ出る。
パリサ姫も乗船した。
死刑囚どもはガラが悪いので、船内で反乱を企てる。
シンドバッドは連中と闘うが、ソクラが殺されそうになったので、降参する。
まあ、イヤなヤツだけど、コイツが殺されると、姫を元に戻せないからな。
ソクラは、連中を呪った。
夜、大嵐になる。
船はコロッサ島へ流れ着いた。
連中はもう狂っている。
翌朝、彼らは島へ上陸した。
さあ、これからどうなる?
登場人物が皆、英語を話すハリウッド映画だけれども、本作の主人公は「アラーの思し召し」なんて言葉を使う。
本作に登場するガラの悪い奴らは極めて人間的なのだが、シンドバッドは超人的で、腹も減らなければ、ノドも渇かない。
この後も、双頭のロク鳥とか、ドラゴンとか、愉快な怪物が多数、出現する。
有名な、シンドバッドとガイコツが剣で闘うシーンもある。
これは、今見ても、実に見事に合成が成されていると思う。
ラストは結構ご都合だが、まあ、ファンタジーだから、こんなもんだろう。