『炎のランナー』

この週末は、ブルーレイで『炎のランナー』を見た。

1981年のイギリス映画。
監督はヒュー・ハドソン。
製作は、『ミッドナイト・エクスプレス』のデヴィッド・パットナム
編集は、『エイリアン』のテリー・ローリングス。
主演はベン・クロス。
共演は、『ガンジー』のイアン・チャールソン、『エイリアン』『未来世紀ブラジル』『ハムレット(1990)』のイアン・ホルム、『ガンジー』のリチャード・グリフィス、『エレファント・マン』『ガンジー』『ハムレット(1996)』のジョン・ギールグッド。
本作は、以前に一度、DVDで見たのだが、内容をほとんど覚えていなかったので、再見した。
僕は全くの運動音痴なので、スポーツ映画には特に興味はないのだが。
別に、オリンピックつながりという訳でもないが。
20世紀フォックスワーナー・ブラザーズ
カラー、ワイド。
最初は1978年のロンドン。
ハロルド・エーブラムスが亡くなり、彼の生涯を称えるために集まった人々。
そこから回想。
海辺を走る若者達(有名なシーン)。
例の音楽(余りに耳馴染みがあり過ぎて、本作のテーマだということを忘れていた)。
1924年6月28日、ケント州のカールトン・ホテル。
オリンピックのための合宿。
中距離のオーブリー・モンタギュー。
ハロルド・エーブラムス(ベン・クロス)は身構えている。
今度は、1919年のケンブリッジへ、更に回想。
本作は、回想が多くて、分かり難い。
キース学寮に新入生として入学したオーブリーとハロルドの出会い。
聖歌が流れる中、第一次世界大戦の学内の戦没者の名前が張り出されている。
新入生晩餐会。
「寮」と言っても、旧制高校みたいに泥臭くない。
オックスブリッジの学寮は、遥かに長い歴史と伝統があって、格式高い。
サークルの勧誘。
こちらは、僕が在籍していたマンモス私大と規模こそ違うが、同じような光景。
エーブラムスが、700年間成功者がないというカレッジ・ダッシュに挑戦する。
物見高い学生達が集まっている。
アンドリュー・リンゼイ(ナイジェル・ヘイヴァース)も挑戦する。
その様子を、トリニティ・カレッジの学長(ジョン・ギールグッド)が窓から注視している。
エーブラムスとリンゼイは、時計の鐘が鳴り始めると同時に校内を疾走。
エーブラムスが勝つが、二人共カレッジ・ダッシュに成功する。
エーブラムスは、名前から判るようにユダヤ系であった。
彼は、ユダヤ人に対する根強い差別や偏見と闘うつもりであった。
今度は、1920年スコットランドのハイランズへ。
宣教師の家に生まれ、ラグビーが好きなエリック・リデル(イアン・チャールソン)。
彼はスコットランド人で、メチャクチャ足が速かった。
彼は200ヤード競走で圧勝する。
彼は熱心な信仰者で、伝道のために走っているのだった。
エリックは、競技会の後、人々に説教する。
一方、エーブラムスは、ユダヤ人に対する偏見に挑戦しようとしていた。
ケンブリッジの代表として陸上競技で勝ちまくり、三冠を達成する。
スコットランド対フランスの競技。
出場したエリックは転倒するが、そこから立ち上がって勝利する。
それを、観客としてエーブラムスが観ていた。
エーブラムスは、スコットランドのコーチであるサム・ムサビーニ(イアン・ホルム)に指導してくれるよう依頼する。
が、ムサビーニは、自分の方から連絡すると言う。
ある夜、オペラ見物に出掛けたエーブラムスは、歌手のシビル・ゴードン(アリス・クリーグ)を見初める。
彼女はその日、たまたま代役で出演していたのであった。
エーブラムスはシビルを食事に誘う。
1923年、ロンドン。
エリックはフライング・スコッツマンの寝台車に乗って、ロンドンのキングス・クロス駅に到着する。
余談だが、フライング・スコッツマンというのは、ロンドンとエディンバラスコットランドの首都)を結ぶ列車である。
まあ、日本で言えば、東海道新幹線「のぞみ」のようなものだ。
本作ではSLが牽引しているが、現在は最高速度200キロだ。
まあ、いいや。
さて、エリックがエーブラムスを祝福する。
ロンドンでの競技会で、エリックが優勝し、エーブラムスは、わずかな差で2位であった。
エーブラムスは、「僕は負けた」と悔しがる。
エーブラムスは、勝つために走るのだ。
しかし、シビルに励まされる。
例のサム・ムサビ−ニがエーブラムスに指南し、ひたすらトレーニングを積む。
一方、エリックも練習していた。
彼は、オリンピックが終わったら、中国に布教に赴くつもりであった。
そもそも、エリックが陸上競技に熱中することを好ましく思っていない妹が心配する。
シビルとエーブラムスの間にも亀裂が。
エーブラムスは、トリニティとキースの両方の学長から呼び出される。
マチュアなのに、非英国系のプロ・コーチであるムサビ−ニを雇っていることに対して批判を受ける。
このトリニティの学長というのが、なかなかの差別主義者であった。
さあ、これからどうなる?
本作は、やたらとスローモーションを多用している。
一方で、過剰な演出はなく、スポーツものにしては、意外と淡々としている。
結局、スポーツ映画というのは、最後に勝てば「いい映画」ということになってしまうんだな(まあ、『ロッキー』みたいな例外もあるが)。
と言ってしまうのは、スポーツ音痴な僕の僻みかな。
信仰心とは何ぞや、ということを考えさせられる映画ではある。
僕は全くの無神論者だが。
アカデミー賞作品賞脚本賞、作曲賞、衣装デザイン賞受賞。