『ヴェニスの商人』を原書で読む(第4回)

(テキスト6ページ、1行目~)

SALERIO My wind cooling my broth
Would blow me to an ague when I thought
What harm a wind too great might do at sea.
I should not see the sandy hour-glass run
But I should think of shallows and of flats,
And see my wealthy Andrew docked in sand,
Vailing her high-top lower than her ribs
To kiss her burial. Should I go to church
And see the holy edifice of stone
And not bethink me straight of dangerous rocks,
Which touching but my gentle vessel's side
Would scatter all her spices on the stream,
Enrobe the roaring waters with my silks,
And in a word, but even now worth this,
And now worth nothing? Shall I have the thought
To think on this, and shall I lack the thought
That such a thing bechanced would make me sad?
But tell not me; I know Antonio
Is sad to think upon his merchandise.

Salerio(名)サレリオ(Shakespeare, The Merchant of Venice中の、AntonioとBassanioの友人の一人)
my(代)私の
wind(名)(通例one's ~)気息、呼吸
cool(他)(~を)冷やす
broth(名)(だしに野菜などを加えた)薄いクリアスープ
would(助動)(仮定法(叙想法)で用いて)(条件節の内容を言外に含め陳述を婉曲(えんきょく)にして)~であろう、~でしょう
blow(他)(通例副詞句を伴って)(~を)吹き飛ばす
to(前)(限度・程度・結果などを表わして)~に至るまで、~するほどに
ague(名)悪寒(おかん)
when(接)~ならば、~とすると
think(他)(どうしようかなどと)よく考える、思いめぐらす(+wh.)
what(形)(疑問形容詞)何の、何という、どんな、いかほどの
harm(名)(精神的・肉体的・物質的な)害、傷害、危害(=injury)
too(副)(形容詞・副詞の前に置いて)~すぎる
might(助動)(仮定法過去)(現在の仮定や仮定の結果を表わす節で)(現在の推量を表わして)~するかもしれない(のだが)
do(他)(~に)(利益・損害などを)与える、もたらす
at sea 海上に(で)
should(助動)(仮定法で)(可能性・期待を表わして)きっと~だろう、~のはずである
see(他)(~を)、(~が)見える(+目+原形)/(+目+過分)
sandy(形)砂の、砂質の
hourglass(名)(特に1時間用の)砂時計、水(水銀)時計、漏刻
run(自)(砂時計の砂が)こぼれる
but(接)(従位接続詞)(否定文のあとで)(しばしばbut thatで否定の主節に対して条件節を導いて)~しないなら、~でなければ(前から訳すと「(~すれば)必ず~(する)」になる)
think of ~ ~のことを考える
shallow(名)(複数形で/通例the ~)浅瀬、洲(す)
of(前)(関係・関連を表わして)~の点において、~に関して、~について
flat(名)平洲(ひらす)、干潟(ひがた)
wealthy(形)豊富な、たくさんな
Andrew(名)アンドルー(男性名/愛称Andy)
dock(自)(船が)ドック(船渠)に入る
vail(古)(他)(敬意・服従を示して)(帽子などを)脱ぐ、取る、下げる
her(代)彼女の
high-top=topmast(名)トップマスト(下檣(かしょう)の上に継ぎ足した帆柱)
low(副)低く
rib(名)(船舶)肋財
kiss(他)(~に)キスする、くちづけ(接吻(せっぷん))する
burial(名)埋葬地、墓
should(助動)(条件節に用いて実現の可能性の少ない事柄に対する仮定・譲歩を表わして)万一(~ならば、~しても)、もしかして~ということでもあれば(あっても)
to(前)(到達の意を含めて)~まで、~へ、~に ・go to ~に行く
church(名)(キリスト教の)教会(堂)、聖堂
holy(形)神聖な、聖なる
edifice(名)(宮殿・教会など堂々とした)建物
of(前)(材料を表わして)~で(作った)、~から(成る)
stone(名)石材、石 ・a wall of stone 石の壁
bethink(他)(bethink oneselfで)(~を)よく考える、熟考する(of)
straight(副)(古)直ちに
of(前)(関係・関連を表わして)~の点において、~に関して、~について
rock(名)(しばしば複数形で)岩礁、暗礁
which(代)(関係代名詞)(非制限的用法で/通例前にコンマが置かれる)(主格・目的格の場合)そしてそれは(を)
touch(他)(ものが)(ものと)接触する(している)
but(副)ただ、ほんの、~だけ
gentle(形)(態度など)もの柔らかな、上品な
vessel(名)(通例ボートより大型の)船
side(名)(前後・上下以外の)側面、横、わき
would(助動)(仮定法(叙想法)で用いて)(現在または未来の事柄について帰結節で無意志の仮定を表わして)~(する)だろう
scatter(他)(~を)まく、まき散らす
all(形)(複数名詞の前に置いて)あらゆる、すべての、みな
spice(名)(集合的にも用いて)香辛料、香料、スパイス(pepper、cinnamon、nutmeg、mace、ginger、clovesなど)
stream(名)(特に、小川の)流れ、流水
enrobe(他)(~に)ローブなどを着せる、まとわせる
roaring(形)ごうごういう
water(名)(複数形で)海
with(前)(材料・中身を表わして)~で
silk(名)絹布、絹織物
in a word ひと言で言えば、要するに(=in short)
even(副)(同時性などを強めて)まさに、ちょうど(=just)
worth(形)財産が~の、~だけの財産を持って
this(代)(指示代名詞)(すぐ前に言われたことをさして)こう、こういう、このこと
have(他)(感情・考えなどを)(心に)抱いている
thought(名)思いつき(+that) ・have a thought 思いつく
think(自)考える
on(前)(関係を表わして)~について、~に関する
lack(他)(~を)欠く、(~が)ない
that(接)(名詞節を導いて)(~)という/(同格節を導いて)(thatを略すことはない)
thing(名)(無形の)こと、事(柄)、事件
bechance(古)(自)生ずる
make(他)(~を)(~に)する(+目+補)
sad(形)悲しそうな、ふさぎ込んだ、憂鬱(ゆううつ)な
Antonio アントーニオー(Shakespeare, The Merchant of Veniceに登場する青年貿易商)
his(代)彼の
merchandise(名)商品(全体)

ANTONIO
Believe me, no. I thank my fortune for it
My ventures are not in one bottom trusted,
Nor to one place; nor is my whole estate
Upon the fortune of this present year.
Therefore my merchandise makes me not sad.

believe me(挿入的に用いて)本当に、確かに
no(副)(相手の肯定の陳述に応答して)いいえ
fortune(名)幸運
for(前)(原因・理由)~の理由で、~のため(=because of)
it(代)(形式目的語としてあとにくる事実上の目的語の不定詞句・動名詞句・that節などを代表して)
venture(名)冒険的事業、投機的企業、ベンチャー(特に事業で金銭上の危険をかけた行為にいう)
bottom(名)船舶
trust(他)(大事な物事を)(人に)委託する、預ける、任せる(to)
estate(名)財産、遺産
on(前)(基礎・原因・理由・条件などを表わして)~に基づいて、~による
fortune(名)運
this(形)(指示形容詞)(たった)今の、現在の、今~、当~(しばしば時を示す名詞を伴って副詞句をなす) ・this year 今年
present(形)(the ~、one's ~)現在の、現~、今の、今日の
therefore(副)それゆえに、従って、それ(これ)によって(=consequently)

SOLANIO
Why then you are in love.

why(間)(意外なことの発見・承認などの際の発声として)あら!、おや!、まあ!
then(副)(通例文頭または文尾に用いて)それなら、(それ)では
be in love ほれている、恋している

ANTONIO Fie, fie!

fie(間)(軽蔑・不快・非難を表わして)えーい!、ちぇっ!

SOLANIO
Not in love neither? Then let us say you are sad
Because you are not merry; and 'twere as easy
For you to laugh and leap and say you are merry
Because you are not sad. Now by two-headed Janus,
Nature hath framed strange fellows in her time:
Some that will evermore peep through their eyes
And laugh like parrots at a bagpiper,
And other of such vinegar aspect
That they'll not show their teeth in way of smile
Though Nestor swear the jest be laughable.

not(副)(述語動詞・文以外の語句を否定して)~でなく
in(前)(状態を表わして)~の状態に(で)
love(名)(異性に対する)恋愛、恋
neither(副)(neither ~ nor ~で相関接続詞的に用いて)~も~もどちらも~ない(しない)
let(他)(通例let's、時にlet usで勧誘・提案を表わして)~しよう(ではないか)
because(接)(副詞節を導いて)(なぜなら)~だから(である)、~なので
'twere(古)it were(=it would be)の短縮形
it(代)(形式主語としてあとにくる事実上の主語の不定詞句・動名詞句・that節などを代表して)
as(副)(通例as ~ as ~で、形容詞・副詞の前に置いて)(~と)同じ程度に、同様に、同じくらい(as ~ as ~で前のasが指示副詞、後のasは接続詞)
for(前)(不定詞の主語関係を示して)~が(~する)
leap(自)(通例副詞句を伴って)跳ぶ、はねる、跳躍する
now(副)(接続詞的に、話題を変える時などに文頭で用いて)さて、ところで、では
by(前)(誓言・祈願を表わして)(神)のみ名にかけて、(神)に誓って
two-headed(形)両頭の
Janus(名)ヤヌス(頭の前と後ろに顔をもった神/物事の初めと終わりをつかさどり、戸口・門を守護した)
nature(名)(無冠詞/しばしばNature)自然、天然(しばしば擬人化して女神扱い)
hath(動)(古)haveの直説法3人称単数現在形/・he hath=he has
frame(他)作る、形づくる
fellow(名)(通例修飾語を伴って)男、やつ
in(前)(時間を表わして)~(のうち)に、~の間、~中
time(名)(one's ~)(人の)一生
some(代)人(もの)によると、~の人(もの)(もある)(しばしば後に対照的にothersまたはsomeを用いる)
that(代)(関係代名詞)(人・ものを表わす先行詞を受けて通例制限用法で)(~する(である))ところの/(主語として)
will(助動)(人の反復行為・習慣を表わして)よく~する
evermore(副)常に、いつも
peep(自)のぞき見する、のぞく(=peek) ・peep through ~からのぞき見する
their(代)彼ら(彼女ら)の
laugh at ~ ~を見て(聞いて)笑う
parrot(名)オウム
bagpiper(名)<bagpipe(名)バグパイプスコットランド高地人が愛用する皮袋で作った楽器)
other(代)(通例複数形で)ほかのもの、ほかの人たち、他人
such(形)(程度を表わして)(such ~ thatで)非常に~なので
vinegar(名)(表情・態度などの)気難しさ、不機嫌
aspect(名)(またan ~)(人の)顔つき、容貌(ようぼう)
that(接)(副詞節を導いて)(such ~ thatの形で程度・結果を表わして)(非常に)~なので、~(する)ほど
they'll they willの短縮形
show one's teeth 歯をむき出す
in(前)(方法・形式を表わして)~で、~をもって ・in this way この方法で、こうやって
way(名)やり方、手段(of) ・in this way このように(して)
smile(名)ほほえみ、微笑
Nestor(名)ネストル(Homer作Iliad中の老齢の知将)
swear(他)(~であると)断言する、確かに(~であると)言える(+that)
jest(名)冗談、しゃれ
laughable(形)おかしい、おもしろい

Enter Bassanio, Lorenzo, and Gratiano

enter(自)(Enterで)(演劇)登場する(脚本のト書きでしばしば3人称命令法で用いる/⇔exit) ・Enter Hamlet. ハムレット登場。
Bassanio バサーニオ(Shakespeare, The Merchant of Veniceに登場する青年/Portiaに求婚する)
Lorenzo ロレンゾ(男子名)
Gratiano グラシアーノ(Shakespeare, The Merchant of Venice中の、AntonioとBassanioの友人の一人でおしゃべりな男/Portiaの侍女Nerissaと結婚する)

Here comes Bassanio your most noble kinsman,
Gratiano, and Lorenzo. Fare ye well;
We leave you now with better company.

here(副)(文頭に用いて)(特に相手の注意を引くために用いて)ほらここに(へ) ・Here comes John. ほらジョンが(こっちへ)やってきたよ。
your(代)あなた(たち)の、君(ら)の
most(副)(通例theを用いないで)はなはだ、非常に
noble(形)高貴の(=aristcratic/⇔base)
kinsman(名)血族(親戚)の男
fare(自)(well、badlyなどの様態の副詞を伴って)(人が)(よく、まずく)やっていく、暮らす(=get on) ・Fare you(thee)well!(古)さらば!
ye(代)(古)なんじらは(が)(2人称代名詞thouの複数形)
well(副)裕福に、安楽に ・live well 裕福に暮らす
leave(他)(もの・ことを)(~に)託す、預ける(with)
with(前)(処置・関係の対象を導いて)~に対して、~について、~にとっては
company(名)(時に複数扱い)仲間、連れ、一緒に過ごす人
【参考文献】
The Merchant of Venice (Penguin classics) (English Edition)
新訳 ヴェニスの商人 (角川文庫)河合祥一郎・訳
ヴェニスの商人 (対訳・注解研究社シェイクスピア選集 (3))』大場建治・編注訳(研究社)
新英和中辞典 [第7版] 並装』(研究社)
リーダーズ英和辞典 <第3版> [並装]』(研究社)
リーダーズ・プラス』(研究社)
新英和大辞典 第六版 ― 並装』(研究社)