『頭上の敵機』

この週末は、ブルーレイで『頭上の敵機』を見た。

1949年のアメリカ映画。
監督はヘンリー・キング
製作は、『怒りの葡萄』『わが谷は緑なりき』『イヴの総て』『史上最大の作戦』の大プロデューサー、ダリル・F・ザナック
音楽は、『怒りの葡萄』『わが谷は緑なりき』『荒野の決闘』『イヴの総て』『七年目の浮気』『西部開拓史』『大空港』の巨匠アルフレッド・ニューマン
撮影は、『王様と私』『アラスカ魂』『クレオパトラ』『猿の惑星』のレオン・シャムロイ
主演は、『白い恐怖』『大いなる西部』『ナバロンの要塞』『西部開拓史』『アラバマ物語』『オーメン』の大スター、グレゴリー・ペック
共演は、『イヴの総て』『地球の静止する日』のヒュー・マーロウ、『雨に唄えば』のミラード・ミッチェル、『バニシング・ポイント』のディーン・ジャガー
モノクロ、スタンダード・サイズ。
勇ましいが不穏なテーマ曲。
アメリカ空軍の勇士にこの映画をささげる。彼らは勇敢にも危険な白昼爆撃に挑戦した。1942年秋、ヨーロッパで戦ったアメリカ兵は彼らだけだった。この作品の空中戦シーンはすべて実戦で、アメリカとドイツの空軍が撮影したものである」という字幕。
1949年のロンドン。
ハーヴィ・ストーヴァル(ディーン・ジャガー)は、ある骨董品店のウィンドーに見慣れたトビー・ジョッキ(老人の顔をかたどった陶器製のビア・ジョッキ)を見付ける。
そのジョッキはアーチベリーで手に入れられたものであった。
ジョッキを買い、一等車に乗ってアーチベリーへ。
飛行場の跡地。
ハーヴィが懐かしそうに歩きながら、1942年へと回想。
アーチベリーの飛行場に空軍機が胴体着陸
中から兵士達が助け出される。
「無謀な出撃だった。」
ケガ人が多数おり、死者も出た。
機長は戦死、代わりに操縦して来たビショップ中尉は辛い。
最初の交戦で大打撃を受けた。
悲惨な戦闘であった。
今回の作戦で5機の爆撃機を失ったが、補充が3機届くという。
ドイツのラジオ放送でも、今回の激戦のことを伝えていた。
明朝の出撃命令が下る。
しかし、兵士達は出撃疲れで士気が下がっていた。
フランク・サヴェージ准将(グレゴリー・ペック)は、高度9000フィートからの白昼爆撃作戦を命じる。
だが、その高度では潜水艦に狙われる。
「黙って出撃しろ!」と言うフランクに、第918航空群の航空指令キース・ダヴェンポート大佐(ゲイリー・メリル)は「部下を無駄死にさせたくない」と反対。
フランクは、パット・プリチャード少将(ミラード・ミッチェル)に「指揮官キースに問題あり」と伝える。
プリチャードはキースに今回の件について聞き取りを行なった。
離陸時の事故で3分の遅れが生じた。
これは致命的であるが、キースは部下をかばい、解任出来ない。
プリチャードはキースを解任し、フランクに指揮官を命じる。
フランクは門番に「なぜチェックせずにオレを通した?」と叱責。
さらに、自分に敬礼しない軍曹を兵卒に格下げする。
「どいつもこいつもたるんでいる!」とフランク。
ハーヴィは酔っていた。
飛行隊長のベン・ゲートリー中佐(ヒュー・マーロウ)も基地外のバーで酔っているという。
フランクはゲートリーを逮捕・連行せよと命じる。
ゲートリーの親父はトム・ゲートリー中将。
しかし、このゲートリーはわずか3回しか出撃していない。
指揮官の自覚ナシとみなしたフランクは、「ぐうの音も出ないほどしごき抜いてやる! 生まれたことを後悔するほどに」と、『フルメタル・ジャケット』の鬼軍曹のようなセリフを吐く。
基地内のバーにビールを飲みに来たフランクは、カウンターにいたコッブ少佐に「帽子を脱げ! 規則だからな」と告げ、「別命があるまでバーを封鎖しろ!」と命じて立ち去る。
翌朝8時、兵士が集まっている。
そこへフランクがやって来る。
「これから演習を行う。基礎から鍛え直す」と宣言するフランク。
「休みたい? 自分を甘やかすな! 命を捨てろ!」
厳しい発言を連発するフランクに、兵士達は「前の指揮官が恋しいぜ」「Me too!」
フランクの部屋の前には、異動希望者が列をなす。
フランクはコッブ少佐と軍医を呼び出す。
軍医はフランクに「あなたは慣れるまで手綱を緩めること」と告げるも、フランクは「No!」
そして、「この航空群にはプライドがない」と。
そこへ、ビショップがやって来る。
「私は異動希望者の代表です。(希望者は)全員です」とフランクに告げるビショップ。
フランクは「移動の手続きは取るが、演習には参加しろ」と言う。
さあ、これからどうなる?
有名な戦争映画である。
全編を通して、伏線が巧みに張り巡らされている。
鬼のように冷酷に見えたフランクも、実は人間であることが分かる。
ハリウッドの戦争映画は、最後に勝利して「バンザイ!」みたいなのが多いが、本作はそれらとは一線を画しており、非常に余韻の残るラストになっている。
物語の狂言回し役を、年長で世の中をよく知ったハーヴィにさせているのも良い。
戦闘シーンは実写のフィルムだが、巧みに編集されていて、スゴイ迫力である。
アカデミー賞助演男優賞(ディーン・ジャガー)、アカデミー賞録音賞受賞。

Twelve O'Clock High | #TBT Trailer | 20th Century FOX