『オペラハット』

この週末は、ブルーレイで『オペラハット』を見た。

1936年のアメリカ映画。
監督は、『我が家の楽園』『スミス都へ行く』の巨匠フランク・キャプラ
主演は、大スター、ゲイリー・クーパー
共演は、『我が家の楽園』『スミス都へ行く』のジーン・アーサー、『1941』のライオネル・スタンダー。
コロンビア映画
モノクロ、スタンダード・サイズ。
画質は良い。
華やかな音楽から始まる。
走っていた車がガードレールを飛び越えて落下。
大富豪が死んだらしい。
2000万ドルの遺産が残された。
この当時の2000万ドルって、どんな価値だろう。
今でも、約20億円だから、相当な大金だが。
遺産相続人は、甥に当たる、マンドレーク・シティのロングフェロー・ディーズ(ゲイリー・クーパー)。
ディーズは詩人であった。
と言っても、絵ハガキに詩を書いているだけである。
弁護士のジョン・シーダーが訪ねて来る。
しかし、ディーズは、遺産相続には全く興味がなかった。
ああ、如何にもフランク・キャプラが好きそうな設定である。
ディーズは独身で、チューバを吹くのが趣味であった。
彼は、伯父の死でニューヨークに住むことになった。
彼を見送るため、駅に町中の人が集まって来る。
ディーズは、自分が見送られる立場なのに、何と、楽団と一緒にチューバを吹いていた。
列車が出発する。
この場面はスクリーン・プロセス。
乗っているのはコンパートメント(と言うより、偉そうな個室)。
そして、この時代なのに、列車を牽引しているのは電気機関車であった。
シーダーは、50万ドルを横領していたので、帳簿の不正を何とか誤魔化そうとするが、ディーズには通用しない。
ディーズの相続に反対する内縁の妻の代理人
まあ、下手にカネを持っていると、色んなヤツがタカリに来て、面倒だろうな。
新聞社はディーズにインタビューしようとするが、面会謝絶で会えない。
各紙は必死で彼のネタを探そうとする。
女性記者ベイブ・ベネット(ジーン・アーサー)は上司に、ディーズを取材出来たら1ヶ月の有給休暇を得るという条件を認めさせる。
一方、ディーズの周辺はカネに群がる連中ばかり。
18万ドルもの赤字を出しているオペラ事業を、ディーズの遺産で補填して続けようとする。
彼は会議の議長に選ばれたが、形だけの議長で、別の者が進行しようとするのを看破する。
シーダーは、本来は700万ドルを相続する権利があるという内縁の妻について、100万ドルで良いとディーズに持ち掛ける。
が、ディーズはかえって怪しいと思う。
シーダーは、自分はディーズの顧問弁護士を引き受けたと主張するが、ディーズは、そんなものを頼んだ覚えはない。
突然金持ちになったディーズは、自由に行動出来ない。
外出にもボディガードが着いて来ようとするので、ロッカーに閉じ込めてしまった。
ベイブは、散歩に出掛けたディーズの前で、わざと倒れる。
何という古典的な手だろう(まあ、本作は古典だが)。
ディーズは、放っておけないので、彼女を助ける。
と言っても、ジーン・アーサーは1900年生まれだから、もう30歳代半ばだ。
今更そんな手を使えるような年齢でもなかろうに。
けれども、純粋なディーズはそんなことは露とも知らない。
彼は、ベイブを文壇レストランへ連れて行く。
何とか、彼女にいいところを見せたいのだろう。
二人で食事。
「君に出会ったのが一番嬉しい。」
文壇レストランだけあって、有名な詩人がたくさん来ている。
絵ハガキ詩人のディーズは、今や財産相続で顔を知られていた。
年配の文豪達は「ちょっと絵ハガキ詩人をからかってやろう」と不敵な笑みを浮かべる。
笑い者にされて激怒するディーズ。
そりゃそうだろう。
人間として最低だ。
で、ディーズは、この作家連を殴ってしまう。
更に、酔っ払いの大作家と夜の街を観光する。
もちろん、ベイブはこの一部始終を見ていた。
自宅に帰ってから、必死で面白い記事を書く彼女。
翌朝、ディーズのことを「シンデレラ男」と名付けた記事が出た。
ベイブも笑っている。
ディーズは、二日酔いで、昨夜のことを何も覚えていない。
まあ、僕も若い頃は、こういうことがよくあった。
昨夜、ディーズはパンツ1枚で「自然に帰れ!」と叫んでいたらしい。
それを新聞記事で知って、ビックリ!
何か、某元国民的アイドル・グループとやらの公然ワイセツという破廉恥な犯罪で逮捕・家宅捜索された草◯某みたいだな(個人を特定されてジ○ニ○ズ・オタクから攻撃されては堪らないので、伏せ字にしておく)。
愕然としたディーズは、「もう彼女としか話しをしない」と決める。
記事を書いたのが彼女だとも知らずに。
「あの記事を書いたヤツをぶっ飛ばしてやる!」
さあ、これからどうなる?
クライマックスの裁判のシーンは、如何にもフランク・キャプラである。
そして、これまたフランク・キャプラらしい大団円。
彼は、人間を信じているんだろうな。
現代人の目から見れば、甘過ぎる気もするけれども、こういう作品を受け入れられないのは、心が汚れてしまっているからだろうか。
本作には多数のエキストラが登場する群衆シーンがあるが、今なら一気に感染が拡がるだろう。
余談だが、本作にはロングフェローとかベネットとか、如何にも文学的な役名が幾つも登場する。
アカデミー賞監督賞受賞。

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