『踊らん哉』

この週末は、ブルーレイで『踊らん哉』を見た。

1937年のアメリカ映画。
監督は、『コンチネンタル』『トップ・ハット』『踊らん哉』のマーク・サンドリッチ
撮影は、『素晴らしき哉、人生!』『新・猿の惑星』『ブレージングサドル』『タワーリング・インフェルノ』のジョセフ・バイロック。
主演は、『コンチネンタル』『トップ・ハット』『艦隊を追って』『有頂天時代』『イースター・パレード』『バンド・ワゴン』『パリの恋人』『タワーリング・インフェルノ』の大スター、フレッド・アステアと、『コンチネンタル』『トップ・ハット』『艦隊を追って』『有頂天時代』のジンジャー・ロジャース
二人の共演は、これで5作目である。
共演は、『コンチネンタル』『トップ・ハット』『有頂天時代』のエリック・ブロア、『暗黒街の弾痕』のジェロームコーワン。
フレッド・アステアジンジャー・ロジャースのコンビによる7作目。
毎回、同じキャストに同じような設定、同じような踊りに同じような展開で、内容が全部混ざってしまう。
正直、僕も細君もウンザリなのだが、ブルーレイをまとめ買いしてあるので、見るしかない。
なお、本作の原題は『Shall We Dance』だが、周防正行の『Shall we ダンス?』とは関係ない。
僕は周防監督の作品は未見だが、細君が「全然違う話しだ」と言っていた。
モノクロ、スタンダード・サイズ。
軽やかな音楽から始まる。
くるくる回るバレリーナ達。
隣の部屋には、アメリカ人でパリの有名バレエダンサー・ペトロフフレッド・アステア)の肖像画が飾られている。
マネージャーのジェフリーがペトロフを探している。
ペトロフは部屋でタップ・ダンスの練習中であった。
ジェフリーは、バレエは芸術とみなすが、タップ・ダンスは認めていない。
ペトロフは、ミュージカル・スターであるリンダ・キーン(ジンジャー・ロジャース)にぞっこん(死後)。
彼女が可愛い、一緒に踊りたい、いや、結婚したいとジェフリーに告げる。
一方、リンダは公演の幕が閉じた後、相手役のオッサンに強引にキスされ、突き飛ばす。
今なら強制わいせつ罪で逮捕されるだろう。
ちなみに、彼女の飼っているプードルがものすごい演技派。
彼女は、マネージャーのアーサー・ミラー(!)(ジェロームコーワン)に、相手役が自分に惚れて迷惑だと文句を言う。
そこへ、ペトロフが訪ねて来る。
「帰ってもらって!」とつれないリンダ。
ペトロフは自分をしっかりアピールして立ち去る。
今度は、ペトロフのところへ、元恋人のレディ・デニース・タリントンが4年ぶりに訪ねて来る。
「また踊りたい」と言う彼女だが、ペトロフは「また問題を起こすから追い払え」とマネージャーに告げる。
翌日、ペトロフはジェフリーと共にニューヨークへ出発することになっていた。
アメリカ公演である。
最初は気が向かなかったペトロフだが、リンダも同時期にニューヨーク公演を行うと知って快諾する。
船が出港する直前、デニースがペトロフを見送りに来た。
焦ったペトロフは、とっさに「結婚して子供もいる」と嘘をついてしまう。
さて、船が出港し、バレリーナ達は船上で練習しているが、ペトロフがいない。
彼は、船のエンジン・ルームにいた。
豪華客船だが、映画『タイタニック』よりは大分ショボいセットである。
労働者は全員黒人だ。
かなり差別的である。
まあ、『風と共に去りぬ』よりも前の映画だから、人権意識も現代とは違うのだろう。
黒人達が歌う中に、ペトロフもいる。
彼も歌って踊る。
ひたすら踊る。
フレッド・アステアが踊っているのを見せたいだけのように思えて来る。
喝采する黒人達。
一方、リンダはニューヨークにいる大金持ちの婚約者、ジム・モンゴメリーと結婚したがっていた。
彼女が結婚すると、公演に穴が開いて莫大な損を抱え込むので、マネージャーのアーサーは引き止めようとするが、彼女は最早、公演などどうでもいいのであった。
で、ペトロフは、リンダが乗るのを知っていて、同じ船に乗り込んだのであった。
そのことをジェフリーに知られないよう、「顔色が悪いから休め」と告げる。
船上でワンコの散歩をする上流階級の人々。
その中に、例のプードルを連れたリンダもいる。
船員が大型犬を一頭、預かっていたが、ペトロフは彼にチップを渡して、大型犬を借りる。
犬の散歩のフリをしてリンダに近付いたペトロフだが、あっさりと逃げられる。
その頃、ジェフリーは船のレストランで知り合った男と深夜まで酒を酌み交わしていた。
朝になり、酒の弱いジェフリーは二日酔いで寝込む。
ペトロフは、性懲りもなくワンコを何頭も連れて散歩をしている。
何と、リンダの愛犬が尻尾を振って、ペトロフが連れているワンコ達の方へ走り寄った。
で、このシリーズのご都合な展開だが、いつの間にか仲良くなるペトロフとリンダ。
リンダのワンコはほったらかしにされてかわいそう。
その頃、「ペトロフは結婚していて、相手はリンダ」というニュースが、無電で船に伝わって来る。
ペトロフデニースに言った出まかせがニュースになってしまった。
タイミングがいいのか悪いのか、船上で二人が一緒のところを、色々な人に目撃されてしまう。
このニュースを知って、飛び上がらんばかりに驚くペトロフ
そして、リンダは激怒。
ジェフリーがリンダに、「デタラメを言ったらニュースになってしまった」と言い訳に来るが、彼女は聞く耳を持たない。
「至急下船したい!」と船員に詰め寄り、何と、郵便用の飛行機に乗って去ってしまった。
リンダがニューヨークのホテルに着くと、部屋には大量の子供向けのオモチャが用意されていた。
ホテルのマネージャーのセシル・フリントリッジ(エリック・ブロア)が、余計な気を利かせて届けたのだ。
運悪く、そこへリンダの婚約者のジムが「このニュースは何だ!」と血相を変えて飛び込んで来る。
「これはただのゴシップ」と説明するリンダ。
ご丁寧に、セシルはペトロフとリンダの部屋を隣り合わせに確保していた。
夫婦だと思ったからだな。
リンダはアーサーに、「もう舞台には戻らない。ジムと結婚する」と宣言。
アーサーはそれを承知し、「今夜、君とジムに食事をおごらせてくれ」と言う。
その夜、同じレストランにペトロフもやって来る。
リンダが歌った後、司会に紹介されたペトロフは、リンダと踊るハメに。
さあ、これからどうなる?
どうなるも何も、このシリーズはいつも踊りがメインで、ストーリーはおまけなのだが。
ラストはご都合。
後半、フレッド・アステアジンジャー・ロジャースがローラースケートでタップダンスを踊るシーンがあるが、これはスゴイ。
ものすごく練習をしたらしい。
で、二人が婚姻届けを出して、翌日離婚しようと言うのだが、何でこんなテクニカルなことをしないといけないのかがよく分からん。
クライマックスで、大勢のバレリーナが全員、ジンジャー・ロジャースの仮面を着けて踊るのだが、これが麻原彰晃を連想させて、かなりコワイ。

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