『ゲームの規則』

夏休みの映画鑑賞第3弾は、『ゲームの規則』をブルーレイで見た。

1939年のフランス映画。
監督は、『素晴らしき放浪者』『ピクニック』『大いなる幻影』『フレンチ・カンカン』の巨匠ジャン・ルノワール
出演は、『北ホテル』のポーレット・デュボスト、『大いなる幻影』『カサブランカ』『麗しのサブリナ』のマルセル・ダリオ。
ジャン・ルノワールは、周知の通り、喫茶店で有名なピエール・オーギュスト・ルノワールの次男で、フランス映画史上の巨星である。
僕が初めて彼の名を知ったのは、大学1年の時。
僕は二浪の末、晴れて都内の某私立大学に合格して上京し、「さあ、これからは映画を観まくるぞ!」と決意。
映画鑑賞の参考のために、当時発売されていた『ぴあシネマクラブ』という、日本で見ることが出来る古今東西の映画を網羅した電話帳のような本を購入した。
この本には、作品の評価が4段階で載っていて、最も高評価なのは「★★★★」(星四つ)であった。
『洋画編』では、星四つの作品が約20あった。
戦艦ポチョムキン』『市民ケーン』『気狂いピエロ』『2001年宇宙の旅』などが入っていたと思う(うろ覚え)。
僕は、それらの作品を抜き書きして、リストを作った。
で、その中に、ジャン・ルノワールの『大いなる幻影』と『ゲームの規則』も入っていたのである。
有名な作品をたくさん撮っているルノワールだが、やはり、この2作が代表作と言っていいだろう。
しかし、恥ずかしながら、いつか見なければと思いながら、今日まで過ごしてしまった。
大いなる幻影』は先日、ようやくブルーレイで鑑賞して、映画史上の名作と言われるのに納得した。
で、大いに期待しながら、この『ゲームの規則』も見たのだが…。
はっきり言って、ガッカリした。
どこが映画史上の名作なのか、さっぱり分からん。
一応コメディーなのだが、全然面白くない。
「名作」とされている映画を見て、こんなに落胆したのは、『去年マリエンバートで』(アラン・レネ監督)以来だな。
僕は、そんなに権威主義でもないつもりなので、「名作」という評価は、見る作品を選ぶ時の指標にはするが、実際に面白かったかどうかは自分の感覚で決める(当たり前)。
このブルーレイには、高名な批評家の解説が付いていたが、称賛の文章は、僕には屁理屈としか思えなかった。
まあ、僕の理解力が足りないのかも知れないが、それは仕方がない。
自分にとって面白かったか否かが全てだ。
いつものようにストーリーを書く気もしないので、省略する。
まあ、大したストーリーではない。
登場人物は結構多く、群像劇とも言える。
そのほとんどが、既婚者であるにも関わらず、他に恋人がいる。
で、それを公言していたりする。
その恋人もまた、誰かの夫や妻であったりして、人間関係が多少複雑だが、それは見ているうちに判って来る。
この恋愛模様が、如何にもフランスらしく、エスプリに富んでいると言いたいのだろうが、僕のような普通の日本人には理解出来ない。
ラストは、結構衝撃的ではある。
が、伏線は張られている。
付属の「作品解説」には、「(ラストを)途中で予測することは、まず不可能に違いない」とあるが、そりゃ、完全な偶然だからな。
で、それに対する登場人物の反応にも、ちょっと納得が行かない。
ルノワール自身は、「現代の人間や社会について見事に真実を突いた話」だと語っているらしい。
「自分はこの物語をたいそう気に入ってもらえるつもりで作った」とも。
しかしながら、「公開時、観客たちにそっぽを向かれたばかりか憤激さえ引き起こした」と解説にある。
僕も、その他大勢の一般大衆と同じ感覚だ。
別に、一般大衆には理解出来ない作品を自分だけは理解出来る高尚な感性を持ち合わせていなければならないとは、全く思わない。
僕は、映画をあくまで趣味で、自分の楽しみのために見ているのだから。
ちなみに、衣装は何とココ・シャネルだ。
確かに、上流階級の人達の衣装は素晴らしい。
あと、監督のジャン・ルノワール自身が役者として出ている。
「このオッサンがルノワールかあ」と分かったのは収穫。
それだけ。

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