この週末は、ブルーレイで『未知との遭遇』を見た。
- 出版社/メーカー: ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
- 発売日: 2011/02/23
- メディア: Blu-ray
- クリック: 15回
- この商品を含むブログ (44件) を見る
監督はスティーヴン・スピルバーグ。
僕はこの映画を、多分小学生の頃、テレビの洋画劇場で見たような気がする。
多少なりともSFが好きな小学生にとっては、当時大変な話題作であったから、興奮しながら見たはずなのだが、あまり印象がない。
その後、1回は間違いなく見直しているはずだから、今回が3度目の鑑賞ということになる。
改めて見ると、「こんな映画だっけ?」という感じ。
自分が如何に適当に映画を見ているかを思い知らされる。
スピルバーグは、『ジョーズ』で大ヒットを飛ばし、続く本作でヒットメーカーとしての地位を確立したとも言える。
主演はリチャード・ドレイファス。
『アメリカン・グラフィティ』と『ジョーズ』に続く話題作への出演。
更に、フランソワ・トリュフォーがフランス人科学者の役で出ている。
映画監督としては大先輩だから、スピルバーグも緊張しただろう。
音楽は、またもジョン・ウィリアムズだ。
映画はメキシコの砂漠から始まる。
時代は現代(公開時)。
猛烈な砂嵐。
1945年に行方不明になった軍用機が、当時の状態のまま発見される。
しかし、乗組員はいない。
目撃者は「昨夜、太陽が出て歌った」と言う。
トリュフォーがフランス人科学者ラコームとして登場。
フランス語の通訳をする。
アメリカ各地で強力な光を放つ謎の飛行物体が目撃される。
インディアナ州の一般家庭では、突然おもちゃが動き出す。
ロイ(リチャード・ドレイファス)の家では、テレビで『十戒』を見ている。
子供が何人もいるが、そんなに大きな子供がいるような歳には見えない。
奥さん役はテリー・ガー(『トッツィー』)。
あちこちでケーブルが切れて停電騒ぎ。
猛烈なエネルギー。
何かが飛んで行くのを見る。
ロイは、奥さんと子供を連れて、UFOの出現した現場へ行く。
奥さんは全く興味がない。
次の日の夜、ロイはまた現場に行くと、同じくUFOに引かれて来た別の母親ジリアンに出会う。
それから、ロイの頭の中には、取り付かれたように富士山を細長くしたような山の形が浮かぶ。
この山の形が後の伏線になっているのだが、何故これが頭に浮かぶのかは結局、最後まで分からない。
まあ、宇宙人からのメッセージということなのだろう。
一方、インドでは、民衆が謎の音階を大合唱している。
彼らは、その音階が空から聞こえたと言う。
更に、宇宙船からの信号を分析すると、それが地球の経緯度を指していることが判明する。
場所は、ワイオミング州のどこかだ。
夜、ジリアンの家では、家の中の物が勝手に動き出す。
また例の物体が接近しているようだ。
まばゆい光。
ポルターガイストのように家中の物がガタガタと揺れる。
ジリアンの息子バリーが、宇宙船に連れ去られて消えた。
今度はロイの家。
いよいよ頭の中から例の山の形が消えない。
彼はとうとう狂い出す。
家の中をメチャメチャにして、その山の形を再現しようとする。
奥さんと子供は、愛想を尽かして出て行く。
やっぱり、どうしてここまで入れ込むのかは説明されない。
宇宙人に洗脳されたのか。
彼が家の中に巨大な山の形の模型を完成させた時、テレビのニュースでその山が映る。
それはワイオミング州にあるデビルズ・タワーであり、その近辺で列車事故が起こり、有毒ガスが漏れ出しているとのことであった。
ロイは、立ち入り禁止にも関わらず、現地に向かう。
ここまで来ると宗教みたいだ。
現地には、ジリアンも来ていた。
二人は車に乗ってタワーを目指す。
あちこちに動物達の死骸が転がっている。
そして、二人はとうとう立ち入り禁止区域で逮捕されてしまう。
ロイに対して、ラコーム氏による聞き取り調査が行われる。
昨今のCG映画と違って、一応ドラマが主体である。
デビルズ・タワーには、同じように各地からここに引かれて来た人達が何人もいる。
いずれも、理由はナゾ。
有毒ガスが漏れているはずなのに、実は空気は正常だった。
ガスマスクを外しても何も起こらない。
軍は何かを隠しているに違いない。
ロイとジリアンはデビルズ・タワーに登ることにした。
軍から警告が発せられる。
軍のヘリは催涙ガスを大量に散布している。
でも、二人には何の変化もないというところが、ちょっとご都合的。
頂上まで登ってみると、何と、反対側には巨大な基地が作られていたのだった。
90年代に『インディペンデンス・デイ』とかいうクソ映画があったが、あれは要するに『未知との遭遇』の悪玉バージョンだな。
本作は、相手の宇宙人の善意が前提になっている。
だが、見ず知らずの他人を最初からいい人だと思い込んでいるのは、かなり警戒心に欠けるような気がする。
この辺がスピルバーグの限界だろう。
それでも、まばゆい光を放つ宇宙船の合成は、当時としては画期的だったに違いない。
ただ、『2001年宇宙の旅』と比べると、全て種明かしをしてしまっていて、神秘的じゃない。
SF映画の完成度としては、『2001年』の足元にも及ばないかな。
まあ、光の洪水で色々とごまかしているようにも思える。
ベトナム戦争が終わって、観客もみんなパーになったのかな。
本作は、1978年度の洋画興行収入2位。
1位は『スター・ウォーズ』(ちなみに、邦画の1位は『野性の証明』)。
スゴイ時代だ。
1968年に『2001年宇宙の旅』と『猿の惑星』が両方ベストテンに入ったようなものかな。
アカデミー賞撮影賞、特別業績賞受賞。