『未知との遭遇』

この週末は、ブルーレイで『未知との遭遇』を見た。

1977年のアメリカ映画。
監督はスティーヴン・スピルバーグ
僕はこの映画を、多分小学生の頃、テレビの洋画劇場で見たような気がする。
多少なりともSFが好きな小学生にとっては、当時大変な話題作であったから、興奮しながら見たはずなのだが、あまり印象がない。
その後、1回は間違いなく見直しているはずだから、今回が3度目の鑑賞ということになる。
改めて見ると、「こんな映画だっけ?」という感じ。
自分が如何に適当に映画を見ているかを思い知らされる。
スピルバーグは、『ジョーズ』で大ヒットを飛ばし、続く本作でヒットメーカーとしての地位を確立したとも言える。
主演はリチャード・ドレイファス
アメリカン・グラフィティ』と『ジョーズ』に続く話題作への出演。
更に、フランソワ・トリュフォーがフランス人科学者の役で出ている。
映画監督としては大先輩だから、スピルバーグも緊張しただろう。
音楽は、またもジョン・ウィリアムズだ。
映画はメキシコの砂漠から始まる。
時代は現代(公開時)。
猛烈な砂嵐。
1945年に行方不明になった軍用機が、当時の状態のまま発見される。
しかし、乗組員はいない。
目撃者は「昨夜、太陽が出て歌った」と言う。
トリュフォーがフランス人科学者ラコームとして登場。
フランス語の通訳をする。
アメリカ各地で強力な光を放つ謎の飛行物体が目撃される。
インディアナ州の一般家庭では、突然おもちゃが動き出す。
ロイ(リチャード・ドレイファス)の家では、テレビで『十戒』を見ている。
子供が何人もいるが、そんなに大きな子供がいるような歳には見えない。
奥さん役はテリー・ガー(『トッツィー』)。
あちこちでケーブルが切れて停電騒ぎ。
猛烈なエネルギー。
何かが飛んで行くのを見る。
ロイは、奥さんと子供を連れて、UFOの出現した現場へ行く。
奥さんは全く興味がない。
次の日の夜、ロイはまた現場に行くと、同じくUFOに引かれて来た別の母親ジリアンに出会う。
それから、ロイの頭の中には、取り付かれたように富士山を細長くしたような山の形が浮かぶ。
この山の形が後の伏線になっているのだが、何故これが頭に浮かぶのかは結局、最後まで分からない。
まあ、宇宙人からのメッセージということなのだろう。
一方、インドでは、民衆が謎の音階を大合唱している。
彼らは、その音階が空から聞こえたと言う。
更に、宇宙船からの信号を分析すると、それが地球の経緯度を指していることが判明する。
場所は、ワイオミング州のどこかだ。
夜、ジリアンの家では、家の中の物が勝手に動き出す。
また例の物体が接近しているようだ。
まばゆい光。
ポルターガイストのように家中の物がガタガタと揺れる。
ジリアンの息子バリーが、宇宙船に連れ去られて消えた。
今度はロイの家。
いよいよ頭の中から例の山の形が消えない。
彼はとうとう狂い出す。
家の中をメチャメチャにして、その山の形を再現しようとする。
奥さんと子供は、愛想を尽かして出て行く。
やっぱり、どうしてここまで入れ込むのかは説明されない。
宇宙人に洗脳されたのか。
彼が家の中に巨大な山の形の模型を完成させた時、テレビのニュースでその山が映る。
それはワイオミング州にあるデビルズ・タワーであり、その近辺で列車事故が起こり、有毒ガスが漏れ出しているとのことであった。
ロイは、立ち入り禁止にも関わらず、現地に向かう。
ここまで来ると宗教みたいだ。
現地には、ジリアンも来ていた。
二人は車に乗ってタワーを目指す。
あちこちに動物達の死骸が転がっている。
そして、二人はとうとう立ち入り禁止区域で逮捕されてしまう。
ロイに対して、ラコーム氏による聞き取り調査が行われる。
昨今のCG映画と違って、一応ドラマが主体である。
デビルズ・タワーには、同じように各地からここに引かれて来た人達が何人もいる。
いずれも、理由はナゾ。
有毒ガスが漏れているはずなのに、実は空気は正常だった。
ガスマスクを外しても何も起こらない。
軍は何かを隠しているに違いない。
ロイとジリアンはデビルズ・タワーに登ることにした。
軍から警告が発せられる。
軍のヘリは催涙ガスを大量に散布している。
でも、二人には何の変化もないというところが、ちょっとご都合的。
頂上まで登ってみると、何と、反対側には巨大な基地が作られていたのだった。
90年代に『インディペンデンス・デイ』とかいうクソ映画があったが、あれは要するに『未知との遭遇』の悪玉バージョンだな。
本作は、相手の宇宙人の善意が前提になっている。
だが、見ず知らずの他人を最初からいい人だと思い込んでいるのは、かなり警戒心に欠けるような気がする。
この辺がスピルバーグの限界だろう。
それでも、まばゆい光を放つ宇宙船の合成は、当時としては画期的だったに違いない。
ただ、『2001年宇宙の旅』と比べると、全て種明かしをしてしまっていて、神秘的じゃない。
SF映画の完成度としては、『2001年』の足元にも及ばないかな。
まあ、光の洪水で色々とごまかしているようにも思える。
ベトナム戦争が終わって、観客もみんなパーになったのかな。
本作は、1978年度の洋画興行収入2位。
1位は『スター・ウォーズ』(ちなみに、邦画の1位は『野性の証明』)。
スゴイ時代だ。
1968年に『2001年宇宙の旅』と『猿の惑星』が両方ベストテンに入ったようなものかな。
アカデミー賞撮影賞、特別業績賞受賞。