一般教育科目

日本近代文学を文庫で読む(第8回)『舞姫』

今回は、森鷗外の『舞姫』を取り上げます。 こちらも文語体ですが、『羅生門』『山月記』『こころ』と並ぶ、高校現代文の定番小説「四天王」の一つであるため、相当多くの方が読んでいるのではないでしょうか。 川島幸希先生の『国語教科書の闇』(新潮新書…

『嵐が丘』を原書で読む(第29回)

(テキスト30ページ、4行目〜) It opened into the house, where the females were already astir. open(自)(副詞句を伴って)(ドア・窓・部屋などが)(~に)通じる、面する(into) house(名)(農家の)居間、居間兼食堂(=best-kitchen) where…

日本古典文学を原文で読む(第6回)『万葉集』

『万葉集』について 今回は、『万葉集』を取り上げたいと思います。 『古事記』『日本書紀』『風土記』『懐風藻』と読んで来ましたが、『万葉集』は『古事記』と並んで、最もメジャーなのではないでしょうか。 特に昨年、元号が変わった時、「令和」の出典が…

日本近代文学を文庫で読む(第7回)『たけくらべ』

今回は、樋口一葉の『たけくらべ』を取り上げます。 こちらも文語体なので、読んだことがあるという人はそんなにいないのではないでしょうか。 かく言う僕も、高校生くらいの頃には読んでみようとすら思わず、最近になってようやく読みました。 しかしながら…

『嵐が丘』を原書で読む(第28回)

(テキスト29ページ、3行目〜) There was such anguish in the gush of grief that accompanied this raving, that my compassion made me overlook its folly, and I drew off, half angry to have listened at all, and vexed at having related my ridic…

日本古典文学を原文で読む(第5回)『懐風藻』

『懐風藻』について 今回は、『懐風藻』を取り上げたいと思います。 『古事記』『日本書紀』『風土記』と読んで来ましたが、『懐風藻』はかなりマイナーなのではないでしょうか。 読んだことがある人も、ほとんどいないと思います。 僕は、文学史も日本史も…

日本近代文学を文庫で読む(第6回)『にごりえ』

今回は、樋口一葉の『にごりえ』を取り上げます。 こちらも文語体なので、読んだことがあるという人はそんなにいないのではないでしょうか。 かく言う僕も、高校生くらいの頃には読んでみようとすら思わず、最近になってようやく読みました。 しかしながら、…

『嵐が丘』を原書で読む(第27回)

(テキスト28ページ、2行目〜) Heathcliff gradually fell back into the shelter of the bed, as I spoke, finally, sitting down almost concealed behind it. Heathcliff ヒースクリフ(Emily Brontëの小説Wuthering Heights(1847)の主人公/復讐の鬼…

日本古典文学を原文で読む(第4回)『風土記』

『風土記』について 今回は『風土記』を取り上げたいと思います。 『古事記』や『日本書紀』は、「日本最古の書物」としてよく話題になるので中学生でも知っていますが、『風土記』の方は若干マイナーなのではないでしょうか。 実際に読んだことがある人とな…

日本近代文学を文庫で読む(第5回)『五重塔』

今回は、幸田露伴の『五重塔』を取り上げます。 文語体なので、読んだことがあるという人はそんなにいないのではないでしょうか。 かく言う僕も、高校生くらいの頃には読んでみようとすら思わず、最近になってようやく読みました。 『五重塔』は、当然ながら…

『嵐が丘』を原書で読む(第26回)

(テキスト27ページ、5行目〜) ‘What do you mean?’ asked Heathcliff, ‘and what are you doing? Lie down and finish out the night, since you are here; but, for heaven’s sake! don’t repeat that horrid noise—Nothing could excuse it, unless you …

日本古典文学を原文で読む(第3回)『日本書紀』

『日本書紀』について 『日本書紀』は、『古事記』と並び称される、日本で最も古い書物の一つです。 けれども、やはり『古事記』と同様、実際に読んだことがある人は少ないでしょう。 もちろん、僕もこれまで読んだことはありませんでした。 ただ、小学生の…

日本近代文学を文庫で読む(第4回)『金色夜叉』

今回は、尾崎紅葉の『金色夜叉』を取り上げます。 『金色夜叉』を読んだことがなくても、主人公の貫一とお宮の名前なら、知っている人は多いでしょう。 UNICORNの『大迷惑』という曲の歌詞にも出て来ます。 僕は学生の頃、カラオケが大好きだったのですが、…

『嵐が丘』を原書で読む(第25回)

(テキスト26ページ、1行目〜) Thereat began a feeble scratching outside, and the pile of books moved as if thrust forward. thereat(副)その時 begin(自)(物事が)始まる、開始する feeble(形)(声・光など)かすかな、微弱な scratch(自)(…

日本古典文学を原文で読む(第2回)『古事記』

『古事記』について 『古事記』は、「日本最初の書」という栄誉に輝いているので、タイトルはほとんどの人が知っています。 けれども、実際に読んだことがある人は少ないのではないでしょうか。 かく言う僕も、今まで読んだことはありませんでした。 ただ、…

日本近代文学を文庫で読む(第3回)『浮雲』

今回は、二葉亭四迷の『浮雲』を取り上げます。 『浮雲』は、言文一致体で書かれた最初の代表的な作品ということで、日本文学史上で極めて重要な位置を占めているのです。 『詳説日本史』(山川出版社)にも、本文中に次のような記述があります。 言文一致体…

『嵐が丘』を原書で読む(第24回)

(テキスト25ページ、5行目〜) The hook was soldered into the staple, a circumstance observed by me, when awake, but forgotten. hook(名)鉤(かぎ)、フック、自在鉤 solder(他)はんだづけする、はんだで修繕する staple(名)(掛け金(hasp)、…

日本古典文学を原文で読む(第1回)ガイダンス

日本古典文学を学ぼう 僕は中学・高校時代、国語が得意科目でした。 定期試験で学年トップを獲ったことも何度かあります。 現代文が一番得意だったのですが、古文もまあまあでした。 実は、僕の実家が某巨大宗教団体の熱心な信者で、幼い頃から会合に連れて…

日本近代文学を文庫で読む(第2回)『小説神髄』

「日本近代文学を文庫で読む」などと偉そうなタイトルで始めてしまった連載(?)ですが、最初は坪内逍遥の『小説神髄』を取り上げたいと思います。 前回、「読んで行く作品は、『詳説日本史』(山川出版社)に載っているものを基準にします」と書きました。…

『嵐が丘』を原書で読む(第23回)

(テキスト24ページ、1行目〜) I was condemned to hear all out — finally, he reached the ‘First of the Seventy-First.’ condemn(他)(人に)刑を宣言する(=sentence)(通例受見)(+目+to do) hear out(人の)話を最後まで聞く all(代)(単…

日本近代文学を文庫で読む(第1回)ガイダンス

日本近代文学を学ぼう 僕は、これまでの半生において、ロクに本を読んで来ませんでした。 小学校2年生の時、母親に初めて駅前の書店に連れて行かれてからは、毎日、学校帰りに立ち読みに寄っては店主に追い返される日々。 でも、読んでいたのは、主に雑誌や…

『嵐が丘』を原書で読む(第22回)

(テキスト23ページ、1行目〜) I began to dream, almost before I ceased to be sensible of my locality. begin(他)(~し)始める、(~し)だす(+to do) dream(自)夢を見る before(接)~より前に、(~する)に先だって、~しないうちに cease…

『嵐が丘』を原書で読む(第21回)

(テキスト22ページ、1行目〜) ‘Hindley hurried up from his paradise on the hearth, and seizing one of us by the collar, and the other by the arm, hurled both into the back-kitchen; where, Joseph asseverated, “owd Nick” would fetch us as su…

『嵐が丘』を原書で読む(第20回)

(テキスト21ページ、5行目〜) ‘On Sunday evenings we used to be permitted to play, if we did not make much noise; now a mere titter is sufficient to send us into corners! on(前)(日・時・機会を表わして)〜に Sunday(形)日曜日の ・on Su…

『嵐が丘』を原書で読む(第19回)

(テキスト20ページ、8行目〜) I snuffed it off, and, very ill at ease, under the influence of cold and lingering nausea, sat up, and spread open the injured tome on my knee. snuff(他)(ろうそくなどの)芯(しん)を切る off(副)(切断・断…

『嵐が丘』を原書で読む(第18回)

(テキスト19ページ、1行目〜) CHAPTER III chapter(名)(書物・論文の)章 ・chapter one 第1章 I(名)(ローマ数字の)I ・III(iii)=3 While leading the way upstairs, she recommended that I should hide the candle, and not make a noise, for…

『嵐が丘』を原書で読む(第17回)

(テキスト18ページ、1行目〜) This was Zillah, the stout housewife; who at length issued forth to inquire into the nature of the uproar. this(代)(指示代名詞)これ、このもの(人)(身近なもの・人をさして/しばしば人を紹介する時に用いて)…

『嵐が丘』を原書で読む(第16回)

(テキスト17ページ、3行目〜) At first, the young man appeared about to befriend me. at first 最初は、初めは man(名)(修飾語句を伴って)(特定の仕事・性格などの)男性 appear(自)(〜(のよう)に)見える、(〜と)思われる(+to do) abou…

『嵐が丘』を原書で読む(第15回)

(テキスト16ページ、3行目〜) ‘Mrs. Heathcliff,’ I said earnestly, ‘you must excuse me for troubling you — I presume, because, with that face, I'm sure you cannot help being good-hearted. Do point out some landmarks by which I may know my …

『嵐が丘』を原書で読む(第14回)

(テキスト15ページ、3行目〜) ‘How must I do?’ I continued, with rising irritation. continue(他)(〜と)(再び)話を続ける、引き続いて言う(+引用) with(前)(様態の副詞句を導いて)〜を示して、〜して rising(形)増大(増加)する irrita…