『エイリアン』

この週末は、ブルーレイで『エイリアン』を見た。

1979年のアメリカ映画。
監督はリドリー・スコット
彼の大出世作である。
この後、『ブレードランナー』でその地位は不動のものとなる。
『エイリアン』も『ブレードランナー』も、マニアが多い映画だが、僕はどちらもそんなに評価していない。
僕が『エイリアン』を初めて知ったのは小学生の頃。
確か、ケイブンシャの大百科シリーズのプラモデルの本に、エイリアンのモデルの写真が載っていた。
その頃は本体をよく知らなかったので、「何じゃこりゃ」としか思わなかったが。
それにしても、どうして「エイリアン」なんていう一般的な名前を付けたんだろう。
映画本編は何故かなかなか見る機会がなく、最初に見たのは『エイリアン4』を劇場で。
いきなり4作目から見ても分かる訳がなく、万引き女優のウィノナ・ライダーが出ていたことしか記憶にない。
1作目は、かなり大人になってからDVDで見た。
『エイリアン』は、シガニー・ウィーバー出世作でもある。
こんな気の強そうな姉ちゃんは全然タイプじゃないが。
70年代は、大まかに言って、前半がパニック映画の時代、後半がSF映画の時代と言えるだろう。
『エイリアン』がSFブームの一翼を担ったことは間違いない。
広大な宇宙空間から始まる。
航行中の宇宙貨物船ノストロモ号。
貨物を積んで地球へ向かっている。
2001年宇宙の旅』の影響が随所に見られる。
宇宙船の外観や内部のデザイン、人工冬眠など。
乗組員の中にニャンコがいる。
何故かマザー(コンピュータ)がコースを変えた。
このコンピュータも、『2001年』のHALのイメージだろう。
地球は未だはるか先なのに、乗組員達は人工冬眠から目覚めさせられる。
知的生物からの信号を受け取ったので、それを調査することに。
謎の惑星に着陸。
衝撃で宇宙船が壊れる。
クルーが外に出てみると、宇宙船のようなものを発見。
どうやら異星人の船のようだ。
その中で、エイリアンの卵を発見する。
中で何かが動いている。
気持ち悪い。
スピーシーズ』という映画があったが、この辺を真似ているんだろうな。
卵の中の「何か」がクルーを襲う。
彼らが母船に戻ると、「生物感染の危険がある」として、規則によって入船を拒まれる。
しかし結局、乗組員の一人が強硬に主張して、船内に入れてしまう。
後から考えると、これが間違いだった。
クルーの顔面には、謎の生物が貼り付いている。
最初は、ヘルメットにめり込んでいたのだから、相当なものだ。
調べてみると、こいつはクルーの体内に酸素を送っている。
触手を切断してみると、そこから流れ出た血液は強い酸性で、宇宙船の床を溶かしてしまう。
こんなものを宇宙船の中に入れてしまったのは本当にうかつだった。
謎の生物は、船内のどこかに逃げてしまった。
密室内のサスペンスというのは、恐怖映画のパターンだな。
ジョン・カーペンターの『遊星からの物体X』も、かなり本作の影響を受けていそうだ(まあ、これ自体がリメイクだが)。
ここからは多少、こけおどしもある。
クルーの顔面に貼り付いていた生物は、既に死んでいる。
乗組員の一人は言う「化け物じゃあるまいし」って、いや、化け物だよ。
宇宙船が離陸する。
地球までは10ヵ月も掛かる。
さっきエイリアンが顔面に貼り付いていたクルーが目覚めた。
あんなものが顔に貼り付いていたのに、よく平気な顔をしている。
彼は健康そうだ。
だが、突然倒れてしまう。
彼の胸から血が噴き出し、中から子供のエイリアンが飛び出す。
ああ、気持ち悪い。
この幼生エイリアンのデザインは、ちょっと『イレイザーヘッド』っぽいな。
クルーの遺体は宇宙葬に出される。
でも、エイリアンは船内のどこかに残っている。
みんなで船内を捜索する。
すると、エイリアンの抜け殻のようなものが見つかった。
いつの間にか脱皮していたのだ。
人間の大きさにまでエイリアンは巨大化している。
その姿を見たネコも逃げる。
そして、また犠牲者が…。
どんどん犠牲者が出る。
ただでさえ乗組員は少ないのに、一体どうなるのか。
実は、この貨物船は本社から、地球外生物を発見した場合は、生物の標本を持ち帰ることを最優先するようにとの秘密指令を受けていたんだな。
その際、乗組員は放棄しても構わないと。
更に、最初にエイリアンを船内に入れてしまったオッサンは、本社の指示を忠実に実行するアンドロイドだったのだ。
エイリアンを殺す方法はない。
こいつは「完全生物」なのだ。
本作は、一応「SFホラー」ということになっているので、これ以上ストーリーを書くのは止めよう。
まあ、真面目に考えれば、大した内容のない荒唐無稽な物語ではあるが、とは言っても、昨今のCG映画と比較すれば、未だドラマが主体だとは言える。
なお、本作に出演しているニャンコは、なかなかの演技派である。
本作は、1979年の洋画興行収入5位(1位は『スーパーマン』)。
ちなみに、邦画の1位は『銀河鉄道999』。
この頃から、映画の主たる観客層が変わって来たのだろうか。
アカデミー賞視覚効果賞受賞。