『マッドマックス』

この週末は、ブルーレイで『マッドマックス』を見た。

マッドマックス [Blu-ray]

マッドマックス [Blu-ray]

1979年のオーストラリア映画
昔、「日曜洋画劇場」辺りでやたら放映していたような記憶があるが、ちゃんと見るのは今回が初めて。
監督はジョージ・ミラー
あの名作『ベイブ』の製作と脚本も手掛けている。
続編の『ベイブ/都会へ行く』では監督も務めた(これはちょっと重い映画だった)。
他にも『ロレンツォのオイル』なんかを撮っているんだな(映画館で観たが、あまり覚えていない)。
しかし、何と言っても『マッドマックス』が出世作であり、代表作だろう。
主演はメル・ギブソン
本作で一躍大スターになった。
だから、アクション・スターかと思いきや、オーストラリア国立演劇学院出身で、『ハムレット』でも主演しているし、『ブレイブハート』ではアカデミー賞監督賞を受賞した。
『マッドマックス』は、一応近未来を舞台にしたSFということになっているが、見ていると、本当に低予算で作られたことが分かる。
如何にもB級SFっぽいオープニング。
だだっ広い野原の中でFuckしているカップルを覗いている警官。
本作における警察は腐敗堕落していて、取り締まられる側のチンピラ達とほとんど差がない。
とにかく、荒れた世界である。
ペシミスティックな未来感なのだろう。
ちょっと『時計じかけのオレンジ』と似ている。
そこに、「警官殺し発生」の連絡が入る。
黄色・赤・青のド派手なパトカー。
この世界では、暴走族が事件を起こすのが日常茶飯になっている。
パトカーと暴走族の車のカーチェイス
ぶっ壊れても走り続ける。
ひたすらカーチェイス
西部警察』を派手にしたみたいだ。
道路で遊んでいた小さな子供の横を猛スピードで走り抜ける車。
スゴイ撮影である。
待機していたマックス(メル・ギブソン)の車が族を追う。
追い付いたが、族の車はトラックに突っ込んで大爆発を起こす。
これにより、マックスは連中から命を狙われる身となってしまったのである。
彼が家に帰ると、幼い子供と奥さんがいる。
森田童子みたいな髪型の奥さん。
仕事のハードさとは打って変わった家庭団欒のひと時。
オーストラリアは、アメリカとは違う独特の雰囲気がある。
音声は吹き替えだろうか、微妙に口の動きとセリフが合っていない。
今度は小さな町にバイク軍団が集結する。
この町は、西部劇のセットのようである。
彼らは駅に着いた棺桶を引き取りに来たらしい。
棺に納められているのは「ナイトライダー」。
先にマックスが追いつめて爆死した暴走族のメンバーであった。
この町で、止めた車の中でイチャついていたカップルがいた。
暴走族の集団にビビって逃げ出すが、バイク連が追って来る。
そして襲撃。
とにかくメチャクチャにぶっ壊す。
バックには『ゴジラ』みたいな重低音の音楽。
チンピラが言う、「Well well well」と。
やっぱり、『時計じかけのオレンジ』だ。
「司法省」というのが出て来るが、警察署のことだろうか。
ただの倉庫みたいな建物なのだが。
オウム真理教の「科学技術省」みたいなものか。
この国の警察は「報告さえ筋が通れば、何をしても構わない」という無法地帯である。
疾走する車のスピード感はスゴイ。
破壊シーンもスゴイ。
マックスの同僚警官グースが、ナイトライダーの復讐をたくらむトーカッター一味に襲われる。
連中は、脱出出来ないグースの車の漏れたガソリンに火をつける。
グースは黒焦げに。
マックスはショックを受け、上司に辞表を提出する。
この上司はスキンヘッドにヒゲをたくわえ、上半身裸で葉巻をくわえている。
ヤクザか。
上司は辞表を受理せず、「2、3週間休め」と言う。
マックスは奥さんと子供を連れて旅行に行く。
車のタイヤがパンクし、修理している間に、奥さんと子供はアイスを買いに行く。
不穏な空気。
案の定、奥さんは連中に襲われる。
何とか逃げたが、彼らを振り切る時に、車をつかんだヤツの手がもげた。
これで、奥さんは連中に執拗に追われる羽目になる。
森の中で襲われ、何とか逃げるが、連中は子供を奪ってしまった。
この後、子供を奪い返し、逃げる→追われるの応酬。
奥さんと子供の乗った車がガス欠で止まってしまった。
絶体絶命の危機。
マックスが到着した時には、既に遅かった。
彼は復讐の念をメラメラと燃やす。
如何にも低予算の作品だが、独特の世界観、疾走する車のスピード感等は特筆すべきものがある。
だが、意外にも残酷シーンの直接描写は少ない。
今ならCGで全部描いてしまうところだろうが、かえってドライな印象を与えるのに成功している。
熱狂的なファンがいるのも理解出来る。
アボリアッツ国際ファンタスティック映画祭審査員賞受賞。
1980年洋画興行収入6位(1位は『スター・ウォーズ/帝国の逆襲』。ちなみに、邦画の1位は『影武者』)。