『ピンクの豹』

この週末は、ブルーレイで『ピンクの豹』を見た。

1963年のアメリカ映画。
監督は、『ティファニーで朝食を』のブレイク・エドワーズ
音楽は、『ティファニーで朝食を』『シャレード』のヘンリー・マンシーニ
主演は、『ナバロンの要塞』『カジノロワイヤル』『ナイル殺人事件』のデヴィッド・ニーヴン
共演は、『マダムと泥棒』『ロリータ(1962)』『博士の異常な愛情』『カジノロワイヤル』『チャンス』のピーター・セラーズ、『史上最大の作戦』『タワーリング・インフェルノ』のロバート・ワグナー、『ウエスタン』のクラウディア・カルディナーレ
ピンク・パンサー・シリーズ第1作。
あの有名なテーマ曲は、ドリフのコントで使われていたので、よく知っていたが、現物を見たのは初めて。
しかし、ドリフがパクっていたのは音楽だけではないということが判明。
ユナイテッド・アーティスツ
テクニカラー、テクニラマ(ワイド)。
ちなみに、テクニラマというのは、ビスタビジョンと同じように35ミリフィルムを横方向に走らせて撮影するので、通常の35ミリの2倍の画面面積があり、画質が良い。
「むかしむかし」、中東某国の王様が、人民からの感謝の印として受け取った「ピンク・パンサー」というダイヤモンドを幼い娘に与えるところから始まる。
そして、オープニング。
ピンクのヒョウのアニメ。
これも有名だ。
60年代のたくさんのアニメに影響を与えているのだろう。
続いて、舞台は現代のローマに。
深夜、金庫破りが行われる。
犯人は、Pのイニシャルが入った白い手袋を遺して行く。
これが、実は世間を騒がせる怪盗ファントムであった。
「話変わって」ハリウッド。
写真屋が大学の卒業写真を撮っている。
そこへ、借金取りが現われ、大学を卒業したばかりのジョージ・リットン(ロバート・ワグナー)を追い掛ける。
今度はパリ。
謎の女が50万の宝石を男に渡す。
女は警察に追われている。
彼女はエレベーターで着替え、まんまと逃げおおせる。
追い掛けて来たジャック・クルーゾー警部ピーター・セラーズ)は「女を探せ!」と部下に命じる。
それにしても、本作は音楽が素晴らしいね。
誰もが一度は耳にしたことがある名曲の宝庫だ。
実に哀愁を誘う素晴らしい曲ばかりである。
続いて、舞台はイタリアのコルティーナ・ダンペッツォ(スキー・リゾート)へ。
スキーをしている女。
彼女は、実は中東某国の王女ダーラ(クラウディア・カルディナーレ)であった。
この国では、革命軍が王女に宝石(ピンク・パンサー)の返還を要求していた。
このスキー場で、ダーラに接近しようとしていたのがチャールズ・リットン卿(デヴィッド・ニーヴン)。
何故か王女の愛犬が盗まれ、犯人を追い掛けたリットン卿は脚にケガをする。
が、これは完全な仕込みであった。
一方、そこへクルーゾー警部が妻シモーヌ(キャプシーヌ)を連れてやって来る。
クルーゾーは、美人の妻にデレデレである。
まあ、後にクルーゾーが主役になって、シリーズが続いただけあって、本作のクルーゾーは輝いている。
見事なコメディである。
さすが、ピーター・セラーズだ。
で、よく見ると、このシモーヌは、先のパリでクルーゾーに追い掛けられて、エレベーターで着替えてまんまと逃げおおせた女なのであった。
つまり、とんだ一杯食わせ者だということ。
そんなことは露知らないクルーゾーは幸せなのか、何なのか。
しかも、シモーヌは部屋でリットン卿と密会する。
要するに、愛人という訳だ。
で、今度は、愛犬を追い掛けてケガをさせたお詫びに、ダーラ王女からリットン卿に夕食会へのお誘いが来る。
場面変わって、ホテルのバーでクルーゾー夫妻が飲んでいると、ジョージ・リットンがチャールズ・リットン卿を探しに来る。
実は、ジョージはチャールズの甥なのであった。
リットン卿はダーラを部屋へ誘う。
ダーラは、普段は酒を飲まないのだが、まんまとリットンに言いくるめられて、酔っ払ってしまう。
リットンはダーラにキスをする。
しかし、ダーラが眠ってしまったため、一線は越えない。
リットンがダーラを自分の寝室へ連れて行くと、甥のジョージが寝ている。
ジョージは堅物のフリをしていたが、これはウソであった。
リットンはシモーヌに「甥を誘惑しろ」と命じる。
シモーヌはジョージにスキーを教える。
そんなことをしている間に、急きょ、ダーラは帰国することになった。
リットンは彼女を見送りに駅まで来る。
そこへ、王女の犬を盗んだヤツが現われ、リットンが追い掛ける。
だが、この二人は完全なグルであった。
つまり、リットンは王女の宝石を狙っていて、帰国されては困るから、一芝居を打ったということ。
で、ワンコを取り戻したフリをすると、王女も戻って来る。
で、この話しは、これからどう転がるのか?
ピンク・パンサーはダーラ王女の金庫の中にある。
そして、クルーゾー警部は、「怪盗ファントムはきっとこの町にいる」と確信する。
後半は、ものすごくシュールなコメディになる。
正に、ドリフのコントである。
怪盗がいて、怪盗の愛人が警部の奥さんで、その奥さんに恋した怪盗の甥、それに、怪盗に若干気を引かれる王女。
王女の宝石を巡る人間関係が面白い。
最後は、すごいオチなんだけどね。
いやあ、コメディーの歴史を見たという気がする。
勉強になった。