この週末は、ブルーレイで『スリーピー・ホロウ』を見た。
スリーピー・ホロウ スペシャル・コレクターズ・エディション [Blu-ray]
- 発売日: 2019/04/24
- メディア: Blu-ray
監督はティム・バートン。
原作はワシントン・アーヴィング。
製作総指揮は、『アメリカン・グラフィティ』の巨匠フランシス・フォード・コッポラ。
主演は、『プラトーン』のジョニー・デップと、クリスティーナ・リッチ。
共演は、『ディア・ハンター』のクリストファー・ウォーケン、『アマデウス』のジェフリー・ジョーンズ、『クリスマス・キャロル(1984)』『愛と哀しみの果て』のマイケル・ガフ、『1941』のクリストファー・リー、『炎のランナー』『ガンジー』のリチャード・グリフィス。
ティム・バートン監督、ジョニー・デップ主演と言えば、『シザーハンズ』だな。
確か、浪人中に映画館で観た。
『スリーピー・ホロウ』については、公開時に話題になっていたことは覚えている。
TVCMを何度も見たような。
結論から言うと、原作はワシントン・アーヴィングの「スリーピー・ホローの伝説」ということになっているが、原作とは全く違う話しになっている。
設定すら違う。
登場人物の名前を借りただけだ。
原作では、主人公イカボッド・クレインは教師であるが、映画では刑事である。
原作では、教師として村人達から恩恵を受けるイカボッド。
それから、のどかなスリーピー・ホローの村の自然描写が続く。
そして、イカボッドと村一番の豪農ヴァン・タッセル家の娘カトリナとの淡い恋。
村の青年ブロム・ボーンズとの恋の鞘当て。
首なし騎士の伝説はあるが、当の騎士はクライマックスにやっと出て来るだけである。
しかし、映画では、首なし騎士がのっけから首切り殺人を連発し、刑事であるイカボッドが事件の捜査をする。
首切り描写がジャンジャン出て来て、完全にホラーとして作られている。
従って、原作とは全くの別物である。
原作を読む際の参考にと思って見ると、痛い目に遭う。
カラー、ワイド。
おどろおどろしい音楽が流れる。
遺言状に封印。
村長ピーター・ヴァン・ギャレットが乗った疾走する馬車。
カボチャの顔のカカシ。
首なしの男が馬車を操る。
ギャレットが飛び降りると、立ちはだかるカボチャのお化け。
首をはねられるギャレット。
「ニューヨーク市、1779年」という字幕。
イカボッド・クレーン(ジョニー・デップ)捜査官が殺人事件の捜査をしている。
裁判所で、当時では考えられなかったであろうリベラルな主張を展開するイカボッド。
周囲は呆れ、市長から、スリーピー・ホロウの首切り殺人を調べるように命じられる。
馬車に乗ってスリーピー・ホロウに向かうイカボッド。
のどかで美しい自然の風景が続く。
イカボッドが村に到着するが、村人達は排他的である。
村一番の豪農バルタス・ヴァン・タッセル(マイケル・ガンボン)の屋敷を訪ねる。
中では、パーティーの真っ最中。
これが如何にもCGっぽい。
本作は、作られた時代と題材から、やたらCGが使われている。
タッセル家の娘カトリーナ(クリスティーナ・リッチ)がイカボッドの頬にキスをする。
カトリーナのボーイフレンドで、村の若者達のリーダー格であるブロム・ヴァン・ブラントは、これが面白くない。
イカボッドは、タッセル邸に宿泊することにする。
ギャレットの息子が殺された。
死体には首がない。
首なし騎士が首を奪い去って、地獄へ持ち帰ったと信じる村の人々。
この村には、首なし騎士の伝説があった。
首なし騎士は、独立戦争の時にイギリス側が送り込んだドイツ人傭兵で、誰よりも殺戮を好んだ。
首を切られ、20年後に蘇り、復讐に。
村人達は聖書しか信じない。
イカボッドは、この時代には珍しい無神論者で、科学的に捜査し、犯人をきっと捕まえると誓う。
その夜、またも首なし騎士が首切り殺人を。
翌朝、暴れ馬のガンパウダー(これは原作にも出て来る)に乗るイカボッド。
殺害現場に首なし遺体が横たわっている。
科学的に捜査をするイカボッド。
被害者の息子マスバス少年が「捜査を手伝わせて」とイカボッドに頼む。
捜査のために墓を掘り返すイカボッド。
村人達には、彼の行動が理解出来ない。
村人達に愛されていた原作の主人公とは違う。
未亡人の遺体を解剖するイカボッド。
腹には赤ん坊がいた。
犯人は異常者だと断定するイカボッド。
その夜、イカボッドは首なし騎士に追われる。
騎士は、火のついたカボチャをイカボッドに投げて来る。
しかし、実は中にブロムが入っていた。
イカボッドをからかうためのイタズラだったのだ。
イカボッドは、カトリーナと馬で森の中へ。
イカボッドの掌には、幼い時につけられたアザがある。
判事が迷信を信じている。
羊が逃げ、雷が鳴り、判事がイカボッドの目の前で首なし騎士に切られ、首を剣で刺して去る。
その光景を見て、イカボッドは失神する。
そして、母親の夢を見る。
無神論者のはずのイカボッドは、すっかり迷信を信じるようになっていた。
ここが、どうにも納得が行かないというか。
だったら、別に彼が無神論者である必要はない。
彼が迷信を科学的に解明する話しだと思っていたら、ここから急に方向転換。
悪夢を見るイカボッド。
しかし、目覚めた彼は、「恐怖は克服した」と言う。
「これから、首なし騎士の墓を見に行く。誰か付いて来る者は?」と問うと、マスバス少年が手を挙げる。
森の中の魔女の家を訪ねる二人。
マスバス少年を家の外へ追い出す魔女。
魔女がコウモリの首を切り落とし、生き血を絞る。
うわあ、コロナに感染しそうだ。
魔女の助言に従い、イカボッド達は森を西へ。
死人の木を目指す。
そこが首なし騎士のねぐらだという。
イカボッドがマスバス少年と馬を進めて行くと、何故か白馬に乗ったカトリーナがいる。
「お供をしたい」とカトリーナ。
そして、死人の木へ。
イカボッドが木を切ると、血が飛び散る。
オエッ!
根元に、これまでの被害者のものと思しき幾つもの首が隠されている。
「この木は、あの世への入り口なんだ。」
それから、イカボッドが騎士の墓を掘り返すと、遺体の骨には首がない。
彼の首は盗まれたので、自分の首を探すために外界へ現れるのだと。
すると突然、木の根元から首なし騎士が飛び出す。
思い切りCG。
騎士を追うイカボッド。
消えた。
助産院にやって来る首なし騎士。
親子3人が首を切られる。
ブロムが駆け付け、騎士を撃つが、倒れてもよみがえる。
ブロムはイカボッドを助けるが、自らは首なし騎士にやられる。
しかし、首は切られていない。
イカボッドは、またも失神してしまった。
頼りない主人公だ。
さあ、これからどうなる?
この後、話しは二転三転する。
目まぐるしいが、面白くはない。
そして、種明かしがある。
これも、別に面白くはない。
はっきり言って、原作を何故こういう映画に仕立てる必要があったのか疑問。
だったら、最初からオリジナル・ストーリーでも良かっただろう。
まあ、原作はアメリカ人なら誰でも知っている話しらしいから、タイトルだけ頂戴したのだろう。
企画が貧困な昨今の映画にありがちな話しだ。
『ベオウルフ』とか『クリスマス・キャロル』とかもそうだが、昨今の古典の映画化はヒドイね。
余談だが、当時のニュー・ヨークは既にこんな大都市だったのか。
アカデミー賞美術賞受賞。
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