『ウイークエンド』

あけましておめでとうございます。
今年も拙ブログをよろしくお願いします。
新年最初の映画鑑賞は、ブルーレイによる『ウイークエンド』。

ウイークエンド Blu-ray

ウイークエンド Blu-ray

1967年のフランス・イタリア合作映画。
監督・脚本は、『勝手にしやがれ』『軽蔑』『気狂いピエロ』『東風』『万事快調』『パッション』の巨匠ジャン=リュック・ゴダール
撮影監督は、『勝手にしやがれ』『軽蔑』『気狂いピエロ』『パッション』のラウール・クタール
編集は、『軽蔑』のアニエス・ギュモ。
音楽は、『気狂いピエロ』のアントワーヌ・デュアメル
使用音楽は、ヴォルフガング・アマデウスモーツァルトなど。
助監督として、クロード・ミレール(『なまいきシャルロット』の監督)が参加している。
主演は、ジャン・ヤンヌと、『チェイサー』のミレーユ・ダルク
共演は、『ラストタンゴ・イン・パリ』のジャン=ピエール・レオ、『パッション』のラズロ・サボ、『東風』『万事快調』のアンヌ・ヴィアゼムスキー
これで、ゴダールの廉価版ブルーレイが出ている作品は全て(7本)見たことになる。
毎回文句を言いながら、よく見るよ。
今回も、文句を言いたいことはいっぱいあるが。
カラー、ワイド。
最初に「interdit aux moins de 18ans」という字幕が出る。
フランス語をちょっとかじったから分かるが、要するに「18禁」ということか。
しかし、最後まで見れば分かるが、本作は官能描写よりも残酷描写がヒドイ。
まるでホドロフスキーの映画のようだ。
だが、ホドロフスキーの作品には宗教的なものを感じるが、本作の残酷描写は、ただただ悪趣味。
「宇宙をさまよった映画」「鉄くずから見つかった映画」という字幕。
パリで中流生活を営むロラン(ジャン・ヤンヌ)とコリーヌ(ミレーユ・ダルク)のデュラン夫妻。
この二人はW不倫をしている。
コリーヌは夫の友人と不倫。
ロランは、コリーヌの父親が死んで遺産が手に入ったら、妻を殺そうと考えている。
タイトル『ウイークエンド』は黒地に赤・白・青の文字。
寝室で下着姿のコリーヌの告白。
「分析」。
先週の車の中での不倫相手との情事。
その後、彼の家に言って彼の奥さんも交えて3Pだって。
ただれているなあ。
官能小説のような告白が延々と続く。
ただし、セリフのみ。
前置きが長い。
コリンヌはジタンが嫌いで、アメリカのタバコを好むらしい。
「土曜日午前10時」オープンカーに乗って出掛けようとするデュラン夫妻。
「パリの日常風景」同じアパートの住人の車にぶつけてしまう。
クソガキが騒ぎ、クソガキの母親が怒って飛び出して来る。
ブルジョワのメス豚!」
ロランは住人の車にスプレーを噴射する。
今度は、クソガキの父親らしき男が猟銃を発射しながら飛び出して来る。
「クソったれ! コミュニスト!」
「土曜日、午前11時」渋滞の田舎道。
「ウイークエンド」「13時40分」「14時10分」事故だろうか、ものすごい渋滞の田舎道の脇をすり抜けて行くデュラン夫妻のオープンカー。
この長い道をワンショットで捕えている。
撮影の準備は大変だっただろうが、何か意味があるのか。
ラクションの嵐。
先頭には、衝突事故で血まみれの死体が数人分。
本作では、この後、血、死体、事故車が大量に出て来る。
ようやく田舎道を抜ける。
「日本製の録音機に遺言を。」
コリーヌはこの5年間、毎週土曜日の両親の食事に毒を混ぜて来たらしい。
今度は、田舎町でトラクターとスポーツカーの激突事故。
階級闘争」「ブルジョワの小娘!」と叫ぶ農夫のトラクターを、血まみれの娘が蹴っ飛ばす。
車の中で死んでいる娘の恋人。
デュラン夫妻のオープンカーがトラクターとぶつかるが、気にも留めない。
農夫は、「マルクス曰く、『人類は兄弟だ』」。
しかし、無視して走り去るデュラン夫妻のオープンカー。
「ニセ写真」の字幕。
連中と集合写真に収まるロラン。
コリーヌは「近道して時間を損したわ。」
飛ばすオープンカー。
「土曜日15時」「土曜日16時」「土曜日17時」。
雨が降って来る。
ここで、「plevoir」という単語が聴き取れて嬉しい。
道路上で白塗りの娘が「乗せてくれる?」
デュラン夫妻の車が停まると、道路の傍らの事故車から娘の彼氏らしき男がピストルを持って出て来る。
「反対方向へ行け」と脅迫しながら乗り込んでくる二人。
「皆殺しの天使」男が「俺は神だ」と言う。
又吉イエスか。
コリーヌはしきりに「助けて!」と叫ぶが、無意味。
男が「俺は現代に文法の終わりを告げに来た(特に、映画に)」と言う。
ゴダールの代弁か。
しかし、映画の文法を破壊して、意味不明の映画を量産することが、そんなに偉いのだろうか。
コリーヌはついに男のピストルを奪って発砲。
カップルを追い出す。
何故か画面を羊の大群が横切る。
また走るオープンカー。
太陽(Soleil)が出た。
三重衝突。
「私のエルメスのバッグが!」と叫ぶコリーヌ。
何か、南青山の児童相談所建設に反対している似非ブルジョアを思い出した。
まあ、ゴダールブルジョワを嫌悪しているのは分かる。
フランス革命から現代のウイークエンドへ」野原でナポレオンみたいな男が本を朗読。
その後ろを、ぶらぶら歩くデュラン夫妻。
「日曜日」「月曜物語」「日曜日」電話ボックスの中でシャンソンを歌う男(ジャン=ピエール・レオ)に出会う。
デュラン夫妻は、彼の車を奪おうとして失敗。
また歩く二人。
森の道を向こうから歩いて来るエミリー・ブロンテのコスプレをした娘とオッサン。
ルイス・キャロルの方へ」宇宙の彼方からやって来た小石について語るエミリー・ブロンテ
ロランは「この映画には病人ばかり」と言う。
まったくそうなのだが、それに何の意味があるのか。
ロランはずっと「オワンヴィルはどちらだ?」と繰り返す。
「哀れなBB対映画興行者」コリーヌは、「これは小説じゃない。映画よ、人生よ」と言いながら、エミリー・ブロンテに火をつける。
人間が燃えているのを見るのは、気分が悪い。
百年戦争のある火曜日」畑でミミズをつかむデュラン夫妻。
気持ち悪い。
とにかく、事故車ばかり出て来る。
「親父は死んだな。遅くとも月曜には。」
道路に寝そべり、股を開いて、トラックを停めるコリーヌ。
乗せてもらう二人。
次いで、「アクション・ミュージカル」。
ビートルズストーンズについての言及がある。
リンゴ・スターみたいなドラムを叩く男も出て来る。
戦艦ポチョムキン」についても言及される。
ここまででおよそ半分だが、後半はいよいよ意味不明。
最初は、一応ロード・ムービーのつもりで見ていられたが。
後半は、動物虐待のシーンもある。
衝撃的だが、気分が悪い。
最後は(ネタバレだが)、人肉を食らう。
とにかく、ただただ悪趣味で気分の悪い映画。
そして、意味不明。
ゴダールをありがたがる人達は一体、何なのか。

Weekend - Original French Trailer (Jean-Luc Godard, 1967)