『ピクニック』(1936)

この週末は、ブルーレイで『ピクニック』を見た。

1936年のフランス映画。
監督・脚本は、『素晴らしき放浪者』『フレンチ・カンカン』の巨匠ジャン・ルノワール
あの喫茶店のマッチで有名なルノワールの息子である。
助監督を、何と若き日のジャック・ベッケル(『幸福の設計』『モンパルナスの灯』)やルキノ・ヴィスコンティ(『若者のすべて』『イノセント』)が務めている。
主演はシルビア・バタイユ
本作は未完なので、40分しかない。
このディスクに収録されているのは、2013年のデジタル修復リマスター版。
穏やかで力強い音楽から始まる。
「この映画はやむをえぬ事情で未完に終った。滞米中のジャン・ルノワール監督に代って、私達は作品と登場人物のイメージを失わないように配慮し、あるがままお見せする。話の筋がわかるように字幕を2ヵ所挿入した」という字幕。
1860年の夏の日曜日、パリの金物商デュフール氏は妻と義母と娘と未来の婿養子アナトールを連れて隣の牛乳屋から借りた馬車でピクニックに出かけた」という字幕。
画質は非常に良い。
野原の中の一本道を走る馬車。
レストランの前を通り掛かる。
魚のシチューとフライで2フラン50。
「高くないわ。」
今の日本円で換算すると、幾らくらいなんだろう?
家族は馬車から降りる。
おばあちゃんは耳が遠い。
レストランのガラの悪そうな若い男の店員が、「近頃の川魚は油臭い。パリジャンに食わせろ」と言う。
要するに、ノコノコと田舎に遊びに来る都会人を嫌っているのであった。
結婚を控える娘アンリエット(シルビア・バタイユ)はブランコを漕ぐ。
この時のカメラの動きが独特で、酔いそうだ。
家族は「ウサギのソテー」を注文した。
どんな食い物なんだろう?
想像も付かん。
レストランで食事をしている地元の若い男二人組・ロドルフとアンリは、窓の外でブランコを漕ぐ若い娘のスカートがめくれるのを楽しみにしている。
まあ、若い頃の男は皆そんなもんだ。
そして、話すのは女のことばかり。
アンリエットと母は、サクランボの木の下に腰掛ける。
デュフール氏とアナトールは釣りに出掛ける。
アナトールがアンリエットとその母を大声で呼ぶ。
「すごい舟があるぞ!」
アンリエットは、そちらに向かう時に、サクランボの木の下に帽子を忘れる。
ロドルフとアンリは釣りに行く。
アンリエットが落とした帽子を見付ける。
この小道具を使って娘を引っ掛けようと企んだらしい。
彼らは、サクランボの木の下に寝転がる。
家族4人はボートに乗ろうとするが、結局乗らない。
「おばあさんを呼んで来て。」
サクランボの木の下に男二人がいるから、場所を変えようとする家族。
ロドルフがアンリエットに帽子を届ける。
親切なフリを装うのだ。
ロドルフとアンリはとりあえず、その場を去る。
デュフール一家は、サクランボの木の下に陣取る。
とにかく、若い男二人は、アンリエットを引っ掛けることしか考えていない。
ばあさんは子猫をなでている。
デュフール夫妻はワインで乾杯。
アンリエットはサクランボをつまむ。
次第に、雲行きが怪しくなって来る。
レストランの娘が空模様を気にして、デュフール一家を呼びに来る。
しかし、都会人は天気を気にしない。
ワインで酔っ払って寝ているデュフール氏。
さあ、これからどうなる?
まあ、ここから恋の鞘当てが始まるのだが。
何せ、未完なので、これから展開しそうな所で終わる。
まあ、続きは大変気になるが。
どうでもいいが、フランスの若い男は守備範囲が広いな。
娘でも、その母親でも、どちらも恋愛対象になる。
母親だって、結婚して子供もいて、家族でピクニックに来ているのに、若い男に口説かれて、まんざらでもない。
フランス人は恋多き民族だな。
名前を聞かれた母親が「ジュリエット」と答えると、相手の男は「じゃあ、僕はロミオ」と言う。
シェイクスピアはヨーロッパ全体の一般常識なんだな。
ストーリーは何とも言えない。
現存している40分間だけだと、他愛もない話しだ。
批評家は、「印象派の絵画のように美しい」と本作を絶賛する。
まあ、景色がキレイなのかも知れない。
しかし、巨匠の初期の作品だから、知っておいても損はない。

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