『グランド・ホテル』

この週末は、ブルーレイで『グランド・ホテル』を再見した。

グランド・ホテル [Blu-ray]

グランド・ホテル [Blu-ray]

  • 発売日: 2013/02/06
  • メディア: Blu-ray
1932年のアメリカ映画。
後に、『大空港』や『タワーリング・インフェルノ』といったパニック映画が「グランド・ホテル形式」で作られたということで、名前だけは以前から知っていたのだが、恥ずかしながら、5年前に初めてブルーレイで見た。
監督はエドマンド・グールディング。
主演は、グレタ・ガルボジョン・バリモアジョーン・クロフォードウォーレス・ビアリー、ライオネル・バリモア。
共演は、『ベン・ハー(1925)』『独裁者』『カサブランカ』のレオ・ホワイト。
本作はモノクロ、スタンダード。
画質は、それほど良くない(とは言っても、保存されている元のフィルムよりは、余程良いだろうが)。
MGMのライオンが現在とは違う。
ファンファーレが鳴り響く。
テーマ曲は『美しき青きドナウ』。
この曲を耳にすると、まず真っ先に『2001年宇宙の旅』の宇宙ステーションが回転しているシーンを想起するのだが、こちらの方が先だったか。
最初に電話交換台が映される。
この時代は、電話交換手がいて、あちこちの電話を取り次ぐのに、コードを繋ぎ直したりしていたんだな。
で、ホテルの公衆電話で、色々な人が話しているところが順番に出て来る。
これが、実は登場人物の紹介だ。
最初は誰が誰だか、よく分からなかったが、見ている内にはっきりして来る。
「グランド・ホテル、人々が来ては去って行く。」
舞台はベルリンで一番高級な「グランド・ホテル」。
なお、セリフは、ベルリンなのに英語である。
そして、どの役者も、まるで舞台のように朗々とセリフを唱える。
主な登場人物は5名。
人気バレリーナだったが、今は落ち目のグルシンスカヤ(グレタ・ガルボ)。
大企業の社長だが、会社が危機に瀕し、合併工作を図っている最中のプライシング(ウォレス・ビアリー)。
たまたま彼に雇われた秘書フレムヘン(ジョーン・クロフォード)。
借金で首が回らなくなっている自称「男爵」のフォン・ガイゲルン(ジョン・バリモア)。
プライシングの会社の経理係だったがクビになり、一生の思い出作りにとこのホテルに泊まりに来た老人クリンゲライン(ライオネル・バリモア)。
これらの客の人生模様が、ホテルを舞台に交錯する。
役者のメイクが昔風である。
ホテルのセットがスゴイ。
5階(それ以上?)から1階まで、巨大な吹き抜けのホール。
そこの5階の手すりでタバコを吸うシーンがある。
灰が下まで落ちるではないか。
今では考えられない。
本作に登場する「ルイジアナ・フリップ」という甘い(らしい)カクテルは、調べてみると、ブランデーと卵と砂糖を混ぜたものらしい。
ミルク・セーキのミルクの代わりにブランデーを入れたということか。
で、しばらくはそれぞれの登場人物の紹介のような感じだったが、ガイゲルン男爵がカネに困り、グルシンスカヤの部屋に侵入して真珠を盗もうとする辺りから、ようやく話しが展開して来る。
グルシンスカヤの留守中を狙った真珠泥棒も、部屋に本人が戻り、人が集まって来たため、逃げられなくなった。
グルシンスカヤは、現状に苦悩しており、逃げ出したがっている。
いや、死にたいとすら思っている。
そんな彼女を見るに見かねて、ガイゲルンは部屋の影から姿を現し、声を掛ける。
そして、彼女を口説く。
ガイゲルンは、彼女のことを本気で愛してしまった。
盗もうとしていた宝石も返す。
実は、彼は悪人になり切れないのであった。
で、グルシンスカヤから一緒にウィーンに来てと懇願される。
しかし、彼にはカネがない。
でも、「男爵」である手前、そんなことは言えない。
その頃、クリンゲラインはへべれけに酔っ払っていた。
一方、プライシングは合併話しが破断になった。
彼は、秘書のフレムヘンを愛人にしたがっていたが、彼女には全くそんな気はない。
で、更に困ったことに、ガイゲルンはフレムヘンにも声を掛けていた(つまり、二股)。
で、次第に登場人物が絡んで来たところで、事件が起こる。
これはショッキングだ。
なかなかの展開である。
本作は、悪役のプライシング以外、基本的に性善説である。
「グランド・ホテルは変わらない。人々が来ては去って行く。元のままだ」という最後のセリフが印象的。
しかし、さすがに群像劇としてはよく出来ている。
アカデミー賞作品賞受賞。

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