『2001年宇宙の旅』

この週末は、ブルーレイで購入したばかりの『2001年宇宙の旅』を鑑賞した。

2001年宇宙の旅 [Blu-ray]

2001年宇宙の旅 [Blu-ray]

1968年の作品である。
僕が最も尊敬する映画監督であるスタンリー・キューブリックの代表作。
あらゆるSF映画の頂点。
キネマ旬報』の「映画史上ベスト100」で1位に選ばれたこともある(「SF」ではなく、「全ての映画」の中で1位)。
この作品には、僕も特別な思い入れがある。
僕が小学校6年生の時、近所にあるスーパー・ニチイ(現サティ)の家電売り場で、当時商品化されたばかりのレーザー・ディスク・プレイヤーのデモンストレーションが始まった。
その時に上映されていたソフトが、この『2001年宇宙の旅』であった。
売り場の担当の兄ちゃんが『2001年』の大ファンだったからだ。
僕は、学校帰りに毎日売り場へ通い、この作品を何十回も繰り返し見た。
当時、たまたま学校にも、亀山先生という『2001年』を大好きな先生がいた。
その先生が脚本を書いた「人類の進化」をテーマにした演劇を、新入生歓迎会で上演することになったのだが、僕は先生の指名で主役に抜擢された。
主役と言っても、類人猿なので、一つもセリフはないのだが。
この芝居が、当然ながら『2001年』の冒頭の場面を基にしていることもあって、僕はますますこの作品にのめり込んだ。
家電売り場の兄ちゃんや亀山先生は、この難解な作品について熱く語ってくれた。
折しも、『2001年』の続編である『2010年』が公開された。
こちらは、神格化されている前作と比べると、平凡なSF映画であったが。
そのような様々な状況から、少年時代の僕は『2001年』にどっぷりと浸かったのである。
中学生になってからは、原作を読んだ。
極端に説明を省いていて難解な映画に対して、小説は非常に論理的に解説されていた。
この作品を皮切りにして、中学時代の僕は、アーサー・C・クラークのSFばかり読んだ。
こうして書き出すと、キリがない。
時は流れ、2001年を迎えて、映画館でこの作品が上映されるということで、友人と一緒に銀座まで観に行った。
この作品は、こけおどしのSF映画とは違って、宇宙空間を非常にリアルに描いている。
宇宙は真っ暗で、真空のため、音がない。
あまりの暗さと静けさに、僕は不覚にも眠ってしまった。
その友人からは、そのことを未だにネチネチと言われるので困る。
とにかく、CGもない時代に、これだけの完璧な映像を作り上げたキューブリックは、やはり天才だ。
その甲斐あって、アカデミー賞特殊視覚効果賞を受賞している。
この作品を完成させるために、膨大なカネと時間が費やされた。
リアルな宇宙を再現するため、NASAを始め、当時の一流の学者たちや50社を超える企業が全面協力し、最先端の科学技術が投影された。
キューブリックは、この1本で、映画史にその名を深く刻み込んだのである。
ニーチェを下敷きにした哲学的な内容。
さらに、音楽と映像との完璧な同調。
リヒャルト・シュトラウスの『ツァラトゥストラかく語りき』、ヨハン・シュトラウスの『美しき青きドナウ』を聴いて、真っ先にこの映画を思い浮かべる人は数多いだろう。
この世紀の大傑作を、ブルーレイの素晴らしい画質で、しかもこんなに廉価で見ることができるとは、実にいい時代になったものだ。
このディスクは特典映像がまたスゴイ。
『2001年』関連の貴重な記録映画が何本も収められているのだが、登場するのが、ルーカス、スピルバーグジェームズ・キャメロンといった、超一流の映画作家たち。
しかも、全員が口を揃えて『2001年』を称賛しているのである。
今回は、思い付いたままに書いているので、全くまとまりのない文で申し訳ありません。
「とにかくスゴイ映画です」ということを強調して、とりあえず、この辺で筆を置くことにする。