『スタートレック』(1979)

この週末は、ブルーレイで『スタートレック』を見た。

スター・トレック?/リマスター版スペシャル・コレクターズ・エディション [Blu-ray]

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1979年のアメリカ映画。
監督はロバート・ワイズ
ウエスト・サイド物語』『サウンド・オブ・ミュージック』で2回もアカデミー賞を獲得した巨匠であり、『地球の静止する日』や『アンドロメダ…』などのSF映画も手掛けている。
主演はウィリアム・シャトナー
代表作が『スタートレック』シリーズという人だ。
そして、レナード・ニモイ
この人の演じる耳のとがったMr.スポックは、SFファンでなくても誰でも知っている。
僕は、『Dr.スランプ』に出て来たので知った。
音楽はジェリー・ゴールドスミス
ジョン・ウィリアムズと並ぶアメリカ映画音楽の巨匠。
代表作は多過ぎるので、省略。
SFファンの間では名高い作品であったが、僕は恥ずかしながら未見であった。
という訳で、期待しながら見る。
しかし、その期待は、もろくも打ち砕かれたのであった。
テーマ曲は、誰でも聴けばすぐ分かる程有名である。
広大な宇宙空間から本編は始まる。
宇宙船が飛んでいる。
異星人が攻撃する。
宇宙船が消滅。
空間には、かに星雲のような巨大な雲が広がっている。
特撮は、『2001年宇宙の旅』や『未知との遭遇』を手掛けたダグラス・トランブルだが、本作では、巨費を投じたにも関わらず、必ずしも成功しているとは言えない。
特に、最初の方は、マット・アートを多用し過ぎで、画面に奥行きがない。
また、当時の技術的な限界なのか、合成がうまくいっていない。
前述の2作で味をしめたのか、やたらとスリット・スキャンを多用して、光の洪水を演出する。
更に、特撮シーンが多過ぎる。
昨今のCG映画なら分かるが、この頃の作品としては珍しい。
後から判ったのだが、舞台となっているのは300年後らしい。
とにかく、この作品は、話しがつかめない。
宇宙船エンタープライズ号が、地球を攻撃して来る敵に立ち向かうため、出発することはかろうじて判った。
乗組員は、白人あり、アジア系あり、黒人ありと、インターナショナルである。
登場人物は何人もいるが、ドラマ性はほぼ皆無だ。
ほんの少しだけ、恋愛もどきのようなものはあるが。
音楽に乗せて、延々と特撮を見せられるだけである。
乗組員の衣装は、パジャマかスウェットのよう。
出演者達は、何やら深刻そうな演技をしているが、それが何だか画面のこちらには全く伝わって来ないのである。
緊迫感も感じられない。
単に、キャストが勝手にやっているといった感じだ。
登場人物は何の活躍もしていないように見える。
ただ、Mr.スポックのメイクがスゴイ。
顔面にドーランを塗り過ぎだろう。
その上、舞台が宇宙船の指令室からなかなか動かない。
カネが掛かっている割には、閉そく感がある。
本作の観客は、元になったテレビ版を見ているというのが前提なのだろうか。
彼らのセリフの意味が理解出来ない。
本作特有の単語の意味が説明されないのである。
主役のカーク船長からして、何を目指しているのか丸っきり分からない。
エイリアンが地球を狙う理由も意味不明(「創造者」を探すためらしいが)。
大体、設定が荒唐無稽過ぎる。
「精神融合」って何だ?
まあ、SFというのは、そもそも荒唐無稽なものだが、それを観客に理解させる説得力が必要だろう。
Mr.スポックは、宇宙服だけで宇宙空間に出て行って、大丈夫なのか。
2001年宇宙の旅』や『ゼロ・グラビティ』(見てないけど)みたいに、飛ばされてしまわないか。
見ながら、「早く終わってくれないかな」と思った。
僕は一応、ある程度の金額でブルーレイ・ディスクを買っているので、購入前には作品を吟味して選んでいるつもりである。
ヨーロッパ映画は高いし、日本映画はあまり出ていないので、どうしてもアメリカ映画中心になるが。
それでも、映画史上高い評価を受けた作品か、大ヒットした作品(=多くの観客が見た作品)を選んでいる。
だから、そうそう大ハズレに出会うことはないはずなのだが。
いやあ、やっちゃったね。
最後に、本作のキーとなる「ビジャー」とやらの種明かしがされるが、字幕はカタカナなので、最初は何のことやら分からなかった。
本作には、スペシャル・サイエンス・コンサルタントとして、SFの巨匠アイザック・アシモフが名を連ねている。
僕も、中学時代はアーサー・C・クラークばかり読んでいたので、決してSFは嫌いではないはずなのだが、僕の理解力が足りなかったのだろうか。
これが10作ものシリーズになったとは、驚きである。
細君は、滅多にないことだが、途中で居眠りしていた。
1980年の洋画興行収入5位(1位は『スターウォーズ/帝国の逆襲』)
ちなみに、邦画の1位は『影武者』。
まだまだ映画の元気な時代ではあった。