『卒業』

この週末は、ブルーレイで『卒業』を見た。

二度目の鑑賞だ。
1967年の作品。
言わずと知れた青春映画の名作であり、アメリカン・ニューシネマを代表する作品の一つである。
原作はチャールズ・ウェッブ
監督のマイク・ニコルズは、本作でアカデミー賞監督賞を受賞した。
彼はトリュフォーゴダールの映画が好きなのだそうだ。
どうりで、ちょっとフランス映画っぽい雰囲気があるなと思った。
主役の二人を演じたダスティン・ホフマンキャサリン・ロスは、本作のヒットで大スターになる。
ストーリー自体は極めて単純。
エリート大学を卒業したばかりのベンジャミンは、将来を渇望されているが、女性には全く縁がない。
そんな彼が、父親の共同経営者の妻であるミセス・ロビンソンに誘惑され、関係を持つ。
最初は「もし親に知られたらどうしよう」と躊躇するものの、結局、二人の関係はだらだらと続く。
昔から、青春小説などでもよく扱われてきたテーマだ。
まずは、「親の支配」からの「卒業」。
そして、「童貞」からの「卒業」なのだろう。
この辺りの心理の揺れは、誰にでも経験があることではないか。
ダスティン・ホフマンが、主人公の変化を極めて見事に表現している。
しかしながら、親の紹介で、ミセス・ロビンソンの娘、幼なじみのエレーンとデートすることになり、彼はエレーンに惚れてしまう。
ミセス・ロビンソンは嫉妬に狂う。
ベンジャミンに「私との関係を娘にバラすわよ」と脅すが、彼は逆に、エレーンに事実を告げてしまう。
激怒するエレーン。
ここで、ミセス・ロビンソンとの関係も終わる。
ミセス・ロビンソンからの「卒業」。
それから、正にストーカーのようにエレーンを執拗に追い掛けるベンジャミン。
彼女の通う大学に行き、近所にアパートまで借りる。
僕なんかは、最初は拒んでいたエレーンのどっちつかずの態度も問題だと思うのだが。
既に医学部生の彼氏がいるのだから、はっきりすればいいのだが。
やはり、ベンジャミンのことが忘れられなかったのか。
で、話は急展開し、エレーンは大学をやめて、この医学生と結婚することになる。
おそらく、彼女の親の意向も働いているのだろう。
ベンジャミンは結婚式場に押し掛け、正に結婚式の最中に、エレーンを連れ出す。
思い切り結末まで話してしまったが、まあ、パロディー化もされまくっているメチャクチャ有名な場面だから、いいだろう。
このラストも、「卒業」を象徴しているのか。
まあ、話自体は大したことはない。
「若気の至り」の一言で片付きそうな気もする。
それほどまでして、大人に反発したかったのか。
ただ、自在に動くカメラがうまい。
編集のテンポもいい。
そして、サイモン&ガーファンクルの音楽が素晴らしい。
サウンド・オブ・サイレンス』なんか、この曲が流れ出しただけで、他のことはどうでもよくなる。
正に反則だ。
この音楽があったからこそ、名作になり得たのだろう。