『ガントレット』

この週末は、ブルーレイで『ガントレット』を見た。

ガントレット [Blu-ray]

ガントレット [Blu-ray]

1977年のアメリカ映画。
監督・主演はクリント・イーストウッド
彼の監督、出演作は多数あり、最近、その多くが(傑作、駄作問わず)ブルーレイ化されている。
まあ、人気があるからだろう。
実を言うと、今回見るまで、この作品のことは知らなかったのだが。
オープニングは夕暮れの大都市(アリゾナ州らしい)。
ジャズ調のテーマ曲。
この街の警察官ベン・ショックリー(クリント・イーストウッド)は、広い道路を横切って車に乗り込む。
ハイウェイを走る。
停車してドアを開けると、ジャック・ダニエルの小瓶が落ちて割れる。
警官なのに飲酒運転か。
コーデュロイのジャケットに、ネクタイも締めず、無精ひげもそのままのだらしない警官。
彼は新任の警察署長官ブレイクロックから、ある事件の裁判で出廷予定の証人の身柄引き取りを命じられる。
行き先はラスベガス。
現地に着いて、タクシーで移動する間も、ジャック・ダニエルのミニチュア・ボトルを手放さない。
完全にアル中だな。
クリント・イーストウッドは、『ダーティハリー』みたいな荒くれ警官が好きだな。
ショックリーは、移動を嫌がる証人の女ガス・マリー(ソンドラ・ロック)を無理矢理車(カモフラージュ用の救急車)に押し込む。
このソンドラ・ロックというのは、当時イーストウッドと付き合っていて、後に別れて大モメした女優。
ちょっと病的な感じで、ヒステリックに何かわめき立てている。
彼女が言うには、誰かがショックリーの護送の失敗に賭けをしているとか。
もちろん、彼は信じない。
移動中も、マリーは卑猥な言葉を連発する。
彼女は娼婦なのだ。
救急車を止め、車を乗り換えようとしたら、いきなりその車が爆発する。
ショックリーは救急車を運転し、マリーを乗せて、裏道で空港へ向かおうとする。
怪しい黒い車が、その後をつけて来る。
のみならず、発砲までして来た。
ショックリーは、マリーに銃を渡して、応戦するように命じる。
当たった。
ここからカー・アクション。
救急車は、とりあえずマリーの家に着き、二人は中に隠れる。
ショックリーは、電話でアリゾナの警察に応援を頼む。
マリーはショックリーを誘惑するが、拒まれる。
何故か、マリーの家の周囲に、何十台ものパトカーが集結して来た。
ショックリー達は、完全に包囲されてしまったのである。
マリーは「トイレに行く」と言って、逃げてしまった。
周りの警官達が一斉に発砲する。
マリーの家はハチの巣に。
あまりの銃の勢いに、家が壊れる。
まるで、ドリフのコントのようだ。
ショックリーは、地下室から外につながる抜け道を見付ける。
マリーは先に逃げて、外にいた。
ショックリーはマリーを連れ、ガソリン・スタンドの前で休憩する警官に銃を突き付け、車に乗り込む。
先程、ショックリー達の乗る救急車を追い掛けて来た黒い車は、実は地元警察のもので、ショックリーは逃走中の犯人扱いをされていたことを、この警官から聞かされる。
何だか、よく分からない。
そもそも、マリーが出廷する裁判には、マフィアが絡んでいるのか?
彼女は終始、目をひん向いて、ヒステリックにわめき散らす。
ショックリーは、途中で車を止めさせ、アリゾナのブレイクロックに電話をする。
州境で証人を引き渡すように、との指示。
ショックリーは、州境まで送るように警官に命じる。
マリーの挑発に逆上するポリ。
これでも、彼女は大卒らしい。
当時は、大卒の娼婦なんて珍しかったんだろうな。
結構、荒唐無稽なストーリーである。
マリーが、もしかすると黒幕はマフィアではないのではないかと忠告する。
ショックリーは、ブレイクロックからニセの指示を受けたのかも知れない。
彼女の言うことを信じたショックリーは、州境に着く前に、二人で車を降りる。
果たして、州境には警察が待ち伏せしており、二人が降りた後の車は、警官もろともハチの巣にされたのであった。
とりあえず、洞窟に逃げ込む二人。
火を焚いて夜を明かす。
マリーの予想では、どうやら殺されてもいい警官(つまり、ショックリー)が任務に選ばれたようだ。
マフィアと警察が、証人が裁判に出廷しないことに賭けていると。
更に、ブレイクロックはマリーの客であった。
警察長官が買春とは、これはスキャンダルだ。
つまり、売春婦もろとも、もみ消したいということなのか。
ショックリーとマリーの運命や如何に?
イーストウッドとソンドラ・ロックは、何だか『ゲッタウェイ』のスティーヴ・マックイーンアリ・マッグローのようである。
この後、バイクが出て来て、『イージー・ライダー』みたいになる。
それから、ヘリが追い掛けて来て、『ミッション:インポッシブル』のようにも。
その上、バスが出て来て、『スピード』も混ざって来る。
最後の方の警官隊の大集合は『西部警察』か。
今回のイーストウッドは、『ダーティハリー』程のアンチ・ヒーローではない。
ソンドラ・ロックがヒロインとしては安っぽい。
警察長官のキャラクターが、ちょっと類型的過ぎる。
と、まあ、ケチの付けどころはいっぱいある。
しかし、とにかくアクションは派手である。
如何にも、『日曜洋画劇場』で放映しそうだ。
この時代は、こういう映画が受けたのだろうか。