『ダーティハリー』

この週末はブルーレイで『ダーティハリー』を見た。

ダーティハリー [Blu-ray]

ダーティハリー [Blu-ray]

1971年の作品である。
刑事映画の大傑作であり、後の刑事ものの映画やドラマは、ほとんどが本作の影響を受けていると言っても過言ではない。
クリント・イーストウッドは、この1本で大スターになった。
昔、やたらとテレビの洋画劇場で放映されていたような気がするが、ちゃんと見たのは今回が初めてである。
とにかく、イーストウッド演じるキャラハン刑事がかっこいい。
男の中の男だ。
彼の素性は詳しくは語られないが、随所に織り込まれた細かなしぐさから人となりが伺える。
彼は一匹狼で、常に上層部の官僚主義と闘っている。
今回は、偏執的な知能犯が相手だ。
この犯人が本当にイヤなヤツで、非人間的な手段を使って警察を手玉に取る。
正に「劇場型犯罪」の走りだろう。
犯人の身の上や犯行動機なども詳しくは語られないが、そのことでより不気味さを醸し出すことに成功している。
本作は、完全なB級映画で、派手なアクションなどはほとんどない。
続編になると、1作目の大ヒットで予算が増えたのだろうが。
この作品の面白さは、脚本の勝利だ。
とにかく、画面から目が離せない。
僕の父は刑事ドラマが好きだったので、よく見ていたが、それらの原点はここにあるのだ。
公開当時は、『ゴッドファーザー』『時計じかけのオレンジ』『わらの犬』などと並んで「暴力映画」などと呼ばれたそうだが、現代の目から見ると、むしろ抑制された暴力描写である。
何度も見返したくなる作品だ。
これこそ、すぐれた娯楽映画だろう。