『空軍大戦略』

この週末は、ブルーレイで『空軍大戦略』を見た。

1969年のイギリス映画。
監督はガイ・ハミルトン
主演はローレンス・オリヴィエ
実のところ、オリヴィエが主演ということで見たのだが、彼はイギリス空軍大将という偉い役どころではあるものの、出番は本当に少ない。
本作自体、戦争を時系列に沿って描くことに主眼が置かれている。
群像劇になっており、これと言ってストーリーもない。
最初は、飛び立つ軍用機から始まる。
そして、空軍基地への空襲。
大規模な爆破シーンがある。
ローレンス・オリヴィエが登場し、「ドイツの侵攻を阻止する」と述べる。
原題は『Battle of Britain』。
第二次世界大戦前期、1940年7月から10月にかけて行われたイギリス本土上空の制空権を握る英独の戦いを描く。
実際の軍用機を多数投入した大空中戦が見どころ。
僕も小学生の頃、一時プラモデル作りに熱中したことがあったので、メッサーシュミットスピットファイアはよく分かる。
テーマ曲は運動会の行進曲のよう。
イギリス映画だから当たり前だが、いつもドイツは敵として描かれる。
ドイツ軍、イギリス軍のそれぞれの様子を描くので、ドイツ語と英語が交互に飛び交う。
空軍が優勢だったドイツがイギリスを攻める。
ドイツ軍の戦闘機は2500、対するイギリスは600。
単純計算で、イギリス軍は、1機で4機のドイツ軍機と戦わなければならない。
ドイツ軍は、海を越えてイギリス軍のレーダーを爆撃する。
空中戦。
敵機来襲を知らせるサイレンは手回し式。
この爆撃シーンはスゴイ。
撮影は大変だったろう。
イギリス軍には多数の死者が出た。
しかし、ラジオは大本営発表
イギリス軍の反撃。
ドイツの爆撃機を撃墜する。
本物のパラシュートで脱出。
イギリス軍の作戦ルームが、いきなり空襲されたりもする。
8月、戦局を一変させる事態が発生する。
夜間爆撃を行ったドイツの爆撃機が誤ってロンドン市街地に爆弾を投下してしまった。
イギリスは直ちに報復としてベルリンの夜間空襲を行う。
ドイツ側の直接的な被害は小さかったが、面子をつぶされたドイツ国家元帥ゲーリングは激怒し、以後、空襲目標は軍事施設から市街地への無差別爆撃へと変わる。
ヒトラーの演説によって、ベルリン空襲の報復に、ロンドンを徹底的に叩くことが決まったのである。
それはロンドン市民にとっては耐え難い事態であったが、イギリス空軍にとっては力を盛り返すきっかけでもあった。
この空襲のシーンは痛々しい。
やっぱり、戦争に一般市民を巻き込んじゃいかん。
農家の人たちが、鋤や鍬を持って訓練する場面もあり、日本の竹槍訓練と大して変わらない。
ローレンス・オリヴィエは言う、「何より必要なのは飛行士だ」と。
少々メロドラマもある。
戦争映画には不要だと思うが。
ドイツがロンドン爆撃に集中している間、飛行場への爆撃が手薄になる。
だから、反撃のチャンスが生まれる。
急ごしらえの新人を飛行機に乗せる。
日本でも、ゼロ戦に少年パイロットが乗った。
言葉の通じないポーランド人も、イギリス軍の飛行機に乗る。
結果として、イギリス軍の大反撃によりドイツ軍は撃退されるのだが、たくさんの人が死んだ。
戦争の悲惨さに変わりはない。
本作は、戦闘シーンは大変な迫力だが、ドラマとしては見るべきところがない。
まあ、評価としては微妙だ。
1969年の洋画興行収入7位(ちなみに、1位は『ブリット』)。
4位に『荒鷲の要塞』が入っているから、戦争映画が流行っていたとは言えるだろう。