『史上最大の作戦』

この週末は、ブルーレイで『史上最大の作戦』を見た。

1962年のアメリカ映画。
監督は、各国のパートで分担されているため、ケン・アナキン、ベルンハルト・ヴィッキ、アンドリュー・マートンの3人。
ジョン・ウェインを始め、ヘンリー・フォンダリチャード・バートンなどの豪華キャストが出演している。
第二次大戦において有名なノルマンディー上陸作戦を映画化したものだが、映画史上においても極めて有名な作品である。
僕は小学生の頃、近所に住んでいた友人O君の家で、本作を録画したものを見た記憶がある(彼の家には、当時珍しくビデオ・デッキがあった)。
しかし、小学生には難しかったのか、「白黒の戦争映画」という印象しかない。
今回、約30年ぶりに改めて見た訳である。
60年代前半の超大作映画だが、上に書いたようにモノクロである。
そのため、記録フィルムのようなリアリティーが出ている。
最初はドイツ占領下のフランス。
独仏語が飛び交う。
海岸では、ドイツ軍が連合軍の上陸に備えている。
現題は『THE LONGEST DAY』。
ベートーベンの『運命』が流れる。
今度はイギリスのキャンプ。
英語に変わった。
悪天候がずっと続いている。
作戦は今夜始まるという。
ドイツは、未だ気付いていない。
イギリス軍は、フランスの海岸まで、三日間船に乗って来る。
イギリス軍は、皆猛烈な船酔いに襲われている。
アメリカ軍の中佐役でジョン・ウェイン登場。
本作は群像劇であり、ドラマらしいドラマはない。
イギリス軍にはリチャード・バートン登場。
作戦前夜の様子が描かれる。
戦争映画というのは、何も考えずに見られるね。
ドイツ側は、天気が悪いからイギリスは来られないと思っている。
ましてや、条件の悪いノルマンディー上陸はないと。
だが、今夜決行なのである。
ラジオで暗号が放送される。
フランスのレジスタンスも立ち上がる。
ようやくドイツ軍も気付く。
夜中に、ノルマンディーにはグライダー奇襲部隊が向かう。
戦闘開始。
彼らは、敵の目を欺くため、人形を落とす。
パラシュートの落下に失敗して、死ぬ者多数。
一方、レジスタンスは鉄道の線路を爆破する。
転覆する汽車。
場面換わって、ジョン・ウェインが骨折する。
ドイツは、ノルマンディーを陽動作戦だと思っている。
アメリカ軍のルーズベルト准将役でヘンリー・フォンダ登場。
ドイツは、総統が寝ていたため、作戦の指示が出来なかった。
歴史に残る大失態だ。
夜明けと共に、イギリス軍の大船団が向かって来る。
その数5000隻。
大艦砲射撃。
オマハビーチ、午前6時32分。
派手な爆破シーン。
カネは相当掛かっている。
上陸する前に兵士がどんどん撃たれる。
被害甚大。
ユタビーチ、午前6時44分。
各地で同時多発的に上陸作戦が繰り広げられる。
作戦の映像は、まるで記録フィルムのようである。
ゴールドビーチ、午前6時49分。
戦闘機目線からの空中撮影が素晴らしい。
地獄の黙示録』のようだ。
ソードビーチ、午前6時53分。
ショーン・コネリーがイギリス軍の兵士役でちょっとだけ登場。
伝書鳩を飛ばしたのに、敵の方へ飛んで行くというお笑いシーンあり。
フランス人は、当然ながら連合軍の上陸を大歓迎し、酒を飲みながら浮かれている。
ドイツ軍は、空から機銃掃射を浴びる。
ドイツにとっては、正に予想外のノルマンディー上陸。
オック岬、午前7時11分。
兵士達が崖を登るのが大変そうだ。
当然ながら、この映画は連合軍の視点から作られている。
ドイツ、総統がお目覚め。
癇癪を起しているので、誰も作戦について相談出来ない。
ドイツの悲劇は、指導者の人格にあったのかも。
ちなみに、ヒトラーは画面に登場しない。
この後の市街戦もスゴイ。
オープン・セットにしても、よくこれだけのものを作れたと思う。
いつも同じことばかり言って恐縮だが、現在ではとても実写では撮れない映像だろう。
全体としては、非常に淡々としているが、よくこれだけ大規模な作戦を映画で再現したものだ。
ラストのテーマ曲は非常に有名。
本作は、1962年、63年の2年連続で日本における洋画興行収入1位(ちなみに、邦画の1位は62年が『天国と地獄』、63年が『にっぽん昆虫記』)。
余談だが、62年の邦画の興行収入4位は、ゴジラ映画史上最多の観客動員を記録した『キングコング対ゴジラ』である。
同作の観客動員数は約1200万人。
史上最大の作戦』は、『キングコング対ゴジラ』の約2倍の興行収入があったので、単純に計算して、2000万人以上が観たということか。
今では、こんな記録フィルムのような映画に観客が殺到するというのは、ちょっと考えにくい。
当時の観客のレベルの高さが伺える。
アカデミー賞撮影賞、特殊効果賞受賞。