『青い珊瑚礁』(1980)

この週末は、ブルーレイで『青い珊瑚礁』を見た。

1980年のアメリカ映画。
監督はランダル・クレイザー。
主演はブルック・シールズ
1948年公開の同名映画のリメイクである。
1948年版はジーン・シモンズ主演と聞いて、ビックリ。
ある世代は、本作でブルック・シールズに夢中になったらしい。
皇太子が彼女のファンだったことは有名。
しかし、我々の世代は、微妙にそこからはズレていて、『青い珊瑚礁』と聞くと、まず真っ先に松田聖子の歌を思い浮かべる(時期は同じ頃だが)。
こういう映画を好みそうな時期には、むしろフィービー・ケイツの『パラダイス』(内容は本作の完全な焼き直し)の方が見た連中は多そうだ。
それにしても、ブルック・シールズというのは、名前は有名だが、本作以外には『プリティー・ベビー』と『エンドレス・ラブ』くらいしか代表作はないだろう。
「子役は大成しない」ということか。
本作は、1991年にミラ・ジョヴォヴィッチ主演で再度リメイクされた(邦題は『ブルーラグーン』)。
僕は、本作を最初に見たのがいつだか覚えていない。
以前に見たことがあるとは思うのだが。
まあ、その程度の映画だということだ。
本編は、大海原を帆船が進んでいる場面から始まる。
船に乗っている少年リチャードと少女エメラインはブルジョワジー
一方、乗組員の水夫はプロレタリアート
突然、船が火事になる。
船倉には爆薬が積んであるらしい。
二人の子供は、水夫と一緒に救命ボートに乗る。
保護者(少年の父、少女の伯父)であるアーサー・レストレンジ(ウィリアム・ダニエルズ。『卒業』に出ていたな)とは離れ離れになってしまう。
船は爆発。
この場面は明らかにプールでの撮影(波がない)。
爆発する船も、音だけで姿は見えず。
少年・少女と水夫の3人は海の上を漂流。
程なくして陸地が見える。
海はエメラルド・グリーンで本当にキレイだ。
この水夫は芋洗坂係長みたいな体型。
3人は、この島に上陸する。
都合良く水とバナナ発見。
更に、ガイコツも見付かる。
子供達は、上流階級だが何も知らない。
水夫は、二人にサバイバルの仕方を教える。
素っ裸で泳ぐ子供達。
今の日本では、これは児童ポルノに当たるだろう。
ブギーマンという原住民が出て来るが、彼らは食肉人種という設定である。
ロビンソン・クルーソー』並みに差別的だ。
未開の島で暮らしているはずなのに、子供達の服は全然汚れない。
水夫は、酒を飲み過ぎ、酔っ払ったまま泳いで死んでしまう。
残された二人の子供達は如何にして生きるか。
リチャードは魚を銛で突いて捕まえる。
「獲ったどー!」
二人はいつの間にか成長。
多分15歳くらいだろう。
二人だけでクリスマスを祝う。
エメライン、初潮を迎える。
そこへ、嵐が来る。
一応、これで時間の経過を表現している。
島の自然の映像は、海洋ドキュメンタリーのようだ。
アカデミー賞撮影賞にノミネートされただけあって、映像は美しい。
泳いでいる二人に変な光の合成。
おそらく、裸をごまかすためだろう。
ちなみに、ブルック・シールズが脱ぐ場面は代役である。
どこからか原住民の太鼓の音が。
祭祀の跡も見付かる。
この辺から、とにかく延々と思春期の描写。
いい歳したオッサンが細君と一緒に見ていると、こっぱずかしくなる。
はるか彼方の海上に船を発見。
だが、行ってしまう。
リチャードはいかだを作って脱出しようとするも、失敗。
二人はケンカし、仲直りする。
そして、二人は結ばれる。
まあ、ストーリーは分かり切っているというか、これ以上展開のしようがない。
で、エメラインは妊娠。
夜、原住民が踊っている。
神に生け贄(人間)を捧げる。
ステレオタイプな野蛮人の描写。
原住民は出て来るものの、結局、二人との接点はない。
エメライン、出産。
赤ちゃん役は大変だ。
生まれたばかりなのに、こんな辺鄙な南の島で撮影されるなんて。
二人は、赤ちゃんの育て方が分からない。
これでは児童虐待だ。
浜辺で、水夫の骨が見付かる。
川口浩探検隊のようなピカピカの白骨。
ああ、あらすじを書くのも疲れて来た。
まあ、大した話ではない。
ロビンソン・クルーソー』に『ロミオとジュリエット』を混ぜたような感じ。
ブルック・シールズのファンでなければ、キツイだろう。
細君曰く、「もう二度と見なくていい」と。
それにしても、こんな結末とは。
1980年の洋画興行収入9位(1位は『スターウォーズ/帝国の逆襲』。ちなみに、邦画の1位は『影武者』)。
こんなのが流行った時代もあったということか。