『バーバレラ』

この週末は、ブルーレイで『バーバレラ』を見た。

バーバレラ [Blu-ray]

バーバレラ [Blu-ray]

1968年のイタリア・フランス映画。
監督はロジェ・ヴァディム
ブリジット・バルドーカトリーヌ・ドヌーヴと浮名を流した人だ。
まあ、本作も自分の奥さんのプライヴェート・フィルムみたいなものだが。
製作は、『道』『戦争と平和(1956)』『天地創造』『バラキ』『キングコング(1976)』の大プロデューサー、ディノ・デ・ラウレンティス
脚本は、『博士の異常な愛情』『イージー・ライダー』のテリー・サザーン
主演は、『万事快調』『チャイナ・シンドローム』のジェーン・フォンダ
本作の製作時点で、監督とは夫婦であった。
僕が本作の存在を知ったのは、確か小学生の頃、よく立ち読みしていた雑誌『宇宙船』に載っていたからであった。
何か、エロそうなコスチュームのフィギュアか何かの写真を見て、「一体どんな映画なんだろう?」と思った記憶がある。
それから数十年を経て、ようやく実際の作品を見る機会が出来たのであった。
パラマウントテクニカラーシネスコ
舞台は4万年後(?)の宇宙。
女宇宙飛行士のバーバレラ(ジェーン・フォンダ)が宇宙服で遊泳しながら、ゆっくりと服を脱いで行くところから始まる。
まあ、ロジェ・ヴァディムは、ひたすらジェーン・フォンダを美しく撮りたかったらしい。
テーマ音楽はフレンチ・ポップス風。
で、タイトル・ロールの終わる頃には、裸になったバーバレラ。
完全に、お色気映画である。
大統領からバーバレラにテレビ電話が掛かって来る。
陽電子光線発生装置とかいう兵器を発明したデュラン・デュラン博士(ミロ・オーシャ)が行方不明になったので、捜すように命令される。
セリフは英語。
大統領と話すのに、バーバレラは裸のままである。
まあ、全体的にコメディーだと思って見た方が良い。
しかし、バーバレラの衣装はエロチックだな。
特撮は前時代的である。
1968年と言えば、SF映画の歴史に残る『2001年宇宙の旅』と『猿の惑星』という二大名作が公開された年だが、こんなカルトっぽい映画もあったということだ。
で、バーバレラは、くじら座タウ・セティ系に向かう。
こうして見ると、ジェーン・フォンダは、姪のブリジッド・フォンダに似ているな。
当たり前か。
ブリジッド・フォンダは好きだったのだが、今、どうしているのだろう?
それはさておき。
本作のストーリーは、あって無きが如しである。
バーバレラの宇宙船は、第16惑星に不時着する。
惑星の景色は、思い切りセットである。
謎の双子の女の子に雪の塊を投げ付けられる。
言葉は通じない。
ヘンなエイのような生き物の引くスキーに乗せられる。
途中でデュランの宇宙船の残骸を発見する。
子供達の家らしき所に着くと、双子のクソガキどもが多数いる。
そこへ大人が帰って来る。
生意気なクソガキどもは、何と網で捕らえられる。
今の日本でこんなことをやったら、即新聞沙汰になるだろう。
で、そのヒゲのオッサンは名前をマーク・ハンドといった。
英語もフランス語も通じないので、バーバレラは翻訳機を使う。
マーク・ハンドは、バーバレラを助けてくれた。
で、オッサンはお礼として「君とセックスさせてくれ」という。
何とストレートな!
この時代の地球のセックスは、ピル(媚薬)を飲んで、お互いの手のひらを合わせるというものであった。
しかし、オッサンは旧式のセックス、つまりベッドの上で抱き合いたいという。
これは、この時代の地球人の感覚では、原始的で野蛮なのだとか。
終わると、バーバレラはオッサンが用意した、原始人のような毛皮を着る。
そして、不時着した時に壊れた宇宙船を直しに行く。
地下3000フィートに建設された巨大な夜の都市ソゴに行けと。
バーバレラは宇宙船に乗ったが、故障して、元の場所に戻ってしまう。
彼女はどんどん着替えて、まるでジェーン・フォンダのファッション・ショーである。
彼女が宇宙船の前で投げ出されて倒れたところを、羽根を持った(裸の)天使みたいな青年パイガー(ジャン・フィリップ・ロー)に助けられる。
彼は目が見えない。
そして、最早飛ぶことも出来ない。
彼の住んでいる地域は迷路状になっている。
時々、眉のように糸に包まれた人間がいる。
で、壊れた宇宙船を修理するピン教授は、デュラン・デュランのことを知っているらしい。
デュランはやはり、ソゴにいるのだとか。
それにしても、こんな原始人みたいな人達が、よく宇宙船を修理出来るな。
しかしながら、彼らはこの迷路から出ることは出来ない。
ピン教授は宇宙船を直した。
だが、ムチを持って鎧を着た黒衛兵にやられるバーバレラ。
この黒衛兵は、破壊すると中身が空っぽで、まるでゴキブリである。
こいつらは、ソゴを支配する黒い女王(アニタ・パレンバーグ)の手先なのだとか。
ピンチのところ、バーバレラはパイガーに助けられる。
パイガーは、バーバレラとセックスをして、再び空を飛べるようになる。
彼はバーバレラを抱えて飛ぶ。
すると、偵察機に狙われる。
特撮は、実にチャチである。
ようやくソゴに着いたと思ったら、バーバレラは捕らえられてしまう。
さあ、これからどうなる?
本作は、全体的にテンポが良くない。
そして、正直なところ、あまり面白い映画ではない。
後半、バーバレラがセキセイインコの群れに襲われる、ヒッチコックの『鳥』みたいなシーンもある。
バーバレラがストッキングを破かれて、傷だらけになるのは、何のSMか。
美術も奇妙である。
ワザとなんだろうけど。
とにかく、ヘンな映画である。
辻褄も何もあったもんじゃない。
ただただ、スケベ心で楽しむ映画。