この週末は、ブルーレイで『大地震』を見た。
- 出版社/メーカー: ジェネオン・ユニバーサル
- 発売日: 2013/11/27
- メディア: Blu-ray
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監督はマーク・ロブソン。
僕が本作を初めて見たのは、小学生の頃、テレビの洋画劇場であったと思う。
その後も、ビデオやDVDなどで見た記憶がある。
僕は昔からパニック映画の類が大好きであった。
本作を真似て、日本では『地震列島』が作られた。
『地震列島』はダークトーンの映画で、これを見た母は、「アメリカのよりも迫力あるな」と言っていた。
しかし、人類史上に残るような大震災を経験した今となっては、所詮、映画は映画である。
まあ、本作も1971年にロサンゼルスで実際に起きた大地震をモデルにして作られたのであるが。
主演はチャールトン・ヘストン。
大スターなので、説明は省略。
ヘストンの奥さん役はエヴァ・ガードナー。
昔は美人だったんだろうが、キツイね。
彼女は『天地創造』や『カサンドラ・クロス』にも出ていたな。
それから、ヘストンの相棒役はジョージ・ケネディ。
『エアポート』シリーズを始めとして、パニック映画の顔である。
『大地震』と同じ年に製作された『エアポート'75』でも、ヘストンと共演している。
彼は『暴力脱獄』でアカデミー賞助演男優賞を獲得した名脇役である。
日本でも、『人間の証明』や『復活の日』など、角川の大作に出演した。
ハゲで腹の出たオッサンだが、味のある役者だ。
音楽はアメリカの大作映画でおなじみのジョン・ウィリアムズ。
脚本はマリオ・プーゾである。
『ゴッドファーザー』の原作者として名高いが、彼は本作や『スーパーマン』など、娯楽映画の脚本も書いている。
さて、本作はロサンゼルスの空撮から始まる。
ハリウッドをバックにして、道路をマラソンするスチュアート(チャールトン・ヘストン)。
彼は妻のレミー(エヴァ・ガードナー)と仲が悪い。
レミーは今で言うところの「かまってちゃん」で、何度も睡眠薬を飲んで自殺未遂を図っている。
今日も朝から薬を飲んでベッドに倒れていた。
スチュアートは、そんな彼女に愛想を尽かしている。
そこに地震が起きる。
飛び起きるレミー。
本作は、他の多くの70年代パニック映画と同様、「グランドホテル方式」を採っている。
そのため、色々なエピソードが同時並行で紹介される。
今朝の地震を受けて、ダムの点検が行われた。
マグニチュード3.1だったらしいが、それにしては揺れが強い。
震災後の東京では、3.1くらいの地震で騒ぐヤツは誰もいない。
ダムのエレベーターから謎の水死体が出て来る。
一方、街では警官のルー(ジョージ・ケネディ)が殺人犯を追ってカー・チェイスを繰り広げている。
彼は、腕はいいが、少々やり方が荒っぽいので、いつも問題になるのであった。
今回も、市警の管轄外の郡まで犯人を追い掛け、抗議した郡の警官を殴ってしまう。
その一方、スチュアートは不倫相手の若い女優デニスの家へ行く。
彼女は子持ちだが、若くてキレイだ。
子供がいる設定にしては若過ぎる。
今度はカリフォルニア地震研究所。
若い科学者がデータを分析して、「大地震が近い」と言う。
ベテランのアダムス博士は、断層を調べていて、また起きた地震で生き埋めになってしまう。
未だ大地震の前震なのだが、土砂崩れが起きるって、かなりの揺れのはずだよ。
本作の描写は、ちょっと大げさ過ぎるように思える。
更に、黒人のスタントマンがバイクのスタントの準備をしている。
場面変わって、ルーが制服のまま行き付けのバーで酒を飲んでいる。
荒れているようだ。
またも場面が変わり、地震研究所。
先程の若い科学者が「48時間以内にマグニチュード7以上の大地震が起こる」と発言。
でも、相手にされない。
そもそも、そんなに簡単に地震の予知なんて出来るのかね。
東日本大震災でも、前々日に仙台で震度5の地震があったが、大地震を予知していたとは聞かない。
それから、「マグニチュード7」では大地震のように思えないのは、最早われわれの感覚がマヒしているからか。
そんなことしている内に、またもや強めの地震。
スチュアートは建設会社に勤めている。
彼の勤めている会社の社長の娘が、彼の奥さんだ。
ダムに話を移して、度重なる地震で細かいヒビが入っている模様。
次に、地震研究所の所長が市長に警告するが、やはり相手にされない。
その後、スチュアートと若い女優のメロドラマ。
いつも思うが、こういう映画にメロドラマはいらない。
興醒めする。
そんなことしている間に、知事が臨時で軍隊を召集する。
コンビニ店員の兄ちゃんにも呼び出しがある。
スチュアートには、会社から「社長になれ」という辞令が下る。
彼は、不倫相手とのある約束があるので、「考えさせてくれ」と言う。
ここまでが前半のドラマ部分。
一応、群像劇になっている。
一つ一つのエピソードを細かく描いているのだが、残念ながら、やや冗長な感じ。
文章にすると尚更分かりにくい。
ついに大地震発生。
映画館、ダム、スタントのセットで大きな揺れ。
ビル街では大量の落下物。
ハイウェイでは高架を走っていたトラックが下に落ちる。
高圧鉄塔も倒れる。
住宅が壊れる。
地割れ。
崩れるビル。
エレベーター落下。
噴き出す水。
爆発。
ひどい被害である。
ミニチュアも使っているが、実物大セットを破壊して、なかなかの迫力である。
ただ、木造住宅の壊れ方が地震のようには見えない。
本物の地震では、あんな風に倒れないと思う。
電話も不通。
火災が発生する。
地震の被害というのは恐ろしいものである。
スチュアートが会社のビルに戻ってみると、途中の階段が切れていて、上の階に社長達が取り残されている。
スチュアート、救出に活躍する。
この件は、『タワーリング・インフェルノ』に似ている。
あちらの方がスリリングだが。
ダムでは決壊を恐れて放水する。
下流に水が流れて行く。
警官のルーも活躍する。
壊れた街のロング・ショットには、マット・アートが使われている。
実際には、ほんの数分の出来事であろう地震の描写が長い。
まあ、ここが見せ場なので、仕方がないか。
揺れる場所は、一応全て前半のドラマの部分で伏線があった。
軍隊が繰り出して来て、強権を発動し、治安もメチャメチャになる。
ここら辺が、先の震災を経験した日本人としては、ちょっと荒唐無稽に感じるところ。
日本人の良識的な態度には、世界中が感嘆したらしいが。
略奪、レイプはともかく、軍人が一般人を理由もなく射殺するなんて、如何に非常時とは言え、そう簡単に起こり得るだろうか。
「地震で正気をなくした人間が多い」というセリフがあるが、なくし過ぎである。
もう少し脚本を練って欲しかった。
それにしても、甚大な被害である。
マグニチュード7クラスとは思えない。
東京でも、直下型ならこんな風になるのだろうか。
更に、余震も頻発する。
最初の地震で崩れずに残った建物も、弱っているので、少しの揺れで倒壊する。
これは、我が国でもよく言われていることである。
そして、とうとうダムが決壊!
このシーンは、昔の東宝特撮(『モスラ』だったかな)を思い起こさせるようなミニチュアである。
結末には色々な意見があるだろうが、ここには書かない。
1975年の洋画興行収入2位(1位は『タワーリング・インフェルノ』)。
7位には、本作と同じくチャールトン・ヘストン、ジョージ・ケネディが出演した『エアポート'75』が入っている。
パニック映画の当たり年と言えよう。
ただ、映画の完成度としては、『タワーリング・インフェルノ』や『ポセイドン・アドベンチャー』の方が断然上。
地震は、映画にするにはスケールが大き過ぎたか。
音響効果では、センサラウンド方式という、地震の振動を疑似体験出来る重低音が話題になった。
アカデミー賞音響賞、特別賞受賞。