『大アマゾンの半魚人』

この週末は、ブルーレイで『大アマゾンの半魚人』を見た。

1954年のアメリカ映画。
監督はジャック・アーノルド。
主演は、リチャード・カールソン、ジュリー・アダムス。
音楽に、巨匠ヘンリー・マンシーニが参加している。
余談だが、先日の大阪出張であちこち動き回り過ぎたせいか、なかなか疲れが取れず、この週末も眠くて仕方がなかった。
だから、頭を使う名作より、こういう肩の凝らない映画を見ようと思ったのだが(もちろん、このジャンルでは古典的「名作」である)。
いやあ、眠気に勝てず、結局、2回に分けて見た。
79分という短い映画なのに。
最近、こういうことが多い。
歳だろうか。
半魚人というのは、ドラキュラ、狼男、フランケンシュタインに次いで、ユニヴァーサル映画が生み出した怪物である。
本作は、僕がいつも参考にしている映画ガイド(メディアックスの『カルトムービー 本当に恐ろしいホラー映画』)にも載っている。
名前は誰でも知っているが、その大元の作品を見た人は少ないだろう。
という訳で、見ることにした。
モノクロ、ワイド。
この時代の日本のSF映画(『ゴジラ』等)は、未だスタンダード・サイズだが、シネマ・スコープが誕生したのが1953年だから、ワイドでもおかしくないか。
それとも、このブルーレイが天地をカットしているのか。
本作は、3D映画らしい。
設備があれば、自宅でも3Dで見ることが出来るが、もちろん我が家にはそんなものはないので、2Dで見た。
モノクロの立体映画って。
僕が小学生の頃にも立体映画のブームがあって、『ジョーズ3D』なんかを劇場で立体メガネを掛けて見たが。
あれは、頭が痛くなるんだよね。
立体映画独特のヘンな演出(わざわざどうでもいい場面で何かが飛び出して来る)もあって、僕は好きになれなかった。
話しが逸れた。
テーマ音楽は、『ゴジラ』を軽くしたような感じである。
「In the beginning...」というナレーションで、聖書の「創世記」の解説。
映画『天地創造』みたいだ。
もちろん、半魚人が出て来るようにアレンジしてある。
1500万年前の半魚人の生き残りが、アマゾンにいるらしい。
この半魚人が、『ウルトラQ』に出て来る海底原人ラゴンとソックリである(もちろん、ウルトラ怪獣の方が真似をしたのだろうが)。
有名な地理学者カール・マイア博士(アントニオ・モレノ)が、アマゾン河畔で半魚人の手の化石を発見する。
その時、思わせ振りに川の中から半魚人の手が。
それにしても、化石をこんなにぞんざいに扱っていいのだろうか。
海洋生物学研究所で、デヴィッド・リード博士(リチャード・カールソン)、マイク・ウィリアムス博士(リチャード・デニング)、リードの恋人で助手のケイ・ローレンス(ジュリー・アダムス)らが説明を受ける。
リードは、肺魚を研究しているらしい。
今回の半魚人の化石は、デボン紀(約4億年前)の石灰岩の中から発見された。
リードは、「肺魚は陸に上がりそこねた」と言う。
もっともらしい設定だが、両生類もどきの肺魚と、半分人間の半魚人とは、大分違うような気がするが。
で、一行は探検隊を組んで現地へ調査に向かう。
夜、半魚人が上陸し、テントにいた二人の現地人助手を襲う。
こういう時にやられるのは、何故か有色人種である。
非常に差別的だな。
探検隊は、船でアマゾンをさかのぼる。
何となく、『地獄の黙示録』のよう。
大アマゾンは、デボン紀の頃から変わっていないらしい。
一行は、襲われたテントの跡を発見する。
まあ、怪物映画にありがちなのかも知れないが、ジュリー・アダムスは完全にお色気担当である。
やたら、短いキュロットやら胸元を強調した衣装で出て来る。
化石の残りの部分は、なかなか発見されない。
現地人が「魔物が棲む」と恐れる、最初に化石が発見された黒い入り江へ。
リードはアクア・ラングで潜る。
ケイは水着で。
彼女のスタイルがいい。
この後、思わせ振りに半魚人が何度も登場するが、まだ連中には発見されない。
水着で泳ぐケイを水中から仰ぐようにして捉えるアングル。
完全に『ジョーズ』だな。
半魚人は、彼女を狙っている。
だが、ケイは無事に船に戻る。
突然、船が揺れ出す。
網に何か大きなモノが掛かり、大暴れして逃げ去ったようだ。
網には大きな穴が空いている。
一行は、更に調査を続ける。
再び、リードとウィリアムスが潜る。
ついに半魚人を発見。
ウィリアムスが、焦って半魚人をモリで打つ。
刺さる。
けれども、半魚人は水中へと消えて行った。
リードはデカイ水中カメラで必死に撮影したのだが。
二人は船に戻った。
さあ、これからどうなる?
ここまででおよそ半分なのだが、僕が眠かったせいもあるかも知れないけれども、後半もイマイチ盛り上がらない。
そして、結局、予想通りの結末。
異形の者は必ず排除される。
植民地時代の白人の発想そのものだ。
現代の価値観ではないね。
タバコを投げ捨てるわ(しかも、ヒロインが)、川に毒は撒くわ。
反吐が出る。
映画としては、平凡な作品である。
それでも大ヒットしたのは、ひとえに半魚人の造形が優れていたからだろう(あと、多少のお色気か)。
まあ、当時の技術では、水中撮影は大変だったろうが。