『大いなる西部』

この週末は、ブルーレイで『大いなる西部』を見た。

1958年のアメリカ映画。
監督は、『ベン・ハー』の巨匠ウィリアム・ワイラー
主演は、『ナバロンの要塞』『アラバマ物語』『オーメン』のグレゴリー・ペック
共演は、『ハムレット(1948)』『スパルタカス』のジーン・シモンズ、『十戒』『ベン・ハー』『エル・シド』『猿の惑星』『大地震』『ハムレット(1996)』のチャールトン・ヘストン
豪華スターの競演である。
広大な原野を疾走する馬車から始まる。
有名なテーマ曲。
西部の町。
東部からやって来たジム・マッケイ(グレゴリー・ペック)が馬車から降りて来た。
彼は地元の有力者テリル少佐の娘パットと婚約している。
ティーヴ(チャールトン・ヘストン)はテリル少佐に仕えている。
ジムはパットと会う。
東部からやって来たジムは、見るからに立派な身なりで、明らかにこの町では浮いている。
パットも、有力者の娘らしい優雅さ。
彼女は、友人で学校の先生をしているジュリー(ジーン・シモンズ)の所にいる。
ジュリーも、こじんまりとはしているが、知識階級らしく、この町の中ではいい暮らしをしているようだ。
ジムはパットと一緒に馬車に乗る。
すると、荒くれ者達のカモにされる。
連中が馬で追い掛けて来た。
この馬の疾走感がスゴイ。
さすが、『ベン・ハー』の監督である。
荒くれ者は、ジュリーの家へ行った。
コイツは、実はテリル家と争っているヘネシー家のドラ息子で、バックという。
彼はジュリーのことが好きだが、彼女には全くそんな気はない。
ジムとパットは、何とかテリル少佐の牧場に着く。
西部劇にはあまり出て来そうにない立派な家である。
牛も無数にいて、地平線の彼方まで、アリのようにうごめいている。
牧場の面倒を見ているイタリアなまりの男によると、1万頭はいるらしい。
本作は、僕がこれまでに見て来たマカロニ・ウェスタンなんかと比べると、圧倒的に金が掛かっているようだ。
ジムは、牧場労働者からも好奇の目で見られる。
牧場主であるテリル少佐の家は、とにかく大変な豪邸である。
そして、東部出身のジムが、如何に西部では浮いているかも強調される。
知的な優男のイメージがあるグレゴリー・ペックにはピッタリの役だろう。
肉体派のチャールトン・ヘストンとは、誠に好対照である。
ジムからすると、荒くれ者は人間のクズだろう。
テリル少佐は、「ビッグ・マディ」と呼ばれる水源地を巡って争っているヘネシーを撃ちに行くと言う。
ジムは反対するが、聞き入れられない。
テリルは、大勢の部下達を連れて出発する。
地平線の彼方へ消えて行く馬の群れ。
これは大スクリーンで観たい。
我が家は40インチの液晶だが、これでブルーレイなら何とかなるが、DVDでブラウン管だと、ただのノイズにしか見えないかも知れない。
テリル少佐は、ヘネシーの地元でやりたい放題に暴れ回る。
子の時の駆け巡る馬達は、『七人の侍』を彷彿とさせる。
ジムは、サンダーという名の暴れ馬に乗る。
この馬は本当に言うことを聞かないので、ジムは意地になる。
この馬は、かなりの演技派だ。
一方、テリル少佐の大軍は町へ行き、破壊活動を繰り広げている。
ヘネシーのドラ息子バックは、その場から逃げ出す。
彼は卑怯者だ。
これが、後の重要な伏線になる。
テリル少佐の留守中に、ジムはサンダーを手なずけることに成功する。
その夜、テリルの家でパーティーが行われた。
ジムとパットの結婚のお披露目である。
パットに想いを寄せるスティーヴは、恨みがましい顔をしている。
そこへ、銃を持ったヘネシーが単身乗り込んで来る。
朝の仕返しである。
恰幅のいいオッサンで、堂々としている。
「撃ちたければ撃て」と言い放つ。
このヘネシーを演じたバール・アイヴスは見事な存在感で、アカデミー賞を獲得した。
この後、ジムは出て行ってしまう。
ティーヴは、パットに無理矢理キスをする。
半狂乱になったパットは、スティーヴにジムを探しに行くよう命じる。
ティーヴにとっては、酷な命令だ。
ジムは偶然、ジュリーに会う。
そして、一緒にビッグ・マディを見に行く。
ジュリーは、ビッグ・マディの所有者であった。
テリル家とヘネシー家の争いの元になっているこの土地を、ジムは買うことに決めた。
二日間留守にしたが、ジムは無事に戻って来る。
ティーヴはジムにケンカを売る。
男の闘いだ。
いいね。
パットも、ジムの真意が判らず、怒っている。
深夜、ジムとスティーヴは秘かに外で殴り合いの勝負をする。
結局、勝負は付かない。
最初は優男のように見えたジムの意外な男らしさが伺える。
翌朝、ジムは町へと出て行った。
さあ、これからどうなるか。
ストーリーはゆったりと流れる。
なかなか雄大な物語である。
ロング・ショットが多用されていて、非常に映画的だ。
広大な西部の風景は、画になる。
見せ場もたくさんある。
後半の、ジムとヘネシーの息子の決闘シーンが素晴らしい。
僕は『バリー・リンドン』を思い出した。
多くの馬の描写は、まるでクロサワ映画のようである。
アカデミー助演男優賞受賞。
1958年キネマ旬報ベストテン外国映画1位(ちなみに、日本映画の1位は『楢山節考』)。
同年外国映画興行収入3位(1位は『十戒』。邦画の1位は『忠臣蔵』)。