『エクソシスト2』

この週末は、ブルーレイで『エクソシスト2』を見た。

本作を見るのは2回目。
前回はDVDで見たが、あまりの駄作振りに開いた口が塞がらなかった。
にも関わらず、今度はブルーレイで見ようというのだから、僕も物好きである。
1977年のアメリカ映画。
監督は、『脱出』のジョン・ブアマン
あんなに面白い映画を撮った人が、どうすれば、こんなにヒドイ映画に出来るのだろうか。
明らかに、彼のキャリアの汚点だろう。
音楽はエンニオ・モリコーネだって。
撮影は、『ローズマリーの赤ちゃん』のウィリアム・A・フレイカー
主演は、前作に引き続いてリンダ・ブレア
まあ、子役の常として、この後は作品に恵まれず、単なる脱ぎ脱ぎ女優に堕して行く彼女であったが、その予兆が既に本作で伺える。
共演は、『史上最大の作戦』『クレオパトラ』『じゃじゃ馬ならし』『荒鷲の要塞』の名優リチャード・バートン
演技に迫力があり過ぎて、本作では浮いている。
更に、『カッコーの巣の上で』でアカデミー主演女優賞を得たルイーズ・フレッチャー。
前作に引き続き、『コンドル』『レナードの朝』の渋い脇役マックス・フォン・シドー
それから、『博士の異常な愛情』のジェームズ・アール・ジョーンズ
あと、『脱出』『ネットワーク』『大統領の陰謀』『スーパーマン』のネッド・ビーティがチョイ役で出て来る。
1作目は、ホラー映画を超えて映画史上に残る傑作になったので、続編も、スタッフ・キャスト共一流どころを揃え、気合いを入れて作ったのだろうが、どうして、こんな悲惨な仕上がりになったのだろうか。
不気味なテーマ音楽。
時は前作から4年後。
ラモント神父(リチャード・バートン)は、南米で不気味な悪魔払いをしている。
悪魔憑きから立ち直った少女リーガン(リンダ・ブレア)は、精神科で治療を受けている。
リンダ・ブレアは、やたらとムチムチしていて、露出の多い恰好で登場する。
リーガンの主治医はジーン・タスキン博士。
本作は、妙に思わせ振りでありながら、なかなかストーリーが展開しない。
ヘンな催眠術の機械が出て来る。
ラモント神父は、4年前にリーガンの悪魔払いで死んだメリン神父(マックス・フォン・シドー)の調査を依頼される。
精神病院で、精神障害児が多数出て来る。
現在なら、こういう描写は物議を醸しそうである。
リーガンは、悪魔に憑かれていた時のことを覚えていない。
ユリ・ゲラーのスプーン曲げがTVに映る。
時代を感じさせる。
リーガンが上述のヘンな催眠術の装置を付けると、ライトが点滅し、昔のことを思い出すことが出来る。
何か、「イニシエーション」みたいだ。
で、この儀式で、ラモント神父は、リーガンの中に再び悪霊パズズが浸食しようとしているのを発見するらしいのだが、この辺が分かり難い。
全然深刻さが感じられない。
時々、不気味な映像が挿入されるが、気持ち悪いだけで、ちっとも怖くない。
リーガンが描いたラモント神父の絵。
彼の顔の後ろに炎が描かれている。
彼は「きっと火事が起こる」と言う。
炎の絵から、どうして「火事が起こる」と言い切れるのか。
余りにも短絡的ではないか。
本作には、イナゴのイメージばかり出て来る。
リーガンがイナゴの大群の悪夢を見る。
高層マンションから飛び降りようとするリーガン。
しかし、思い止まる。
彼女は、スケスケのネグリジェを着ている。
今なら、「児童ポルノまがいだ」として問題になるだろう。
ラモントは、昔のメリン神父のビジョンを見る。
マックス・フォン・シドーが若い。
1作目では、見事な老けメイクであった。
かつてメリン神父に悪魔払いで助けられたアフリカの少年コクモ(ジェームズ・アール・ジョーンズ)が成長し、パズズの力を凌駕するんだって。
ラモントは、リーガンを救うためにアフリカに向かう。
アフリカの黒人が多数、登場するが、まるで「土人」のようで、差別的な描写である。
そして、とにかくイナゴ、イナゴ。
悪魔の象徴なのだろうが、1作目にはイナゴなんか出て来なかったぞ。
ラモントは、一体何と戦っているのか、さっぱり分からない。
だって、単なるアンタの夢だろう。
それに、リーガンに、今すぐ悪魔から救い出さなければならない必然性があるようには見えない。
リチャード・バートンの演技は偉そうだが、本作の設定がクソである。
オカルト映画としての完成度は、第1作の足元にも及ばない。
本作は、全く怖くない。
アフリカの映像は、セット丸出しである。
こんな映画に、前作を上回る製作費を投入したようだ。
あの『バリー・リンドン』よりも製作費が高いらしい。
信じられん。