『オーメン2/ダミアン』

この週末は、ブルーレイで『オーメン2/ダミアン』を見た。

1978年のアメリカ映画。
監督は、『新・猿の惑星』のドン・テイラー
主演は、『戦場にかける橋』『カジノ・ロワイヤル』『ワイルドバンチ』『タワーリング・インフェルノ』『ネットワーク』の名優ウィリアム・ホールデン
前作のグレゴリー・ペックに続いて、名の知れたベテラン役者を配することによって、作品に重みを与えようということだろう。
共演は、『最後の猿の惑星』のリュー・エアーズ、『狼たちの午後』『未知との遭遇』のランス・ヘンリクセン等。
音楽は、『猿の惑星』『パットン大戦車軍団』『トラ・トラ・トラ!』『パピヨン』『チャイナタウン』『カサンドラ・クロス』『オーメン』『エイリアン』『スタートレック』の巨匠ジェリー・ゴールドスミス
前作ではアカデミー作曲賞を受賞したが、今回も、音楽で不気味な雰囲気を醸し出すのに成功している。
撮影は、『カンバセーション…盗聴…』『ジョーズ』『カッコーの巣の上で』『ロッキー2』のビル・バトラー。
不気味な音楽から始まる。
中東であろうか。
前作と同じ年代。
洞窟の中で、「イゲールの悪魔の子」という壁画が見つかる。
前作で、ロバート・ソーン(グレゴリー・ペック)と接触した考古学者でエクソシストのブーゲンハーゲンは、新聞記事でソーンが射殺されたことを知る。
連れの者に「ダミアンは悪魔の子だから、今の両親にこの短剣を渡せ」と言う。
悪魔の子は、殺さないと大変なことになる。
遠くからカラスが二人の様子をじっと見つめている。
本作では、カラスが悪魔の行動の象徴のようだ。
二人が壁画を見ると、そこに描かれている悪魔の子は、ダミアンにそっくりだった。
次の瞬間、壁が崩れて来て、二人は生き埋めになってしまう。
7年後、シカゴ。
成長したダミアン。
ロバート・ソーンの死後、弟のリチャード(ウィリアム・ホールデン)夫妻が、ダミアンを養子として引き取った。
リチャードは、ソーン産業という工業会社を経営している。
家も豪邸である。
ダミアンは、リチャードの実子で同い年のマークと共に、陸軍幼年学校に通っていた。
リチャードの伯母マリオンは、ロバートがダミアンを殺そうとしていたことを知っているので、彼を憎んでいる。
またも、マリオンを見つめるカラス。
彼女は、寝室で謎の死を遂げた。
ダミアンが通っている軍学校の雰囲気は、ちょっと『フルメタル・ジャケット』っぽい。
ダミアンは、いじめっ子を眼の力で威嚇する。
ダミアンの秘密を知っている女性記者は、ソーン夫妻に「ダミアンは危険だ」と警告する。
どうでもいいが、この女性記者は、大きなファーの付いた真っ赤なコートが偉そう過ぎて、全然記者に見えない。
不協和音のコーラスが流れる。
記者の乗った車が突然故障。
外に出ると、大きなカラスが襲い掛かる。
これは明らかに、ヒッチコックの『鳥』だな。
カラスに目をつぶされて何も見えない記者は、ハイウェイに迷い出る。
そこへ巨大なトラックが!
ダミアンに敵意を持つ人達が次々と不可解な死に方をするのは、『オーメン』シリーズのお約束。
そして、『エクソシスト』と違って、実際に人が死ぬ様子を直接的に描写する。
で、ダミアンは、この時点では、未だ自分が悪魔の子だとは自覚していない。
この子役は、なかなかの名演である。
現在の日本だったら、ジ○ニーズ・ジュニアの誰それだかが演じて、台ナシにしてくれそうだが。
今度は、ソーン産業の次期社長の座を争う一人が、厳寒の湖の氷上でアイス・ホッケーをしていた時、氷の下に落ちて死ぬ。
この撮影は、とても寒そうだ。
結局、彼のライバルが新社長に就任するが、こいつが実は悪魔の手先なんだな。
軍学校におけるダミアンの成績は抜群だった。
世界史の授業中、落書きをしていたダミアンを、教師は叱責する。
しかし、この教師の質問に対して、ダミアンはことごとく即答する。
これで、彼の尋常ならざる頭の良さを示したいのだろうが、教師の出す問題は皆センター試験レベル。
アメリカの学校では、日本のように歴史用語を丸暗記させたりはしないようだから、これでもスゴイように見えるのかも知れないが。
僕の高校の同級生のK山君は、山川の『一問一答』を完璧に覚えていて、どんな問題にも即座に答えられた。
彼は、現役で関西の某難関私大に合格したが。
だから、このシーンを見ても、ダミアンは悪魔の子ではなく、K山君に見えてしまう。
天才的な悪魔の能力を示すには、ちょっとショボイ。
話しが逸れてしまった。
軍学校の上官も、悪魔の手先だった。
彼は、自分も孤児だったので、ダミアンにシンパシーを抱いているのかも知れない。
彼は、ダミアンに「聖書の『黙示録』を読め。君の正体が判る」と告げる。
聖書には「悪魔の印は666」と書かれていた。
ダミアンは自分の頭髪の下に666というアザを発見し、自分が悪魔の子だと知ってショックを受ける。
この後も、彼の周りの邪魔者はどんどん消されて行く。
さあ、これからどうなる。
悪魔の子・ダミアンを中心に、彼の敵と味方をうまく配している。
エクソシスト2』と違い、これは正統な続編である。
ただ、前作ほどの恐怖は感じない。
何と言うか、全体的に薄味な感じ。
やはり、続編は正編を超えられないのだろう。
それにしても、昔の映画はCGなどなかったから、如何に人間のドラマが中心であったかが分かる。
それが、本来の映画の姿だろう。
特撮なんて、実はほんの少ししかない。
有名なエレベーターでの胴体切断シーンは、人形丸出しで、前作の首切断シーン(今の日本では、イスラム国を連想してしまう人が多いだろう)には到底及ばない。
ネタバレだが、最後の死者が出るシーンは、ムアーズ・カサースベ中尉を連想させるから、今のヨルダンでは絶対に上映出来ないだろう。
前作同様、明らかに続編を作る前提のラスト。