この週末は、ブルーレイで『好奇心』を見た。
- 出版社/メーカー: IVC,Ltd.(VC)(D)
- 発売日: 2014/10/24
- メディア: Blu-ray
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監督はルイ・マル。
ルイ・マルの作品は、子供の頃、母が『死刑台のエレベーター』を絶賛していて、確か教育テレビか何かで放映されているのを見た。
その時はよく分からなかったが、大人になってからDVDで見て、スゴイ映画だということが分かった。
ヌーヴェルヴァーグの先駆的作品だな。
別の意味で話題になった『プリティ・ベビー』は、多分高校生くらいの時にレンタル屋で借りて見たような気がするが、内容は全く覚えていない。
『ダメージ』は、学生の時に、友人とジュリエット・ビノシュ目当てで観に行った。
これも、衝撃的なラスト以外は、ほとんど覚えていない。
『地下鉄のザジ』と『さよなら子供たち』は、大人になってからDVDで見た。
前者はポップだが、内容はよく分からん。
後者は、監督の自伝的作品で、大変引き込まれた。
そういう訳で、彼の作品は、何本かは見ている。
僕は、もともとヨーロッパ系の映画が好きだったが、最近は廉価版ブルーレイの出ているアメリカ映画(特に70年代の作品)ばかり見ていた。
しかし、ついにアイ・ヴィー・シーから、ゴダール、フェリーニ、トリュフォー等の作品が廉価版ブルーレイで出始めた。
まあ、ブルーレイも、映画マニア以外には思ったほど普及していないから、価格崩壊が進んでいる。
かつてのレーザー・ディスクと同じ道をたどるかも知れない。
それはさておき、僕は学生の時、1年生の教養演習(基礎ゼミ)という授業で、「ヌーヴェルヴァーグ研究」というのを選択した。
人気のある授業だったが、抽選を通ったんだな。
1年掛けて、ゴダールやトリュフォーやクロード・シャブロルの映画を見まくって、先生と学生が討論するという、映画好きにはたまらん授業だったのだが、当時の僕はバイトに夢中で(と言うより、バイト漬けにならないと生活が出来なかった)、最初の1回しか出席しなかった。
今から考えると、大変惜しいことをした。
ブルーレイはおろか、DVDにもなっていない作品がたくさんあるから、自分で見ようと思っても、なかなか見られるものではない。
でも、今後は廉価版のブルーレイが増えて行くことを期待しよう。
さて、『好奇心』の話しに戻る。
音楽は、チャーリー・パーカーを始めとするジャズが使われている。
と言っても、僕はジャズには全然詳しくないので、何も語れないが。
チャーリー・パーカーの名も、森田童子の歌詞で初めて知ったくらいだ。
まあ、有名な人だということは分かる。
学生時代の友人に、ジャズのCDを400枚持っているというのがいたので、彼に聞いておけば良かったな。
『好奇心』の舞台は、1954年のフランス。
仏印戦争の募金を集める中学生二人。
僕は、世界史の偏差値が29だったので、よく分かっていないが、これは第一次インドシナ戦争のことか?
ジャズっぽい音楽が流れる。
画面はヨーロピアン・ビスタである。
チャーリー・パーカーを愛する彼らは、レコード屋に行く。
一人が店主に募金を頼んでいる間に、もう一人がレコードをカバンに忍ばせる。
この時点で、彼らの募金活動がインチキだと分かる。
二人は、家の前で別れる。
豪邸である。
この家は産婦人科を営んでいる。
この医者の息子が主人公ローランである。
可愛いネコを飼っている。
ローランは3人兄弟の末っ子。
上の兄貴達も、父親のカネを盗んだり、まあロクなもんじゃない。
ブルジョワのガキなんて、皆そんなもんだろう。
カネを盗むところを見た母親は怒る。
若い母親である。
末っ子は母親から可愛がられている。
上の二人と、明らかに態度が違う。
この家の家族仲は悪い。
食事の時のギスギスした雰囲気で分かる。
時々、訪ねて来る親類(これも皆医者)とは、業界ネタか政治ネタばかり。
ブルジョワの会話なんて、昔から退屈そうだ。
ドラ息子は、父親(これは普通の壮年)から「出てけ!」と言われる。
本作は、大変テンポ良く話しが進む。
冒頭のわずかな時間に、主な登場人物の性格、関係性を紹介している。
見事な脚本である。
部屋で自分のチンポを見せ合う兄弟達。
それを見付けたお手伝いのオバサンが怒る。
この家には、何とお手伝いが二人もいるのであった。
翌朝、ローランはカフェ・オレ(さすがフランス)1杯で家を飛び出す。
学校へギリギリに駆け込む。
神学校だ。
ローランは、いつも遅刻している。
神父の講話は、「仏印の戦い」についてだ。
学校が終わると、友人とタバコを吸う。
荒れているねえ。
まるで、『大人は判ってくれない』みたいだ。
ローランは、自室の窓から、母親が愛人の車に乗り込む姿を目撃する。
彼は、母親からは溺愛されているが、父親には目の敵にされている。
父に叱られ、荒れる。
産婦人科医である父は、オナニーを嫌悪している。
これは、正しい理論なのか?
ローランは、学校でホモっぽい神父に懺悔をする。
「僕は悪い慰みをしています。」
神父は「止めないと神様が見放す」という。
ホンマかいな。
ローランの友人は「『星の王子様』を読んだ」と言う。
悪ガキだが、文化的なものにはかなり関心が深いようだ。
彼らは、学校帰りに、反戦デモを目撃する。
戦争も、本作の背景として、深く関わって来る。
さて、親が学会に行っている間に、二人の兄達はここぞとばかり、やりたい放題。
ワインを一瓶空ける。
食べ物を投げて遊ぶ(ドリフのコントか)。
親がいない間に、女の子を呼んでパーティー。
酒を飲み、葉巻をくゆらす。
額に入れて飾られている高価な絵を、ニセモノと入れ換える。
女の子とダンス。
女の子の一人がローランを誘惑する。
しかし、童貞のローランは、どうすればいいのか、よく分からない。
お手伝いのオバサンは怒り心頭。
その夜、ローランは、酔っ払って帰って来た両親がイチャついているのを見てしまう。
兄達は、酔っ払ったまま、無免許で、ローランを乗せて父親の車を飛ばす。
たどり着いた先は、怪しげな売春宿。
兄達は、弟に女を教えようと。
商売女の筆下ろし。
ローランは14歳だから、これは明らかに児童ポルノだろう。
兄達は、行為の最中にローランを女から引きずり下ろす。
ヒドイね。
ローランは兄達に対して激怒。
そりゃそうだろう。
翌日、ローランはボーイスカウトのキャンプに行く。
だが、熱を出してキャンプから帰って来る。
猩紅熱で、1ヵ月は絶対安静だという。
部屋の窓から、母が愛人の車に乗るのを再度、目撃するローラン。
ホモっぽい神父が、ローランの家まで、わざわざ勉強を教えに来る。
彼は作文が得意だ。
『大人は判ってくれない』でもあったが、フランスでは、作文が得意だと優等生だということになるらしい。
それだけ国語教育が重視されているのだろう。
日本も見習った方が良い。
そうすれば、僕は英語も数学もクラスでビリだったが、作文は得意だったので、優等生になれたかも知れない。
どうでもいいが、ローランの家は、この時代(1954年)にテレビがある。
さすが、ブルジョワジーである。
ローランは、療養のため、別の土地へ行くことになった。
予約の手違いで、ローランは母親と同じ部屋に泊まることになってしまった。
母親は、16歳の時にイタリアからフランスに流れ着いて、父親と知り合った。
二人の結婚には、家柄も違うので、猛反対されたらしい。
かなり歳の離れた夫婦だと思っていたが、母親が16歳で結婚したとなれば、納得。
ということは、上の兄が20歳だとしても(大学に合格した、と言っていたので)、母親は未だ30歳代半ばか。
こりゃ、若いな。
ローランは、消毒を受けるために全裸になる。
このシーンも無修正。
これは、確実に児童ポルノだ。
ローランは、療養所の女の子と仲良くなる。
一方で、母親が隠していた『O嬢の物語』を読む。
母親とイチャつく。
母親の風呂を覗く。
酒を飲む。
とんでもないガキだな。
母親は、ここに愛人を呼んでいた。
信じられん。
ローランに置き手紙をして、愛人と外泊する母親。
フランスというのは、こういうのが通用する国なのか。
留守の間に、ママの下着をもてあそぶローラン。
更に、化粧も試してみる。
まあ、10歳代の半ばと言えば、そういうのに興味があるお年頃かも。
母親が帰って来た。
愛人に「離婚しろ」と言われたと、泣いている。
その母親を慰める息子。
怪しい母子関係だ。
自分のオカンとそういう関係になるというのは、僕には想像もつかんが。
若くて美人なら、いいのだろうか。
本作は、フランスの倫理委員会で問題になったらしい。
でも、それを押し切って公開して、大ヒット。
まあ、問題作だな。
ただ、ラストのハッピー・エンドには納得が行かない。