『理由なき反抗』

この週末は、ブルーレイで『理由なき反抗』を見た。

理由なき反抗 [Blu-ray]

理由なき反抗 [Blu-ray]

1955年のアメリカ映画。
監督はニコラス・レイ
音楽は、『エデンの東』『続・猿の惑星』『バリー・リンドン』の巨匠レナード・ローゼンマン
主演は、『エデンの東』の大スター、ジェームズ・ディーン
共演は、『ウエストサイド物語』のナタリー・ウッド、『史上最大の作戦』『新・猿の惑星』のサル・ミネオ、『地獄の黙示録』のデニス・ホッパー等。
本作はカラー。
画質は良い。
ぜんまいじかけでシンバルを叩くサルのおもちゃが路上に落ちている。
それを拾って、ネジを巻くジム(ジェームズ・ディーン)。
彼は逮捕されて警察署へ連れて来られた。
酔っ払って、高校生同士でケンカをしたようである。
当時24歳のジェームズ・ディーンは、とても高校生には見えないが。
同じ署内では、ジュディ(ナタリー・ウッド)という高校生の娘も聴取を受けていた。
彼女は、「父は私を気に入らない」と言って、家出した。
結局、母親が彼女のことを迎えに来る。
ジムは、両親が迎えに来た。
もう一人、署内には子犬を撃ったジョン(サル・ミネオ)という少年もいた。
彼は父親と別居しており、母親はシカゴにいるとか。
それぞれ、家庭に問題を抱えているが、この時点では、3人に面識はない。
ジムは、ジュディが忘れて行ったコンパクトを拾う。
彼は、この町に引っ越して来たばかりだった。
意志薄弱な父親とは折り合いが悪い。
一方、母親は自由人であった。
ジムは「少年院に行きたい」と叫びながら、机を殴る。
「前にいた町であの子を殴った。」
「自分の家がイヤ。」
そんな彼に、少年保護係のレイ(エドワード・プラット)は「いつでも相談に来い」と言う。
諭されて、ジムは自宅へ帰った。
翌朝、ジムの自宅の前を、昨夜のジュディが通り掛かる。
ジムはジュディに声を掛ける。
彼女は、車を乗り回す不良高校生達のグループと付き合っていた。
全くロクでもない。
『グリース』みたいだな。
ジムが今日から通うのは、ドーソン高校であった。
彼はいきなり、学校の紋章を踏んで先生に怒られる。
昨夜、警察署にいたジョンもここの生徒だった。
その日、生徒達は学校からプラネタリウムの見学に行った。
ジョンはジムに声を掛ける。
見学中、ジムは奇声を発し、不良グループに目を付けられる。
一方、孤独なジョンとは友達になった。
ジョンはジムに、誰も知らない秘密の隠れ家を教える。
それは、プラネタリウムの近くの誰も住んでいない邸宅だった。
プラネタリウムの外では、例の不良グループがジムを待ち伏せていた。
その中には、ジュディもいる。
彼らはジムの車の上に座っている。
ガラの悪い連中、イヤだなあ。
連中のリーダーであるバズ(コリー・アレン)は、ジムの車のタイヤにナイフで穴を開ける。
ヒドイね。
バズはジムを挑発する。
前の学校でも揉め事を起こしたジムは、新天地でもいきなりこんな羽目に。
やっぱり、生意気そうなヤツは、不良グループに目を付けられ易いんだな。
いつの時代も、どこの国でも同じだ。
二人はナイフで決闘。
ジムが思ったより強いので、お互い本気になる。
この決闘は、プラネタリウムの守衛が仲裁して引き分けに終わった。
が、バズはジムに「今夜8時にチキン・レースで決着をつけよう」と提案する。
ジムが家に帰ると、エプロン姿で落とした料理を拾うパパがいる。
今や「主夫」も珍しくないが、この時代、男がこんな恰好をしているのは情けなかったのだろう。
場面変わって、ジュディの家。
キスをせがむ娘に「もうこどもじゃないんだから、キスはお止め」と諭すパパ。
それでも無理矢理キスをしたジュディに、父親は平手打ち。
ジュディは家を飛び出す。
年頃の娘は難しい。
再び、ジムの家。
父親はジムの血の付いたシャツを見て、「何をしでかした?」と尋ねる。
「私も、お前の年頃には悩んだものだ。」
しかし、ジムは家を出て行く。
ジムが約束の場所(崖のそば)へ行くと、既に連中は待っている。
ジョンも、ジュディもいる。
バズはジムに言う。
「白状すると君が好きだ。でも、やらなきゃならない。」
なんで、こんな生意気な転校生が好きなんだろう。
「類は友を呼ぶ」か。
で、チキン・レースの始まり。
車は、盗んだものらしい。
けしからん。
ここで初めてジム達の年齢が明かされるが、16歳なんだとか。
16歳で、どうして車に乗れるんだ。
このレースは、ジムとバズが崖に向かって同時に車を飛ばし、先に車から降りた方が負けというもの。
ジムはギリギリまで車を走らせて飛び降りる。
さあ、バズの方は?
バズは、車のドアの取っ手に服の袖が引っ掛かって降りられず、そのまま車ごと崖から転落。
もちろん、死んだ。
仲間達は崖の下を見て恐ろしくなり、一目散に逃げ帰る。
だったら、最初からこんなことするなよな。
ガキのやることは実に下らん。
実はバズと付き合っていたジュディは呆然自失。
ジムは彼女の手を取る。
ジム、ジュディ、ジョンの3人は車に同乗して帰る。
ジュディの家の前で、ジムは警察署で拾った彼女のコンパクトを手渡す。
ハッとする彼女。
ジムは家に帰るや、「またこんな事件を起こしてしまった」と両親に打ち明ける。
何とかして隠し通そうと、自分達の保身しか考えない両親。
ジムは絶望する。
で、この後、話しはとんでもない方向に進む。
そして、ちょっと予想外の結末に。
アメリカは、やっぱり銃社会なんだなあ。
幾ら開拓史時代の名残りかは知らんが、いい加減、規制しろよ。
ジェームズ・ディーンは、日本で言えば、尾崎豊みたいな存在なのだろうか。
反抗的な若者。
早死に。
カリスマ性。
尾崎豊が死んだ時、僕は浪人生だった。
予備校の日本史の先生が授業の冒頭で、彼の死について語った。
もっとも、中年の女性だったので、「最近の若い子は…」みたいなニュアンスだったと思う。
あと、若い頃のレオナルド・ディカプリオが、こんな感じじゃないの。
僕は、不良少年には全く何の憧れも感じないので、よく分からんが。
反抗的な少年という意味では、『大人は判ってくれない』にもちょっと似ているかな。
まあ、あちらの方が映画としての完成度は遥かに高いが。
本作は50年代の映画だけれども、アメリカン・ニュー・シネマ的な匂いもする。
でも、理由のない反抗はイヤだなあ。
安保とか天皇制とか大阪都構想とか、きちんとした反抗の理由が欲しい。