『巴里のアメリカ人』

この週末は、ブルーレイで『巴里のアメリカ人』を見た。

巴里のアメリカ人 [Blu-ray]

巴里のアメリカ人 [Blu-ray]

1951年のアメリカ映画。
ミュージカル映画の傑作として名高いが、見たことはなかった。
古典映画を見るのは色々と勉強になるので、どんどん見よう。
監督はヴィンセント・ミネリ
製作はアーサー・フリード
雨に唄えば』の作詞者だな。
音楽はジョージ・ガーシュイン
ガーシュインと言えば、『のだめカンタービレ』で使われていた『ラプソディ・イン・ブルー』くらいしか知らなかった。
モノを知らなくて情けない。
僕の記憶が正しければ、セルジュ・ゲンズブールガーシュインを敬愛していたような。
主演はジーン・ケリー
僕は『時計じかけのオレンジ』が好きなので、その中で曲が使われていた(あの有名な)『雨に唄えば』の主演として知っていたが、出演作を見たことはなかった。
共演は、『ダメージ』のレスリー・キャロン、『十戒』『スパルタカス』のニナ・フォック
本作はカラー、スタンダード・サイズ。
本ディスクの画質は素晴らしい。
軽快なテーマ曲。
舞台はパリ。
主人公のジェリー(ジーン・ケリー)はアメリカ人。
絵描きである。
友人のアダム(オスカー・レヴァント)はピアニスト。
更に、その友人のアンリは有名な歌手で、毎晩ショーで忙しい。
アンリの彼女であるリズ(レスリー・キャロン)は踊りが大好き。
年齢は19歳らしいが、19歳には見えない。
昔の映画スターは皆、現代よりも老けて見える。
ジェリーはカネがない。
絵を描いているが、売れたことがないから。
でも、本作の歌はスゴイ。
歌ってばかりで話しが進まんが、まあ、ミュージカルだからな。
それから、アダムのピアノの弾き方もスゴイ。
曲芸レベルである。
ある日、街で絵を並べているジェリーの前に、ミロ(ニナ・フォック)という金持ちの女性が現われ、彼の絵を1枚1万5000フランで買うという。
そして、今夜のパーティーに誘われる。
ジェリーは子供達にも人気がある。
子供達は「英語話して」と言いながら、彼の後を追い掛ける。
まるで、GHQに占領されていた時に兵隊にチョコレートをねだる子供みたいだな。
屈辱的だが、これはアメリカ映画だからなのか。
ジーン・ケリーはパッション矢良のような満面の笑み。
ジェリーはタップ・ダンスを踊る。
本作は、踊りもスゴイ。
で、夜、ジェリーがミロの家に行ってみると、他に人はいない。
二人だけのパーティだというのだ。
彼女はジェリーの才能に興味を持ち、スポンサーになりたいと。
ジェリーは気が進まない。
二人はカフェへ行く。
そのカフェで、ジェリーはリズを見掛けて、声を掛け、一緒に踊る。
彼は彼女に恋をしてしまったんだな。
この時点では、リズがアンリの恋人だとは知らない。
これが後々、本作のキーとなるのだが。
ミロはジェリーに「私の前で女の子に声を掛けるなんて失礼よ」と言う。
でもね、金持ちの年増よりも、そりゃ、若い娘の方がいいよなあ。
で、ジェリーはリズから聞き出した番号に早速電話をするが、即効で振られる。
ミロはジェリーにご執心であった。
彼女は彼に「個展を開きましょう」と提案する。
それはそれとして、ジェリーはリズの働いている香水店を訪ねる。
フランスなのに、セリフは英語だ。
ジェリーは、ついにリズとのデートの約束を取り付ける。
だが、リズは二股を掛けているのだ。
彼女は、一方でアンリと夕食を共にしている。
まあ、スターに取り入っておけば、自分もスターになれるという計算があるのだろう。
プロデューサーに口説かれてAV女優になってしまう地下アイドルのようだな。
で、掛け持ちのリズは、アンリとの夕食の後、ジェリーと待ち合わせ。
二人は川辺で散歩する。
彼女は、自分のことは一切語らない。
けれども、二人はキスをする。
ジェリーが絵を描くシーンも素晴らしい。
絵の具を混ぜて、中間色を作り出す。
実に、芸術的な映画である。
セットも非常にポップである。
特に、後半。
絵かと思ったら、立体なのだ。
本作は、ほとんどセットでパリの街並みを再現したらしい。
ポンヌフの恋人』もビックリである。
クライマックスのダンス・シーンは圧巻だ。
50年代初頭に、こんな実験的な映画が存在したことに驚きである。
ただし、ストーリーは大したことがない。
特に、結末はご都合である。
物語に決着がついていない。
アカデミー賞作品賞美術賞、撮影賞、衣装デザイン賞、作曲賞(ミュージカル)、脚本賞受賞。