この週末は、ブルーレイで『地獄への道』を見た。
- 出版社/メーカー: 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
- 発売日: 2014/05/02
- メディア: Blu-ray
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監督はヘンリー・キング。
製作は、『イヴの総て』『史上最大の作戦』の大プロデューサー、ダリル・F・ザナック。
撮影は、『レベッカ』『白い恐怖』『サムソンとデリラ』のジョージ・バーンズ。
主演はタイロン・パワー。
僕は恥ずかしながら、彼の出演作を初めて見た。
名前だけは知っていた。
『ニュー・シネマ・パラダイス』のセリフに出て来るからだ。
共演は、『戦争と平和』『間違えられた男』『史上最大の作戦』『西部開拓史』『ウエスタン』のヘンリー・フォンダ。
20世紀FOX。
テクニカラー、スタンダード・サイズ。
この時代のカラー作品と言えば、『風と共に去りぬ』と『オズの魔法使』くらいしか知らなかったが。
画質も良いので、60年代位の映画に見える。
華やかなテーマ音楽。
南北戦争後、西部開拓、大陸横断鉄道の建設。
その時代の無法者、フランクとジェシーのジェイムズ兄弟の物語。
1876年、セント・ルイス中部鉄道会社はセント・ルイスとセダリア間の鉄道敷設のため、農民から耕地を、タダみたいな安値で買い上げていた。
字も読めない農民に契約書を突き付け、無理矢理サインさせる。
何か、今問題になっているAV出演強要みたいだな。
ジェシー・ジェイムズ(タイロン・パワー)が農作業をしていると、鉄道会社のパーシーがやって来た。
ジェイムズ農場は母の名義だと言うと、連中はジェシーの家へ。
しかし、母親であるミセス・サミュエル(ジェーン・ダーウェル)は土地を売ることを拒む。
それでもいつこい鉄道会社の連中に、長男のフランク・ジェイムズ(ヘンリー・フォンダ)は「断っているぞ」と殴り掛かる。
更に、弟のジェシーは銃で脅す。
フランクとパーシーは1対1でケンカをして勝利。
ジェームズが銃を使って連中を追い出すことに成功する。
鉄道会社の横暴と闘おうとしている地元紙の編集長コッブは、「ジェイムズ兄弟を助けるぞ!」と社説で論陣を張る。
その夜、ジェシーは村人達を集めて会合を開いた。
昼間の出来事を恨みに思ったパーシーは、逮捕状を取って、ジェイムズ兄弟の身柄を押さえに向かっていた。
それを察知したコッブは、兄弟に「逃げろ!」という。
だが、母親は具合が悪く、一緒に逃げることが出来なかった。
パーシーどもは、卑劣にもジェイムズ兄弟の家を爆破し、母親は死んでしまう。
兄弟は、山奥の岩場に隠れていた。
コッブの姪であり、ジェシーの恋人であるゼレルダ(ナンシー・ケリー)は、兄弟の母親の死を知らせに来る。
ジェシーは酒場へ乗り込み、パーシーを撃ち殺す。
彼はお尋ね者になってしまった。
ついに鉄道が開通する。
ジェイムズ兄弟は、鉄道会社への復讐のために、列車強盗団を結成した。
華やかに走る一番列車を馬で追う覆面姿のジェシー。
ダブル・ルーフの車両に、乗客は皆、上流階級である。
まあ、日本の鉄道も、開通当時は運賃が高くて、庶民は乗れなかったらしいが。
疾走する列車に馬で追い付き、列車に飛び乗り、屋根の上によじ登るジェシー。
すごいアクションだ。
もちろん、CGなどない。
実際に走っている列車で撮影している。
トーキー映画が出来て10年も経たない時代に、総天然色でこんな映像を見せられたら、観客は度肝を抜かれただろう。
ジェシーは屋根伝いに運転席まで行き、「列車を止めろ」と命じる。
止まった所には、フランク達が待ち伏せしている。
列車に乗り込んで来た彼らは、強盗を働く。
ただし、奪うのは現金だけ。
この事件で、ジェシーの懸賞金は一気に5000ドルに跳ね上がった。
コッブの元を秘かに訪ねるジェシー。
ゼレルダは「あなたは間違っている」と彼をなじる。
けれども、コッブは「徹底的にやれ!」と鼓舞する。
いいね。
成田空港反対闘争みたいだ。
そこへ、保安官のウィル・ライト(ランドルフ・スコット)がやって来る。
ウィルに「そちらの方はどなた?」と尋ねられ、とっさにゼレルダは偽名を使う。
それでも、ここにいるのがジェシーだということは察知されていた。
「私の管轄には来るな」と促されたジェシーは逃げる。
ゼレルダは鉄道会社の社長マッコイから、「ジェシーが自首すれば減刑する」と聞かされ、彼にそのことを伝えに行く。
「自首して」とゼレルダから頼まれるも、「出来ない」と答えるジェシー。
でも、とうとう決意して、二人は結婚の約束をする。
そのまま教会へ行き、式を挙げる二人。
男の名前が「ジェシー・ジェイムズ」と聞いて、牧師は驚くが、彼もまた鉄道会社を恨んでいるのであった。
当時の鉄道会社のやり口が、相当強引なものであったことが伺われる。
ジェシーはウィルに会い、自首をする。
ゼレルダは「待っているわ」と。
ジェシーは留置所へ連れて行かれるが、マッコイは「君が牢に入っていると嬉しいよ」と告げる。
「騙された!」と思うも、後の祇園祭。
ジェシーの裁判まで、町には戒厳令が敷かれた。
殺人者は絞首刑である。
「自首すれば減刑」というのは、社長の罠であった。
社長は、ジェシーに同情的な判事を交代させた。
ウィルは、マッコイに猛抗議する。
そこへ、フランクから社長宛ての手紙が届く。
「午後12時までにジェシーを釈放しなければ、奪還に行く」と。
社長は、ウィルに「私を守れ」と命じる。
ウィルとマッコイは、酒場にボディガードをスカウトしに行った。
朝5時、フランクが森で捕まったと連絡が入った。
連行されて来たフランクに対し、ウィルは「すまない」と謝罪。
そのやり取りを見た社長は、ウィルをクビにする。
フランクは社長に「約束は守れ」と。
「お前だって、弟を奪還するという約束を守れなかったじゃねえか」という社長。
ところが、実はスカウトした助手は、フランクとグルなのであった。
兄弟は、まんまと脱出に成功する。
さあ、これからどうなる?
疾走する馬の撮影がスゴイ。
まるで、黒澤映画である。
クライマックスで、兄弟の乗った馬ごと、ガケから転落するシーンがある。
これは、今では動物虐待と言われて、撮影出来なそうだ。
ラスト・シーンは、ご都合的にまとめているが、これがなければ、アメリカン・ニュー・シネマの香りがする。
主人公が破滅へと突き進む様が。
実際のジェシー・ジェイムズは、そこまで義賊でもなかったらしいが、本作は、大衆のヒーローとして描いている。