『ウエスタン』

この週末は、ブルーレイで『ウエスタン』を見た。

ウエスタン [Blu-ray]

ウエスタン [Blu-ray]

1968年のイタリア・アメリカ合作映画。
監督は、『夕陽のガンマン』『続・夕陽のガンマン』『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』のセルジオ・レオーネ
本作の原題(英語)は『Once Upon a Time in the West』で、これが後の『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』につながることになる。
原案には、あのダリオ・アルジェント(『サスぺリア』『フェノミナ』の監督)と、ベルナルド・ベルトルッチ(『ラスト・タンゴ・イン・パリ』『ラストエンペラー』の監督)が名を連ねている。
主演は、『荒野の七人』『バラキ』のチャールズ・ブロンソン
共演は、イタリアの美人女優クラウディア・カルディナーレ、『戦争と平和』『史上最大の作戦』『西部開拓史』のヘンリー・フォンダ、『トラ・トラ・トラ!』『大統領の陰謀』、『天地創造』のガブリエル・フェルゼッティ、『スパルタカス』のウディ、ストロード。
音楽は、『夕陽のガンマン』『続・夕陽のガンマン』『エクソシスト2』『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』『アンタッチャブル』『ハムレット(1990)』の巨匠エンニオ・モリコーネ
本ブルーレイの画面はシネスコ・サイズである。
時は開拓時代の末期、西部の寂れたボロボロの駅から始まる。
歯のない爺さんの駅員。
3人の悪党がやって来る。
駅員が閉じ込められた。
本作の語り口は、極力セリフを抑えている。
荒野の中の駅。
汽車が到着する。
ハーモニカを吹く謎のガンマン(チャールズ・ブロンソン)が降りて来る。
彼は、ものすごい早撃ちで3人を倒してしまう。
本作は、とにかくゆったりと進む。
続いて、鳥を狩る親子。
父親はマクベイン。
二人の息子がいるが、先妻は亡くなり、西部に夢を抱いてやって来た。
そして今日、婚約者のジル(クラウディオ・カルディナーレ)が嫁入りに来ることになっていた。
長男に「駅へママを迎えに行け」と命じたその時、フランク(ヘンリー・フォンダ)率いる5人の悪党どもがやって来る。
マクベインは、家族もろとも殺されてしまった。
駅へ汽車が到着し、黒いドレスを着たジルが降りて来る。
もちろん、彼女はマクベインに何が起こったかなど知る由もない。
来ているはずの迎えがいない。
それにしても、この駅前の大オープン・セット。
相当な大作である。
それに、音楽がいい。
迎えが来ないので、仕方なく、ジルは馬車に乗る。
本作は「マカロニ・ウエスタン」なので、イタリアで撮影されたのだと思うが、景色が何ともアメリカっぽい。
広い荒野をロング・ショットでとらえる。
カメラ・ワークは素晴らしいのだが、話しがなかなか進展しない。
やがて、酒場の前で馬車が停まる。
ジルが降りて、店の中へ入ると、外で撃ち合いが起きる。
音が止むと、ヒゲの男が店の中へ入って来る。
シャイアン(ジェイソン・ロバーズ)だ。
手錠をしている。
彼は、店に入るなり、酒をラッパ飲みする。
店の奥の暗闇から、例のハーモニカの男が浮かび上がる。
思わせ振りな演出。
シャイアンは、ハーモニカ野郎に自分の手錠を撃たせ、鎖を外す。
二人は知り合いのようだ。
そこへ、今度は5人の悪党どもが入って来る。
こいつらは、駅でハーモニカ野郎に撃たれた3人組の仲間のようだ。
さて、ジルが馬車に乗ってマクベインの家に着くと、哀れ、一家は皆、殺された後だった。
今日が婚礼の日だったというのに。
ドアに釘でコートの切れ端が打ち付けられていた。
犯人の目印だろう。
それはシャイアンのもののようだった。
ジルはひと月前にマクベインと結婚の約束を交わしていた。
彼女は、この家にとどまり、復讐を誓う。
今回の事件に、ハーモニカ野郎は怒っていた。
しかし、現時点ではヤツは彼女の味方なのか分からない。
本作は、とにかくゆったりと進む。
人間関係も、なかなか把握出来ない。
翌朝、シャイアンがジルの所へやって来る。
「オレは子供は殺さん。オレを怒らせるな。オレではない。」
彼は疑惑を否定する。
実は、今回の黒幕は鉄道王モートン(ガブリエル・フェルゼッティ)だった。
彼は、グラン・クラスを更に立派にしたような車両を居所にして、指示を出している。
何だか、謎の病気だかで身体が不自由らしい。
彼を見ていると、徳田虎雄を思い出す(不謹慎か)。
で、モートンがフランクに、今回のマクベイン一家惨殺を命じたのだった。
と言うのは、鉄道を敷設するために、マクベインの持っている土地が必要だったんだな。
場面が戻って、ジルの家で彼女と話すシャイアン。
ジルは、実は娼婦の娘だった。
道理で色気がある訳だ。
そして、シャイアンは彼女の母親を知っているという。
そこへ、何故か鳥小屋の屋根の上にいたハーモニカの男が降りて来る。
彼らはジルの敵なのか、味方なのか?
その時、悪党が二人、ジルの家を急襲する。
ハーモニカ男が始末する。
彼は、どうやらジルの味方のようだ。
まあ、あえて謎めいた雰囲気に見せていたのだろうな。
で、ジルは近所のクリーニング屋(フランクの子分)に「フランクに、『全て知っている』と伝えて」と言う。
クリーニング屋は、例の走る司令室みたいな列車へ。
中にはモートンとフランク。
屋根の上にはハーモニカ野郎、床下にはシャイアンが潜んでいる。
結局、クリーニング屋は撃たれ、すったもんだの末、シャイアンはハーモニカ野郎の窮地を救うが、モートンとフランクは見逃してしまう。
フランクは、その足でジルの所へ向かった。
彼の今度の狙いはジルなのか。
ここまでで約半分である。
半分で、ようやく誰が「善玉」で、誰が「悪玉」であるかが見えた。
ところが、未だ物語りは展開するんだな。
2時間45分の映画だが、休憩はない。
最後は、まあ西部劇らしく終わるが。
とにかく長い。
西部劇の雰囲気を楽しむ映画。