『脱出』(1944)

この週末は、ブルーレイで『脱出』を見た。

(※リンクはDVD版。)
1944年のアメリカ映画。
監督は、『三つ数えろ』『赤い河』の巨匠ハワード・ホークス
脚本は、『三つ数えろ』のウィリアム・フォークナー(あの有名な小説家のフォークナー)。
原作はアーネスト・ヘミングウェイ
音楽は、『フランケンシュタインの花嫁』『レベッカ』『サンセット大通り』『裏窓』のフランツ・ワックスマン
主演は、『カサブランカ』『三つ数えろ』『潜行者』『キー・ラーゴ』『麗しのサブリナ』の大スター、ハンフリー・ボガートと、『三つ数えろ』『潜行者』『キー・ラーゴ』のローレン・バコール
共演は、『荒野の決闘』『赤い河』『西部開拓史』のウォルター・ブレナン
余談だが、1972年にジョン・ブアマン監督で『脱出』という映画があった。
あちらも傑作だったが、本作は全くの別作品である。
ワーナー・ブラザース
モノクロ、スタンダード・サイズ。
勇ましいテーマ曲で始まる。
1940年夏、ヴィシー政権下にあるフランス領マルティニーク島西インド諸島の一部)のフォール・ド・フランスが舞台。
本作はまず、ナチス・ドイツのフランス侵攻でフランスが敗北したという時代背景を知らないと、理解するのが難しい。
アメリカ人のハリー・モーガン船長(ハンフリー・ボガート)は港で、釣り客を乗せて一時航行する許可を得る。
酔っ払って寝ている運転手エディ(ウォルター・ブレナン)を、バケツの水をかけて起こす。
エディはアル中だが、モーガンとの付き合いは長く、信頼も厚い。
客のジョンソンを乗せて、船は出港する。
船と言っても、釣り船なので、大型のモーター・ボートだ。
ジョンソンが魚釣り用の竿を海に落としてしまったので、モーガンは代金825ドルを請求するが、ジョンソンは「現金がないので、明朝、銀行で下ろして支払う」と言う。
港に着いて、ジョンソンとモーガンが話している。
会話の中に、何気なく「ヴィシー」という単語が出て来る。
すると、二人は、白いスーツの男に「ヴィシー政権の悪口を言っている」として尾行されるハメになる。
要するに、ヴィシー政権というのはヒトラーの傀儡だから、フランス人には反発を食らっているという訳だ。
今の日本で例えれば、トランプのポチである安倍政権の悪口を言うと、警察に狙われるようなものだ。
で、モーガンアメリカ人、つまり、この地では外国人だから、ドイツとフランスの確執など知ったこっちゃない立場にいる。
モーガンがホテルに戻って酒を飲んでいると、ホテルの主人フレンチーが、反政府活動家の密航に協力して欲しいと頼んで来た。
上述のように、そんなことに関わり合いたくないモーガンは、それを拒否する。
モーガンが部屋に戻ると、隣の部屋の美人がマッチを借りに来る。
ジョンソンと共にトリニダッドから飛行機で来たアメリカ人マリー・ブロウニング(ローレン・バコール)だ。
マリーはタバコに火を点けて、マッチを床に投げ捨てる(!)。
当時19歳のバコールが映画の中でタバコをスパスパ吸って、それで大スターになるというのは、現在では考えられないだろう。
モーガンはマリーのことが気になる。
マリーは、ホテルで歌をうたっている。
モーガンはそれを見ている。
彼が部屋の前で彼女に声を掛けると、マリーはジョンソンから財布をスッたという。
モーガンが中を確認すると、現金60ドル、1400ドルの小切手、午前6時半発の飛行機のチケットが入っていた。
銀行が開くのは10時だから、ジョンソンは銀行が開く前に飛行機に乗る。
つまり、モーガンにウソを吐いていたということだ。
モーガンは、1400ドルの小切手を没収する。
そこへ、例の反政府勢力の連中が押し掛けて来る。
「何度来ても同じだ」とモーガンは断る。
モーガンとマリーは、ジョンソンに財布を返す。
モーガンはジョンソンを脅して、取り立てに成功する。
そこで、突然銃撃戦が始まる。
フレンチーはモーガンとマリーに「警察には何も話すな」と告げる。
ジョンソンは流れ弾に当たって死ぬ。
国家権力の手先・秘密警察のルナール警部(ダン・シーモア)が乗り込んで来る。
モーガンとマリーは、参考人として警察署に連行され、事情聴取を受ける。
ルナールは、マリーの頬を殴るという非道さであった。
直ちに彼女を庇うモーガン
国家権力の横暴許すまじ!
二人は、所持品を金銭もろとも没収されてしまう。
解放された二人は、店に入るが、文無しだ。
マリーがスリを働き、酒を買って、モーガンの部屋に持って来る。
彼女は、自分の国に帰りたいと強く願っている。
彼女からモーガンにキスをする。
モーガンは、文無しになってしまったので、結局、反政府勢力の密航の仕事を引き受けることにする。
翌日、ホテルのレストランにいるマリーの基へ、モーガンがやって来る。
「君の分の切符を取って来た」とモーガンはマリーに渡す。
モーガンが港で船を出そうとしているところへ、エディがやって来る。
「今日は連れて行けない」と、モーガンはエディにカネだけ渡す。
長年の相棒を、危険な仕事に巻き込みたくなかったのだ。
しかし、エディは船に潜入していた。
さあ、これからどうなる?
前述のように、政治的背景を知らないとストーリーは理解出来ない。
だが、主役の二人は外国人なので、客観的に見ている。
政治的プロパガンダ映画ではないので、娯楽作品として楽しめるようになっている。
登場人物のキャラクターが、実に巧みに描かれている(特に、エディ)。
今見ても、十分面白い映画だろう。