『偉大なるアンバーソン家の人々』

この週末は、ブルーレイで『偉大なるアンバーソン家の人々』を見た。

1942年のアメリカ映画。
監督は、『市民ケーン』『黒い罠』『審判』の天才オーソン・ウェルズ
音楽は、『市民ケーン』『地球の静止する日』『ハリーの災難』『間違えられた男』『知りすぎていた男』『めまい』『シンドバッド七回目の航海』『北北西に進路を取れ』『サイコ』『鳥』『マーニー』『タクシードライバー』の巨匠バーナード・ハーマン
編集は、『市民ケーン』のロバート・ワイズ
主演は、『市民ケーン』『疑惑の影』『第三の男』『トラ・トラ・トラ!』のジョゼフ・コットン
共演は、『イヴの総て』『私は告白する』『十戒』のアン・バクスター、『市民ケーン』『西部開拓史』のアグネス・ムーアヘッド。
ナレーションはオーソン・ウェルズ
僕が本作を見るのは二度目。
前回は、自宅でワインか何かを飲みながらDVDを見たのだが、酔っ払っていたのか、ロクに内容を理解出来なかった。
しかし、今回、改めて見ると、ちゃんとした映画であった。
市民ケーン』に続く監督第二作。
まあ、存在感は『市民ケーン』の方が圧倒的だが。
本作は、オーソン・ウェルズの意図に反して原版をカットされ、しかも、結末も差し替えられたらしい。
オリジナル版も見てみたいが、焼失してしまったそうだ。
モノクロ、スタンダード・サイズ。
最初のナレーションが説明的で、異常に長い。
「アンダーソン家の栄華は1873年に始まった。田舎の町が都会へと変わるまで、その栄華は何年も続いた。その時代の裕福な女性達は絹をまとい、互いに面識があり、馬か馬車で見分けられた。乗合馬車が唯一の乗物。2階の窓から合図をすれば馬車は止まり、窓を閉め、身支度をして日傘を手に持ち、メイドに指図をして出て来るまで待った。全てはゆっくりとしたペースで流れていた。切り下げた前髪が女性の間で流行し、男達はストーブの煙突と呼ばれるシルクハットを着用していた。そして、ダービーハットが流行し、バケツ型からスプーン型になった。靴脱ぎが必要なブーツより短靴や編み上げ靴が好まれた。流行は箱型から剣先型へと変わった。折り目のあるズボンは誂(あつら)え仕立て、上着より少し短めだし、夜会用のコートは丈の長いものに変わった。タイトな形のズボンもずた袋のようになった。当時は優雅だった。ソリ遊びや舞踏会にお茶の会、ニューイヤーズ・パーティー、森でのピクニック、一番惜しまれるのはなくなったセレナーデの習慣。夏の夜、若者は乙女の窓辺でフルートやチェロが奏でる音楽で熱い想いを伝えた。そんなのんびりした町でもアンバーソン家はとても目立つ存在だった。」
長い長いナレーションである。
こんな長いナレーションは他に知らない。
オーソン・ウェルズ自身が語っているので、彼が関与しているのは間違いない。
一体どんな意図があったのだろうか。
ユージン・モーガンジョゼフ・コットン)は、アンバーソン家の令嬢イザベル(ドロレス・コステロ)と相思相愛であった。
だが、彼女の部屋の窓の下でセレナーデを奏でるつもりが、酔っ払って転んでベースを壊してしまう。
ユージンがアンバーソン家を訪ねても、「モーガンさんにんはお会いしません」と門前払い。
町の人々は、その噂で持ち切りだった。
やがて、青年実業家ウィルバー・ミニファーがイザベルを射止める。
ウィルバーとイザベルの間には一人息子のジョージが産まれたが、甘やかされて育ったので、暴君になった。
老人相手に暴言を吐き、殴る蹴るを繰り返す。
全寮制の学校に行っても、性格は変わらなかった。
大学2年で帰省し、彼の祖父アンバーソン少佐が開いた舞踏会に出席。
そこで、ユージンとイザベルが再会する。
見知らぬキザな男が母親と親しげに話しているのを、ジョージはにらみ付ける。
ジョージは、ユージンの一人娘ルーシー(アン・バクスター)と知り合う。
ジョージの叔父ジャック(レイ・コリンズ)は国会議員。
それから、ウィルバーの妹のファニー(アグネス・ムーアヘッド)もいた。
ユージンは自動車の発明家であった。
ジョージはルーシーに「仕事をする気はない」と話す。
彼は労働など底辺階級の者がすることだと考えていた。
将来の希望は「ヨットマンになること」だという。
ユージンは今でもイザベルが好きであった。
その日、ジョージはジャックからファニーがユージンに恋していたという話しを聞くが、ジャックはイザベルとユージンの関係については話さなかった。
ユージンはアンバーソン家に援助を求める。
ファニーはジョージにユージンのことを質問されて、ブチ切れる。
ユージンは男やもめであった。
翌日、ジョージはルーシーを誘って、馬ゾリに乗っていた。
一方、ユージン、イザベル、ファニー、ジャックが乗った自動車は故障して、立ち往生していた。
偶然、そこを通り掛かったジョージとルーシーがソリから雪上に振り落とされ、キスをしたところを、ユージンに目撃されてしまう。
馬は走り去った。
ジョージがモーガンの車を押すが、なかなか動かない。
結局、ジョージとルーシーもユージンの車に乗せてもらうハメになる。
ウィルバーが亡くなった。
アンバーソン家で葬儀が行われる。
ユージンとルーシーも駆け付けた。
ウィルバーは投資に失敗して財産をすっかりなくし、妹ファニーにも何も残さなかった。
ユージンは、おしゃれに気を遣って、めかし込むようになった。
イザベルはユージンのことが気になる。
ファニーは、それが気に食わなかった。
ユージンは立派な自動車工場にイザベル達を招く。
とうとう寄りを戻す二人。
しかし、イザベルはそのことをジョージには未だ話せないでいた。
一方、ジョージとルーシーは馬車でデートしていた。
ルーシーは未だジョージとの結婚に乗り気でなかった。
働く気がないジョージの将来を心配しているのである。
さて、アンバーソン家のディナーの席上、ジョージは「自動車など無意味だ」と発言して、ユージンを侮辱する。
が、ユージンは「ジョージが正しいかも知れない」と言う。
その後、ジョージはファニーから、イザベルとユージンが恋仲であったこと、それが町中の人々の噂の種であったことを初めて聞かされ、驚愕する。
さあ、これからどうなる?
後半は、とにかく没落するアンバーソン家のトーンが暗い。
それだけに、取って付けたようなラストが残念。

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