『シー・オブ・ラブ』

この週末は、ブルーレイで『シー・オブ・ラブ』を見た。

1989年のアメリカ映画。
監督はハロルド・ベッカー。
脚本は、『ハスラー2』のリチャード・プライス。
撮影は、『ガンジー』のロニー・テイラー。
編集は、『ウエストワールド』のデヴィッド・ブレサートン。
主演は、『ゴッドファーザー』『セルピコ』『ゴッドファーザーPART II』『狼たちの午後』『スカーフェイス』『ゴッドファーザーPART III』『カリートの道』の我らが大スター、アル・パチーノ
1989年ということは、僕が高校2年生の時だが、この映画のことは全く記憶にない。
と言うより、つい最近まで、よく知らなかった。
タイトルとパッケージからして、ラブ・ストーリーっぽいので、無意識に避けていたのか。
で、まあ今回、アル・パチーノの出演作を色々と探している中で、ブルーレイを購入したのだが。
アル・パチーノが出ていなかったら、まず見ないジャンルだな。
カラー、ワイド。
ユニヴァーサル。
甘美なテーマ曲。
タイトル・バックは夜のニューヨーク。
「愛の海(Sea of Love)」のレコードが掛かる部屋。
裸の男がベッドの上で何者かに撃たれる。
翌朝、「ヤンキース・ファンの会」が開催された。
集まったのはガラの悪い連中ばかり。
給仕をしていたフランク(アル・パチーノ)は、壇上にあがり、「選手は来られない」と宣言する。
続いて、「45人のお尋ね者がここでメシを食っている」と叫ぶと、後ろのドアが開いて、警察が乱入し、一斉逮捕。
フランクは、刑事になって20年目であった。
深夜、自分の部屋でTシャツにトランクスという恰好で元妻に電話をするフランク。
すぐに電話を切られる。
部屋には飲みかけのジャック・ダニエル。
翌日、最初の殺人の現場(18階)へ同僚と向かうフランク。
同僚は、何と、フランクの元妻の現夫であった。
フランクは「中年の落ち込みだ」と口にする。
が、40歳代なんて、まだまだ働き盛りだと思うが。
僕も40歳代だが。
そんなに「疲れた」を連呼することもなかろう。
まあ、30年前の40歳代と今の40歳代では、感覚が違うのかも知れないが。
で、現場では裸の男がベッドで死んでいる。
で、フランクの推理では、被害者はよく女を連れ込んでいた。
古いドーナツ盤を掛けてムードを作ろうなんていうのは、初めて会う女だ。
慣れたら、わざわざそんなことはしない。
ガードマンに尋ねると、当日出入りしたのはテレビの修理工で、女性はいなかったという。
一方、その夜、また別の男が全裸のままベッドで撃たれた。
翌日、フランクの署では同僚の昇進を祝うパーティーが行われていた。
分署からシャーマン(ジョン・グッドマン)という刑事が来ている。
バドワイザーの小瓶を飲みながら、シャーマンはフランクと話す。
実は、シャーマンも、昨夜起きた、ベッドで全裸の男が撃たれた事件を担当しているのであった。
二人は「一緒に組もう」と意気投合する。
その夜、フランクは18階の殺人現場を訪ねるが、ベッドでうっかり眠ってしまう。
そこへ、突然のブザーで目覚める。
若い女が訪ねて来たのだ。
女の話しによると、被害者の男は、『NYウィークリー』という独身者向けの雑誌に広告を出していた。
今なら、出会い系サイトかな(いや、それももう古いのか?)。
シャーマンによると、彼の担当している現場とフランクの現場の指紋が一致したので、これは同一犯による犯行だということが分かった。
その週の日曜日、シャーマンの娘の結婚式に呼ばれたフランクは、お祝いムードの中で一人、孤独を味わう。
フランクはシャーマンに、「オレ達も『NYウィークリー』に広告を載せよう」と提案する。
これまでに殺された二人は、いずれも広告に詩を載せていた。
フランク達も広告に詩を載せて、それに反応した女とレストランで会って、グラスから指紋を採取して照合すればと。
件の『NYウィークリー』に詩を載せていた男がもう一人いた。
レイモンド・ブラウンという。
フランクとシャーマンがブラウンの家を訪ねると、何と妻子がいる。
ブラウンは、雑誌に広告を出し、郵便局に私書箱を作り、アパートの部屋まで借りていたが。
「手紙は捨てた。女とも会っていない」とウソをつく。
フランクとシャーマンが上司に、『NYウィークリー』に広告を出すというアイディアを打ち明けると、上司は呆れながらも渋々承知した。
「ただし、指紋を取るだけだぞ(それ以上、深い関係にはなるな)。」
まあ、この辺り、独身で寂しい中年男が、あわよくば出会いをという下心も透け透けで、気持ちは分からないではない。
そんなことをしている間に、ブラウンも第三の被害者になってしまった。
フランクの同僚に詩を書けそうなヤツはいなかった。
そんな時、酔っ払ったフランクの父親(親子揃ってアル中だ)が、死んだ奥さん(つまりフランクの母親)が若い頃に書いた詩を暗唱する。
フランクは「それを使おう!」
果たして、広告を載せると、私書箱に手紙がドッサリ届いた。
フランクとシャーマンは、二人で手分けして女性達に電話をする。
胸元に隠しマイクを仕込み(これがデカくて、胸が膨らむのだが)、30分刻みで女と会う。
フランクが広告主、シャーマンが店員のフリをする。
最初は熟年のマダム。
調子よく会話を弾ませていたフランク。
ワイングラスの指紋も回収出来たが、つい「我々」と口走ってしまい、マダムに不審がられてしまう。
次の女性は、「あなたは私にウソをついている。デカの目よ。別れた夫がデカだったから分かる!」と怒って立ち去ってしまう。
その次の女性は、全く会話が噛み合わず、「ピンと来ない」と言って、グラスに口を付けることもなく帰ってしまう。
なかなか難しいね。
署に戻ると、テレビの修理工が来ていた。
「あの日、黒人の若者を見た」という。
その黒人が勤めていたというスーパーを訪ねると、店長が「月曜日にクビにした」と言う。
この辺り、人種差別的な偏見がプンプンするので、今なら難しいだろう。
で、仕事が終わった後、八百屋で、例の「ピンと来ない」と言った女性とバッタリ会うフランク。
「あの詩は他の人が書いたでしょ?」と聞かれ、「オレの母親が若い時に書いた」と答えるフランク。
シャーマンに電話をすると、「その女は容疑者だ。手を出すな」と忠告される。
彼女の名はヘレン(エレン・バーキン)という。
エレン・バーキンは、美人という訳でもないが、色気はものすごくあるな。
今度は意気投合したフランクとヘレンは、二人で飲みに行く。
彼女は、前の夫とは妊娠してすぐに別れたのだという。
その後、フランクの部屋へ行き、激しく愛し合う二人。
彼女がトイレへ行った時、ふと彼女のバッグに目をやると、中から銃が覗いている。
とっさに銃を構えるフランク。
さあ、これからどうなる?
まあ、フランクはやることなすこと、みんな裏目に出るのだが。
中年の悲哀は滲み出ている。
先週見た『カリートの道』では麻薬王で、今回は刑事。
まあ、アル・パチーノの演技の幅には感心させられるが。
で、犯人が明らかになるのだが、割と陳腐なサスペンスなんだよね。
最後は、如何にもハリウッド映画的に終わる。
面白かったけど、1回見たら、もういいかな。
犯人が分かったら、もういいやって感じ。
アル・パチーノが出ていなかったら、やっぱり見なかったかな。
彼の他の代表作と比べると、ちょっとワンランク落ちる感じ。
まあ、ファンだから、見ておくべきか。

Sea Of Love - Trailer - (1989) - HQ