この週末は、ブルーレイで『幌馬車』を見た。
- 出版社/メーカー: IVC,Ltd.(VC)(D)
- 発売日: 2019/11/29
- メディア: Blu-ray
監督は、『怒りの葡萄』『わが谷は緑なりき』『荒野の決闘』『西部開拓史』の巨匠ジョン・フォード。
製作は、『キング・コング(1933)』のメリアン・C・クーパー。
主演は、『ゲッタウェイ』『続・激突!/カージャック』のベン・ジョンソンと、『赤い河』のハリー・ケリー・ジュニア。
共演は、『赤い河』のジョアン・ドルー、『荒野の決闘』のワード・ボンド、『怒りの葡萄』のジェーン・ダーウェル、『遊星よりの物体X』『放射能X』のジェームズ・アーネス。
本作は、1871年にアメリカ・ユタ州で実際にあったモルモン教徒の集団移住を題材にしている。
モノクロ、スタンダード・サイズ。
画質はあまり良くない。
1950年よりも、もっと古い映画に見える。
「殺人犯 クレグ一味 シャロー他3名 指名手配」というクレジット。
店を襲った悪党一味。
逃げようとした時、店主が発砲し、リーダーのシャローが肩を撃たれる。
「後悔するぞ!」
店主は発砲されて死亡。
勇ましい低温の合唱曲がテーマ。
本作では、男声の合唱曲が幾つも劇中に流れる。
トラヴィス(ベン・ジョンソン)とサンデー(ハリー・ケリー・ジュニア)の二人は、12頭の馬を引き連れている。
町に着く。
保安官が「いい馬だ。売るか?」と言って来たので、売る。
この馬は、口笛を吹くと暴れ出す習性があった(これは、後半への伏線)。
また客がやって来る。
モルモン教徒の長老ウィッグスであった。
トラヴィスは、50ドルで吹っ掛ける。
トラヴィス達はナバホで馬を手に入れたのだという。
ウィッグスは「サン・ファンを知っているか?」と尋ねる。
トラヴィスは「サン・ファンへは秘密の道がある」と答える。
ウィッグスは「君達にサン・ファンまで幌馬車の先導を頼む」と言う。
彼らは、モルモン教徒の「約束の地」であるサン・ファンまで、集団で移住するというのだ。
道は険しいので、「幌馬車では無理だ」と答えるトラヴィス。
トラヴィス達は、「カード(トランプ)をする約束があるので」と言って、一旦は断る。
カードが終わると、トラヴィスは「オレは行くぞ」と言って立ち上がる。
幌馬車隊で続々と町を出るモルモン教徒達。
トラヴィスとサンデーは幌馬車隊を黙って見送っていたが、やがて馬を飛ばして先頭のウィッグに追い付く。
二人は、450ドルで幌馬車の先導を請け負った。
幌馬車隊はひたすら西へ西へと。
大河を渡る幌馬車隊。
これは迫力がある。
撮影が大変そうだ。
今度は、ギターの音色が聞こえて来る。
若い娘がギターを弾いている。
彼女の後ろに停められた幌馬車の中から、へべれけになった中年女性が出て来る。
そして、幌馬車の前では、中年の男が横になって寝ていた。
真っ昼間なのに。
「水をちょうだい」と言って、倒れる娘。
3人はダンスショーの巡業中の芸人で、飲み水が尽きたので、酒を飲んでいたのであった。
娘の名はデンバー(ジョアン・ドルー)。
中年男はモグリの医者でロックスリー・ホール、中年女はシスター・レードヤードという。
一見、家族のようだが、家族ではない。
トラヴィス達の一行に、彼らも同行することになった。
途中で、飲み水の補給をする一行。
次の水のありかは65キロ先だという。
ロックスリーはヒゲを剃り始めたが、トラヴィスに「水不足だから、ヒゲ剃りは遠慮しろ」とたしなめられる。
「ヒゲ面で観客の前に立てない」とむくれるロックスリー。
デンバーは、幌馬車の中から桶の水を馬にかけるいたずら。
驚いた馬が暴れる。
デンバーに注意するトラヴィス。
砂地の道を歩くデンバーに、歩き易い靴を与えるトラヴィス。
トラヴィスにほのかな恋心を抱くデンバー。
旅は続く。
水を発見した!
急いで走り出す馬達。
まるでクロサワ映画のような迫力である。
もっとも、黒澤はジョン・フォードを師匠と仰いでいたので、こっちがお手本なのだが。
大河があった。
皆、一斉に水浴びをする。
ロックスリーも、心置きなくヒゲを剃り始める。
夜、一行は皆で踊る。
トラヴィスはデンバーと踊る。
ロックスリーはダンサーだが、踊らない。
そこへ、銃を持った男達がやって来る。
冒頭の、店を襲撃した連中だ。
踊りがパッタリと止む。
にらみ合うトラヴィス達と男達。
「火が見えたもので」と切り出すリーダーのシャロー。
肩を負傷しているので、腕を吊っている。
「食い物をくれ。」
「少しで良ければ。」
シャローは、肩が痛くて馬には乗れないのだという。
「例の奴らだ」お尋ね者だと気付くトラヴィス。
「なぜ銃を?」とトラヴィスがシャローに尋ねると、「人を撃ったことは?」と逆に聞き返される。
「ない、ヘビだけだ」と答えるトラヴィス。
これも、後半への伏線。
夜中に、寝ているロックスリーのもとを訪ねるシャローら。
彼らは、無学だから字が読めない。
ロックスリーが「ドクター」だと判ると、「肩を見てくれ」と頼むシャロー。
「資格を持っていないんだ」とロックスリーが告げるも、すがるシャロー。
「これは銃弾の跡だな。」
「未だ鉛の弾が入っている。」
シャローらは、ロックスリーの酒を飲む。
夜が明けた。
連中は厄介者だった。
さあ、これからどうなる?
本作には、あまり細かなストーリーはなく、物語はゆったりと展開する。
終始、昔のマルボロのCMのような景色。
幌馬車が急斜面を下るシーンは、撮影が大変だっただろう。
馬の演技も見事である。
本作は、タイトル通り、正に「幌馬車」が主役だ。
圧巻である。
Wagon Master (1950)