『さらばバルデス』

この週末は、ブルーレイで『さらばバルデス』を見た。

さらばバルデス [Blu-ray]

さらばバルデス [Blu-ray]

1973年のイタリア映画。
監督は、『荒野の七人』『大脱走』『シノーラ』『マックQ』の巨匠ジョン・スタージェス
製作は、『天地創造』『バーバレラ』『バラキ』『キングコング(1976)』の大プロデューサー、ディノ・デ・ラウレンティス
主演は、『荒野の七人』『大脱走』『ウエスタン』『バラキ』の大スター、チャールズ・ブロンソン
共演は、『バラキ』のジル・アイアランド。
巨匠と大スターがタッグを組んだ作品だが、僕は恥ずかしながら知らなかった。
まあ、ジョン・スタージェスと言えば、『荒野の七人』と『大脱走』かな(『OK牧場の決斗』も、恥ずかしながら未見)。
カラー、スタンダード。
画質は、最近のブルーレイにしてはやや粗い。
牧歌的なテーマ曲。
荒れ地を馬に乗って進む少年ジェイミー(ヴィンセント・ヴァン・パタン)。
ふもとに一軒家を発見する。
訪ねると、中からインディアンと白人のハーフであるチノ・バルデスチャールズ・ブロンソン)が出て来る。
「入れ。飯を食わせてやる」とチノ。
怖い人ではなさそうと、ジェイミーは中へ。
チノは焼いた牛肉を食わせてくれた。
彼は野生馬を捕まえて飼い馴らす仕事をしていた。
ジェイミーは仕事を探している。
翌朝、チノは馬を慣らしている。
ジェイミーは目覚めて、自ら部屋の掃除などを始める。
それを見たチノは、「お前の馬は休ませてやれ。別の馬を貸してやる」と。
バックという名の荒馬は、ジェイミーとは相性が良かった。
ものすごいスピードで駆けるバック。
今日は、町へ馬を売りに行く日であった。
ジェイミーも着いて行く。
馬が10頭くらい、町の方へ向かって走って行く。
これは壮観な光景だが、撮影は大変だっただろう。
馬は200ドルで売れた。
しかし、カウボーイ野郎に「汚らしいインディアンめ!」と罵られたチノは、そいつを殴る。
そいつは銃を構えたが、駅馬車から降り立った男が止めに入る。
チノは、今日は町に泊まることにし、ジェイミーに小遣いを渡す。
しかし、保安官はジェイミーに「チノと一緒にいろ。面倒は掛けるな」と告げる。
チノがバーへ行くと、店主は「改装したばかりだから、よそへ行ってくれ」と言う。
チノは厄介者扱いだった。
いきなり他の男達が入って来て、ケンカになる。
その場へ駆け付けた保安官は、「すぐに町を出ろ!」と命じる。
チノとジェイミーは牧場へ帰った。
ジェイミーはチノに認められ、彼の手伝いをすることになった。
とにかく、野生の馬がいっぱいいる。
これを放牧しているのだ。
母馬が出産し、子馬は無事だったが、母馬はヒドイ怪我をしている。
可哀想だが、チノは母馬を銃殺した。
競馬で脚を折った馬みたいなもんだな。
子馬を家へ連れて帰り、ミルクを飲ませる。
地主のマラルが設置した鉄条網に、馬の肉と毛が付着しているのをチノが発見する。
先の母馬は、これで怪我をしたのだろう。
チノはマラルの家に乗り込む。
応対したのは妹のキャサリン(ジル・アイアランド)。
チノはマラルに抗議するが、「俺の土地だ。文句を言うな」と言われてしまう。
キャサリンはチノに興味を持ったようで、「あなたの馬を見せて」と頼む。
チノは「見に来ればいい」と。
しかし、チノは「俺の馬に婦人用の鞍は着けさせん」と言う。
要するに、女性はスカートをはいているから、横向きに座る鞍を着けるんだな。
チノは「服は自分で何とかしろ」と告げる。
ジェイミーはキャサリンのことを「気取った女だ」と言うが、チノは「女のことも知らんクセに」。
荒れる馬を手なずけていると、チノは肩をやられた。
心配するジェイミーに、チノは「昔、インディアンに馬を襲われ、取り戻しに行ったら馬に踏まれた」と、背中に傷跡を見せる。
キャサリンが馬を引き取りに来た。
彼女は何と、ズボンをはいて来たのであった。
しかし、チノは「その乗り方は女じゃ無理だ」と言い放つ。
キャサリンは、「バルデスさん、失礼な人ね!」と怒って去る。
チノはジェイミーに「ここにいろよ」と告げる。
喜ぶジェイミー。
ある日、チノの入浴中に訪ねて来るキャサリン
慌てるチノに、「あなたは馬よ!」
気の強い女だ。
キャサリンは、「コーヒーくらい飲ませて」と言う。
チノは、彼女のことを「馬乗りが上達する見込みがある」と言う。
それを聞いたキャサリンは喜ぶ。
自分の思いを素直に言葉に出来ない無骨なチノの性格が、非常によく描かれている。
チノとキャサリンは、二人で馬に乗って散歩する。
余談だが、この二人(チャールズ・ブロンソンとジル・アイアランド)は、実生活でも夫婦だったらしい。
野生馬の大群を誇らしげにキャサリンに見せるチノ。
今なら、全部CGだろう。
もう、こういう映画は撮れない。
本作は、馬の演技も素晴らしい。
人間と違うから、これだけたくさんの馬に言うことを聞かせるには、相当な準備期間と訓練が必要だったはずだ。
昔の映画というのは、それだけの手間をフィルムに記録したところに価値があったと思う。
今の映画は、デジタル技術だからな。
全く別物だ。
で、馬が交尾をしているその前で、キスをするチノとキャサリン
ところが、二人が魅かれ合っているのを知ったマラルはチノの家にやって来て、「妹に手を出したら殺す!」と告げる。
さあ、これからどうなる?
後半には、インディアンの暮らしも出て来る。
こういうのも、今では撮れないんじゃないか。
そして、結末は、まあタイトル通りなんだが。
ジェイミーの目線から見れば、少年の成長を描いた映画とも言える。