『カンタベリー物語』を原文で読む(第10回)

(テキスト12ページ、1行目~)

(The Clerk)

clerk(名)大学礼拝堂(教区教会)の書記(役人)

A Clerc ther was of Oxenford also,
That unto logyk hadde longe ygo.

Clerc→Clerk
ther→there(副)(thereは形式上主語のように扱われるが、動詞の後に通例不特定のものや人を表わす主語が続く/「そこに」の意味はなく、日本語ではthere isで「~がある」の意になる)(beを述語動詞として)
Oxenford→Oxford(名)=Oxford University(名)オックスフォード大学(12世紀に創立された英国最古の大学)
that(代)(関係代名詞)(人・ものを表わす先行詞を受けて通例制限用法で)(~する(である))ところの(先行詞がもの・人を表わす場合で、最上級の形容詞、all the、the only、the same、the veryなどの制限的語句を含む時、および、先行詞が疑問代名詞やall、much、little、everything、nothingなどの時に多く用いられる傾向があるが、絶対的なものではない)/(主語として)
unto(前)(古)~に、~のほうへ、~まで
logyk→logic(名)論理学
hadde→had
longe→long(副)長く、長い間、久しく
ygo→gone
go(自)(特定の仕事に)従事する(to)

As leene was his hors as is a rake,
And he was noght right fat, I undertake,
But looked holwe, and therto sobrely.

as(副)(通例as ~ as ~で、形容詞・副詞の前に置いて)(~と)同じ程度に、同様に、同じくらい(as ~ as ~で前のasが指示副詞、後のasは接続詞)
leene→lean(形)(人・動物が)(ぜい肉がなく引き締まって)やせた、細い(⇔flabby)
his(代)彼の
hors→horse
as(接)(as ~ as ~で同程度の比較を表わして)~と同じく、~と同様に、~のように、~ほど
rake(名)(干し草・落ち葉などをかき集めるための)くま手
noght→not
right(副)まったく、非常に、とても
undertake(他)(~と)保証する、断言する(+that)
but(接)(前の否定語・句・文と照応して)(~ではなく)て(not A but Bで「AではなくBである」の意を表わす表現)
look(自)(~に)見える、(~と)思われる(+補)
holwehollow(形)(体の一部が)へこんだ、落ち込んだ、こけた
thereto(副)なおそのうえに
sobrely→soberly(副)<sober(形)(人・性質・態度など)落ち着いた、謹直な、まじめな

Ful threedbaare was his overeste courtepy,
For he hadde geten hym yet no benefice,
Ne was so worldly for to have office.

Ful→Full
full(副)(形容詞・副詞を修飾して)まったく、非常に
threedbaare→threadbare(形)(布・糸類が)すれて糸の見える、すり切れた(=worn)
overeste→uppermost(形)最上の、最高の
courtepy→coat(名)上着、ジャケット
for(接)(通例コンマ、セミコロンを前に置いて、前文の付加的説明・理由として)という訳は~だから(=as、since)
geten→gothym→him
benefice(名)聖職禄(ろく)(給)
ne(古)(接)=nor(接)(否定の節・文の後に用いて)~もまた~ない(「not+動詞+主語」の倒置が起きる)
worldly(形)世俗的な、世渡り(世智)にたけた、世慣れた、世俗の欲にふける
for→as
so ~ as to do ~するほどに(~だ)
office(名)仕事、業務

For hym was levere have at his beddes heed
Twenty bookes, clad in blak or reed,
Of Aristotle and his philosophye
Than robes riche, or fithele, or gay sautrye.

levere→liefer
lief(副)(古)喜んで、快く(次の構文に用いて)I had liefer cut my throat than do it. それをするくらいならいっそのどを切って死んだほうがましだ。
beddes→bed's
heed→head(名)(単数形で/通例the ~)(ものの足部(foot)に対して)上部、上端 ・the head of a bed ベッドの頭(まくらの部分)
twenty(形)(基数の20)20の、20個の、20人の
bookes→books
clad(形)おおわれた(in)
in(前)(道具・材料・表現様式などを表わして)~で、~でもって、~で作った
blak→black(名)黒い布
reed→red(名)赤い服(地)
Aristotle(名)アリストテレス(384-322 B.C./古代ギリシアの哲学者)
philosophye→philosophy(名)哲学、哲学体系 ・the philosophy of Aristotle アリストテレスの哲学
robe(名)(しばしば複数形で)(弁護士・司法官・聖職者などの)礼服、官服、法服
riche→rich(形)(宝石・衣服など)高価な、華美な
fithele→fiddle(名)バイオリン
gay(形)(色彩・服装など)派手な、華やかな、きらびやかな
sautrye→psaltery(名)プサルテリウム(14-15世紀の一種の弦楽器/指またはばちでひく)

But al be that he was a philosophre,
Yet hadde he but litel gold in cofre;
But al that he myghte of his frendes hente,
On bookes and on lernynge he it spente,
And bisily gan for the soules preye
Of hem that yaf hym wherwith to scoleye.

al be that→albeit(接)たとえ~でも、~にもかかわらず
philosophre→philosopher(名)哲学者
yet(接)(although、thoughと相関的に用いて)それでも
but(副)ただ、ほんの、~だけ
litel→little(形)(不可算の名詞を修飾して)(aをつけないで否定的用法で)少ししかない、ほとんどない(⇔much)
gold(名)金貨
cofre→coffer(名)貴重品箱、金箱
al→all(代)(単数扱い)(関係詞節を従えて)(~の)すべてのこと
myghte→might(助動)(直説法過去)(主に間接話法の名詞節中で、時制の一致により)(許可を表わして)~してもよろしい
of(前)(起源・出所を表わして)~から、~の
frendes→friends
hente→get
on(前)(目的・用事を表わして)~のために
bookes→books
lernynge→learning(名)(またa ~)学問、学識、知識
spente→spend
bisily→busily(副)せっせと
gan(動)ginの過去形
gin(他)(古)=begin(他)(~し)始める、(~し)だす
soules→souls
soul(名)霊魂、魂
preye→pray
hem→them
yaf→gave
give(他)(人に)(ものを)与える、あげる(+目+目)
wherewith→wherewithal(名)(the ~ to do)(~する)(必要な)手段/(特に)金
scoleye→school(他)(人を)教育する、(人に)学校教育を受けさせる(=educate)

Of studye took he moost cure and moost heede.

of(前)(関係・関連を表わして)~の点において、~に関して、~について
studye→study
take(他)(決意・決心・見方・世話などを)する ・take care of ~を世話する
moostmost
cure→care(名)(細心の)注意、配慮、気配り
heede→head(名)頭の働き、頭脳、知力 ・use one's head 頭を使う、考える

Noght oo word spak he moore than was neede,
And that was spoke in forme and reverence,
And short and quyk and ful of heigh sentence;
Sownynge in moral vertu was his speche,
And gladly wolde he lerne and gladly teche.

oo→one
word(名)(しばしば複数形で)(口で言う)言葉
spak→spoke
speak(他)(人に)(言葉を)話す ・No one spoke a word. だれも何も言わなかった。
moore→more
more than ~(名詞・形容詞・副詞・動詞・節を修飾して)~より以上のもの、(~して)余りある
neede→needed
need(他)(~を)必要とする、(~する)必要がある
that(代)(指示代名詞)(前に言及しているか、場面上了解されている物事をさして)そのこと
spoke→spoken
in(前)(状態を表わして)~の状態に(で)
forme→form(名)(内容に対して)形式、外形(⇔content) ・in due form 正式に、型どおりに
reverence(名)(深い尊敬・愛情をもった)崇敬、尊敬 ・with reverence 尊敬の念をもって、うやうやしく
short(形)(時間・過程・行為など)短い
quyk→quick(形)活発な、元気のよい
ful→full(形)多くて、たくさんいて(of)
of(前)(目的格関係を表わして)(形容詞に伴って)~を
heigh→high(形)高尚な
sentence(名)文、文章
Sownynge→Sounding
sound(自)(廃)(~の)傾向(気味)がある、(~と)関係がある(in)
in(前)(場所・位置・方向などを表わして)~において、~で
moral(形)(善悪の基準になる)道徳(上)の、倫理的な
vertu→virtue(名)徳、美徳、徳行、善行(=goodness/⇔vice)
speche→speech(名)話すこと、発言
gladly(副)喜んで、快く
wolde→would(助動)(過去の習慣・動作などの反復についての回想を表わして)~したものだった、よく~した
lerne→learn(自)学ぶ、習う、覚える
teche→teach(自)(~で)教える
【参考文献】
原文対訳「カンタベリィ物語・総序歌」』苅部恒徳、笹川寿昭、小山良一、田中芳晴・編・訳・注(松柏社
カンタベリー・テールズ市河三喜、松浪有・編注(研究社)
新英和中辞典 [第7版] 並装』(研究社)
リーダーズ英和辞典 <第3版> [並装]』(研究社)
リーダーズ・プラス』(研究社)
新英和大辞典 第六版 ― 並装』(研究社)